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Observe and Report

■Observe and Report
監督:ジョディ・ヒル
出演:セス・ローゲン、レイ・リオッタほか
公開:4月10日(金)
レート: R
公式ウェブサイト:
http://observe-and-report.warnerbros.com

Watchmen

第160回 Observe and Report
2月号の本欄で紹介した「Paul Blart : Mall Cop」と題材がほぼまるかぶりしてしまった「Observe and Report」が劇場公開となりました。監督には2006年の「The Foot Fist Way」で監督デビューを果たしたジョディ・ヒル。主演には「The 40 Year Old Virgin」や「Knocked Up」など、ジャド・アパトー監督作品の常連で、ここ数年コメディー映画ではおなじみの顔となったセス・ローゲンが躁うつの警備員を演じています。
「Paul Blart : Mall Cop」はファミリー層を狙ったコメディーでしたが、「Observe and Report」はR指定ということからもわかるように、対象年齢は高め。ギャグもブラックなものが多く、皮肉も適度に効いており、大人向けの雰囲気でした。ショッピング・モールも若干荒んだ感じに描かれており、僕の中では「Observe and Report」に軍配です。ただし、思い切り笑える場面は少なく、どちらかと言えば「しょうがないなぁ」という笑いが多かったように思います。
「Paul Blart : Mall Cop」とのいちばんの違いは、主人公のキャラクター。「Paul Blart : Mall Cop」は気弱な警備員がモールを乗っ取った犯人達を追い詰める、という内容でしたが、本作は、警察官顔負けの格闘術と使命感を持つ主人公の執拗な捜査劇。全く正反対の内容でした。しかし、ここまでキャラクターが違いながらも、基本的なストーリー・ラインは同じという悲しい偶然のせいで、あまり評価されることなく終わってしまいそうな印象を、個人的に感じます。
この映画があまり面白いと思えなかった理由は、おそらくショッピング・モールという「リアル」なロケーションに、誇張し過ぎたキャラクターばかりを登場させてしまった部分ではないでしょうか。どこかが破綻したキャラクターというのは、とかく魅力的に見えるものですが、やり過ぎは観客を置いてきぼりにしてしまうのが難しいところだと思います。本作のキャラクター達はまさにその失敗例でした。コメディー要素も後半はほとんど薄れてしまい、B級ですらないサスペンス風のストーリー展開となってしまったのも残念です。

ミトウ
札幌生まれ、札幌育ち。アメリカ生活4年目。07年9月からオレゴン大学でコミュニケーションを専攻中。好きな映画は「Down By Law」「Garden State」「リアリズムの宿」「好きだー」「サマータイムマシーン・ブルース」など。