なにかとお客様を迎える機会が多くなるこの季節。できれば素敵な料理でゲストを「あっ」と言わせたい。今回の特集は、レストランで活躍するシェフ達が作る「おもてなし料理」。「簡単&豪華」をキーワードに、プロのシェフ達に自慢のレシピを教えてもらいました。(2006年12月)
※情報は2006年12月時点のものです。
簡単お正月レシピ
おせち料理は用意したけれど、もう2、3品加えたい。「お正月だから一度に作って作り置きでき、日持ちするものがいい」「突然のお客様のために、すぐ出せる料理がいい」という人も多いはず。そんな声に応えるべく、日本人シェフによるお正月料理アイデアを集めてみました。
牛肉のたたきサラダ
<レシピ提供者|西岡隆さん>
さっぱり味でいくらでも食べられる
【材料・4人分】
牛ヒレ肉 1/2パウンド
塩・こしょう 少々
レタス 1玉
ラディッシュ(薄切りにしたもの) 3個
貝割れ大根(3センチに切ったもの) 1束
きゅうり(千切りにしたもの) 1本
プチトマト 10個
< 材料(A)>
柑橘類(ゆずなど)のしぼり汁
大さじ2杯
米酢 大さじ2杯
濃口しょう油 大さじ4杯
みりん 小さじ2杯
顆粒タイプのだし 小さじ1杯
【作り方】
- 牛ヒレ肉に塩とこしょうをまぶして、薄く油をひいたフライパンで焦げ目が付くまで焼く。熱いうちにラップに包み、冷蔵庫でひと晩寝かす。
- レタスはひと口サイズにちぎり、しゃきっとさせるため氷水にさらしておく。
- 上記の(A)を混ぜ合わせてドレッシングを作る。顆粒タイプのだしが溶けるまでよく混ぜる。
- 大きめのボウルにレタス、ラディッシュ、きゅうり、貝割れ大根を合わせる。
- [1]の牛肉を薄切りにする。お皿に[4]の野菜を盛り、薄切りにした牛肉をのせる。半分に切ったプチトマトを散らして盛り付ける。[3]で作ったドレッシングを食べる前にかける。
※牛肉のたたきを寝かせることで、薄くスライスしやすくなる。ラップに包んで冷蔵しておけば、作ってから5日ほど持つ。
西岡隆さん
「ビ・バッカス」 オーナー兼シェフ
熱海にあるホテルにホテルマンとして勤めていた西岡さんは、「自分で何かを始めたい」「食べること、飲むこと、人を楽しませることが好き」という情熱から、20年ほど前に料理の道に入った。東京で居酒屋チェーン「天狗」で、キッチンとホールの仕事を学び、「将来、自分でも居酒屋をオープンしたい」という夢を膨らませた。カリフォルニアで親戚が経営していた日本食レストランを手伝うため、93年に渡米。その間、日本から派遣されて来ていた一流の寿司職人の下、寿司の握り方も学んだ。その後、ラスベガスの高級ホテル「ベラッジオ」内にある高級日本食レストラン「しんたろう」で、さらに修業を積んだ。 8年間住んだラスベガスを離れ、2カ月ほど前、奥さんの恵三子さんと共にキャピトル・ヒルに「ビ・バッカス」という和風タパスのお店を開いた。シアトルが気に入った理由は、「食材が新鮮で豊富であること、水がきれいなこと、そして、人当たりが良いこと」だと西村さんは語る。同店は、「日常からちょっと離れた空間で、食事とお酒を楽しめる場所を提供したい」という西岡さん夫婦の思いが至るところに散りばめられている。
■Vi Bacchus
1401 Broadway, Seattle, WA
TEL:206-328-5275
ウェブサイト:www.vibacchus.com
鴨のあっさり煮
<レシピ提供者|樋口強志さん >
1度作れば3度楽しめる
【材料・4人分】
<鴨>
鴨の胸肉(皮が付いたものでOK) 1枚
市販のそばつゆ 1/2カップ
水 1/2カップ
粗挽き黒こしょう 適量
<付け合わせ用>
大根(皮をむき面取りしたもの) 1/2パウンド
だし汁 1カップ
みりん 少量
薄口しょう
油 少量
ネギ 1束
にんにくオイル 少量
【作り方】
- 鴨は、黒こしょうを両面にまぶしておく。フライパンに少なめの油をひき、最初に皮の面から弱火でじっくりと焼く。ひっくり返して、逆の面はさっと焼き、取り出しておく。
- そばつゆと水を合わせ、火に掛ける。沸騰したら、[1]を入れる。再び沸騰したら、火から下ろし、そのまま冷やす。
- 付け合わせの大根は、米のとぎ汁でゆで、竹串がすっと通るようになったら、水にさらす。
- だし汁にみりん、薄口しょう油を加えたものに、[3]の大根をそっと入れ弱火で10分ほど煮る。火から下ろし、そのままだし汁が大根に染みわたるまで置いておく。
- 鍋に水(分量外)を沸かし、沸騰する直前ににんにくオイルを加える。そこにネギを入れ、さっとゆでる。ゆでたネギの水気を切り、最後に少量のにんにくオイルをかける。
樋口強志さん
「わん」エグゼクティブ・シェフ
ベルタウンにある「わん」のエグゼクティブ・シェフを務める樋口さんは、寿司屋の息子として生まれ育ったが、子供のころ、生ものが食べられなかったため、いつも洋食作りにあこがれていたという。そんな樋口さんが料理の世界に入ったのは、レストランでアルバイトをしている時に、キッチンの手伝いに入ったのがきっかけだった。それ以来、洋食、フランス料理、多国籍料理、そしてイタリア創作料理など、さまざまなジャンルのレストランで、ヘッド・シェフとして研究を続け、経験を積んできた。中でも、「素材にもソースにも手間を掛けて時間を掛けるフランス料理がいちばん作っていて楽しい」と樋口さんは語る。 わんでは、新鮮な旬の食材を使った、樋口さんオリジナルの「隠れメニュー」が用意されている場合があるので、来店の際は店員さんにオススメをぜひ聞いて欲しい。
今回、教えてもらったのは、鴨を使ったおもてなし料理。高級感たっぷりだが、とても簡単で誰にでも上手にできるところがうれしい。大晦日に作っておけば、煮汁を年越しそばに使い、鴨肉はスライスしておせちの1品として出し、また残った肉と煮汁を使ってお雑煮などを作れば、余すところなく楽しめる1品だ。
■Wann Izakaya
2020 2nd Ave., Seattle, WA
TEL:206-441-5637
ウェブサイト:www.wann-izakaya.com
まぐろとアボカドのポキ
<レシピ提供者|村上雅英さん >
日本のおせちにハワイの風味をプラス
【材料・4人分】
まぐろ(1センチの角切りにしたもの) 1/4パウンド
アボカド(1センチの角切りにしたもの) 1個
赤玉ねぎ 1/2個
きゅうり(薄切りにしたもの) 1/2本
わかめ 少々
レモン(薄く小さく切ったもの) 少々
赤・黄ピーマン(5ミリの角切りにしたもの) 少々
いりごま 少々
<材料(A)>
薄口しょう油 大さじ4杯
ごま油 小さじ3杯
砂糖 小さじ2杯
酒 小さじ4杯
みりん 小さじ2杯
水 小さじ4杯
酢 小さじ2杯
七味唐辛子 少々
【作り方】
- 上記の(A)の材料をよく混ぜて、ひと晩置いておく。
- 赤玉ネギは薄切りにして水にさらし、使う前に水気をしっかり切る。赤玉ねぎ、きゅうり、わかめ、レモンと(1.)で混ぜたドレッシングを合わせて混ぜる。
- まぐろとアボカドを合わせたものをお皿に盛る。その上に②で合わせたものをのせる。
- 仕上げにいりごま、赤や黄色のピーマンを散らしてでき上がり。
村上雅英さん
「Imo」 エグゼクティブ・シェフ
村上さんは、今年6月から、寿司などの日本料理とチヂミやチゲなどの韓国料理が手ごろな値段で楽しめる「Imo」にてエグゼクティブ・シェフを務めている。
■Imo
704 1st Ave., Seattle, WA
TEL : 206-264-9570
アボカドのおろし和え盛り
<レシピ提供者|向後健三さん>
シンプルかつ見た目も華やか
【材料・4人分】
アボカド 2個
レモン汁 少々
山芋(5ミリの角切りにしたもの) 大さじ4杯
きゅうり(5ミリの角切りにしたもの) 大さじ4杯
大根おろし 大さじ4杯
イクラ 大さじ2杯
わさびしょう油 適量
【作り方】
- アボカドを半分に切り、皮をむき、種を取る。変色を防ぐためにレモン汁をかける。くぼんでいる部分に大根おろし、山芋ときゅうりを混ぜたものを順にのせ、いちばん上にイクラをのせる。
- 器に氷を敷き、すぐに溶けないように塩を上から振りかける。そこに[1]を盛り付ける。
- わさびしょう油をかけて食べる。
向後健三さん
「斎藤」キッチン・シェフ
千葉県の高校を卒業した後、手に職を付けるため、東京・日本橋の料亭「吉晁」に住み込みで働き始めた向後さん。5年の間に、4人の料理長に付いて、厳しい試練を乗り越え修業を積んだのだそう。アメリカで日本食を広めたいという気持ちが強くなってきたある日、シアトルの「武士ガーデン」でシェフを探しているからと料亭のオーナーに勧められ、1970年に渡米。その後15年、武士ガーデンでシェフを務める間に200人を超えるパーティーの料理を担当したり、数多くの趣向を凝らしたレシピを考案したりした。 武士ガーデンでヘッド・シェフを務めただけではなく、自分の日本食店を出したりするなど、日本料理一筋で40年間、腕を磨いてきた。今年の3月からは「斎藤」でキッチン・シェフを務めており、オーナーの斎藤さんも、「シアトルでも屈指のシェフ」と太鼓判を押している。
■Saito’s Japanese Cafe & Bar
2122 2nd Ave., Seattle, WA
TEL:206-728-1333
ウェブサイト:www.saitos-cafe.com
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