第157回 Paul Blart : Mall Cop 公開前から予告編のつまらなさで一部に話題を呼んだ「Paul Blart : Mall Cop」が公開。しかし封切り直後の週末では、クリント・イーストウッドの4年振りの監督・主演作「グラン・トリノ」を抜いて、北米映画興行収入ランキングで初登場首位に立つという、予想外の快進撃を見せました。 ストーリーは明快。警官になることを夢見るポール(ケビン・ジェームズ)は、しがないショッピング・モールの警備員。妻には子供を残して逃げられ、それ以降彼女もいないけど、毎日をけなげに生きている。ある日、ポールはモールのキオスクで働くエイミー(ジェイマ・メイズ)に恋をするが、距離は縮まらない。そんな中、ハイテク強盗団がモールを襲い、エイミー達従業員を人質に取るのだった。運良く捕まらなかったポールの取った行動とは……。 主演には1998年から2007年まで続いた、テレビの人気コメディー・シリーズ「The King of Queens」で主役を務めたケビン・ジェームズ。ポールが恋するエイミー役には「Heroes」や「Ugly Betty」などに出演経験のあるジェイマ・メイズ。そして「ドクター・ドリトル2」など、コメディー映画を得意とするスティーブ・カーが監督を務めています。 良くも悪くもショッピング・モールを馬鹿にした描写が目立つストーリーと、失笑混じりの笑いがほとんど、ということもあって、上映後の観客の反応はかなりまちまちでした。この手のコメディーは、とにかくキャラクターの面白さが大事になってくるのですが、その点ケビン・ジェームズの体を張った演技には拍手を送らざるを得ません。それでも全体的な詰めの甘さを隠すことはできませんでした。ただ、映画ビジネス的には大成功で、本作は公開後2日で340万ドルの興行収入を記録したため、予算の250万ドルをあっという間に埋めて、黒字確定。この週に目ぼしい映画が公開にならなかったということもあるのでしょう。ここはマーケティングの勝利だと思います。 残念だったのは、監督や脚本家の「まあ、こんなものだろう」という中途半端な姿勢が目に付いてしまったところです。俳優陣にもキャラクターで押し切れるだけの力はなく、結果的に“時間つぶしのコメディー”という、悲しいポジションを埋めるに留まってしまいました。 |
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