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Harry Potter and the Half-Blood Prince

■Harry Potter and the Half-Blood Prince
監督:デビッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソンほか
公開日:7月15日(水)
公式ウェブサイト:http://harrypotter.warnerbros.com

Harry Potter and the Half-Blood Prince

第163回 Harry Potter and the Half-Blood Prince
1997年に『ハリー・ポッターと賢者の石』が出版されて以来、世界的な大ヒットを飛ばした、いわゆる「ハリー・ポッター」シリーズの映画第6作「Harry Potter and the Half-Blood Prince」が公開されました。企画の段階では、「モンティ・パイソン」シリーズのテリー・ギリアムや「ヘル・ボーイ」のギレルモ・デル・トロなどが監督候補として挙がったものの、結局は前作を担当したデビッド・イェーツに落ち着き、スタッフもほぼ同じ体制で臨んだ作品となります。
正直に申しますと、自分は今まで「ハリー・ポッター」の映画どころか小説も読んでおらず、封切り前に慌てて予習をし、映画館には万全を期してポッタリアン(「ハリー・ポッター」愛好家の呼び名)の友達を連れて行きました。それでもキャラクターの多さはそこらの映画の比ではありません。もちろん、今さらそのひとりひとりについて説明するわけでもなく、関係性を理解するのにかなり苦労しました。
率直な感想は、なんともそっけない映画。細かい笑いやキャラクターの描写はとても好感が持てたものの、世界観の構築は明らかに失敗。冒頭でほんの少しだけ描かれた、世界の終わりが近いという設定もまるで置いてけぼり。ストーリーの進行に緩急というものがほとんどなく、2時間半という尺の中では最後の30分を除き、ほぼレベルの低いラブコメを見せられている感じ。いわゆるダーク・ファンタジー的な世界観も、青白いトーンの映像で強引に「ほら、ダークでしょ?」と説き伏せられている風で、もっとやりようはあるだろうと、残念でした。
原作ファンにしてみれば、映画版は原作との違いをチェックし、映画と共に成長していくキャラクターと、それを演じる俳優達の変化を楽しむことができる反面、映画に対する批判も度を越したところがあるようで、ユージンでも初回上映後のポッタリアン達の白熱した議論は大変恐ろしかったです。原作に書かれていることをすべて映像化するのは不可能ですし、特に長編のシリーズものとなると、バランスの取り方も難しいに違いありません。それにしても原作と映画がしっくりつながらないなんて、巨額の予算を掛けた世界的な大作がそんな体たらくでは情けないばかり。デビッド・イェーツは次作も続投が決まっているそうですが、同じ轍を踏まないことを期待しています。

8月公開の注目作品

G.I. Joe Rise of the Cobra
監督:スティーブン・ソマーズ
出演:チャニング・テイタム、レイチェル・ニコルズほか
公開日:8月7日(金)
世界制覇をたくらむ悪の組織「コブラ」が勢力を振るう中、それに立ち向かうため、世界各地の精鋭を集めた機密部隊「G.Iジョー」が出動する。人気フィギュアを元に1980年代にアニメ化された作品をベースにした実写版。

The Time Traveler’s Wife
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:レイチェル・マクアダムス、エリック・バナほか
公開日:8月14日(金)
クレア(レイチェル・マクアダムス)が愛する相手は、未来からやって来たヘンリー(エリック・バナ)。一途な愛を貫き通そうとするふたりの愛の行方は?
ベストセラー小説「タイムトラベラーズ・ワイフ」をロマンチックに映画化。

Inglourious Basterds
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロランほか
公開日:8月21日(金)
時は第2次世界大戦、ナチスドイツ占領下のフランス。レイン中尉(ブラッド・ピット)が束ねる荒くれ者だらけのアメリカ特殊部隊は、ナチス軍に立ち向かうのだが……。クエンティン・タランティーノ作品独特のドタバタ感健在の1本。

伊藤 晶
札幌生まれ、札幌育ち。アメリカ生活5年目。07年9月からオレゴン大学でコミュニケーションを専攻中。好きな映画は「Down By Law」「Garden State」「リアリズムの宿」「好きだー」「サマータイムマシーン・ブルース」など