シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

英語で読む『禎子と千羽鶴』

2004年08月掲載
8月6日、9日、15日。アメリカ生活が長くなっても、これらの日付が順に広島原爆記念日、長崎原爆記念日、日本の終戦記念日であることは多くの人が覚えていることだろう。アメリカでは今、テロとの戦いがクローズ・アップされているが、戦争の悲惨さ、悲しさ、平和への願いは、いつの世も変わらないもの。今回は、そんな思いを強くさせる書籍をご紹介。

 
 

『Sadako and the Thousand Paper Cranes(禎子と千羽鶴)』は、被爆による白血病で、わずか12年の生涯を閉じた佐々木禎子さんについての物語。広島に生まれた彼女は、かけっこが大好きな快活な少女だったが、ある時、原因不明のめまいを感じたことから、体調の異変に気付く。そして、自分が被爆症であることを知る。回復を願い、千羽を目指し病室で一つひとつ折られる鶴。644……。これが彼女が折った最後の鶴だった。

この本は洋書だが、小学校などのsocial studies (社会科)の教材に使われることもあり、平易な英語で書かれている。英語で本を読むのは苦手という人でも、この機会に挑戦してみては? きっと最後には涙が頬を伝っているはずだ。入手は、シアトル市内を始めとする公立の図書館での貸し出しのほか、平和活動を行っている「ワールド・ピース・プロジェクト・フォー・チルドレン」(美智子パンピアンさん主宰)からの購入も可能(問い合わせ:TEL:425-391-3745 Eメール:michiko@sadako.org ウェブサイト:www.sadako.org)。

シアトル、ユニバーシティー・ディストリクトの外れにある「シアトル・ピース・パーク」に像があるなど、シアトルと繋がりの深い佐々木禎子さん。この週末(8月7~9日)には、禎子さんの実兄で、物語中に妹思いの優しい兄として描かれている佐々木雅弘さんが、シアトル市内及び近郊4ヵ所にて、禎子さんの生涯を語る講演会を開催する(詳細はyoumaga.comのコミュニティー・ニュースを参照)。

ちなみに、関連書籍としては、6歳の時に広島で被爆した漫画家・中沢啓治さん(65)の自伝的作品で、600万部を超すベストセラー漫画『はだしのゲン』(全10巻)も近頃日本で英訳され、1、2巻が今月から日米で発売される。この機会に、本を通じて戦争や平和について考えてみてはいかがだろうか。

■Sadako and the Thousand Paper Cranes(禎子と千羽鶴)
Eleanor Coerr著/A Yearling Book社発行
価格:$3.99