第72回 「The Ring Two 」 監督:中田秀夫 出演:ナオミ・ワッツ、デビッド・ドーフマン、サイモン・ベイカー、シシー・スペイセク 公開日:3月18日(金) レート:PG-13 公式ウェブサイト:www.ring2-themovie.com | |||
青空を映して輝く春の海を眺めながら、「春か~。鯛のお刺身が食べたいなぁ」なんて、景色そっちのけで食い気に走る自分がちょっと情けない今日この頃。皆さん、いかがお過ごしですか? 浅倉薫です。 今回ご紹介する映画は「The Ring Two」。前作「The Ring」での忌まわしい記憶を振り切るため、オレゴンへ引っ越したレイチェル(ナオミ・ワッツ)。ところが、ここにも“呪いのビデオ”の影が……。やがて、息子エイダン(デビッド・ドーフマン)に呪いの張本人サマラがつきまとい始め、切羽詰まったレイチェルは、サマラの過去を探るべく再びシアトルを訪ねます。 前作「The Ring」は、サマラの悪意の背景として「超常的な宿命を背負った存在ゆえの哀しみ」よりも「日常にありそうな親子関係の悲劇」を強調した点がアメリカ的ながら、人間の弱みに付け込んで増殖する“呪いのビデオ”という基本アイディアはきちんと押さえてあり、破綻なくまとまった作品でした。新たに創作された“狂う馬”というモチーフも怖かったですね。 監督が中田秀夫に替わった続編は、日本的な怖さが増しているのかと思ったら、完全なオリジナル。それも期待とは違う方向に行っちゃってます。“呪いのビデオ”はもう主役じゃない。“狂う馬”の変形とおぼしきシーンは、特撮のマズさもあって、怖いというより滑稽。どんな役割を担うのかと期待させる登場人物は、みんなチョイ役ですぐに消えてしまう。その反面、サマラは大安売り状態でバンバン登場し、まるでB級ホラー映画。ゾッとする怖さは皆無で、急に出てきて驚かせるばっかりなんです。 俳優は頭を抱えてうめきたくなるようなプロットと脚本と特撮に似合わず、かなりのレベルの高さ。ナオミ・ワッツはその美貌を武器にしない熱演だし、デビッド・ドーフマンは病的なまでに精神の成熟した少年と、鳥肌の立つような人なつこさを見せる気味の悪い子供キャラの2つを巧みに演じ分けています。ああ、もったいない! 「サマラはもう出て来ないわ」とレイチェルが言います。ほんとかしら? また続編ができちゃうんじゃないの? それなら、もっとチープな俳優を使って、アメリカ~ンなびっくりホラーの道を歩んでいって欲しいですね。
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浅倉薫 東京生まれ。太平洋沿いの大都市を転々とした後、2002年にシアトルに流れ着く。文系思考の研究員、理系思考のマーケター、勉強ギライなUW生、などの過去を背負う不良主婦。自称“面食い”だが、その基準が普通じゃないと言う人も。現在のごひいきはジョニー・デップ。 |
The Ring Two
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
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