アメリカにいても季節を感じていたい日本人心を満たす秋ならではのワシントン州のお出かけスポットを紹介します。紅葉や秋の味覚の収穫を楽しみましょう。(執筆-2009年、料金の更新-2018年10月)
シェラン湖とステヒーカン
秋色に染まるしずかな湖畔を散策
▲秘境、ステヒーカンへ。日帰りも可能だが、1泊以上してゆっくりと時間を過ごしたい。 ©Port of Chelan County
全米で3番目の深さがあり、50.5マイルにわたり細長く延びたシェラン湖。周辺にはワイナリーが点在し、ピノ・ノワール種の赤ワイン造りが盛ん。夏のリゾート地というイメージが強いが、秋の紅葉も見事! 特に湖北端にあるステヒーカンは、クルマでアクセスできる道路がないという立地条件から、静寂の中で自然に親しむことができる。10以上あるトレイルは、初級者向けから上級者向け、滝や湖につながるものまであり、バラエティー豊か。22カ所のキャンプ場への滞在は早い者勝ちだが、ロッジやキャビンなどの宿泊施設も整う。船着場から出る巡回シャトルは10月半ばごろまで運行しているほか、自転車をレンタルすることも可能。雨の街を離れ、晴天の下でサイクリングを楽しもう。
■Lake Chelan
TEL: 509-682-3503
www.lakechelan.com
【クルマでの行き方】シアトルからI-5を北上し、エベレットで194番出口から2号線で東へ。ウェナチーで97号線を北上(所要時間:約3時間)
【ステヒーカンへの行き方】ボートやトレイル、水上飛行機でのアクセスのほか、遊覧船「レディー・オブ・ザ・レイク」の利用が可能(所要時間:2時間30分~4時間)
■Lady of the Lake
1418 W. Woodin Ave., Chelan, WA 98816
TEL: 509-682-4584
www.ladyofthelake.com
イサクア周辺の山や公園など
子供を笑顔にする動物と自然がいっぱい
▲10月には「イサクア・サーモン・デイズ・フェスティバル」がダウンタウンで開催され、サケのBBQも振る舞われる。©Sunny Walter
クーガー、タイガー……とユニークな名が付いた山々に囲まれたイサクア。スクアク山を含めたこの3山は、“イサクア・アルプス”と呼ばれ、トレイルの総距離は200マイルにも及び、ハイカーやマウンテン・バイカーが訪れる。親子で出掛けたいのが、クーガー山。うっそうとした森には都会では見られないさまざまな植物が育ち、秋にはキノコ類もにょきにょき生え、舞い落ちた大きなカエデの葉のじゅうたんに子供達は大興奮。歴史あるクーガー山動物園では、山の名でもあるクーガーやタイガーほか、貴重な動物がたくさん見られる。古き良きアメリカをほうふつさせるダウンタウン散策もお忘れなく。オレゴン発の名物ブリュワリー、ローグは食事も充実しているので、ぜひ親子で立ち寄りたい。
■Cougar Mountain Regional Wildland Park
www.kingcounty.gov/services/parks-recreation/parks/parks-and-natural-lands/popular-parks/cougar.aspx
■Cougar Mountain Zoological Park
19525 SE 54th St., Issaquah, WA 98027
TEL: 425-391-5508
●チケット:大人$14.50、シニア$13.50、子供(2~12歳)$11.50
www.cougarmountainzoo.org
■Rogue Issaquah Brewhouse
35 W. Sunset Way, Issaquah, WA 98027
TEL: 425-557-1911
●営業時間:11:00 a.m.~12:00 a.m.(金・土曜~2:00 a.m.)
●休み:なし
www.rogue.com
【クルマでの行き方】シアトルからI-90で東へ。17番出口を降りるとイサクアのダウンタウン。クーガー山は、すぐ西に位置する(所要時間:約25分)
シーニック・ドライブのカスケード・ループ
切り立つ山々の迫力を紅葉と共に
▲ファーン湖のほとりで癒されるひと時。©John Marshal
秋を迎えたレベンワースの風景。ドイツ村で知られるダウンタウンではオータム・リーフ・フェスティバルを9月25日(金)~27日(日)に開催。©Leavenworth Chamber of Commercel
シアトルからクルマを数時間走らせるだけで、色付いた木々の世界が一面に広がるノース・カスケードの山々。カスケード・ループとして知られる20号線を走行し、目の前に広がった“アメリカのアルプス”と呼ばれる美観に胸をときめかそう。途中でバーズビューから北上するとべーカー山へ。雪を被ったシュクサン山の目の前には、色鮮やかに染まった景色が双方に。オカノガンから97号線を南下し、2号線沿いのレベンワース、ウェナチー方面へ向かえば、紅葉した木々が川や湖に色を映す絶景が見られる。ネイソン・クリーク、ファーン湖などウェナチー国有林内には景観の良いトレイルやキャンプ場も多い。2号線をさらに西へ進めばI-5につながる。
■North Cascades National Park
TEL: 360-854-7200
www.nps.gov/noca/
■Cascade Loop
TEL: 509-662-3888
www.cascadeloop.com
■Okanogan-Wenatchee National Forest
TEL: 509-664-9200
www.fs.fed.us/r6/wenatchee/
■Leavenworth
TEL: 509-548-5807
https://leavenworth.org/
【クルマでの行き方】シアトルからI-5を北上し、バーリントンで230番出口を降りて20号線を東へ(途中、バーズビューからBaker Lake Rd.を北へ進むとべーカー山へ)。オカノガンで97号線を南下し、ウェナチーで2号線を西へ進むとすぐレベンワースがあり、エベレットまで行くとI-5につながる(所要時間:オカノガンまで約5時間30分、そこからウェナチーまで約2時間、さらにエベレットまで約2時間30分)
ヤキマ・バレー
雨のシアトルを抜け出して楽しむ紅葉とワイン
▲ヤキマ・バレーの見事な紅葉。Mike Sauer
新ワインが一斉にリリースされるサンクスギビング後の週末は、ヤキマ・バレーでも50以上のワイナリーがオープンし、にぎわいを見せる。日照300日以上を誇るヤキマ・バレーで秋晴れの空の下、きれいに色付いた紅葉が縁取るブドウ畑の景色を望むドライブは快適そのもの。プロサーに位置するミルブラン・ビンヤーズのテイスティング・ルームは、かわいらしいパティオで自家製サンドイッチなどが味わえ、休憩に最適だ。ぜひ立ち寄りたいのが、世界中から2,000種以上の植物が集まり、さまざまな野鳥も生息するヤキマ・エリア植物園。元は日系アメリカ人の野菜農園だった敷地には日本庭園があり、姉妹都市である青森県板柳町から寄贈された石灯籠や10本のソメイヨシノも見られる。
■Yakima Valley
TEL: 1-800-221-0751
www.visityakima.com
●ワイナリー・マップのダウンロード:
www.visityakima.com/travel-maps/yakima-valley-wineries-map-web.pdf
■Milbrandt Vineyards
508 Cabernet Court, Prosser, WA 99350 TEL: 509-248-7337
http://milbrandtvineyards.com
■Yakima Area Arboretum
1401 Arboretum Dr., Yakima, WA 98901 TEL: 509-248-7337
●開園時間:夜明けから日没まで
●休み:なし ●入場料:無料
www.ahtrees.org
【クルマでの行き方】シアトルからI-90を東へ。110番出口で降り、I-82を南へ入って、33番A出口を降りるとヤキマのダウンタウンへ。ヤキマ・エリア植物園へは同34番出口を、プロサーへは同80番出口を降りる(所要時間:約2時間30分)
ベインブリッジ・アイランド
都会からすぐそばの離島にて、和の空間で日系人の歴史を思う
▲日頃の雑事を忘れ、しばし静寂の中に身をゆだねてみたい。©Richard A. Brown
工藤夕貴が好演した映画「Snow Falling on Cedars(邦題:ヒマラヤ杉に降る雪)」の原作者は、ベインブリッジ島で教師生活を送っていたデビッド・グターソン。戦争が引き裂いた恋、そして日系アメリカ人差別を描くストーリーは、この島の悲しい史実を連想させる。戦時中、強制収容された日系アメリカ人の島民は220人。現在も島のあちこちで、日系文化の名残を感じることができる。中でも、この時期に訪れたいのはブローデル・リザーブ。池を囲む日本庭園は、2008年にアメリカン・パブリック・ガーデンズ・アソシエーションによる賞を獲得するなど、全米トップ規模の日本庭園のひとつとして知られる。松の緑色にモミジの赤が映え、秋の情緒たっぷり。日本の禅寺を思わせる枯山水風の砂庭も必見だ。
■Bainbridge Island
TEL: 206-842-3700
www.bainbridgechamber.com
■Bloedel Reserve
7571 NE Dolphin Dr., Bainbridge Island, WA 98110
TEL: 206-842-7631(予約推奨)
●開園時間:10:00 a.m.~4:00 p.m. (夏季の間、木~金の閉園は6:00pm)
●休み:月曜
●入場料:大人$17、シニア$12、子供(5~12歳)$10
www.bloedelreserve.org
【クルマでの行き方】シアトルからI-5を南下し、タコマで132番出口からナローズ橋を渡って16号線へ。ブレマートンでポーズボー方面へ3号線に入り、305号線でベインブリッジ島へ(所要時間:約1時間45分)
【フェリーでの行き方】シアトルのウォーターフロント、ピア52からフェリーに乗船。(所要時間:35分)
シアトル日本庭園
日本の情緒はココで満喫 シアトルの紅葉名所
▲芸術的に色付いたワシントン・パーク樹木園の紅葉
©Joy Spurr / Arboretum Foundation
100年以上にわたる歴史があり、230エーカーに及ぶ敷地内には4,000種類以上の木々が立ち並ぶ。中でも日本庭園は、八ツ橋や土橋があり日本ならではの絶景が楽しめ、秋には真っ赤に染まった紅葉や、黄色く色付いたイチョウなどが訪れる人を楽しませてくれる
■Washington Park Arboretum
2300 Arboretum Dr. E., Seattle, WA
TEL : 206-684-4725
開園時間:5月&10月10:00am – 5:00pm(月は12:00pm〜)、4月&9月10:00am – 6:00pm(月は12:00pm〜)、5月〜8月10:00am – 7:00pm(月は12:00pm〜)、11月10:00am – 5:00pm(月は12:00pm〜)
冬季(12月〜3月)は休園
入園料:無料。日本庭園は大人$8、子供(6~18歳)$4
ウェブサイト:
www.seattlejapanesegarden.org/
【秋におすすめのイベント】
イヤショット・ジャズ・フェスティバル - シアトルに心地良く響くジャズの調べ
北西部最大級の恒例イヤショット・ジャズ・フェスティバルが、10月~11月にかけて開催され、世界的ミュージシャンから地元の実力派ジャズメンまで、50以上のパフォーマンスがシアトル各地で予定されている。ブルースからコンテンポラリー・ジャズまでと幅広い。
■Earshot Jazz Festival
日時/場所/チケット:アーティストにより異なる(ウェブサイト参照)
TEL: 206-547-6763
www.earshot.org
【紅葉情報はここでチェック!】
紹介した紅葉の名所といえども、時期や気候条件などによっては、必ずしも期待通りの風景が見られるとは限らない。予測は難しいが、判断の目安になるのがThe Weather Channelによる天気情報サイトで提供される紅葉前線マップ(https://weather.com/maps/fall-foliage)。全米、また地域ごとに4段階で色分けされたマップが用意され、現在の紅葉の状況がわかる。例年、いつ見頃を迎えるのかも知ることができる。
【秋を写そう!紅葉を美しく撮るポイント】
1.フラッシュの光が反射すると、葉っぱが白く写ってしまうので、フラッシュはオフ。
2.日没前の柔らかい日差しが狙い目。反対側から日光が射すようにカメラを構えると、光が透けて輝いてきれい。
3.紅葉のアップを撮る時は、デジカメを「クローズアップ(花マーク)」のモードに切り替えよう。
人物を入れたい時
1.鮮やかな紅葉を背景に人物を撮ると顔が暗くなりがち。日中でも「フラッシュ強制発光」モードに切り替えたい。
2.落ち葉の山を作ってその真ん中に子供を入れると、葉っぱと遊び始めて表情豊かな写真が撮れる!
情報提供/K’s Photography ウォーラーズ和子
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