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【番外編】さぁ、家族で行ってみよう。初めてのキャンプ! ~シアトル近郊編~

アメリカ・ノースウエスト自然探訪
2012年06月号掲載 | 文・写真/小杉晶子

子供もキャンプのできそうな年齢になってきた。せっかく自然豊かなノースウエストに住んでいるのなら、家族の夏の思い出作りとして、キャンプに挑戦してみよう!

ダンジネス・スピット自然保護区キャンプ場
▲真っ青な空と真っ青な海。向こうに貨物船がボーッ。ビーチでボーッ

場所選び

ノースウエストには数多くのバラエティーに富んだキャンプ場があるので、まずどこへ行くかという選択にぶち当たり、迷う人も多いでしょう。何を見たいか、何をしたいか、どんなメンバーで行くのかによって場所選びも違ってきます。今回は、初心者の子供連れキャンパーにぴったりのキャンプ地をご紹介します。

最初の訪問地は、車でそう遠くなく、それでいて近過ぎない2、3時間で行ける範囲が良いでしょう。キャンプ場も国立公園(National Park)、国定公園(State Park)、民間に大きく分かれます。それぞれ規則も違ってくるので、ペットはOKなのか、シャワーは付いているのか、宿泊料金、RVキャンプはできるのかなど、事前の情報収集も必要です。

日本のキャンプ場に比べてアメリカのキャンプ場はきれいに整備されており、水場、ゴミ箱、トイレなども快適に使える環境になっています。ひとつだけ気を付けたいことは、6、7、8月など学校が夏休みに入る時期のキャンプ場はとても込み合います。特に人気な場所での週末の飛び込みキャンプは、まず場所が取れないと思っておいたほうがいいかもしれません。前もってウェブサイトなどで確認し、電話を入れて予約したほうが確実です。行ってみたものの、「満員」という看板が掲げられていることも多いので注意してくださいね。

持ち物

せっかくアメリカに住んでいるのだから、世界的にも有名なイエローストーン国立公園でキャンプを!なんて壮大な旅をしてみるのも良いですが、今まで全くキャンプをしたことがない人は、練習の意味を兼ねてまずは近場で挑戦するのが良いかもしれませんね。

キャンプをするには、たくさんの物が必要になってきます。テント、寝袋、ランプ、キャンプ用コンロ、ファースト・エイド・キットなど最低限必要な物のほか、ラジオ、ポケット動植物図鑑、折り畳み椅子などを持って行くと便利です。わたしの経験では、ウェットティッシュは絶対便利な必需品! 逆にキャンプ用フライパンは使わないなど、何度もキャンプする度にいる物といらない物がわかってきました。自分に必要な物を知り荷物の調整を行なっておけば、大きなキャンプをする際もスムーズに過ごせると思います。荷物が多いのは大変ですからね

家族連れにオススメ

今回紹介する場所は、ワシントン州オリンピック半島北東部にある、ダンジネス・スピット自然保護区キャンプ場です。5.5マイルの長い砂州が有名なダンジネス・スピット(日本の天橋立のような砂州)のそばにあるキャンプ場で、セクイム市に隣接した便利な場所にあります。場内には子供が遊べる広場もあり、キャンプ・サイトの数が多いのも人気の理由です。

キャンプの目的として、料理に凝る人、あちこち見て歩き回りたい人、ゆっくり焚き火をしながらおしゃべりに花を咲かせたい人など、それぞれに時間の過ごし方が違いますが、ここのキャンプ場はどのタイプの人でも楽しめるようになっています。通常のキャンプ場は町から離れている所が多いため、生ものを料理しようと思ったらクーラーボックスに氷を詰めて、と荷物が多くなりますが、ここはテントを張ってからでも「ちょっと買い物へ行ってくる」ということができる便利な場所にあるため、1週間くらいのキャンプでも、食料や水を気にする必要がありません。

見どころ

あちこち見て歩きたい人は、砂州の最先端にある灯台を目指して5.5マイルの砂浜を歩いても良いですね。キャンプ場内にはトレイルもあるので、犬を連れて歩くのも気持ち良いです。後ろからは2,500メートル級のオリンピック山脈が押し迫ってくる、迫力ある光景と広い草原、そして海沿いのトレイルから臨むオレンジ色の大きな夕日は見逃せません。

緑の中を歩きたい人は、車で15分ぐらいの所にある、オードュボン(アメリカの野鳥の会)によって作られた野鳥公園へ行ってはいかが? 沢に架かる大きなつり橋からたくさんの野鳥が見られ、トレッキングもできます。子供達が退屈してきたら、民間の小さなサファリ・パークも近くにあるので、車でちょこっと行ってみても良いでしょう。

キャンプ場に隣接しているセクイム市は、夏のラベンダー畑も有名です。7~8月に掛けて紫色のラベンダーが咲き乱れ、広大な敷地にこんもりとしたラベンダー畑が延々と続く光景は、まるで天国のお花畑のようです。7月中旬からラベンダー・フェスティバルも開催されるので、その日程に合わせて行くのもオススメ。畑内は有料になっている所が多いですが、写真を撮ったり、ラベンダーのポプリなどを売っている土産店をのぞくのも楽しいものです。

もう少し時間があるのなら、少し足を延ばして隣町のポート・エンジェルスへ行ってみるのも良いでしょう。ポート・エンジェルスからは、オリンピック山脈へと続くハイウェイを1時間ほど上がった頂上にあるハリケーン・リッジへもアクセスできます。1時間ほどの距離ですが、標高2,500メートルにある環境の中で、マーモットなどの動物や高山植物を見ることができ、運が良ければなかなか見ることのできないボブキャットに遭遇することもあります。6月だとまだ雪がたくさん残っているので、分厚いコートもお忘れなく。
このように、ダンジネス・スピット自然保護区キャンプ場は、海を堪能し、車で約1時間半ほど飛ばせば雪山を堪能できるおもしろい場所にあり、砂州から草原・湿地帯・川・高い山脈と小さい地域にバラエティーの富んだ自然環境が凝縮されています。適度な町の大きさで、買い物に便利な点も良いですね。

この夏、すばらしい自然環境をぜひ子供に体験させてあげてください。

ダンジネス・スピット自然保護区キャンプ場
▲砂州の端にある灯台。ここまで歩いた人はエライ!!
ムール貝
▲近くのスーパーで冷凍のムール貝を買ってすばやく料理。野外で食べるシーフードは最高!
ダンジネス・スピット自然保護区キャンプ場▲キャンプ場内のウォーキング・トレイル。草原の向こうには大きな山脈がある
大きなつり橋のある野鳥公園▲大きなつり橋のある野鳥公園。緑と川のせせらぎがとても気持ち良い場所
ダンジネス・スピット自然保護区キャンプ場
▲長い長い砂州。勇気のある人は先の灯台まで歩いてみよう!




Information

■ダンジネス・レクリエーション・エリア
ダンジネス・キャンプ場の情報が入手できる。
Dungeness Recreation Area
www.clallam.net/Parks/Dungeness.html
■オーデュボン野鳥公園
キャンプ場からすぐのダンジネス川沿いにあるウォーキング・トレイル。
Dungeness River Audubon Center
www.dungenessrivercenter.org
■ハリケーン・リッジ
オリンピック国立公園内にあるハリケーン・リッジ。キャンプ場から頂上のハリケーン・リッジまでは、車で1時間。6月でも雪山を体験できる。
Hurricane Ridge
www.nps.gov/olym/planyourvisit/visiting-hurricane-ridge.htm
■セクイム市ウェブサイト 
ラベンダー・フェスティバルの情報もあり、見所をたくさん紹介している。
Sequim Tourism
www.visitsunnysequim.com
■オリンピック・ゲーム・ファーム
Olympic Game Farm
キャンプ場近くにある、小規模なサファリ・パーク。
www.olygamefarm.com

(2012年6月)

Akiko Kosugi Phillips
サウス・シアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学(Landscape & Horticulture)の学位を取得。シアトル日本庭園でのインターンシップ、エドモンズ市の公園課での仕事経験を経て、現在は、小杉剪定サービスとして庭の手入れを行うビジネス・オーナー。年に2回ほど小杉礼一郎氏の代わりに「ノースウエスト自然探訪」の執筆を務める。