第2回 「The School of Rock」 監督:リチャード・リンクレーター | |||
ロックをこよなく愛するデューイ(ジャック・ブラック)は、自分のロック・バンドのメンバーから首にされてしまう。さらに、一緒に暮らしている、かつて同じバンドのメンバーだった友達のネッド(マイク・ホワイト)からは、滞納している家賃その他もろもろに関する矢のような催促。そんな途方に暮れているところへ掛かってきた1本の電話……。それは、名門私立小学校からネッドへの代用教員依頼の電話であった。ネッドを装い、デューイは5年生の担任として働くことになる。 最初はお金のためと割り切って教える気すらなかったデューイだが、実はクラスの子供達は音楽の才能のあるスーパー・キッズ。優秀な彼らに目を付けたデューイが思い付いたのは、子供達とバンドを組んでコンテストに出場し優勝賞金を稼ぐこと。子供達には学校のプロジェクトだ信じ込ませ、自分の愛するロックを全身全霊で教えることになる。今まで勉強詰めの毎日を送っていた子供達が、みるみるうちにロックのとりこになり、熱いハートを持ったロッカーとして(?)成長していく。 デューイと子供達とのやり取りはもちろん、彼の120%動いている顔(特に眉毛)、そして激しく動く体全体を見て笑わずにはいられない。教師、生徒達に恐れられている校長(ジョーン・キューザック)にも気に入られ、子供達とも信頼関係が生まれ始めたが、そのすべてを知ったネッドのガールフレンドが学校へ通報。コンテストの前日にもかかわらず、何もかもが一気にバレてしまう。今まで信じ切ってきっていた子供達は呆然、校長は怒りに燃えた子供達の親からつるし上げに遭い、学校はまさに大騒ぎ。その騒ぎの真っ只中、今度は子供達が学校から忽然と消えてしまう……。 ロックに対する熱く真剣な姿勢が子供達に伝わっていく過程、ひとつの目標に向かって進んでいく連帯感、そこから生まれる信頼関係など、見ていてほろりとさせられる。私もパラ・エデュケーターとして現場で子供と接しているが、真剣な姿勢には子供は応えてくれるということを改めて感じさせられた。 裏話になるが、この映画で使われているレッドツェッペリンの曲は、最初に監督リチャード・リンクレーターが使用を断られた後、ジャックが個人的に頼み込んで許可をもらったということだ。また、れっきとした歌手でもあるジャックの歌声とパフォーマンスはパワフルで魅力的であると共に、オーディションで選び抜かれた子供達の見事なテクニックには脱帽である。 「夢なんて諦めるためにあるんだよ」と切なく訴えていた、ガールフレンドの尻に敷かれっぱなしのネッドも、最後には彼らに影響されて新たな出発を……。生徒達もそれぞれ成長振りを見せてくれます。すがりついてでも必死になって夢を持ち続けるってかっこいい、夢は諦めるものじゃありません。Let’s Rock!!! | |||
石渕裕子 群馬県生まれ。2002年までインターネットの会社(川崎)で勤務。結婚を機に渡米し、シアトルへ。小学校勤務を経た後、現在はコンピュータ会社にて勤務中。 |
The School of Rock
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
コメントを書く