第40回 「たそがれ清兵衛」 | |||
庄内地方の小さな藩の貧しい下級武士、井口清兵衛(真田広之)は、妻が長い病を患って死んだ後、幼い2人の子供と年老いた母親の世話と内職に追われ、城内での勤務が終わるたそがれ時に早々に帰宅することから、“たそがれ清兵衛”と呼ばれている。貧しいながらも娘の成長と毎日の暮らしに幸せを感じている。そんな頃、幼なじみの朋江(宮沢りえ)が不幸な結婚生活の後に離縁し、ちょくちょく清兵衛の家を訪れるようになる……。 余吾善右衛門役の前衛舞踏家、田中泯、これが映画初主演とは思えないスゴみと存在感のある演技を見せている。さらに驚いたのが、最後の最後に登場する岸恵子。1932年生まれで、今年74歳(!)。そんな高齢には到底見えない驚愕の若々しさだった。 初めて日本の侍が主人公の映画を見たが、一般的に想像されるいわゆるサムライ・ムービーとは、ひと味もふた味も違い、衣装や、その当時の市民の生活などがありのままに再現されている。また、「寅さん」の山田洋次監督だけあって、ひとりの平侍の勇気、清々しい心が細かく描写されている。こういった映画をもっと世界に広めて、根底に流れている日本の文化をより理解して欲しいものだと思った。 | |||
石渕裕子 群馬県生まれ。2002年までインターネットの会社(川崎)で勤務。結婚を機に渡米し、シアトルへ。小学校勤務を経た後、現在はコンピュータ会社にて勤務中。 |
たそがれ清兵衛
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
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