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引っ越しマニュアル(1)- アメリカで新生活

アメリカで新生活を始めたり、逆にアメリカ生活を終えて日本に帰国したりと、多くの人が区切りを迎える季節がやって来ました。その季節に合わせて今回お贈りするのは、皆さんの新生活を応援する「引っ越し」特集。Part 1では新居を買う、借りるなどアメリカで新スタートを切る人向けの情報を、Part 2では日本に帰国を予定している人に役立つ情報をお届けします。 (情報は2005年3月時点のもの)

※料金を含む掲載情報は2005年3月時点のものです。情報は変更されている場合があります。

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アメリカで新生活

新生活の第一歩は部屋探しから。アメリカと日本では、部屋のタイプや呼称、部屋を借りる際のステップなどが異なるので、注意が必要。部屋探しに役立つチェックリストもあります。


部屋を借りる

心地よい部屋を借りるには、家族構成や生活スタイルに合った部屋を見つけることが大切。ここでは、アメリカの賃貸で借りられる住宅&部屋の携帯から探し方までを伝授。

住宅&部屋の形態


▲シアトルには、湖に浮かんで建つ「ハウスボート」と呼ばれる家もある。For Rentになっていることもあるので、興味のある人は探してみよう

●アパート Apartment
月単位や年単位などの契約で借りる。寝室数はさまざまだが、日本の「ワンルーム」に当たる間取りはStudioと呼ばれる。

●シェアハウス&ホームステイ Shared House&Homestay
1軒の家を他人と共有する方法。ホームステイはホストとなる家族と住む。基本的に個人部屋だが、台所やバスルームなどは共同。安い家賃で広い家や繁華街に住めたり、ルームメイトやホスト・ファミリーとの交流もできる。

●コンドミニアム Condominium
いわゆる分譲マンションで通称コンド。コンドのオーナーが賃貸する形でFor Rent市場に出ることがある。室内に洗濯機や乾燥機が揃うなど、便利な造りになっているのが一般的。

●マルチプレックス&タウンハウス Multiplex&Townhouse
前者は1建物に2 ~ 3戸が存在する形態でDuplexやTriplexなどがある。後者は「連続建て」と呼ばれ、複数の家が縦・横の列に並んで建つ。いずれも各戸に独立した玄関を持っている。

●間取り Floor Plan
間取りの構成要素は、住宅の形態にかかわらずほぼ同じ。寝室(Bedroom)、バスルーム(Bathroom)、リビングルーム(Living Room)、台所(Kitchen)などから成り、物件によっては「Nook」と呼ばれる台所に隣接した小スペースやベランダ(DeckやPorch)などが付く。一番大きな寝室をMaster Bedroomと呼ぶ。また、バスルーム数の表記には1.75 bathroomというものもある。これはバスタブ+シャワー+トイレ(1)にトイレ+シャワー(0.75)があることを示す。

 

貸し部屋情報の入手方法

次のようなメディアを使えば、検索は簡単。中には、住まいのイメージがわきやすいように写真付きで物件を見られる場合もある。

●ウェブサイト
「Rent.com(www.rent.com)」ほか、オンライン上には賃貸専門のサイトが多数。州や都市名、希望家賃などを入力して検索する。新聞社や雑誌社のサイトでは、紙(誌)面の情報をオンラインで見ることもできる。また、「craigslist」はローカルの間でよく利用されている情報サイト。賃貸専用ではないが、housingをクリックすると空き部屋からルームメイト募集の情報まで検索できる。

craigslist シアトル版:https://seattle.craigslist.org/
craigslist ポートランド版:https://portland.craigslist.org/
youmaga.com クラシファイド:www.youmaga.com/cgi-bin/classified_new/pinks_c.cgi

●無料専門誌
街角で無料配布されている専門の冊子も情報源のひとつ。エリアが限定されているので、希望区域が決まっている人に便利。ただし、内容が広告で成り立っている点は考慮したい。

●新聞のクラシファイド
Seattle Times&Seattle P-I紙の「NW Classifieds」やThe Oregonianのクラシファイドなど。日曜版は特に物件数が豊富だが、個々の内容は簡単な連絡先と間取りしか書いていないことが多い。

●掲示板
公共施設やスーパー、学校などにある掲示板に貼られた募集は、そのエリアの住人や学生をターゲットに探している場合がほとんど。シェアハウスの情報も多いので、ルームメイト探しにも便利。

 

部屋探しのチェックリスト

後悔しない部屋探しのためには、あらかじめ自分の希望や条件を書き出しておくと良い。以下のチェックリストを使って基本事項を確認しよう。

□立地
安全な地域かどうかはもちろん、学校や勤め先への交通の便、買い物する場所の有無などをチェック。安全性の確認は昼間だけでなく夜間に訪れたり、平日のほか週末にも行ってみるなど、時間を変えて訪れてみると良い。

□ペット
アパートではペット不可が多いが、ハムスターなどの小動物はOKという所もある。また、ディポジットを支払うことで可能となる場合もある。

□駐車場
駐車場はあっても代金が家賃外のことがあるので、料金やシステムを確認しよう。また、駐車場なしで路上駐車しなければならない場合も、エリアによっては市などの許可がいることもあるので、住む地域のルールを確認すること。

□ライフライン
部屋に洗濯機や乾燥機が付いていない部屋の場合、下水道料金が家賃に含まれていることが多いので、ガス・電気・電話などを自分で払うことになる。また、シェアハウスなどでは、光熱費(Utilities)を人数で割ることもある。

□リース期間
アパートの場合、1カ月ごとの契約のほか、リース期間は3、6、12カ月とさまざま。また、最近は入居者確保のため「最初の1カ月無料」というサービスをするアパートもある。退去は少なくとも1カ月前に連絡というのが一般的。

□ディポジット
「最初の月+最後の月の家賃分」がディポジットの金額として一般的。そのうちの1カ月分は「セキュリティー・ディポジット」として退去後の部屋の破損の修繕費などに充てられるが、入居時と同じ状態かそれ以上にしておけば、全額戻ることもある(入居時の状態を大家やその日の日付が入った新聞と一緒に写真撮影するなどして、記録に残しておくと良い)。

□家具付きかどうか
留学生や一定期間だけ滞在している人には、家具付きの部屋もチョイスのひとつ。費用が抑えられ、帰国時に家具を処分する手間を省くことができる。

※部屋が決まれば、家主と借り主の間で賃貸契約書(Lease Contract)を交わす。これには、借り主及び同居者などの個人情報(名前、住所、職業、収入など)を書き込むほか、家賃支払日、家賃に光熱費が含まれているか否かなどのさまざまな規定が明記されている。よく読んで納得してからサインしよう。

 

 

【部屋探しに役立つ英語】

貸し部屋やルームメイト募集などの英文クラシファイドを読み解くための略語を知ろう!

bd/br Bedroom  寝室

bkyd  Backyard  裏庭

bsmt  Basement  地下の部屋

cpt  Carpet  カーペット

d/w  Dishwasher  食器洗浄機

dntn  Downtown  ダウンタウン

dpst/dep  Deposit  ディポジット

fncd  Fenced  フェンス付き

fp  Fireplace  暖炉

furn  Furnished  家具付き
semi-furnは限られた家具のみ付いている

incld/incl  Included  ~込み

np  No Pet  ペット不可

ns  No Smoking  禁煙

pkg  Parking  駐車場

… req  Required  …が必要

utls Utilities 光熱費

w/d Washer & Dryer 洗濯機&乾燥機

 

【ホームステイの心得】

アメリカでホームステイをする前に知っておきたい心得を、ICCのいく・スキールズさんにうかがいました。

1. 冷凍食品も立派な食事と心得るべし
アメリカ人の家庭は食事に関して質素な面があります。何日も続けて冷凍食品のピザやジャンク・フードを出す家庭もありますから、日本の食卓をイメージすると面食らうかもしれません。

2. シャワーになれるべし
日本では湯舟につかり、ゆっくりとお風呂に入る習慣がありますが、アメリカではシャワーが主。ホストによっては、水の節約などのためにシャワー時間の短縮や時間指定を設けるケースがあります。

3. “親しき仲にも礼儀あり”と知るべし
いくらホームステイ先に家賃を払っていても、何から何までホストがまかなうわけではありません。ホストとイベントや外食に出掛けたりする時は、基本的に自分で払うようにし、もし払ってくれた場合は感謝を表しましょう。

<協力:ICC国際交流委員会 いく・スキールズさん>
正規留学やビジネス・インターンシップ、ホームステイの斡旋まで幅広くサポートする留学斡旋関連会社『ICC国際交流委員会』アメリカ・オフィスのエグゼクティブ・ディレクター。
TEL : 425-637-1938 ウェブサイト:www.iccworld.co.jp

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アメリカで家を買う

マイホームを手に入れることは、誰もが夢見ることのひとつ。そこで、アメリカで家を購入する際の一般的なプロセスを専門家に尋ねてみた。日本と異なる点もあるので、注意しよう。

■ 不動産エージェントを決めるところから、ローン申請、登記手続き完了までの住宅の購入プロセスの流れについてはこちら » 

キホンの不動産用語

不動産エージェント(Agent):不動産エージェントには、買い手側のプロセスを行うBuyer’s Agentのほか、家の売り手に変わって不動産の売却を担当するListing Agentがいる。共に不動産売買の契約を成立させ、登録が完了するまでサポートする。エージェントは州のライセンスを持って不動産会社に所属し、仲介手続きを行うが、社員ではない。

インスペクション(Inspection):家の構造やコンディションの検査。専門の業者が担当し、通常2~3時間掛けて床下から屋根の上まで調べる。ここで重大な欠陥が見つかれば、購入価格や売買契約の見直しなどが必要だ。

モーゲッジ(Mortgage):住宅ローンのこと。主に固定金利住宅ローン(Fixed-rate Mortgage)と変動金利住宅ローン(Adjustable-rate Mortgage)がある。前者は、ローン期間中の返済金額が一定で、返済期間は15年と30年のものがある。後者は、市場に従い金利が変動するもので、金利が上がるリスクがあるものの、金利自体は低く抑えられている。ただし、多種多様なローンがあるので、よく研究すべき。

エスクロー(Escrow):売り手・買い手から提出された売買契約を元に、代金受け渡し及び、登記手続きの一切を請け負う登記会社のこと。

 

 

専門家に聞く!不動産アドバイス

Q:良い家の見分け方を教えてください。

良い家を選ぶ基本は、エリアに関係なく同じです。学区の良い所とメンテナンスが行き届いた家は人気が高く値段も高めですが、早く売れます。ただし、学区全体が良くても一定の地区がほかより好ましくない場合もあるので、住む所の学校がどこか確認したり、ワシントン州で行われる統一テスト(WASL)の成績を参考にしたり(私のウェブサイトのリンク先「学校案内」から学校の資料が見られます)、また学校に通っている子供を持つ方の意見を聞いてみたりしましょう。

選び方は値段と大いに関係があるので一概には言えませんが、注意点は水回り。3つ挙げれば?近くの急坂や土手が家の水はけに影響を及ぼさないか、?屋根のメンテナンスはどうか、?排水能力がしっかりしているか。??は専門のインスペクターを雇って検査すべきです。この検査は購入時の条件項目のひとつにもなっています。

家の年代は好みにより違いますし、地域によってはまったく問題にならないこともあります。例えばベルビューに隣接するクライド・ヒルやメダイナでは、築40~50年の家が100万ドル以上することも。良い物件探しには、長年地元にいて信頼できる不動産業者に相談することが必須です。(*情報は2005年時点)

<回答:ウィンダミア不動産 渡部ジェイソンさん>
不動産業に携わって20年。これまでに成立させた物件は600件以上に上る。住まいの相談から不動産の無料査定、無料プライベート・セミナーなどを通じて、買う側も売る側も安心できる不動産販売を心掛けている。

■ Windermere Real Estate
TEL : 206-718-2866 www.watabefudosan.com

 

Q:Buyer’s AgentとListing Agentの役割は?

「家が欲しい」と思ったら、まずインターネットで検索したり、オープンハウスを見たりするでしょう。そしてそれが楽しくなってきた頃、良い物件がすぐになくなる事実に気付いて、慌ててBuyer’s Agentに連絡を取る……。じつはそのような方は少なくありません。しかし、市場に出たばかりの物件は写真がなかったり、オープンハウスの家は売れ残りがほとんど。ですから、まず買い手のヘルプをするBuyer’s Agentに連絡するのが早道です。Buyer’s Agentは住所・値段・特徴などから該当物件を瞬時に判断し、迅速かつ適切に多くの物件を紹介します。

一方、家を売る時にお手伝いするのがListing Agent。彼らはその家を買いたいお客様を想定して綿密な調査をするほか、売値が売り手の希望に沿う配慮をします。ただし、市場価格からかけ離れた売値にすると結局値下げを余儀なくされることも。また、売値の目安は最終的に“売れた”価格で、“売り出し”の価格ではありません。
最後にAgent選びは「最高価格を付けたから」「コミッションを値引きしてくれたから」だけでなく、大切な家を大事に扱ってくれる人を選びましょう。

<回答:ジョン L. スコット 三井まりこさん>
トップ・エージェントのアシスタントとして従事した経験とネットワークを生かし、“お客様第一”のサービスで不動産の楽しさを顧客に広めようと日々精進。2004年には同社Top 5% Agentに贈られるPresidents Elite賞を受賞。

■ John L. Scott
TEL : 425-765-8742 http://marikomitsui.com/

 

Q:一軒家vsコンド、購入はどちらが得?

答えは購入者の生活スタイルで違ってきます。コンドミニアム(以下コンド)は一軒家より安価で購入しやすく良い投資になるほか、フィットネス・センターやプールなどの設備が付いている所もあり、維持も簡単。子供のいない共働き夫婦や隠居者、留守がちの独身者などに向いています。一方、子供のいる家庭は遊び場を考えて庭付きの家が良いですが、子供の成長を考えてできるだけ広い家を買いましょう。“大は小を兼ね”ますし、手狭になってからの引っ越しを防げます。

コンドは防音壁で隣近所を遮っているだけなので、一軒家に比べて音が漏れてプライバシーが守られなかったり、最高級コンドを除いては部屋の間取りが小さい上、収納が少なく、パティオやバルコニーが狭いことも。また、「ホーム・アソシエーション」と呼ばれる管理組織に月々の管理費を収め、ここの定めたルールに従う必要があります。しかし、通常は便利な立地にあり、「ホーム・アソシエーション」が付属設備の整備などを行ってくれるため、手間が掛かりません。のちに売却を考えているのなら、コンドにせよ、一軒家にせよ、便利な立地、良い地域環境、良くメンテナンスされていることを考慮して決定しましょう。

<回答:センチュリー21不動産 フォート 真知子さん>
全米各州と海外で25年間過ごした後、’99年ノースに自らのドリーム・ハウスを購入。以来インテリアやガーデンニングに情熱を燃やして生活を楽しむ一方、その情熱が不動産に及んで、エージェントに。不動産への良い投資とその後の手伝いを親身に行っている。

 

Q:シアトル周辺の不動産事情はどうですか?

西ワシントン州及びキング郡に関してお話しします。まず昨年1月と今年1月のPending Offer物件(売り家に対してオファーは入っているが、未決済の物件)の数を比較すると西ワシントン州一帯で22%上昇、価格は12.7%上昇と、この地域の不動産市場はクレージーなくらい“ホット”。完全な売り手市場で、買い手の数に対して売り家の数が極端に少ない、需要と供給がアンバランスな状態です。この原因のひとつは、すでに家を持っている人がここ数年の低金利を利用してリファイナンスをしたり、リフォームをしたりして今の家をキープする傾向が挙げられます。そのような状態なので、例えばキング郡の35万ドル級の平均的な家が売れるまでの日数が58日というデータがあったり、数週間で価格が大きく上がるなどの現象も見られます。このようなマーケットでは、普通の時よりも慎重に、経験豊富で信頼のおけるエージェントのアドバイスの元に動きましょう。

また、これまでは一軒家の方がコンドより資産価値が高いとされていましたが、街の中心部などの土地不足や現代人の生活スタイルの変化などで、今ではコンドの価値も見直されています。(*情報は2005年時点)

<回答:コールドウェル・バンカー 下村真美さん>
「憧れのマイホーム購入のお手伝いをするのが最高の喜び」という志のもと、情熱を持って不動産売買に取り組む。それぞれの目的に合わせた丁寧なコンサルティングを心掛けている。不動産歴18年以上、在米30年。

■ Coldwell Banker Bain Associates
TEL : 206-718-6264 www.coldwellbankerbain.com/mamishimomura

 

Q:ポートランド周辺の不動産事情はどうですか?

オレゴン州の不動産市場の現状は、ワシントン州とかなり似ています。ポートランドについて言えば、かなり過熱気味で、これは売り家の在庫不足が原因のひとつになっています。過去6カ月間で見ると、私が関わった物件はすべて複数のオファーが寄せられ、オファー金額はいずれも売り主の表示価格を上回る提示ばかり。市場に出て1日もたたない家に、すぐに4つのオファーが集まることもありました。どうしてもその物件が欲しいならば、一番高い買値を提示しなければ、当然手に入れられません。以前あったバブル期のような現状では、不動産購入には我慢強さが必要です。在庫が充実すれば、マーケットは自然と正常な状態に戻って適切な“買い時”が訪れます。それまで忍耐強く待ちましょう。

また、ポートランド周辺でも、地価の値上がりや住宅の集中化を防ぐ市の規制により、住宅事情に変化が起きています。現在は最初のマイホームとしてお手頃価格のコンドやタウンハウスが選ばれることが多く、ポートランド市内ではダウンタウンに近いパール地区が人気のエリアのひとつです。また、忙しい現代人の生活から、都市型生活が再び注目を集めているようです。(*情報は2005年時点)

<回答:豊島メアリーさん>
オレゴン州ポートランドにおいて15年以上の不動産歴を持ち、日本語で親身になって相談に応じている。不動産売買のほか、改装など、不動産価値を高めるためのコンサルタントも行っている。

■ Toyoshima Mary, Real estate broker p.c.
TEL : 503-730-2122 www.toyoshimarealty.com

 

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*情報は2005年3月時点のものです。情報は変更されている場合があります。

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