老後の生活は自分にとってはもちろん、親や子供にとっても避けては通れない道。アメリカで生きることを決めたあなたへ、今からできる備えを先輩シニアと専門家がアドバイス! (情報は2011年8月時点のもの)
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各種保険について|メディケア
<回答|ファイナンシャル・プランナー 田口トレーシーさん >
民間保険会社の個人用健康保険の加入資格は普通64歳までなのに対し、メディケアは65歳以上が加入できる米国政府運営の医療保険制度で、大きく4パートに分かれます。(*情報は2011年時点のもの)
メディケアの種類
民間保険会社の個人用健康保険の加入資格は普通64歳までなのに対し、メディケアは65歳以上が加入できる米国政府運営の医療保険制度で、大きく4パートに分かれます。
【パートA → 入院保険】
本人または配偶者が米国で10年以上働いてメディケア税を支払った場合は無料で加入できる。それ以外の永住権か市民権保持者は、永住して5年以上経っていれば、保険料を支払うと加入可。保険料は納税期間により月$450または$248、米国への納税が全くなければ月$450となる(2011年)。なお、日米社会保障協定(P9)で公的年金受給のために日本でのクレジットを合算できるが、メディケアについては適用されない。
【パートB → 外来診療保険】
所得に応じて月$115.40~$369.10の保険料(2011年)が掛かる。
【パートC(Medicare Advantage Plan) → 民間の保険会社がAとBをまとめてPPOやHMO※として提供する保険】
保険会社や地域によりプランがいろいろあり、保険料ゼロのものから、パートDが付くもの、歯科保険付きのプランも。
【パートD → 処方箋薬保険】
Cと同様に民間の保険会社を通して加入し、プランによって保険料はさまざま。所得が高い人には追加保険料が課せられる。 ※PPO(Preferred Providers Organization):ひとつのネットワーク内の医師や医療機関のみカバー。HMO(Health Maintenance Organization):提携する各医師や医療機関から指定医を決め、専門医に診てもらうには紹介が必要。
メディケアを利用するには
● 加入時期
65歳になる誕生日の3カ月前から加入でき、誕生月の1日から有効に。パートBとDは、加入期限に遅れると罰金が課せられるので注意。65歳を過ぎても勤務先の団体保険に加入している人は、退職するまではパートBやDに加入しなくても罰金は免除されるのが普通ですが、適用にならない場合もあるので65歳になる前に会社の担当者に相談を。メディケア加入や変更ができる時期は、65歳になる時と退職する時のほかにいくつか設定されています。
● 加入方法
加入者の健康状態、所得、住所などによりどちらかの方法を選択することがほとんどです。
ソーシャル・セキュリティー・オフィスを通してパートA、Bに加入。 | |
民間の保険会社からパートDと、パートAとBの自己負担分をカバーするメディギャップ(Medicare Supplement)保険※を購入。 ※65歳の保険料は保険会社やプランによりワシントン州では月$42~$289、オレゴン州では$22~$185など(2011年)。 | 民間の保険会社からパートCを購入する。 |
●適用範囲
医学的に必要な治療で、回復の見込みがあることが基本条件。認知症や加齢が原因で必要となる介護費用にはほとんど適用になりません。
渡米して約30年、会社経営や不動産業を経て、現在はファイナンシャル・プランナーとして活躍。各種投資から、保険、リバース・モーゲージ、税金対策そして相続計画まで、資産を増し、守り、残すための総合的なサービスを提供。
■ Vista Financial Planning Group
TEL : 1-888-575-0275
www.tracytaguchi.com
各種保険について|生命保険
<回答|保険ブローカー 平野ホルコム雅子さん>
人の命には限りがあります。生命保険は、もしもの時にあなたの命と引き換えとなる大事な家族への保障。生命保険があったから生活レベルを保てたという話も聞きます。いなくなったあなたの存在を完全に埋めることや、家族の悲しみを和らげてあげることはできなくても、愛する家族の経済的そして精神的負担は、間接的に軽減できるのです。
● 仕事を持つ世帯主が突然死亡したら、どうなる?
・収入源が減り、生活が困難に。
・住宅、自動車、その他のローンが支払えない。
・子供の学費が支払えない。
・突然の出来事で心の治療が必要となる場合も。
・貯蓄も十分にできず老後に不安。
● 仕事を持たない配偶者が突然死亡したら?
・銀行や郵便局に行くのも買い出しも、用事が すべて自分の負担に。
・仕事に加え、掃除や洗濯、ゴミ出しなど家事も全部回ってくる。
・子供の世話をする人が必要となり、金銭的な負担に。
・突然の出来事で心の治療が必要となる場合も。
・人にお金を払って頼まなければならないことが増え、貯蓄も困難。
● 生命保険は誰でも契約できるものではない
・健康状態、滞米期間やビザ状況によっては難しいケースも。
・年齢によって、契約できないプランがある。
【結論】若くて元気なうちに保険料、保障額など家庭に合ったベストなプランを選択。安心して生活できるよう準備しておこう!
兵庫県出身、スノホミッシュ郡在住。ルイス・クラーク州立大学卒業後、2001年に平野ホルコム保険事務所を設立した。初心を忘れず、出会いを大切にし、喜んでもらえることを最優先にした日本語による安心・丁寧なサービスが好評。
■ Hirano-Holcomb Insurance Agency
TEL : 206-755-5585
www.mhhinsurance.com
各種保険について|突然の災害から家を守る保険
<回答|保険ブローカー 久野敬裕さん>
定年後を快適に過ごすため、住居の確保は最優先事項。1度のダメージで、突然大きな出費になることもあり、家を守るための保険は欠かせません。損害の原因により適用できる保険は異なり、住環境や家の造りによっても保険内容はさまざま。何かが起きる前に保険の見直しを!
ホーム・オーナーズ保険だけでは万全ではない
家主はローンを借りる時に火災保険加入が義務付けられるものですが、すべてのリスクに対して補償されるとは限りません。ノースウエストは雨が多く、また常に大きな地震が予想される地域のひとつ。日本での震災のこともあり、地震や洪水に対しての補償に関心が向きますが、単なるホーム・オーナーズ保険に地震や洪水保険は含まれないことがほとんどです。保険によって、オプションで追加できる場合、別途加入が必要な場合、取り扱わない場合とさまざまあります。
地震保険とは?
地震保険は地面の揺れや振動による家屋への直接または間接的な損害に対しての補償。しかし、ここで注意したいのは、間接的な損害についてです。例えば、地震によるガス漏れが原因で火災が起き、家屋に損害が出た場合、地震保険により補償されますが、火災保険のみに加入する場合、各保険会社の規定によっては補償されないかもしれません。
アメリカの洪水保険
各保険会社やエージェントを通し、連邦政府管轄のNFIP(National Flood Insurance Program)により発行される洪水保険。必要に応じて家屋、所有物の補償額の上限を設定することができます。家が河川や海に近いか、低地なのか、NFIPによるハイリスク地域に属さないかということを考慮するのは当然ですが、たとえ高台にいても、河川から離れていても安心とは言えません。NFIPへのクレームの80%は、ハイリスク地域以外からであるという事実がそれを物語っています。当地でも激しい雨により排水溝が詰まって浸水が起きたり、自宅のドライブウェイの水はけが悪くて地下階が浸水したりしますが、これらの損害も洪水保険の補償対象です。
「保険とは単なる安心料ではなく、家族や人生を守る城壁」との考えから、車両、ボート、RV、火災、レンター、生命、個人年金、各種ビジネス保険など、あらゆるニーズに応える一括サービスを目指す。
■Farmers Insurance Group / Kuno Insurance Agency
TEL : 206-302-8329
老後の年金と税金について
<回答|米国公認会計士 松本孝之さん>
アメリカで働いた経験があり、ソーシャル・セキュリティー税(Social Security Tax)を納付していれば、公的年金を受け取れる可能性があります。この老齢年金に掛かる税金について、少し解説しましょう。 (*情報は2011年時点のもの)
日米社会保障協定であなたも年金がもらえる!?
以前は、10年以上アメリカでソーシャル・セキュリティー税を納めていないと、公的年金を受け取れないと思われていましたが、2004年に締結された日米社会保障協定(2005年に発効)により、公的年金の受給資格に変化が。10年以内のアメリカ就労者でも、日本での就労年数と合算し、年齢条件と就労期間条件を満たせば、老齢年金については受け取れるケースが出てきました。年金の受給額は受け取り開始年齢により異なりますが、日米社会保障協定が関係する年金の申請には時間も要しますので、なるべく早めに手続きを始めましょう。
年金への課税は老後の居住国により決定
日本人の場合、アメリカから受け取る年金が日米どちらで課税されるのか。基本的には、老齢年金を受け取る時に住む国がかぎです。これを、居住地国課税と呼びます。老齢年金などはそれを受け取った時の税務上の居住国に課税権があり、その詳細な判定は日米租税条約により判断されます。課税権のある国がわかったら、受け取った老齢年金に対し税金が発生するかを判断し、税金が発生する場合は居住国の税務署に対し税務申告を行い、税金を納めることが必要。税金が発生するか否かは個々の税務申告の内容により異なりますが、日米いずれの国でも控除額は設けられており、必ずしも年金の受け取り=税金の支払い、とはなりません。ただし、いずれの国に住んでも、課税対象となるのは日米双方から受け取る年金の総額となり、居住国の税法が適用されますのでご注意を。
日米租税条約による特典を生かそう
日本国籍で永住権を持たない日本人がアメリカの年金を受け取る際、アメリカにおける税務上の非居住者、あるいは日本に住む場合は基本的に30%の源泉税が課せられます。つまり、$1,000の年金を受け取れる場合、$300はIRS(米国税庁)に先に納付され、$700だけを受け取ることになるわけです。ただし、日米租税条約の特典を生かし、フォームW-8BENをソーシャル・セキュリティー・オフィスに提出することにより、源泉税を0%にすることが可能。なお、アメリカに住んで日本の年金を受け取る場合にも日米租税条約が適用できますので、必要な手続きを日本の社会保険事務所に行えば、日本への源泉税を払わなくて済みます。
永野森田米国公認会計事務所(Nagano & Morita, CPAs)でパートナー&シリコンバレー事務所責任者を務めた後、2005年4月にサンノゼで松本&アソシエーツ米国公認会計士事務所を開業。 ベルビューに出張所あり。
■Matsumoto & Associates
TEL : 425-463-6360
www.ma-cpa.com
日本語が通じるその他の専門家
● 英世ラウリー保険事務所
■ Hideyo Rowry Agency(Farmers Insurance Group)
TEL : 425-251-8221
www.farmersagent.com/hrowry
生命、火災、医療、メディギャップなど各種保険、年金などを扱う。
● 志熊法律事務所
■ Shikuma Law Offices, PLLC
TEL : 206-853-1541
家などの資産を守りながら高額なナーシング・ホームに入居する技を伝授。
● デビット正一ヘッケンドルフ弁護士
■ David Masaichi Hoekendorf
TEL : 206-547-5135
遺言書、相続手続き、家裁関係その他、法律についての相談に応じる。
● 岡田綜合法律事務所
TEL : 1-800-662-2791(東京転送)
http://japanese-law.com/
日本国内の相続、不動産関係など法的手続きをサポートしてくれる。
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