本作「Jumper」は、8,500万ドル(日本円で約90億円)という巨額の予算を投じて製作されたブロックバスター映画※です。このタイプの映画としては08年1本目と言っても過言ではありません。公開第1週目でおよそ3,400万ドルのチケット収入を記録し、まずまず順調なスタートを切ったと言えます。 デビッド(ヘイデン・クリステンセン)は15歳の時、どこへでも思い通りに移動できるテレポーテーション能力を身に付け、銀行へ侵入し多額の現金を奪い去ります。時は流れ、ニューヨークで夢のような生活を送っていた彼の目の前に、国家安全保障局のローランド(サミュエル・L・ジャクソン)が現れ、「神のみがそのような力を持つべきだ」と、デビッドの殺害を試みます。それまで完璧だったはずの彼の人生は終わりを告げ、世界を股にかける命がけの「鬼ごっこ」が始まるのでした。 監督は「ボーン・アイデンティティー」や「Mr.&Mrs. スミス」のダグ・リーマン。主演には「スター・ウォーズ・エピソード2、3」のヘイデン・クリステンセン。デビッドのガールフレンド、ミリー役には「The O.C」でサマーを演じたレイチェル・ビルソン、そしてデビッドを追い回す刑事役には、悪役をやらせたら右に出る者はいないサミュエル・L・ジャクソンがキャスティングされています。 スピード感あふれるカメラワークに、迫力満点の特殊効果はさすがブロックバスター。ストーリーそのものは決して悪いものではないのですが、全体を通して起伏が少ないうえ、デビッドとミリーの関係がかなり不自然。ラストも「それでおしまい?」という、あっけないものでした。残念ながら、脚本が貧弱というブロックバスターの弱点を覆すことはできなかったようです。 主人公であるデビッドよりも、彼と同じ能力を持つジャンパーとして登場するグリフィン(ジェイミー・ベル)のほうがキャラクターとして完成されていたのも残念でした。彼の軽妙な演技がなければ作品の印象も相当悪いものになっていたことでしょう。こういう能力を得たら何をするか、という描写はなかなかリアルで納得させられましたが、評価すべき点はそれくらいです。アイデアは悪くなかったのに、でき上がりは今ひとつといったところでしょうか。 |
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