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アメリカで就職?日本で働く?(1)-アメリカでの就職活動体験談

企業で働くこと─自己実現のため、独立のための布石、いろいろ目的はあるでしょう。でもその前に受け入れ先を見つけなくてはなりません。しかも「自分に合った」「満足度の高い」ところを。今回は、その“伴侶探し”のためのtipsを集めた「就職応援特集」。就職成功者インタビューに景気&採用天気図、レジュメ添削に加え、日本でお馴染みの就職情報サイト「リクナビ」協力の情報もあります。新卒者から転職者まで、日本帰国組もアメリカ居残り組も必読です! (情報は2006年2月時点のもの)

アメリカでの就職活動の体験談

海外での経験やこれまでの知識をしっかりとアピールし、見事、アメリカまたは日本で就職・転職した3人にそれぞれの就職活動について聞いてみました。

新聞記者(ワシントン支局勤務)

【回答者】山本留美子さん

東京都出身。’99年慶応大学法学部卒業後、大手銀行に就職。日本語を教えながら学位を取得する2年間の奨学金プログラムに合格し、’02年5月に退職。同6月に渡米し、イースト・カロライナ大学で国際関係学の修士課程に進む。’04年7月に修士号取得。同9月から現職に就く。仕事の傍らキックボクシングに没頭中。

アメリカで就職

『持つべきものは目標と友人と感謝の気持ち』

Q. 今就いている仕事の内容を教えてください。

日本経済新聞ワシントン支局で記者をしています。アメリカの経済・金融政策や日本経済に影響を与えるアメリカ経済の動きを毎日書いています。不定期ですが、アメリカの社会現象やDCエリアの流行モノに関するコラムも書いたりします。

Q. あなたの就職活動のプロセスを教えてください。

アメリカの大学院を卒業する少し前から始めました。’04年6月に大学のキャリア・センターでアドバイスをもらいレジュメを作成、ウェブサイトに提示したほか、興味のある会社や団体にレジュメを送ることから始めました。7月には練習のつもりで、車で1~2時間の場所を中心にマメに面接を受けに行きましたが、遠隔地は交通費が掛かるので、8月からは本当に働きたいと思えるところだけに絞りました。

Q. 就職活動時の情報収集は?

興味のある開発援助団体に絞り込み、各団体のホームページから頻繁に情報収集しましたが、効率が悪いことがわかったので、就職サイトにレジュメを公開。その結果、経歴に興味をもった企業や人材派遣会社から面接の連絡が来るようになり、私の場合はそれで現在の就職が決まったんです。

Q. 就職活動中に一番苦労したことは?

目指すキャリアの見極めです。最も興味があった分野は開発援助だったのですが、開発国での実務経験不足が理由で就職先が見つからず、あきらめかけていました。そんな時、日系金融機関から内定をもらいましたが、目指すキャリアへの前進にならないと思い、断ることにしました。今の仕事は開発に直接携わっているとは言えませんが、国際通貨基金(IMF)や世界銀行が拠点を置く開発の中心地ワシントンDCでその最先端にいる人達にインタビューする機会があり、私が目指す次のキャリアにつなげるには十分な仕事だと思っています。

Q. 就職活動中に一番役に立ったことは?

友人に自分のビジョンを話すこと。開発の仕事を知らない友人にもわかるようにを説明するだけなのですが、ちょっとした面接の予行演習にもなります。面接は初対面の人に自分が思っていることを明確に伝えなければならないので、練習中に友人が疑問なり興味なりを持った点を改善したり掘り下げたりする工夫をしました。これで自分が伝えたいことを整理する習慣が付くので、就職した後にも役に立つと思います。

Q. 「アメリカで働く」、その決め手になったことは何ですか?

恩師のひと言です。「本当に開発援助がしたいなら、ウエイトレスでも運転手でも何をしてでもいいから、開発の中心地であるワシントンDCに行って人脈を広げなさい」と言われました。当時は「他人事だと思って……」と思いましたが、今ではその通りにして良かったと感謝しています。

Q. 現在の会社があなたを選んだポイントは何だと思いますか?

アメリカに対する好奇心とコミュニケーション能力、金融のバックグラウンドだと思います。筆記試験では「アメリカ大統領選とテロ」という題で論文を書かされました。専門分野ではなくても社会の出来事に関心を持ち、いかに論理展開できるかを問われたのだと思います。面接で論文について意地悪な質問も受けましたが、取材で自分と考え方の違う人達にもインタビューをする仕事柄、他人の意見を聞き柔軟にコミュニケーションができるかどうかを判断されたのだと思っています。また経済記者のポジションだったので、経済記事を書くのに最低限必要な知識があるかどうかも見られました。

Q. これから就職活動を始める人にアドバイスを。

時間が掛かってもきちんとしたキャリア像を持つこと。すぐに目指す仕事に就けなくても、目標を捨てず、周りの人への感謝の気持ちを忘れずに進んで欲しいです。

 

 

スターバックス(シアトル本社勤務)

【回答者】為石朋子さん

東京都出身。慶応義塾大学法学部卒業。カシオ、ナイキ、リーバイスなどの顧客を持つ外資系広告代理店でストラテジック・プランナーとして多くの経験を積む。’04年11月にシアトルに移住し、フリーランス・プランナーとして、シアトル、東京、シンガポールや中国の広告代理店のプロジェクトを手掛ける。’05年7月よりスターバックスにて現職に就く。

アメリカで就職

『一つひとつの出会いとチャンスを大切に』

Q. 今就いている仕事の内容を教えてください。

スターバックス・コーヒー・インターナショナル(SCI)でマーケティング・マネージャーとして働いています。仕事の内容は、ひとつは世界中のスターバックスのブランド展開とその管理。もうひとつはアジア・パシフィック地域に特化したマーケティング活動の業務を任されています。

Q. あなたの就職活動のプロセスを教えてください。

’04年11月にシアトルに移り住み、就職活動を始めてからオファーを受けるまでの期間は2カ月。日本で仕事をしていた時に知り合ったスターバックスのシアトル本社の人に「仕事を探しているんですが、私のバックグラウンドに合うポジションはありますか」という趣旨の手紙と履歴書を送ったら、その時たまたまポジションに空きがあり、面接を経て内定が決まりました。

Q. 就職活動時の情報収集は?

情報源は主にネットワーキングからです。以前の仕事の同僚やスターバックス本社で働いている知人にいろいろと話を聞いたり、メールをしたりして情報を収集しました。

Q. 就職活動中に一番苦労したことは?

就職活動を始めてから意外にも早く内定をもらったので、苦労したという実感は特にありませんが、今まで日本で働いて得た経験や知識を生かせる会社、ポジション探しは大変だと思いました。

Q. 就職活動中に一番役に立ったことは?

それまでに日本で働いて得た経験や知識、そして何よりも人脈。特にネットワークは日本でもアメリカでも、どこでどのようにつながってるかわからないもの。仕事での出会いやチャンスを一つひとつ大切にしていて良かったな、と心から思いました。

Q. 「アメリカで働く」、その決め手になったことは何ですか?

以前からグローバルな視点でのマーケティング・ブランディングの仕事をしたいとずっと思っていたのですが、そんな時、今の会社でまさにそのポジションが空いていたことが決め手となりました。

Q. 現在の会社があなたを選んだポイントは何だと思いますか?

日本にいた時は広告関係の仕事をしていたのですが、そこで多くの経験を積み、国際的な広告賞を受賞するなど、目に見える実績があったことだと思います。それから、日本やアジアでのネットワークがあったことも評価してもらえたのではないでしょうか。アメリカでは転職する時など、レファレンス(信用照会先)として上司、同僚、知人などの連絡先の提出を求められるのですが、その時に、日本や海外さまざまなところで働いている知人が、私のことを推薦してくれたのも大きな要因だと思います。

Q. これから就職活動を始める人にアドバイスを。

一番難しいことだと思うのですが、自分が本当に好きだと思える仕事や、その仕事をしている自分が好きになれるような仕事が何かということを、まず考えること。そしてその目標を忘れないということですね。

 

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アメリカ留学後の日本での就職活動体験談

海外での経験やこれまでの知識をしっかりとアピールし、見事、アメリカまたは日本で就職・転職した3人にそれぞれの就職活動について聞いてみました。

インターネット・メディア(スポーツ記事担当)

【回答者】阿部太郎さん

大分県杵築市出身。上智大学卒業。スポーツ新聞社のアルバイトを経て、メジャー・リーグを取材したいという一心でシアトルに渡る。シアトルではベルビュー・コミュニティー・カレッジに在籍しながら、JEN Inc.でスポーツを始めとする記事を担当する。イチローのシーズン最多安打記録に取材者として立ち会った経験から、スポーツにかかわる世界での就職を決心。

日本で就職

『自分の目標を明確にし具現化する』

Q. 今就いている仕事の内容を教えてください。

Yahoo! JAPANの子会社、ワイズ・スポーツ(株)が運営しているインターネット・スポーツ・メディア、「スポーツナビ」の編集部で野球に関する記事を担当しています。仕事内容は、取材に行って原稿を書いたり、ライターが書いた原稿を校正したり、ページの企画を考えたりといったところです。

Q. あなたの就職活動のプロセスを教えてください。

前年の11月ぐらいからインターネットの転職サイトをチェックして今の会社に履歴書を送りました。その後、書類選考に合格、12月末に試験と面接のために日本に一時帰国しました。その際に、スポーツに関する知識を問われるテストを受け、その後、5分間のVTRを見てその解説を書くという筆記試験を受けましたが、インターンとして仕事をしていた1年間、スポーツ雑誌を読み、スポーツ記事を書き続けた経験が生かせたのではないかと思います。アメリカに戻って2週間後に2次面接の通知が来ました。2次面接の2週間後に内定をもらいました。

Q. 就職活動時の情報収集は?

就職活動時はアメリカにいたので、インターネットが一番効果的でした。時間があればいつもインターネットで転職者用のサイトを見ていました。

Q. 就職活動中に一番苦労したことは?

苦労という苦労はありませんでした。強いて言えば、アメリカから日本での就職活動をしていたので、日本にある企業との面接は渡航費が掛かりました。苦労ということではないのですが、お金の工面が大変でした。

Q. 就職活動中に一番役に立ったことは?

アメリカでのインターン期間中に培った経験と知識です。自分に経験があるということは、大きな自信となりました。実際それが、僕の就職活動中のアピール・ポイントになりましたから。

Q. 「日本で仕事する」、その決め手になったことは何ですか?

好きな仕事ができるかどうかという点です。好きな仕事で生計を立てることができるなら、アメリカでも、日本でも、どこの国でも良かったと思っています。今の会社であれば、僕が一番やりたいこと(スポーツを通して仕事をする)ができると思ったので、日本に帰国することを決心しました。

Q. 現在の会社があなたを選んだポイントは何だと思いますか?

スポーツに関する知識、特にメジャーリーグに関する知識が豊富にあったことと、アメリカで実際にそれに関わる経験をしていたことだと思います。

Q. これから就職活動を始める人にアドバイスを。

就職活動において、僕はアドバイスをできるようなことは何もしていないし、今でも試行錯誤しながら仕事をしているので金言は言えませんが、ただ、自分が何をしたいのか、そのために今できることが何かを明確にしたことが、僕の就職活動に関しては良かったんだと思います。自分の今ある位置をきっちりと認識して、どうすれば目標を達成できるのかを考え、そして行動できれば、有意義な就職活動になるだろうと思います。

 

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私はこうしてアメリカに赴任した(日本企業からの海外赴任)

<協力|シアトル日本商工会、ポートランド日本人商工会>

海外で働きたい人の中には、日本企業からの派遣を狙っている人もいるはず。実際の海外赴任者からTIPSや海外赴任で得たものなどを聞きました。

海外赴任するために特に何をしたわけではありませんが、赴任できた理由は実績?
(工藤さん・水産業Vice President)

技術系職員はほぼ全員、海外勤務が要求されているので、「行かない」選択はなかった。そのため赴任先が重要で、自分がそこに行くことで会社にこんなメリットがあるということをアピールする必要があった。
(Ohmiさん・海事関係ゼネラル・マネジャー)

社内の勤務地希望調査では海外勤務を希望していたが、海外赴任のために特別なことはしてこなかった。妻も海外生活が好きで喜んで辞令を入れてくれたことは大きな要因。仕事面では日本国内にいるより自由な点が多く、また最近ではEメールで日本とやりとりできるので、電話やファックスで行っていた時代に比べれば仕事はずっと楽になっている。語学はできるに超したことはないが、流暢である必要はない。それより正確に読んだり伝えたりすることが重要だと思う。これをいい加減にしていると仕事でも私生活でも痛い目に遭う。また、海外生活では家族が一致協力してやっていかなければならない局面が多くあるので、普段から家族とのコミュニケーションを良く保つことが大事。教育の面では子供はもちろん親も大変苦労し、ある意味では犠牲も払ってきたと言えるが、家族の絆が強くなり、楽しい想い出もたくさんできたと思う。
(児玉さん・金融機関シアトル支店長)

自分が赴任したのは、所属するグループに海外業務を積んだ人がいなかったから。海外赴任希望者へのアドバイスとしては、自分が住むであろう場所の社会システムなどの情報を事前に把握すること。
(乙野さん・航空機関連製造業シアトル・オフィス・マネージャー)

 

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アメリカの日系企業に見る業界別景気&採用

<情報提供|インテレッセ・インターナショナル・インク 中村孝人さん>

景気と採用は大きく関係するもの。ここでは、アメリカの日系企業における景気と採用動向を、主な産業別に見ていきます。(2006年時点の情報)

天気マークの意味:

 2006年の採用が上向きの業界 
 採用が停滞する業界 
 採用が上昇から停滞に転じる業界

 

製造業

業界の景気
 自動車、食品・飲料、化学&医療
 IT、飛行機、家電

自動車などの一部の業界を除いて生産拠点が全体的にアジアにシフトしているが、米国の景気回復に伴い各分野で採用は徐々に増えている。

【こんな人材が欲しい】

IT&化学・医薬

米国では研究開発がメインで専門性が求められるため、専門知識を持つ人物がより多く求められる傾向が強い。

飛行機

航空機部品輸出業界は安定的な状況が考えられるが、生産はボーイングなどで開発業務が一段落し、雇用は落ち着きそう。求人は航空機関係のエンジニアがほとんど。

家電

価格が安価なものと高価なものに2極化し、どちらも生産拠点は一部を除きアジアにシフト。工場設立、運営に関わった経験者が人気。

自動車

中西部を始め、テキサス州、メキシコなどの日系自動車会社が生産拠点を増やしているため、それに伴い通訳や工場勤務経験者の求人が増えると思われる。

食品・飲料

景気にあまり左右されない分野。最近は日本食や日本酒ブームに乗り、米国内での新規市場開拓ができる人のニーズが高い。

 

建設・不動産

業界の景気

住宅ブームは続いているが地区によっては沈静化の様相。開発に強気の都市もあるが、今後金利政策が業界に大きく影響してくるはず。

【こんな人材が欲しい】

開発にかかわった経験者は一般的に人気がある。

 

商社

業界の景気

業界や企業間の再編で合理化と子会社化が顕著。鉄、食品などが多分野に進出する中、エネルギー関係は比較的好調。

【こんな人材が欲しい】

取り扱い商品分野の経験がある即戦力や、ビジョンを持って新しいアイデアを生み出せる人。ただし、企業の合理化等で新規採用には慎重。

 

サービス業

業界の景気

以下のサービス業では、ここ数年求人件数が増加。海外からの観光客やビジネス客の増加を受けて今後も人手不足の状況が考えられる。

【こんな人材が欲しい】

ホテル

接待業務が特に多いので、客に好印象を与えられ、やる気のある人。

旅行

特に航空券の発券業務等の経験者、またホテルの仕入れなどの交渉能力がある人。

レストラン

直に客と接するサーバーは、明るく、てきぱきと仕事をこなせる人。厨房は食文化を理解する経験者。

人材派遣

人と接することが好きなコミュニケーション能力のある人。

 

金融

業界の景気

銀行は米国の景気に支えられながら業績は良好。邦銀も日本での不良債権処理が進んでおり体力強化されている。今後も米国内での金利動向に注目。保険業界は今後も激しい競争の中、成長していくだろう。

【こんな人材が欲しい】

クレジット・アナリストやセールス・マーケティングなどの需要は増える予想。銀行及び保険共に業界経験者のニーズが高い。

 

運輸

業界の景気

アジアからの動きが活発。加工品に関しては引き続き輸入が、また原材料等に関しては輸出が増加するものと思われる。

【こんな人材が欲しい】

輸出入業務経験者は全米を通して需要が多い。

 

インテレッセ・インターナショナル・インク 中村孝人さん

全米に10、日本に1の計11拠点を持つ’96年設立、本社ニューヨークの人材紹介・派遣会社、インテレッセのシアトル支店責任者。ワシントン州・オレゴン州を管轄しクライアントと求職者のサポートを行っている。また、業務は人事コンサルティングや人事関連情報提供サービスなど幅広く、東京オフィス開設に伴って日本へ帰国する求職・転職者への支援も開始した。

■ Seattle Office
Two Union Square Center, 601 Union St., #4200,
Seattle, WA
TEL:206-652-3456
ウェブサイト:www.iiicareer.com

 

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連載コラム「アメリカ 就職転職 最前線」はこちら »

(シアトルのIT企業でレジュメ2万枚を読んだ採用のプロ、鷹松弘章氏がアメリカでの就職・転職について教えます)

 

*情報は2009年3月時点のものです。掲載内容は変更されている場合があります。



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