第12回 「Bad Santa」 | |||
口が汚く、酒浸りで、無類の女好き。そんなウィリー(ビリー・ボブ・ソーントン)は、毎年クリスマスになるとマーカス(トニー・コックス)と共にサンタクロースとエルフに扮し、ショッピングモールで強盗を繰り返していた。ショッピングモールのマネージャーらは、素行最悪のサンタをどうにかして辞めさせたいと、ふたりの身辺を調査し始める。アパートが荒らされ、危険を感じたウィリーは、サンタと記念写真を撮りに来て以後ウィリーにつきまとうようになった、いじめられっ子(ブレット・ケリー)の家で居候生活を始める。 もうほんとにウィリーが、突っ走りまくる。人生に何の期待や希望もなく、サンタに会いに来た子供を膝に乗せては怒鳴るし、常に泥酔状態で朦朧としているし……。夢見る子供の前でサンタを演じていることなんて、彼にとってまったくどうでもいいこと。夜に強盗をするまで仕方なくサンタでいるだけだ。そんなウィリーに対して、いじめられっ子の“ガキ”(ウィリーはその子供の名前を決して聞かず、“The Kid”と呼ぶ)は、どんなに怒鳴られようが、なじられようが、けなされようが、ぬぼーっとめげない。 名前から、つい“心温まるクリスマス映画”と想像してしまう。が、間違っても子供を連れて行かないように! サンタ・フェチの女の子とのセックス、ドラッグ、殺人、警察とのカー・チェイス……、あまりの最悪ぶりに大笑いした。ブラック・ユーモアのわかる人にはお勧めの映画だと思うが、ホリデー・シーズンに家族連れで鑑賞できる映画ではない。このシーズンにここまでやる製作サイドの勇気に感心した。噂によると、「悪党が8歳の純真な子供によってクリスマスの本当の意味を教わることになる」、そんなハート・ウォーミングなストーリーという予定だったはずが、あまりに過激な内容になってしまい、元々の配給先であったディズニーが公開に難色を示してDimension Films(Miramax Films)に売ったとか……。そして、この映画に関しての公式ウェブサイトはない。公式ホームページがないのも、制作費不足か、観客にもあくまで媚びない映画だからか? | |||
石渕裕子 群馬県生まれ。2002年までインターネットの会社(川崎)で勤務。結婚を機に渡米し、シアトルへ。小学校勤務を経た後、現在はコンピュータ会社にて勤務中。 |
Bad Santa
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
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