留学や仕事などの目標達成のため、アメリカの地で頑張っている日本人シングル達。「仕事は充実」「好きな勉強にのめり込めて幸せ」と満足感に溢れているはずなのに、なぜか胸に残る一抹の寂しさ。「結婚も仕事も両方したい!」「ステディな彼とスイートな毎日が過ごしたい!」今回の特集は、そんなシングルス必読の出会いと結婚がテーマ。出会いの極意や落とし穴、ユニークな結婚をした先輩カップルの声からアメリカン・ウエディングの常識まで、盛りだくさんでお届けします。 (情報は2005年5月時点のもの)
アメリカでの出会いと結婚 |ページ1|ページ2
ノースウエストでの結婚式 |ページ1|ページ2
アメリカでの結婚|ユニークな結婚式アイデア
結婚する当事者達が満足できる結婚式がベストだけれど、ノースウエストに住んでいるなら“ここならでは”のエッセンスも加えたい。場所別のユニーク結婚式がコチラ。先輩カップルの体験談も参考にして!
シアトルを満喫できるビュー付き結婚式
会場は街のランドマーク
「シアトルならではの名所で結婚式を挙げたい人に、とっておきの2カ所を紹介しよう。
まず、この街でひときわ目立つランドマーク「スペースニードル」には、バンケット・ルームが2室あり、挙式や披露宴の会場として人気。ピュージェット湾とユニオン湖を一望できる部屋では最大190人が座って食事ができ、ダウンタウン側の1室では80人が着席可能。この2部屋の仕切りを取り払えば、最大300人のバンケットまで対応できる。
同社のケータリング・サービスを利用する規定により、料理と飲み物のミニマム料金のみで室料は無料。リネンやテーブル・セッティング、スタッフも料金に含まれているのがうれしい。受付は30人からで、料理と飲み物でひとり約$50~。例えば100~150人のパーティーなら費用は$7,500程度(税・サービス料金抜き)が目安だが、時期や時間帯、人数などで異なるので、要確認。
そしてもうひとつ、シアトルの歴史的建造物と言えば、パイオニア・スクエアに建つエンピツ型のユニークなビル「スミス・タワー」。1909年に建てられた当時、アメリカではエンパイア・ステイト・ビルに次ぐ高層オフィス・ビルだった。このビルの35階にある展望室「チャイニーズ・ルーム」は、挙式や披露宴にも利用できる。展望室だけあって眺めは最高。最大99人を収容する中華風の広間は四方がガラス張りで、さらに外のデッキにも出られる。時期や曜日、時間帯にもよるが、準備時間も含めた約6時間の室料は$300~$1,700。ケータリングは指定された10社から選ぶことができ、頼めば牧師さんの手配もしてくれる。
(*情報は2005年時点のもの)
▲スペース・ニードルのレストランでは、可愛らしいフラワー・アレンジメントが施されたテーブルを用意してくれる
▲闇に輝くスミス・タワーから見下ろすシアトルの夜景。目にも胸にも焼き付く美しさ!©Martin Greene
400 Broad St., Seattle, WA
www.spaceneedle.com
506 2nd Ave., #1021, Seattle, WA
www.smithtower.com
スミスタワーで華麗にジミ婚
<アンドリアス・シムティスさん&時里あかねさんご夫妻(2004年6月挙式)>
▲「チャイニーズ・ルーム」の豪華な椅子に座るアンドリアスさんとあかねさん
家を買ったばかりで、恥かしながらお金のなかった私達の会場探しの条件は、ダウンタウンに近くて安く、天候の心配がない屋内で、なおかつ日本から来る親兄弟や親類が喜んでくれる場所。そのすべての条件を満たしていたのが、なんとあのスミス・タワーの展望室「チャイニーズ・ルーム」でした。
ピュージェット湾やダウンタウンを見下ろす展望と歴史的建造物の風格。加えて意外なほどお得な料金を見て決めたこの会場。低予算に抑えるため、飾り付けも自分でやった私達には、準備や備品の持ち込みが開場の数時間前からしか始められなかった点は大変でしたが、なんといっても景色が素晴らしく、豪奢な雰囲気のある場所に、ゲストも私達も大満足。その思い出は今でも時々話題に上ります。
写真提供:アンドリアス・シムティスさん&時里あかねさんご夫妻
ノースウエストの景色も2人を祝福!
船上&クルーズの結婚式
2人での人生の船出を飾る場所なら、文字通り“船上”ウエディングがぴったり。
シアトルのウォーターフロントやユニオン湖、カークランドから発着する「アーゴシー・クルーズ」は、1949年からウエディング・サービスをしている老舗。25~700人までのプランに合わせて9種類の船が用意されており、船長による挙式も可能だ。通年で利用できるが、最繁期の5~9月の利用なら、1年前には計画を立て始めたい。人気は土曜の夕方や日曜の午後。
料理や飲み物のメニューも多彩で、要望に合わせてカスタマイズもしてくれる上、持ち込みも可能(別料金)。費用は船の種類や日程、人数やメニューにより異なるので、個別に相談を。
同じシアトルの「ウォーターウェイズ・クルーズ」も、ウエディング・サービスに力を注いでいる。スマートなヨット上での結婚式は映画のワンシーンのよう。船長による挙式もでき、充実したパッケージ・プランを利用すれば、すべてがスムーズに進行するだろう。収容人数は20~200人程度。
オレゴン州ならば、ポートランドの「スターンホィーラー・ローズ」で。歴史を感じさせるこの船は100人程度までのパーティー向きだ。船長による挙式、料理、ウェディングケーキ、シャンパン、コーディネーターやバーテンダーの費用が含まれたパッケージが50人で$3,795(51人以上はひとり当たり$32を追加)と明朗会計。歴史あるポートランドの街並みも最高の演出になるはずだ。
(*情報は2005年時点のもの)
▲船上でのウエディングはロマンチックのひと言
▲ポートランドに流れる川をゆったり進むクラシカルなボート「スターンウィーラー・ローズ」
©Arraonstadt Photographers
▲「アーゴシー・クルーズ」MV Kirkland号の挙式用セットアップ
©Paul Dudley
1101 Alaskan Way, Pier 55, #201, Seattle, WA
www.argosycruises.com
809 Fairview Pl. N., #110, Seattle, WA
www.waterwayscruises.com
6211 N. Ensign St., Portland, OR
www.sternwheelerrose.com
オレゴンの大自然とワインで一生の思い出
ワイナリーでの結婚式
オレゴン州ウィラメット・バレーに点在する多くのブドウ畑。結婚式を受け付けているワイナリーはオレゴン州にいくつかあるが、セーラム郊外、ダラスの丘に立つ「ベッケンリッジ・ビンヤード」は、天気の良い日にはジェファーソン山や「オレゴンの富士山」と呼ばれるフット山、スリー・シスターズ山を一望できる素敵な場所だ。
ここの特徴はブドウ畑のド真ん中で結婚の誓いができ、1日中貸切であること。気さくで明るいオーナーは「プライベートな空間を大切にする」ことを重要視し、予約は1日1組限定。こんな特別な設定が、ひと味違うドリーム・ウエディングを計画するカップルの人気を呼んでいる。
ピーク時は5~10月で、少人数の挙式から最多250名を収容する披露宴まで対応(オフ・ピーク時は~120名)。料金は会場代が$2,000前後(ピーク時)以外は、ケータリングやテーブル・セッティング、写真家などを各自で用意。妥協なしの手作り挙式が可能だ。
22エーカーのブドウ畑とレクリエーション・スペースが屋外に設置されるほか、屋内は花嫁の衣裳部屋、ミニバー・キッチン、ダンスホールなどに使える。今年は8月の平日とオフ・ピーク時に若干の余裕があるが、現在、来年の予約も受け付けているので、希望者は早めにアクションを。
また、ワシントン州でもワイナリー挙式は可能。コロンビア・バレーにある「プレストン・プレミアム・ワインズ」のほか、「コロンビア・ワイナリー」などでも行われている。
(*情報は2005年時点のもの)
▲ブドウ畑をバックに誓いのキス
© Encore Photography
▲室内挙式の様子
© Encore Photography
300 Reuben Boise Rd., Dallas, OR
https://beckenridge.com
502 E. Vineyard Dr., Pasco, WA
*2018年までに閉業
14030 NE 145th St., Woodinville, WA
www.columbiawinery.com
引き出物もワインで楽しめる
ワイナリーでの挙式・披露宴は難しくても、ワインを引き出物にするだけでノースウエストらしさがアップ。カップルの名前を瓶に彫ったり、ラベルにしたり、出会った年のワインを選んだりする手もある。
日本の良き伝統を大切にしたいカップルへ
神社、仏閣で
アメリカにいると日本の良さが改めて身に染みるもの。一生に一度着られるかどうかという白無垢姿を逃したくない人もいるのでは? ノースウエストには日本の伝統的様式で結婚式ができる場所がいくつかあるが、厳かで印象的な結婚式を挙げられる場所をご紹介しよう。
まず神前結婚式。祖神・猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)と、縁結びと芸能を司る天乃鈿女命(あめのうずめのみこと)の夫婦の神様をお祭りする「アメリカ椿大社」は、新郎新婦だけから200人近い規模までの結婚式に対応してくれる。アメリカ各地はもとより、日本からも多くの人が結婚式を挙げに訪れるそうだ(初穂料$500~)。神社の向かいにある椿会館では40人程度の披露宴も可能(ケータリングは要手配)。
仏前結婚式ならシアトル周辺&近郊にさまざまな寺があるが、不動明王をお祭りする真言宗のお寺「神護寺」でも可能。現在工事中のため、本堂での挙式は7月以降になるが(50~70人程度。挙式費用+本堂使用料で$200)、和尚さんが出張して式を挙げた実績も数多くあるので、希望する人は相談してみよう。
(*情報は2005年時点のもの)
▲「アメリカ椿大社」での日本の伝統にのっとった神前結婚式
▲「神護寺」での結婚式も厳かな雰囲気の中行われる
17720 Crooked Mile Rd., Granite Falls, WA
www.tsubakishrine.com
502 Redmond-Fall City Rd. SE, Redmond, WA
TEL:425-222-4710
www.facebook.com/jingoji.buddhist.temple/
マウントレーニアでの結婚式
<福島学さん&香織さんご夫妻(2002年8月挙式)>
▲「目を開けていられないほどのまぶしい日差しの中、大切な方々に囲まれて最高の1日だった」という福島さんご夫妻の結婚式
思い出の地であるレニア山での結婚式。太平洋を挟んで準備を進めた数カ月間。マニュアルもコーディネーターもないゼロからの手作り結婚式は、家族や友人を巻き込んだ、手探りの、ハプニング続出の、でもこれ以上なく思い出深いものになりました。
完全な屋外挙式を予定していたので、「もし雨が降ったら」と天気は最後まで唯一の気掛かり。でも「当日は絶対に晴れる!」とおかしいくらい信じ切っていました。バックアップ案も具体的ではなかったので、今考えると少し無茶だったかな。
宿泊していた「パラダイス・イン」で目覚めると、当日は早朝から快晴! 家族と親しい友人達がオーガンジーを持って並び作ってくれたアイル。前の晩、初めて顔を合わせて練習した友人達のハンドベル演奏。みんなの笑顔。そして目の前に悠々とそびえるレニア。風の音以外何も聞こえない静寂の中、ハンドベルによるウェディング・マーチが山の奥深く吸い込まれて……。
“蚊”というハプニングを賢い友人が持参した1本の虫除けスプレーで乗り切り、文字通り“痛い”ほど照りつける太陽の下、家族や友人が首からタオルをかけて準備を手伝ってくれました。みんな、ありがとう! 式直後の青空BBQ、冷えたビールのおいしかったこと! 五感総動員の楽しい結婚式でした。
写真提供:福島学さん&香織さんご夫妻
アメリカでの結婚の基礎知識・アメリカンウェディング101
アメリカと日本で大きく異なる結婚に関する風習やマナー。新郎新婦と招待客が知っておきたい最低限の内容をQ&A形式でまとめてみた。
式と披露宴の進行・構成はどんな感じ?
一般的な式での基本的な流れは次の通り。
1. 招待客が着席後、新郎新婦の両親が着席
2. 新郎とベスト・マンの入場後、グルームズマンが所定の位置に着く
3. メイド・オブ・オーナーとブライズメイド、フラワー・ガールとリング・ベアラーらの入場
4. 新婦が父親と共に入場
5. 誓いの言葉
6. 指輪の交換
7. 誓いのキス
8. 新郎新婦の退場
9. ベスト・マンと、メイド・オブ・オーナー、グルームズマン、ブライズメイドの退場で終了
また、披露パーティーの内容は多様化しているが、だいたいは次のような流れ。
1. 新郎新婦とその親、ベスト・マン、メイド・オブ・オーナーが招待客を出迎える
2. 司会者による開会の辞
3. ベスト・マンとメイド・オブ・オーナーが新郎新婦と入場
4. 乾杯
5. 食事開始
6. 新郎新婦のファースト・ダンス 7. ケーキ・カット(新郎新婦が互いに食べさせ合う)
8. ブーケ・トス(未婚女性を集め、新婦がブーケを投げる。これを受け取った人が次に結婚すると言われている)
9. ガーター・トス(未婚男性を集め、新郎が新婦の脚から外したガーターを投げる。これを受け取った人が次に結婚すると言われている)
10. 新郎新婦の退場で終了
アメリカに結納はあるの?
アメリカでは結婚は本人同士の問題と捉えるのが一般的で、家同士の結び付きという概念は薄い。婚約を祝う習慣はあるものの、結納品や金銭を贈り、家同士の結び付きを祝う結納とは少し趣向が異なる。
ゲストがプレゼントを渡すタイミングは?
式場と披露宴会場が一緒の場合、式場に入る前に受付に預ける。しかし、例えば挙式は教会、披露宴は別の所という場合は、披露宴会場の受付に預ける。贈り主が誰なのか、ギフトにはカードを添える気遣いを。
お祝いにお金を渡すのはOK?
日本では一般的なご祝儀という形。アメリカでは現金やチェックを包むのはごくまれで、あっても家族や親族からがほとんど。一般的には、プレゼントとして生活用品などを贈る。
ベスト・マンやメイド・オブ・オーナーの役目って何?
上記の流れで見たように、式の間新郎新婦のサポーターとして活躍する人達がいる。新郎側の世話役はグルームズマンと呼ばれ、その筆頭がベスト・マン。また、新婦側の世話役はブライズメイドと呼ばれ、そのリーダーがメイド・オブ・オーナー(またはマトロン・オブ・オーナー)だ。通常は新郎新婦の兄弟や姉妹、いとこや親友などが役割を引き受けるが、ベスト・マンには新郎の父親がなることもある。
そのほか、新婦が入場する際に花びらをまきながら彼女の入場を促す少女、フラワー・ガールや、クッションに載せた結婚指輪を運ぶ少年、リング・ベアラーなどがいる。
ブライダル・レジストリーって?
新郎新婦が結婚祝いに欲しい品物をデパートなどの婚礼関連用品部門に登録するシステム。カップルが登録した「欲しい物リスト」を、ゲストは予算と照らし合わせながらウェブサイトや店補を通じて選択・購入することができる、アメリカならではの合理的な方法。
アメリカと日本で結婚を成立させるには?
アメリカで結婚する際には、結婚前にマリッジ・ライセンスと呼ばれる結婚許可書の申請が必要。申請書に記入して郡役所に提出、現金でワシントン州は$54、オレゴン州は$60を支払う。その後、許可書の有効期間である3~60日間以内に証人2人と神父、牧師、裁判官などの有資格者の下で結婚を宣誓、彼らの署名付き申請書を期限内に郡役所に再提出して結婚を登録する。 日本における婚姻事実の提示と新戸籍作成には、婚姻日から3カ月以内に在米日本総領事館で婚姻事実の報告と必要書類の提出をする。必要な書類の用紙や詳細は領事館まで問い合わせよう。(情報は2005年時点のもの。 最新情報はこちら)
在シアトル日本国総領事館 TEL:206-682-9107
在ポートランド日本国総領事館 TEL:503-221-1811
どんな服装で参列すればいい?
男性の場合は、黒か紺などの濃い色のスーツであれば、フォーマルやセミ・フォーマルなどの種類は問わない。女性の場合は日本と同様に、ウエディング・ドレス色に当たる白を除いた色の、新婦よりも目立たない服装が好ましい。
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