第67回 「Hitch」 監督:アンディ・テナント 出演:ウィル・スミス、ケビン・ジェームズ、アンバー・ バレッタ、エバ・メンデス 公開日:2月11日(金) レート:PG-13 ウェブサイト:www.sonypictures.com/movies/hitch | |||
桜らしき花を見つけては春の訪れに心をときめかせつつ、「夜桜の下でドンチャン騒ぎができたら最高なんだけどな~」という思いをそっと封印する今日この頃。皆さん、いかがお過ごしですか? 浅倉薫です。 今回ご紹介する映画は「Hitch」。ウィル・スミス扮するアレックス・ヒッチは、男達にデートのハウツーを指南する“デート・ドクター”。顧客のセレブ、アレグラ(アンバー・バレッタ)に恋をしてしまった冴えない会計士アルバート(ケビン・ジェームズ)を指導中、美人記者のサラ(エバ・メンデス)と出会ってしまったアレックスは、彼女をゲットしようと手練手管の限りを尽くします。かたや恋愛のプロ、かたやイケてない男、それぞれの恋の行方はいかに? 太っちょでドジなアルバートは、いかにも大事なところで失敗しそうなタイプ。そんな彼が一途な恋ゆえに勇気を奮い起こして必死でガンバる姿は、おかしくもあり応援したくもなる。アレックスの助けを受けていることもあって、意外なほど順調にコトは進んでいきます。一方、アレックスの恋といえば、もう言うに及ばず、です。 アレグラもサラも美人ですが、ぴちぴちのカワイコちゃんタイプではありません。自分の地位を確立し、世の中も知っている、精神的に自立した女性です。しかし、そんな彼女達でさえ、恋愛のセオリーを熟知したアレックスの手腕の前ではひとたまりもないのでしょうか? 映画の冒頭で、アレックスが女性の心理について語るシーンがあるのですが、それは統計に基づく客観的なデータ。生身の女性への恋心が入り込むとそうはいきません。そんなアレックスを見て、女性との付き合い方が表面的だと批判する人もいるだろうけれど、彼には彼なりの心痛む事情があるのですよ。 デート・ドクターはきっかけを作るだけであり、そこから本当に恋が生まれるかどうかはまた別の話。そして最後に語られるのは、恋愛を仕事として見ているのではなく、ひとりの女性に恋する幸せをひたすら噛みしめている男の言葉です。 2組の恋の進行を見守るうちに、ひょっとしたらあなたが忘れていたかもしれない大事なことを思い出すかもしれません。陳腐な言い方だけれど、人が本当に惹かれ合うのは相手の内面あってのこと。知らず知らずのうちに自分の回りに張り巡らせたガードを取り払い、心を通わせることができる相手をしっかりつかまえられるように精進しましょ。
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浅倉薫 東京生まれ。太平洋沿いの大都市を転々とした後、2002年にシアトルに流れ着く。文系思考の研究員、理系思考のマーケター、勉強ギライなUW生、などの過去を背負う不良主婦。自称“面食い”だが、その基準が普通じゃないと言う人も。現在のごひいきはジョニー・デップ。 |
Hitch
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
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