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アメリカで就職?日本で働く?(2)- レジュメの書き方、面接の注意点など

企業で働くこと─自己実現のため、独立のための布石、いろいろ目的はあるでしょう。でもその前に受け入れ先を見つけなくてはなりません。しかも「自分に合った」「満足度の高い」ところを。今回は、その“伴侶探し”のためのtipsを集めた「就職応援特集」。就職成功者インタビューに景気&採用天気図、レジュメ添削に加え、日本でお馴染みの就職情報サイト「リクナビ」協力の情報もあります。新卒者から転職者まで、日本帰国組もアメリカ居残り組も必読です! (情報は2006年2月時点のもの)

レジュメ(履歴書)をプロが添削

<協力|ニッソウ・アメリカ 浜崎日菜子さん>

新卒から社会人経験豊富な人までの3例のレジュメをもとに、採用者を引き付ける書き方をプロに教わりました。あなたのレジュメの参考にもなるはずです。

※履歴書のサンプルは実際のものをベースにしていますが、名前などの個人情報・企業名などは架空のものにしています。

ケース1 / 日本の履歴書をインパクトのあるものにしたい

【田中君(仮名)の場合】

留学を終え、新卒として日本で就職をするつもり。記者志望で、特に新聞社を狙っている。画一的になりがちな日本式の履歴書で、採用者に印象付けられる書き方を知りたい。留学時代のインターンやアルバイトの経験の記入の有無や、自己PRで短所は書いていいのかなどについて迷っている。F-1ビザ保持者(日本帰国予定)。

和文レジュメ

1. 中学、高校については卒業年次のみ。大学は入学・卒業について記入
2. 休学より“一大学へ留学”がベター
3. 日本では新卒の場合、大学時代のアルバイト、インターンなどは職歴に入れない。新卒なら職歴はなくて当然なので。アルバイト、インターンは自己アピールの欄に必要であれば盛り込むと良い
4. 自動車免許など、志望職種と関係のない資格を書いてもマイナスにはならない。パーソナリティーのアピールの場として活用したり、採用者が興味を持てば面接の際に話題になる可能性も
5. 無難に“良好”と書いて済ませることが大半の健康状態についてだが、ここではエネルギッシュな人柄がアピールできている
6. 高校・中学、または小学生の時の経験ではなく、あくまでも大学生時代を中心に記述できていて良い

【添削者の寸評】

新聞記者を目指すだけあり、文章で上手くアピールできています。企業や採用担当者によって好みはあると思いますが、私が担当者だったら会ってみたい人。日本ではウェブサイト上でエントリーシートを準備している企業が多くなっていますが、留学生はジョブ・フェアなどへ従来の日本語の履歴書を持参することもあるでしょう。日本企業の新卒採用は、潜在能力、パーソナリティーを重視するので、学生時代の経験をもとに自分を大いにアピールしてみましょう。短所を自覚していることはプラスですが、書き方には要注意。例えば“自分勝手”と書くよりも“目的意識が強すぎて、時に周りが気にできなくなることがある”などとすると良いでしょう。

 

ケース2 / 同一職場に長期勤務。他者で通用するか疑問

【小野寺さん(仮名)の場合】

同じ職場で長い間働いてきたが、特に肩書きがなかったため、自分に関する評価を他人と比べることが難しいと感じている。仕事内容は雑用から簿記、給料管理までと多岐にわたっていたため、職務経験の書き出し方がわからない。「自分に何ができるのか」「何を売りにすればいいの?」と疑問が膨らみ、希望職種の絞り込みもできていない。アメリカ国籍保持者。

英文レジュメ

1.「希望職種」「仕事上の目標」に当たるObjectiveは必ず記入!
2. Position Titleも必須。内容から判断するとOffice Managerが適切
3. 職務経験の中で最もアピールすべきところ。ひとりでオフィスを回せる強みを、例えば“Worked alone without supervision”とし、一番上の行に持っていく
4. Basicは注意を引かない。“Excellent”または“Strong”に
5. アメリカで就職する場合、決して書いてはならない
6. アメリカ人はあまり書かないが、個人的には評価する
7. 余白が目立つ。1枚の紙面を埋めるよう内容をもう少し膨らませるべき

【添削者の寸評】

ひとりで17年間オフィスを切り盛りしてきたことこそが、最大のアピール・ポイントです。ポジション・タイトルは“Office Manager”で良いでしょう。簿記などについて特別なトレーニングを受けていなくても、17年間の実績があれば問題ないと思います。履歴書の書き方について言えば、この経験がアピールされていないので、応募する企業の業務内容、職務内容によって変更したり、書き加えていったりしましょう。

 

ケース3 / 日本の英文科卒+職歴がひとつで転職するには?

【山田さん(仮名)の場合】

現在、営業職として勤務しているが、職歴はそれのみ。同業種でのインターン経験はあるが、職歴に加えて良いのか? 日本では英文科卒だが、アメリカで学位を取っていないので、それが就職のネックになるのでは?と心配。今後、日本に帰ることも考えられるので、日本でも同じ方向性で自分を売り込んで良いのかも知りたい。J-1ビザ保持者。

英文レジュメ

1. Objectiveが抜けている。記入必須項目
2.「,」ではなく「.」。2つの文に分ける
3. ExcellentまたはStrongに変える
4. 最大にアピールすべき経験なのでresponsibilitiesを詳しく書くべき
5. Provided excellent customer serviceだけで良い
6. ここは競馬関連施設ということだが、アメリカ人には競馬もギャンブルの一部のため、あまり良い印象を持たれない。あえて書くなら、betは避けてManaged various customers’ accountsなど

【添削者の寸評】

レジュメに必要な“Objective”がないので、どんな職種を希望しているのかが不明ですが、今後も営業職を希望しているならば、大いに現在までの営業職での経験をアピールし、“Responsibilities”を加えるべきです。大学での専攻は職務経験がカバーしてくれるので、気にする必要はないでしょう。

 

ニッソウ・アメリカ 浜崎日菜子さん

大手メーカーの製造系人材アウトソーシング事業を展開する 日総工産(株)のアメリカ現地法人ニッソウ・アメリカのアソシエイト・ディレクター。同社はワシントン州、オレゴン州を中心に、現地企業に対する日本語バイリンガルの採用に関するコンサルティング、人材紹介、人材派遣サービスを提供。2006年3月からは、アメリカから日本へ帰国するバイリンガルのための就職サポートを開始。

■ Bellevue Office
110 110th Ave. NE, #635, Bellevue, WA
TEL:425-990-1519
ウェブサイト:
www.shigotosagashi.com

 

日本での新卒就職 Q&A

企業が求める人材と学生が企業に求める点に差はあるの?

<回答|(株) リクルート リクナビ編集長 橋本康嗣(やすし)さん>

’07年新卒採用人数の見通しは人員増、業績好調、退職者の増加を受けて増加傾向。企業の採用意欲はバブル期並みに高まっていますが、自社が欲しい人材に対する企業のこだわりは強く、学生にとって単純な売り手市場とは言えない側面もあります。求める人材かどうかを面接などの選考によって企業は見極めていくわけですが、そこで企業と学生の間にギャップが存在するのも事実です。

当社が企業と’06年3月卒業予定者を対象に行った調査によれば、企業が学生の採用基準として挙げている上位3位は、人柄、その会社への熱意、今後の可能性。この結果を学生の皆さんはどう捉えるのでしょうか。同じ調査では、学生がアピールするポイントに「経験」、つまり学生時代にしていたアルバイトや所属クラブ・サークルでの経験を挙げており、「人柄をアピールする(53.3%)」という学生の割合を上回っています。

このような企業VS学生のギャップは、企業の採用アピールと学生の選社基準にも現れています。学生側は「自分のやりたい仕事ができる」に次ぎ「給与・福利厚生など待遇が良い」と実利を重視、企業側の1位「責任のある仕事を任せる」には、38%の学生しか関心を抱いていません。いつの時代も多かれ少なかれギャップは存在するのでしょうが、最終的にお互いが納得する採用・就職となるためには、企業・学生双方とも自分をさらけ出し、理解をし合うことがベースであると思います。

(株) リクルート リクナビ編集長 橋本康嗣(やすし)さん

1991年リクルート入社。採用関連の営業職を担当後、新卒・中途採用の商品企画職に携わる。新会社の立ち上げ、企画・統括職を経て、2005年4月より現職。
リクナビ・ウェブサイト:www.rikunabi.com

 

日本で就職の際、留学生って有利?

<回答|ニッソウ・アメリカ 浜崎日菜子さん>

近年、バブル経済期以降の新卒採用ブームと言われ、学生は売り手市場。ただ、誰もが内定を手にできていた当時と違い、今は優秀な学生が複数の内定を手にする一方、内定0という学生もいるようです。バブル経済期の採用経験から学んだ企業が、優秀な学生に集中する傾向が強くなっていると言えるでしょう。

国内の学生の中にも英語力の高い人達が増えてきたため、英語力を期待して留学生を採る企業は少ないようです。しかし企業が留学生を採用する理由のひとつには、グローバル企業として発展するための人材戦略の中で、国内の学生とは違った視点や思考を持った人を企業内に入れ、人材の多様化を図る狙いがあります。また、新卒採用では即戦力としての経験や能力より、潜在能力、パーソナリティーが重視されますが、留学生の皆さんが留学経験から培ったバイタリティー、適応能力や積極性なども企業には魅力に映るはずです。

新卒の留学生が日本で就職を目指すのは、国内の学生に比べて情報不足、物理的な距離、大学からのサポートがないなど、確かに不利です。しかしこうした日本企業の傾向を理解し、留学生という肩書きに頼らず、国内の学生と同様に就職に対して意識を高め、準備することで、自分に最適な就職を手に入れることも可能だと思います。

 

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面接時の御法度10

<協力|マックス・コンサルタント・グループ 井島さやかさん>

立派なレジュメを作って何とか面接の機会をゲットしても、そこでトチってはこれまでの苦労も水の泡。面接に際しての禁じ手を10カ条にまとめました。

1. 企業研究を怠る

事業内容、親会社名、所在地、設立年月日などは要チェック。自分の経験と技能がその会社の業務や発展にどう役に立つのかも考えておく。

2. 職場に不釣り合いな服装と髪型

外見は人の第一印象に大きな影響を与えるもの。一般的に面接には地味な服装が望ましい。原則はスーツ着用。

3. 遅刻する

遅刻は論外。万が一交通機関の事故などで遅れる場合は、その場で担当者に連絡し、事情を説明すること。

4. 受付の人に横柄な態度を取る

面接は会社に足を踏み入れた時点から始まっている! 面接担当官は受付に求職者の態度を尋ねることがあるので、きちんとした態度で臨もう。

5. 必要事項の記入を省く

アプリケーション・フォームの記入は迅速かつ正確に。レジュメに書かれているという理由で職務内容の記入を怠るとマイナスになる。

6. 話し過ぎる

面接での質問について1分以上答えるのは話し過ぎ。長所や短所、自分のセールス・ポイントを予め要約しておき、的確に答えよう。

7. 否定的なコメントをする

過去の雇用者や職探しで苦労した点、レイオフについて否定的・消極的なコメントは避ける。表現は常にポジティブに。

8. 言い訳をする

過去の失敗を他人や状況のせいにしない。自分がしたことや下した判断については、前向きな答えを準備しておく。

9. 怠慢な態度

担当官との対面時は起立して、相手が日本人なら一礼、アメリカ人ならしっかりと握手を交わす。面接中の腕組みや足組み、貧乏ゆすりは×。

10. お礼を述べない

面接が終わったら必ず担当官にお礼を述べるのが常識。また、後から「Thank you letter」や「Thank you card」も出しておく。

マックス・コンサルタント・グループ 井島さやかさん

人材紹介・派遣を中心に人事評価制度導入といった企業向け人事コンサルティングも含む幅広いサービスを提供するマックス社(1994年7月設立)で、ゼネラル・マネジャーとシニア・コンサルタントを兼務。同社ではニューヨークを中心に全米主要都市、アジア、ヨーロッパ、日本への人材紹介も行っている。登録も随時受付中。
317 Madison Ave., #1418, New York, NY
TEL:212-949-6660 TEL:1-800-7444686 ウェブサイト:www.maxjob.com

 

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【就職・転職に役立つウェブサイト】

アメリカ&日本の就職情報

■仕事探し.com
www.shigotosagashi.com
■インテレッセ・ジョブ・ナビゲーター
www.iiicareer.com
■マックス・コンサルティング・グループ
www.maxjob.com
■キャリアフォーラム・ネット
www.careerforum.net
■リクナビ
www.rikunabi.com

アメリカの就職情報

■テルコ・ワインバーグ・インク
www.twinc.com
■モンスター(英語のみ)
www.monster.com
■キャリアビルダー(英語のみ)
www.careerbuilder.com
■メディア・ビストロ(英語のみ)
www.mediabistro.com
■インディード(英語のみ)
www.indeed.com

日本の就職情報

■大丈夫.com
www.daijob.com
■ジョブ・イン・ジャパン
https://jobsinjapan.com/
■インディード
https://jp.indeed.com/

 

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連載コラム「アメリカ 就職転職 最前線」はこちら »
(シアトルのIT企業でレジュメ2万枚を読んだ採用のプロ、鷹松弘章氏がアメリカでの就職・転職について教えます)

 

*情報は2009年3月時点のものです。掲載内容は変更されている場合があります。



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