スペースシャトルが謎の墜落事故を起こしてから、アメリカを始め世界で正体不明の疫病が蔓延し始める。ワシントンD.C.で精神科医として働いているキャロル(ニコール・キッドマン)は、「夫が夫でなくなってしまった」という患者の訴えに首をかしげるが、そのおかしな現象がこれから自分の息子に降りかかる危機の前ぶれだとは知る由もなかった……。 古典SFホラーの名作として有名な、1956年公開の「ボディー・スナッチャー」の3度目のリメイク作品となるのが本作「The Invasion」です。宇宙からの侵略者が人間の体を次々乗っ取っていくという本筋は変わらないものの、主人公はシングル・マザーとその息子に変更され、世相を反映したアレンジが加えられています。 主演は、歌手のキース・アーバンと昨年再婚し、私生活にも大きなスポットが当たったニコール・キッドマン。相手役には「カジノ・ロワイヤル」で6代目ジェームズ・ボンドとして強烈な印象を残したダニエル・クレイグ。ジェームズ・ボンド役のオファーは本作撮影中にされたそうです。さらには 「ブロークン・フラワーズ」「シリアナ」「カジノ・ロワイヤル」などに出演したジェフリー・ライトが脇を固めています。 本作は2006年初頭にクランク・アップしたものの、ハリウッド初進出のヒルシュビーゲル監督と製作会社に意見の相違があり、その後マトリックス・シリーズのジェームズ・マクティーグとウォシャウスキー兄弟による大規模な脚本の再執筆、再撮影が行われたといういわく付きの作品です。再撮影中にはスタッフ数人が車の事故でけがを負い、ニコール・キッドマンも病院に搬送されるというアクシデントがありました。 ウイルスに感染した人間をかいくぐっての逃走・救出劇という点を考えると、どうしても同ジャンルの「28 Days Later」に劣ってしまいますが、家族愛に焦点を当てた本作は、ごくシンプルなストーリー。こういった作品にありがちな不可解さ、腑に落ちない感覚というものはありません。再撮影の影響などもあってか本編は短めの93分ですが、間延びすることなく、ラストまで適度の緊張感を保ってストーリーが進行していったのは評価できると思います。ホラーSFファンには若干物足りなさを残すかもしれませんが、純粋なドラマとして見ても平均点以上のできと言えるでしょう。 |
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