第94回 「Four Brothers」 監督:ジョン・シングルトン 出演:マーク・ウォールバーグ、タイリス・ギブソン、アンドレ・ベンジャミン、ギャレット・ヘドランド 公開日:8月12日(金) レート:R 公式ウェブサイト:www.fourbrothersmovie.com | |||
『ゆうマガ』に映画レビューを書かせていただくのは、残念ながら今回が最後となりました。「有閑マダムを目指すぞ!」宣言と共にアメリカへ来たのに、結局「不良主婦」のまま帰国するらしい運命に、自分の限界を感じる今日この頃。皆さん、いかがお過ごしですか? 浅倉薫です。 今回ご紹介する映画は「Four Brothers」。ある晩、コンビニエンスストアに強盗が押し入り、居合わせた客の老婦人が射殺されます。彼女の葬儀に集まり、その死を悲しむ4人の男。互いに全然似ていないどころか肌の色さえも違う彼らは、不幸な境遇から彼女の元に引き取られた養子達。彼らの悲しみと怒りは深く、養母を殺した犯人を見つけ出して復讐しようとします。リーダーシップを取っているのは熱しやすい年長のボビー(マーク・ウォールバーグ)。彼の右腕となるのはエンジェル(タイリス・ギブソン)。一番年下のジャック(ギャレット・ヘドランド)も、頼りないながらも2人の兄と行動を共にします。ところが、妻子と素敵な家に住んでいるジェレマイア(アンドレ・ベンジャミン)は、どうもノリが悪い……。 ギャングやチンピラがウヨウヨしている、どう見ても豊かには見えない場所で、派手なバイオレンスが次々と繰り広げられます。プロットに取り立てて言うほどの目新しさもなければ、演技に目をみはるような俳優もいません。でも、なぜか退屈はしないんです。養母のために養子達が復讐するという設定の必然性もあまりないのですが、強いて言うなら、理想の母親像と、それを中心にして、血縁以上に濃い仲間意識に支えられた男同士の連帯感を描くのに都合が良かったのかもしれません。荒っぽい言葉のやり取りや暴力がテンコ盛りの一方で、(恋愛抜きの)男のメロドラマを配することで緩急を持たせているところは、“職人芸”と呼びたくなるような作りです。 心から涙を誘われたりドキドキしたりはしないものの後味は悪くなく、ひとときのカタルシスを得るのに格好の映画のひとつでしょう。似たような質の映画が山ほどある中で、そこからあえて抜け出そうとしていないところも、かえって好感度は高いかと。いいんじゃないでしょうか。こういう映画も存在価値はあると思います。 | |||
浅倉薫 東京生まれ。太平洋沿いの大都市を転々とした後、2002年にシアトルに流れ着く。文系思考の研究員、理系思考のマーケター、勉強ギライなUW生、などの過去を背負う不良主婦。自称“面食い”だが、その基準が普通じゃないと言う人も。現在のごひいきはジョニー・デップ。 |
Four Brothers
- 12/07/2020
- とれたて!映画レビュー
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