第15回 「Cheaper By the Dozen」 | |||
タイトル「Cheaper By the Dozen」は、1ダースでさらにお得!という意味。1951年のファミリー・コメディ映画のリメイクで、ストーリーはギルブルス家という実在した家族の話に基づいている。 イリノイ州のミッドランドという小さな町に住むベーカー・ファミリー。トム(スティーブ・マーティン)は大学のフットボールのコーチで、シカゴに住む長女ノラ(パイパー・ペラーポ)を除いた11人の子供達、そして以前はジャーナリストであった妻ケイト(ボニー・ハント)と仲良く暮らしていた。ところが、トムの念願の夢であった、シカゴの大学のフットボール・コーチとしての仕事が決まり、子供達の大反対を押し切って一家はシカゴへ引っ越すことになる。トムはコーチの仕事で忙しく、家族と過ごす時間がみるみる少なくなっていく。そんな頃、妻ケイトの本が出版されることが決まり、何日かプロモーションのため、子供を残してNYに行くことに。残されたトムと子供達。トムは必死に子供達の世話をするが、忙しい仕事と家事の狭間でにっちもさっちもいかなくなってしまう。ミッドランドと全く違う大都市シカゴでの新しい生活、新しい学校に慣れない子供達の出す信号にも気付かず、家族の間にはギズギズした空気が流れる……。 ファッションにしか関心のない次女ロレーン、常にいたずらの中心となる3女サラ、フェデックス(FedExに配達されて来た)と呼ばれるおとなしいマーク、とにかくやんちゃな双子の兄弟……。12人の子供達はそれぞれ家族の中での役割が決まっており、性格もばらばら。フットボール・コーチ役というのはさておき、いかにもアメリカ的な父親という点では、スティーブ・マーティンはハマリ役である。また、長女ノラのボーイフレンド、ハント役でアシュトン・カッチャーが売れない俳優をコミカルに好演している。ファミリー・コメディだけに、お決まりなストーリーながらも、楽しく安心して観ていられる。 私にしてみれば1匹の犬にも格闘の毎日なのに、12人の子供というのは想像をはるかに超えている。トムとケイトのようなチームワークと愛情があるからこそ、家族がひとつになって、それぞれの歯車がうまくかみ合っているのである。お互い夢をつかんだトムとケイトだが、ふたりは家族のためにそれを諦めるのだろうか、それとも……? 自分がもしふたりの立場でも、どちらを選択するのかは正直予想がつかない。最後に、どこの国でも空回りしてしまうお父さん、頑張ってください! | |||
石渕裕子 群馬県生まれ。2002年までインターネットの会社(川崎)で勤務。結婚を機に渡米し、シアトルへ。小学校勤務を経た後、現在はコンピュータ会社にて勤務中。 |
Cheaper By the Dozen
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
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