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日本のメディアにおける映画人の扱い

ロゴ 第41回
日本のメディアにおける映画人の扱い
宮崎駿監督がベネチア国際映画祭の栄誉金獅子賞を受賞したというニュースが報道された。記事によると、同賞には過去にフェデリコ・フェリーニ(’85年)、スタンリー・キューブリック(’97年)、クリント・イーストウッド(’01年)ら世界的な名匠が並ぶ栄誉で、日本人としては初の受賞だという。しかし、黒澤明監督も同賞を受賞していることを報じたメディアはほとんどないように感じた。各メディアは、黒澤監督の栄誉を無視したのだ。

そう言えば、3年前にも北野武監督が「座頭市」でベネチア国際映画祭監督賞を受賞したが、すべてのメディアは溝口健二監督が「西鶴一代女」で受賞して以来、日本人としては50年ぶりの快挙だと報じた。これも大きな間違いで、1989年に「千利休・本覚坊遺文」の熊井啓監督が受賞していることから、正確には12年ぶりの快挙だった。これらは、調べればすぐわかる話。いかに各メディアが通信社の外電をそのまま調べずにニュースにするいい加減な体質で、かつ映画を軽視しているのがよくわかる。
 
先日、日本アカデミー賞の受賞結果をニュースで見て、「血と骨」で各映画賞を総なめにしているビートたけしがノミネートもされていないのにはぶったまげた。なんでも、授賞式に出席しない人はノミネート対象から外されるのだそうだ。受賞を拒否する俳優でも受賞させる本場のオスカーと比べると、なんともお寒いシステムだと言わざるを得ない。しかもスタッフの賞なんかどうでもいいと言わんばかりに、番組の最後に数秒で受賞結果を知らせる番組の構成自体が、映画人をナメてる。こんな賞を貰って涙を流す俳優さん達は、さすがに役者なのだと感服する。

前川繁(まえかわしげる)
1973年愛知県生まれ。シアトルで4年間学生生活を過ごす。現在、東京でサラリーマン修行中。コネクションを作って、いつか映画を作っちゃおうと画策している。