第155回 Body of lies リドリー・スコット監督作と聞いて、まず思い浮かぶのは1982年の「ブレードランナー」や2000年にアカデミー賞作品賞を受賞した「グラディエーター」など。巨額の予算と巧みな演出、それに秀逸なカメラワークが上手く組み合わされた作品が多いという印象がありますが、今作「Body ofLies」もそういった作品に通じる特徴が健在です。 舞台は9.11以後の世界。CIAの諜報員として、ヨルダンを拠点に活動するロジャー(レオナルド・ディカプリオ)は、市民を狙って頻発するテロの首謀者を捜していました。ある情報からその首謀者を特定したロジャーは、上司であるエド(ラッセル・クロウ)を通してヨルダンの諜報機関に協力を求めます。文化とモラルの違いを痛感しながら捜査を続けるのですが……。主演には、昨年監督としてもデビューしたレオナルド・ディカプリオ。実力派俳優としても着実にキャリアを積んでいる彼は、今年で35歳になります。相手役には1995年の「クイック&デッド」以来の共演となるラッセル・クロウ。本作では体重を28キロ増やし撮影に臨んだとのことで、普段のシャープな印象とはまた違った雰囲気を感じることができました。したたかで不遜な態度を崩さないエドと、諜報員としては熱血漢過ぎるロジャー。レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ共に、自分の役を見事に演じ切っていました。 タイトルにある通り、ストーリーは「信用」という言葉がキーワードになっています。協力関係にあるはずのCIAとヨルダンの諜報機関の見えない駆け引きも注目すべきポイントです。本作はジャーナリストであるデビッド・ イグネイシアスの同名小説を元にしているそうなので、原作を掘り下げて読んでみるのも楽しいかもしれません。 「ミュンヘン」、「シリアナ」、「大いなる陰謀」などに見る、構成が複雑になりがちなポリティカル・スリラーというジャンルでありつつも、本作は難解過ぎず、しかも随所にリドリー・スコット監督らしい映像美と演出が感じられます。その手腕は、さすがベテランの作った作品だと言わざるを得ません。ちなみに、監督の実弟であるトニー・スコットの監督作「スパイ・ゲーム」と類似している部分もあるので、こちらと照らし合わせながら鑑賞するのもオススメです。 |
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