2007年も、新旧織り交ぜて数十本の映画を見てきましたが、今作はその中でもワースト5に間違いなくランク・インするであろう大失敗作でした。劇場では途中で席を立ったお客さんもいたくらい。今回はこの映画の一体何がだめなのかを考えてみたいと思います。 サンタクロースを実の弟に持つフレッド(ビンス・ボーン)はクリスマスが大嫌いな取り立て屋。悪行がたたって拘置所送りになったフレッドは、弟ニコラス(ポール・ジアマッティ)に助けを求めます。ニコラスは保釈金を立て替える代わりに、フレッドが北極まで出向いて家業を手伝うことを提案。クリスマスの数日前、嫌々ながら北極へ行き着いたフレッドは、おもちゃ工場のシステムやエルフ達に悪態をつきながら仕事を始めますが……。 監督は「ウエディング・クラッシャー」「シャンハイ・ナイト」のデビッド・ドブキン。主役には、リメイク版「スタスキー&ハッチ」などで知られるコメディ-俳優ビンス・ボーン。それに「サイドウェイ」のポール・ジアマッティ、説明不要の個性派俳優ケビン・スペイシー、さらにはアカデミー女優のレイチェル・ワイズが脇を固め、キャストは豪華この上ありません。 まずこの映画のいちばんの問題は、ターゲットとする観客を絞り込めていないところ。元はレートRとして製作されていたようですが、最終的なレートはPG。製作陣の苦悩のあとが垣間見えますが、致命的なのはクリスマス向けファミリー映画としてはあまりに子供に不親切な、中途半端に現実的なストーリー。細かく入ってくるギャグも子供には理解しづらいものばかりだと思います。 元から大人向けとして製作されたクリスマス映画には、2003年の怪作「バッド・サンタ」がありますが、あそこまで吹っ切れたことをできなかったのが裏目と出ました。この俳優陣だからどうにか最後まで持ちこたえることができたのでは、というのが正直な感想です。 116分という本編の長さもさることながら、主人公にストーリーの重要な部分をほとんど喋らせてしまう脚本、役者任せの演出、質が低く安っぽいCGと、駄作としての条件を見事にそろえてしまった本作。クリスマス向け映画に新たな息吹を吹き込もうという製作意図が見事に頓挫し、立ち直り切れないまま公開に至ったのは残念としか言いようがありません。 |
コメントを書く