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ロング・ドライブで自然探訪(2)

アメリカ・ノースウエスト自然探訪
2003年12月号掲載 | 文・写真/小杉礼一郎

ノースウエスト周辺の自然溢れるデスティネーションにまで及ぶ、エコ・キャラバン隊の探訪先。
この“外野”の紹介に先立ち、今回も引き続きロング・ドライブ時のtipをお伝えしよう。

キャラバン中のtips

一度走り出すと、車を止めるのがおっくうなのが人の常。しかしビュー・ポイントや撮影ポイントなどの見どころに、こまめに立ち寄ってみよう。分水嶺、州境でのサイン・ボードを入れて撮影した写真も後日の良い思い出となる。

道順に関しては、午前・午後の出発前に3インチ×3インチの『Post-it』に道路番号、右左折、Exitの番号をメモして、インパネに張っておく。特に車を止められないハイウェイの分岐点で慌てなくてすむ。書き方はこうだ。


ドライブ時の注意事項

ドライブ中の注意などは、アメリカでのドライブに関する日本語のガイドブックに多く書かれている。安全について、隊長からのひとつのアドバイスは「常に良い視界を確保する」ということ。ワイパー・ウォッシャーが正しく働くようにしておくことのほか、給油時にはガラスを拭き、ヘッドライトの汚れも落とすように。陽射しの強い時はサングラスをし、朝日や夕日などがまともに差す場合は食事なり、早めに休憩を取るなりしてやり過ごそう。

また、特に初めて走るルートでは、サインを見落とさぬためにも大型車の後ろに極力付かないようにする。“視界の確保”を心掛けることによって危険や障害、ルートをより早く察知でき、減速や車線変更をスムーズに行うことができる。もっとも、車窓の素晴らしい景色も堪能できるので、くれぐれもわき見運転には気を付けるように……。老婆(爺)心?

そして天候。雨、霧、雪などの悪天候の時は安全な速度で運転することはもちろんだが、晴天時に気付かないのが“風”。強風の時も、安全な速度までスピードを落とすこと。特に切り通しや大型車の追い越し時には気を付ける。

クルーズ・コントロールについては、直線で車の少ない時のほかは意外と出番がない。むしろ、ついスピードが出がちな状況でのスピード違反防止法として活用できる。


▲ロング・ドライブで訪れてみたいグレーシャー国立公園


食事は柔軟・ヘルシーに

ロング・ドライブでの食事は時間・内容とも、ついつい不規則になりがちだけれど、食べることを積極的に楽しもう。天気のいい、すがすがしい日はレスト・エリアに車を入れ、そこにあるピクニック・テーブルにテーブルクロスを掛けて食事を。ドライブ・スルーで仕入れた食べ物のほか、クーラーボックスに入れて持参した飲み物、果物などを並べる。空気が最良のアペタイザー、これが本当の“外食”だ。

レストラン、テイクアウト、自炊……。時間、天候、景色、体調を見ながら柔軟に、そしてヘルシーに食べることを心掛けよう。いつも簡単に食べられるスナックやバナナなどの果物も忘れずに用意。そしてクーラーボックスには飲み物、水、ヨーグルトなどを常備する。氷はどこでも補充できる。間食は甘いものが続くとつらいので、塩味などの日本のお菓子などもあるといいだろう。

レストランでの食事が続くと、キャンプでのお茶漬けがお腹を休ませてくれることもある。食べることを楽しみつつ、食事で疲れないように。ちなみにキャラバン料理の要はいかに“おいしく手を抜くか”だ。


▲グランドティトンの美しい景色

▲訪れた場所を表す看板と一緒に写真を撮っておくと、旅の記念になる


東へ、途中の見どころ

雨が続く冬の夜の楽しみは、地図を取り出し、来たるシーズンのロング・ドライブの案を練ること。春、夏、秋のロング・ドライブに適したノースウエストの東に位置する自然探訪デスティネーションには、グレイシャー国立公園、イエローストーン国立公園がある。

溜息が出るほど美しい山や湖を見られるグレイシャー。人間が住む世界とは別天地の野生の王国、イエローストーン。これに続くグランドティトンはイエローストーンからの、あるいはそこへ行く途中の見どころというよりも、イエローストーンと同格で、はっきり別のデスティネーションだと位置付けたい。映画のシーン、絵葉書の風景の一部分となって、あなたも歩いてみよう。

グレイシャー国立公園へ向かう際に利用する幹線はI-90だが、コードレーン(Cour d’alene)から北へ2号線を使ってみるのもいい。時間はさほど変わらないし、北辺の深い森林を抜ける古道はとても気持ちが良い。

イエローストーン国立公園へ向かうルートは、I-90からと南のI-84からとがある。途中の見どころにはオレゴン・アイダホ州境のヘルズ・キャニオンがあるが、誰もが気安く立ち寄れる場所ではない。ここを訪れるには丸1日を要するのだ。グランド・キャニオンよりさらに600メートル深い谷(深さ2,400メートル)は淡い緑で覆れている。延々と続く深い深い谷は、太平洋から東へ向かう際、ここでいったん「地の果てへ着いてしまった」と思うほどの、そんな景色だ。

さらに東ではソートゥース・ナショナル・レクリエーション・エリア(Sawtooth National Recreation Area)とクレータース・オブ・ザ・ムーン・ナショナル・モニュメント(Craters of the moon National Monument)も訪れるに値するドライブ・ルートだ。I-101での見どころは、オレゴン・コースト、オレゴン・デューン、レッドウッド国立公園。I-97、I-395沿いではセントラル・オレゴン、クレーター・レイク、クラマス・フォールズ野生生物保護区、ラッセン火山国立公園などを勧めたい。きっとアメリカの自然を広がりのあるものとして実感できるだろう。

Information

■道路・交通情報
 ●ワシントン州:www.wsdot.wa.gov
 ●オレゴン州:www.odot.state.or.us
 ●アイダホ州:www2.state.id.us/itd
 ●モンタナ州:www.mdt.state.mt.us
■天気予報
 ●Yahoo! Wheather:http://weather.yahoo.com

■国立公園の情報
 ●グレイシャー国立公園:www.nps.gov/glac
 ●イエローストーン国立公園:www.nps.gov/yell
 ●ヘルズ・キャニオン・ナショナル・レクリエーション・エリア:www.fs.fed.us/hellscanyon

Reiichiro Kosugi
1954年、富山県生まれ。学生時代から世界中の山に登り、1977年には日本山岳協会K2登山隊に参加。商社勤務を経て1988年よりオレゴン州在住。アメリカ北西部の自然を紹介する「エコ・キャラバン」を主宰。北米の国立公園や自然公園を中心とするエコ・ツアーや、トレイル・ウォーク、キャンプを基本とするネイチャー・ツアーを提唱している。