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Iron Man 2

■Iron Man 2
監督:ジョン・ファヴロー 出演:ロバート・ダウニー・Jr.、ミッキー・ロークほか 公開日:5月7日(金) レート:PG-13 公式ウェブサイト:http://ironmanmovie.marvel.com

iron man2

第172回 Iron Man 2
業界内でも予想外の成功を収めた前作から2年、ファン待望の「Iron Man 2」は、公開後3日間で1億2,800万ドルの興行成績をあげ、ハリウッド映画としては歴代5位の記録を打ち立てました。
3部作で構想が練られている「Iron Man」と、2012年に公開が予定されているIron Man、Hulk、Mighty Thor、Captain Americaが共演するアクション大作「The Avengers」への足掛かりとしても期待された作品でしたが、前作に比べての評価は今ひとつに終わりました。
主人公トニー・スタークを演じる、資産家で、ギークで、皮肉屋で、チョイ悪を地でいくロバート・ダウニー・Jr.の存在感は健在ながら、逆に言えば前作と同じようなものしかウリにならないのが今作の問題点です。
トニーの相棒ジェームズ・ローズを前作で演じたテレンス・ハワードは、出演料で揉めて降板。代わってキャストされたドン・チードルには、ハワードのようなダンディーさは欠片もなく残念な結果になりました。
スカーレット・ヨハンソンが演じたナタリー・ラッシュマンことブラック・ウィドウも、まるでキャラクターの説明がされておらず不完全燃焼。
極めつけはミッキー・ローク演じる悪役のアイヴァン・ヴァンコ。ストーリー終盤の、あまりにあっさりしたやられ方からラストシーンまでの流れは、「え、これで終わり」としか言いようのないあっけなさでした。
骨太のストーリーを根幹に据え、キャラクターひとりひとりにきっちり役目を与え、全体を破綻させないように作り上げるというのは、とんでもない大仕事です。続編ならなおのこと、前作の説明をどの程度まで入れるかという苦心もあります。そう考えると124分という尺の中でできることというのは案外少なく、何もかもが中途半端になってしまった今作の苦悩も、わからないではありません。
それにしてもストーリーにはメリハリがなく、スリリングな場面もほとんどなしというのは、どうなんでしょう。
スーパーヒーローを題材にした映画は星の数ほどもありますが、Iron Man 2はどこをとっても中道。背伸びしようが逆立ちしようが、完成度を考えると、例えばバットマン・シリーズとして大成功を収めた 「The Dark Knight」には全く歯が立たないという印象です。次作への期待もほどほどにしておいたほうが良いかもしれません。

6月公開の注目作品

The Karate Kid
監督:ハラルド・ズワルト
出演:ジャッキー・チェン、ジェイデン・スミスほか
公開日:6月11日(金)
12歳のドレー(ジェイデン・スミス)は母親の仕事の都合で中国へ。そこで文化の違いからイジメに遭うが、ハン(ジャッキー・チェン)に出会いカンフーを習うことに……。1984年に公開された「The Karate Kid」のリメイク。

Toy Story 3
監督:リー・アンクリッチ
声の出演:トム・ハンクス、ティム・アレンほか
公開日:6月18日(金)
17歳になったアンディは、大学進学のため家を出て行くことになり、ウッディら彼のおもちゃは手違いで託児所に寄付されてしまう。アンディを信じて脱走するウッディだが……。シリーズ初の3D仕様。

Knight and Day
監督:ジェームス・マンゴールド
出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアスほか
公開日:6月25日(金)
最高の男との出会いを求めていた田舎娘のジェーン(キャメロン・ディアス)は、飛行機でミステリアスな男、ロイ(トム・クルーズ)と出会う。しかし、ロイは重要任務をこなしているスパイだった!?

文/伊藤 晶
札幌生まれ、札幌育ち。アメリカ生活5年目。07年9月からオレゴン大学でコミュニケーションを専攻中。好きな映画は「Down By Law」「Garden State」「リアリズムの宿」「好きだー」「サマータイムマシーン・ブルース」など