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韓流ブームに思うこと

ロゴ 第37回
韓流ブームに思うこと

最近なにかと韓国文化が持てはやされているが、それら韓国文化を「韓流」と言うそうだ。最近観た韓国映画「オールド・ボーイ」「春夏秋冬そして春」では、韓国映画の底力を見せられた。

映画よりも韓国ドラマのブームは特に盛んだ。俳優の韓国四天王が次々と来日し、日本女性が空港や公開記者会見に大挙して詰め掛けるシーンを見ていると、日本人も変わったものだと感慨に耽ってしまう。「冬のソナタ」ブームには、来年の日韓国交正常化50周年記念をにらんだ仕掛けめいた匂いもするが、それにしても「冬のソナタ」ブームは明らかな支持派と、絶対認めない不支持派にきれいに分かれるのが面白い。支持派は圧倒的に30代半ばから50代の女性。10代や20代には評判が悪いのだ。

「渡る世間は鬼ばかり」みたいなドラマが安定した視聴率を保っていることからも、中年女性世代がテレビ視聴率のキーを握っているのは明らかだ。そんな中年女性、つまりオバサン世代を夢中にさせた「冬ソナ」だが、別に目新しい内容でもない。はっきり言って日本が20年前くらい前に大映テレビが量産していたドラマ群のパクリである。ご都合主義なストーリー展開、主人公が記憶喪失になるシークエンス、常識ではありえないクサイ台詞の数々……。そう、昔、日本のブラウン管を賑わしてきた内容である。

現在に至るまで、韓国のテレビ業界の“パクリ”体質は恒常化している。テレビ局のプロデューサーが「釜山に出張する」という隠語を使い、日本の番組をチェックしていたのは韓国でも有名な話だ。 最近も韓国KBSが放送した「スポンジ」という番組が、フジテレビの「トリビアの泉」とまったく同じで物議を醸した。この番組を韓国にパッケージ・セールスする予定だったフジテレビに与えた損害は数億円と言われている。しかし、韓国で法的手段をとっても韓国側に有利に終わるのが現状だ。今回も「模倣した証拠はない」という韓国側裁判所の判断で終わった。パクリ疑惑や海賊版の制作など、日本のテレビや映画業界は相当なダメージを受けている。

そんな中、日本に衝撃的なニュースが走った。韓国のテレビ局が、今後「冬ソナ」のBGMを番組内で使う場合、使用料を徴収すると勧告してきたのだ。これには日本のテレビ局もカンカンになった。そもそもBGMごときで使用料を取ること自体があり得ず、しかも前述の被害を受けている韓国から要求されるとは理解に苦しむ。

このようなニュースを聞くにつれ、韓国のドラマにキャーキャー叫ぶ日本人と、日本文化を軽蔑しながらも黙ってパクってしまう韓国人に対して複雑な心境を抱いてしまう。最近、日本の「劇団四季」が韓国に進出しようとしたが、韓国の劇団関係者による反対デモに遭い、中止に追い込まれてしまった。韓流ブームといっても日本だけが韓国を盛り上げているのではないか? これで本当に日韓親善といえるのだろうか? と余計な心配をせずにはいられない僕である。

前川繁(まえかわしげる)
1973年愛知県生まれ。シアトルで4年間学生生活を過ごす。現在、東京でサラリーマン修行中。コネクションを作って、いつか映画を作っちゃおうと画策している。