4月21日、若者を中心に日本で大人気のビデオ・ソーシャル・ネットワーク・サイト「ニコニコ動画」(以下、ニコ動)の英語版、niconico.comβが始動。シアトル近郊のイサクアにある運営会社の社長兼CEOを務めるジェイムス・スパーン氏に話を聞いた。 ●ニコ動とはどういうサービスですか? NTTドコモ勤務時にiモードを普及させた夏野 剛さん、掲示板「2ちゃんねる」を運営するひろゆき(西村博之氏)と共に06年に立ち上げた、世界初のユーザー参加型動画メディアです。アニメや音楽から政治、ファッションまで、幅広いジャンルをカバーし、民主党の小沢一郎さんの単独政見放送などで存在感を高め、今では2,180万人の会員がいます。特長は、動画を大人数で同時に視聴し、リアルタイムで意見や感想などをつぶやいて共有できること。NASAの会見の中継でユーザーから募集した質問を投げ掛けたり、カメラを付けてウィスラーの山を滑降する中継でユーザーが望む方向に進んだり、一方的な報道ではなく、ユーザーの要望に沿った情報や映像を提供することが使命だと考えています。 ●今回のアメリカ進出の経緯を教えてください。 親会社であるドワンゴの川上量生会長とは16年もの付き合いがあり、東京で会食中に「年を取る前に何か大きなことをやろう!」と盛り上がって、僕がロケット打ち上げをニコ動で中継することに。NASAと3カ月交渉を続け、本当に実現しました。そのあともファッション・ウィークやオバマ大統領会見の中継などプロダクション業務を2年続けるうちに、足を運ぶ先々で英語版への期待を身をもって感じ、自然な流れで運営会社の立ち上げが決まりました。 ●英語版でのサービスは日本版と異なるのでしょうか? 今のところ、僕とひろゆきで、日英バイリンガルのコンテンツを日本版と同時に提供。日本語がわからなかったり、88=ぱちぱち(拍手)などユーザー語を知らなかったりする人がいても、ユーザー同士で説明し合ってくれるので助かります。自分でオリジナルの動画を配信できる「ユーザー生放送」を、英語版でも6月16日に開始し、年内は特別価格で利用可能。今後もテストを重ねながら、英語版に合ったサービスをひとつずつ追加していきますので、どの機能が欲しいか、ぜひご意見をお聞かせください。7月1~4日にはロサンゼルスで開催の「アニメ・エキスポ」を中継予定で、会場ではTシャツ5万人分を無料配布するなど、ニコ動のアメリカ進出を大々的に印象付けるつもりです。 ●オンライン動画ビジネスの展望について考えを聞かせてください。 インターネットさえあれば、場所や時間、ツールを問わず、自分の見たい動画が見られるサービスが主流になってくると思います。映画などを配信するNetflixが良い例。東日本大震災時には、日本の各TV局のニュース番組を世界に配信したり、物流が滞る中で被災者にコンテンツを提供したりと動画サイトが活躍しました。好みの動画を取り出せるライブラリーのようなYouTube、配信側とユーザーをつなぐパイプ役のUstream、コミュニケーションが楽しいTwitterやFacebookなど多くのサービスがありますが、その特長をすべて兼ね備えているのがニコ動です。ぜひ加入して、実際に体感してみてください! ■James Spahn CEO nico nico, inc 母親は日本人。ドワンゴ設立のきっかけを作り、ニコニコ動画普及の立役者でもある。セガを経て、日米のマイクロソフトで勤務。ドワンゴにも1年程、執行役員として在籍した。5年前からサマミッシュに日本人の妻、娘、息子と家族4人で在住。 ニコ動英語版への要望を受け付け中! info@niconico.com |
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