このページでは、アメリカの永住権や市民権の取得、アメリカでの結婚の手続きや離婚について情報をまとめています。
※ アメリカの永住権やアメリカでの結婚に関する下記の情報は、テレフォンガイド 2024年度版/生活情報を元に作成しています。
アメリカの永住権の取得
永住権(移民ビザ)はアメリカに永住する権利で、日本国籍を持ったままアメリカに住み、働くことができる。通称グリーンカードと呼ばれ、取得できる条件には、親族を通じて、雇用関係を通じて、投資によって、多国籍企業の役員及び管理職であることによって、毎秋行われるDVプログラム(Diversity Immigrant Visa Program)での当選などさまざまな場合があり、それぞれ申請方法が異なる。
書類が受理されて指紋押捺(移民局指定の場所で行う)が済んだら、移民局指定の日時に面接を受ける。問題がなければ永住許可が下り、グリーンカードが発行される。
雇用関係を通じての永住権取得
雇用関係を通じての永住権取得の手続きは、アメリカ人労働者の雇用機会を奪っていないという認定を、労働省から取得する手続きが必要である。この手続きは労働認定証(Labor Certificate)と言われ、2005年3月末からPERM(Program Electronic Review Management)という審査方法に切り替わった。
労働認定証取得後は、移民局での審査に移り、移民ビザ申請書(I-140)を始めとする必要書類を提出する。なお多国籍企業の役員及び管理職の場合は、労働認定証取得が免除される場合がある。雇用を通じての永住権申請は、2017年10月2日以降、親族を通じての申請と同様、基本的に面接が必要となっているが、移民局の審査遅延を解消するために面接が免除されるケースも多々ある。
永住権を失わないために
永住権を維持するためには、アメリカで暮らしていると判断される要素が必要。例えば、アメリカに住居や働き先があり、銀行口座、運転免許証を保持していること、アメリカで国税の申告をしていることなどがある。
1年以上アメリカを離れる時は、アメリカを出国する前に、I-131(Application for Travel Document)を提出して再入国許可書(Reentry Permit)を発行してもらうこと。さもないと、アメリカは短期滞在地で主な居住地ではないと見なされるため、再入国の際にグリーンカードを剥奪される可能性がある。
また、10年の期限があるグリーンカードは期限が切れる6カ月前から更新申請ができる。
アメリカ市民権の取得
アメリカの永住権を取得してから5年(アメリカ国籍の配偶者との結婚によって永住権を取得した場合は3年)を経過すると市民権取得が可能。市民権を得るとアメリカ国籍となり、アメリカ国民と同じように選挙権が持てるほか、選挙に立候補したり、アメリカ政府関係の仕事に就いたりすることができる。永住権と違い、アメリカを離れても消失することはない。必要な書類は帰化申請書N-400(Application for Naturalization)で、面接、英語のテスト、アメリカの歴史と政府についてのテストがある。許可が下りると帰化証明書(Certificate of Naturalization)が発行される。
日本の国籍法では、日本国民は自己の意思によって、アメリカ市民権など外国の国籍を取得した場合は、届け出の有無にかかわりなく日本の国籍を失う。その事実を戸籍に反映させるには、帰化後速やかに最寄りの大使館、領事館に国籍喪失届を提出しなければならない。詳細は総領事館および領事事務所(シアトル・TEL : 206-682-9107、ポートランド・TEL : 503-221-1811)まで問い合わせを。
※移民局の問い合わせ先は、「政府・公共機関」「シアトル/移民局」または「ポートランド/移民局」のリストを参照。
アメリカで生まれた子供の国籍
アメリカ国籍と日本国籍の取得
アメリカで生まれた子どもはアメリカ国籍を取得する。両親の一方が日本国民であれば、日本国籍も取得できるが、アメリカの国籍と同時に取得する場合は、出生後3カ月以内に日本国籍を留保して出生届を提出しなければならない(当サイト「総領事館および領事事務所で行える申請手続き/出生届」を参照)。
重国籍者の国籍の選択
そして、アメリカの国籍と日本の国籍を有する重国籍者となると、二重国籍になった時が18歳未満であれば20歳までに、18歳以降であればその時から2年以内に、どちらかの国籍を選択しなければならない。ただし、2022年4月1日時点で20歳以上の重国籍者については,22歳に達するまでに(20歳に達した後に重国籍になった場合は,重国籍になった時から2年以内に)どちらかの国籍を選択すればよく、2022年4月1日時点で18歳以降20歳未満の重国籍者については同日から2年以内にどちらかの国籍を選択すればよい。仮に日本の国籍を選択しようとする場合は、アメリカの国籍を離脱する、日本の国籍の選択の宣言をする、の2つの方法がある。
一方、重国籍者がアメリカの国籍を選択しようとする場合は、(日本の)国籍離脱届の手続きが必要。期限までに国籍の選択をしなかった場合は、法務大臣から国籍選択の催告を受け、場合によっては日本の国籍を失うことがある。詳細は総領事館および領事事務所(シアトル・TEL : 206-682-9107、ポートランド・TEL : 503-221-1811)まで問い合わせを。
アメリカでの結婚の手続き
アメリカの結婚許可証
アメリカでは、婚前に結婚許可証(Marriage License)の取得が必要。許可証の発行を受けるには、郡役所に申請書を提出する。シアトル(キング郡)では69ドル、ポートランド(マルトノマ郡)では60ドル(3日間の待機期間を免除したい場合の申請は65ドル)。キング郡は、オンラインか郵送での申請、マルトノマ郡は、役所か郵送での申請となる。両郡とも、発行された許可証は3日後から60日間有効なので、この有効期間中に取得した州内で結婚式を行う。
結婚式には、証人が2人必要。また、結婚式を執行できるのは、教会の牧師、神父、裁判官など、特定の人に限られている。
結婚できる年齢は、両郡とも18歳以上と定められているが、17歳の場合は保護者の承認があれば結婚できる。
結婚の記録は郡役所に保管され、婚姻証明(Marriage Certificate)が必要な場合はここから取り寄せる。問い合わせ先は「政府・公共機関」「シアトル/結婚証明」または「ポートランド/結婚証明」のリストを参照。
日本の婚姻届
日本の婚姻届は、婚姻したら3カ月以内に総領事館に届け出なければならない。当サイト「総領事館および領事事務所で行える申請手続き」の「婚姻届」を参照。ワシントン州では、2012年12月6日より、同性同士の結婚が認められるようになった。オレゴン州では同性同士の結婚を認めない州憲法が、2014年5月19日に連邦地裁で違憲と判断された結果、同性婚が認められるようになった。その後2015年7月に、結婚に関する法律上の言葉が、男女の区別のあるものから区別のない言葉に書き直され、2016年1月から施行された。
結婚によるグリーンカード・永住権取得
アメリカ市民の外国籍(日本国籍)の夫または妻には、最近親者のカテゴリーによる移民の資格がある。配偶者であるアメリカ市民を通し、移民ビザ請願書I-130(Petition for Alien Relative)を始めとする必要書類を移民局(USCIS)に提出する。書類が受理されて指紋押捺(移民局指定の場所で行う)が済んだら、移民局指定の日時に面接を受ける。問題がなければ永住許可が下り、グリーンカードが発行される。
なお、連邦最高裁でDOMA(Defense of Marriage Act)が違憲とされたため、同性同士の結婚でも永住権の申請ができるようになった。
子連れでのアメリカ人との結婚〜子どもの永住権
アメリカ市民と血縁関係がない子どもを同伴する場合、婚姻の時点で子どもが18歳未満であれば、最近親者のカテゴリーでグリーンカードを申請できる。子どもが18歳以上でもほかの申請方法があるが、別カテゴリーによる申請となるので、親とは異なるプロセスを踏むことになる。
結婚による条件付き永住権
アメリカ人との結婚2年以内の場合は、条件付き(Conditional)の永住権となり、2年間のみ有効のグリーンカードが発行される。この条件を取り除くには、条件付き永住者となって丸2年となる日の前90日の間に、結婚したふたりが共に署名をしたI-751(Petition to Remove Conditions on Residence)などの書類を提出して申請する。問題がなければ申請が許可され、10年間有効のグリーンカードが発行される。この申請を行わないと、2年間のグリーンカードの有効期間が切れた時に永住権を喪失する。
条件を取り除く申請以前に離婚してしまった場合は、永住権保持者本人だけでの申請ができる。しかしこの場合は、結婚が真実のものであり、永住権目的で結婚したのではないということを証明する必要がある。すでに10年間有効のグリーンカードが発行されていれば、離婚したとしても永住権は消失しない。
アメリカ国籍を持つ21歳以上の子どもがいる場合は、その子どもが親の永住権を申請できる。
結婚後のアメリカでの名前の変更
結婚しても、夫婦同姓にする必要はないのがアメリカ。人によっては夫婦の結婚前の姓をつなげるなどして、新しい姓を名乗る人もいる。改姓した場合は、運転免許交付所、ソーシャル・セキュリティー事務所などに、名前変更の届けをする。
日本の戸籍上の姓は、婚姻成立後6カ月以内なら家庭裁判所の許可を得ないで外国人配偶者の姓に変更することができる。変更したい場合は総領事館に氏の変更届を出す。
日本の戸籍上では姓を変えずに、アメリカで配偶者の姓を使っている場合、日本の旅券にアメリカで使っている姓の併記を申請することができる。例えば、戸籍上の氏名が山田美代子で、結婚した夫の姓がJONESの場合、旅券にYAMADA MIYOKO(JONES)と、両方を便宜上載せる。詳細は総領事館および領事事務所(シアトル・TEL : 206-682-9107、ポートランド・TEL : 503-221-1811)まで問い合わせを。
アメリカでの離婚
アメリカでの離婚は州が管轄するので、それぞれの州法に基づいて裁判所で手続きを行う。
ワシントン州
ワシントン州法では離婚のことを「結婚解消(Dissolution of Marriage)」と呼び、配偶者の悪行を立証したり、離婚するうえでの、正当な理由を申し立てたりする必要はなく、最短90日で離婚が成立する。ただし、子どもの養育など離婚条件がまとまらない場合は、90日以上かかる場合もある。裁判所での手続きなので、弁護士を立てて進めることが一般的であるが、義務付けられてはいない。最終的に裁判官が「結婚解消の判決(Decree of Dissolution of Marriage)」に署名して離婚が成立する。
オレゴン州
オレゴン州もこの「無過失(No Fault)」離婚システムを採用しており、同じく離婚のことを「結婚解消」と呼ぶ。「略式結婚解消(Summary Dissolution)」という方法では、、裁判所に出廷せずに離婚成立が可能。
監修:ワシントン州弁護士・五十畑諭/琴河・五十畑法律事務所(Kotokawa & Isohata, PS)
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