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Runaway Jury

第4回 「Runaway Jury」
監督:ゲイリー・フレダー
出演:ジョン・キューザック、レイチェル・ワイズ、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマン
公式サイト:http://www.runawayjurymovie.com

ポスター
© 20th Century Fox

夫を銃で殺された妻が、大手の銃製造メーカーを相手に裁判を起こし、そのために10人の陪審員が選ばれる。原告側の弁護士には、ウェンデル・ロア(ダスティン・ホフマン)。対する銃製造メーカーの陪審員コンサルタント、ランキン・フィッチ(ジーン・ハックマン)は、陪審員一人ひとりの素性を調べ、操りやすい陪審員には影で指示を出し、勝つため、お金のためにはどんな汚い手も厭わない。原告側の証人を潰し、さらに陪審員達へ精神的ゆさぶりをかけるため、彼らの私生活を探り出すフィッチだったが、なぜかいつものように上手くいかない。その裏には、陪審員として潜り込み、昔からの彼女、モーリー(レイチェル・ワイズ)と共謀して陪審員の票の取りまとめを画策していた、ニック・イースター(ジョン・キューザック)の存在があった。彼らはウェンデルとフィッチ、両方に取り引きを持ちかけるが……。

「 ランナウェイ・ジュリィ」は、法廷での争いよりもその裏側を描いた一味違うサスペンスで、ジョン・グリハムの小説『The Runaway Jury』が原作。小説では、銃メーカーでなくタバコ会社を相手にした裁判を描いている。映画の最後には、このふたりにはお金だけでなく、そこに確固とした目的があり、ふたりをそうさせた理由と過去が明らかになる。しかし、なぜニックとモーリーは自分の身を危険にさらしてまでお金が欲しいのか、映画を観ながら私は疑問に思っていた。確かに秀作ではあるが、個人的意見としては、ラストに明かされるニックとモーリーの素性が、もう少し早くから少しずつでいいからわかっていれば、もっと映画に気持ちが引き込まれたのではないかと感じた。

この映画には有名俳優が大勢出演しているが、特にジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの素晴らしい演技は際立っていた。ふたりの役柄を取り替えてみても、おもしろい作品に仕上がったのではないかと思う。なかなか見ることのないダスティン・ホフマンの悪役、ジーン・ハックマンの正義感あふれる弁護士役……。このふたりなら間違いなく上手くこなせるし、話題にもなったのではないだろうか。

現実問題として、アメリカでは誰もが簡単に銃の購入が可能である。そして、毎年多くの銃犯罪により犠牲者を出している。銃メーカー社長の、「われわれは買う人がいるから供給しているだけで、その後の問題は知ったことではない」という言葉に、今の社会の深刻な問題を感じた。

石渕裕子
群馬県生まれ。2002年までインターネットの会社(川崎)で勤務。結婚を機に渡米し、シアトルへ。小学校勤務を経た後、現在はコンピュータ会社にて勤務中。