日本の現在の興行収入ランキングを見ると、1位が「バットマン ビギンズ」、それ以降が「戦国自衛隊1549」「交渉人 真下正義」「電車男」と3本の日本映画がランクインしている。ハリウッド映画ばかりがヒットするのが通例の日本の映画界で、このように日本映画が3本もランクインするのは喜ばしいことである。しかし、そんなに喜んでばかりもいられないのが映画の内容だ。 同時期に日本で公開中のクリント・イーストウッド監督作品「ミリオンダラー・ベイビー」は、魂が込められた大傑作だった。劇場の女性の観客が映画終了後にトイレに駆け込む姿を目の当たりにし、大ヒットは間違いないと思った。が、実際は日本の3本の映画が「ミリオン~」を凌駕したことになる。 「交渉人 真下正義」は、「踊る大捜査線」シリーズの脇役を演じたユースケ・サンタマリアを主役にしたスピンオフ作品で、本広克行監督の職人的演出が冴える佳作だ。だが、土台このレベルの作品が記録的な大ヒットになること自体がおかしい。このような作品は昔で言えば、ブロックブッキング※によって生じた隙間を埋めるプログラム・ピクチャー的な内容である。 「電車男」に至っては、それ以前にこのストーリーはいかがなものか。2チャンネルという、匿名での誹謗中傷が横行するサイト内で、好きな女(エルメス)に告白できないオタク男を、閲覧者が励まし、そして実際に恋が成就した話が原作になっている。はっきり言って、こんなどうしようもないヤツが、2チャンネルに投稿するようなヤツらのアドバイスで美人を口説けるわけないだろ! デート中のカップルが、「今日どの映画を見ようか?」「電車男にしようよ! マジ感動するらしいよ」なんて会話をして、1,800円ずつ払って映画館に入る姿はお寒いばかりだ。韓流ドラマとかいう、うすら寒いドラマばかり見てて、脳みそがプリンにでもなってしまったか。 本当に心ある映画ファンは「ミリオンダラー~」で感動し、「妖怪大戦争」で思いっきり笑おう。劇場にいることを心から幸せに思える映画を選ぶべきだ。 ※予め立てられたスケジュールに基づき、配給元が専門の興行先に映画配給を行う、邦画独特のシステム。公開時期に合わせて計画的に製作、流通できるという利点がある。一方、洋画はフリーブッキングと呼ばれているシステムで流通され、原則として配給元、興行先は自由に交渉可能。
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