春の風物詩、エベレットで住めると・フィッシング
桜の満開と時を同じくして、スメルト(ワカサギの一種)釣りの季節を迎えるノースウエスト。ぽかぽか陽気につられ、旬のスメルトを釣りに、シアトルから北へ30分のエベレットに向かった。
スメルト・フィッシングに必要な物は、釣り竿(6フィートくらい)、仕掛け、おもり、釣ったスメルトを入れるバケツ、といたってシンプル。仕掛けは日本でもお馴染みの「がまかつ」社製で、1本の糸に小さな7つの針が付いているものをいつも行く釣り具屋さんで約4ドルで購入。魚を呼び込むためにまき餌をまく人もいるが、いったん釣れ始めると、餌など全く必要がないほど、じゃんじゃん釣れる。その他、雨が降る日はそれなりの対策は必要となるものの、スメルト・フィッシングはとても簡単に楽しめるのが魅力。ただ、ライセンスは常に見えるところに表示すること。釣り具屋さんのおじさんいわく、突然パトロールが現れて、ライセンスを持っていなかった釣り人全員に違反チケットを切っていくこともあるという。
日本でワカサギ釣りといえば、厚い氷の張った湖の上に小さな穴を開けて、そこから糸をたらして釣るのが一般的な釣り方だが、ここでは河口付近のピアなどで大量のスメルトが簡単に釣れる。ただ、時間帯などによっては、同じ場所でも全く釣れないこともある。そんなところが、釣りの奥の深いところなのだが、今回訪れたエベレット・マリーナでも、辺りで釣りをしていたほとんどの釣り人が、数十分釣っても竿に当たりがないことがわかると、長居をせずに次のポイントに動いて行ってしまう。地元の釣り人によると、スメルトを釣るのに一番良いとされている時間帯は満潮になる前の水位が上がってきている時で、潮に押されてマリーナの中までスメルトの群が入ってくるのだそうだ。
このマリーナでは、遠投のキャスティングによって停泊している船を傷つけるのを防ぐため、オーバーヘッドでのキャスティングが禁止されている。実際、スメルトは足下付近まで来るので、そんなに遠くに投げなくても釣れるのだが、釣れない時間帯に竿を下ろしていると、遠くに投げたくなる気持ちはわかる。しかし、ルールはルール。それぞれのポイントでの決まりは前もって確認してから釣りに挑もう。
さて、待ちに待ったスメルト・フィッシングを始める。10メートル先を目掛けて仕掛けをキャスティングし、軽く竿をあおって重りが沈むのを待つ。後は、少しずつしゃくっては、たるんだ分を巻き上げることを繰りかえすだけ。スメルトが喰いつくとしゃくった時におもりとは違った感触を感じられるので、それを一気に巻き上げる。体長は10~20センチほどで、最初の頃は掛かったかどうかがわかりにくいが、しばらく釣っていると次第にコツがつかめてくる。針には返しが付いていないので、スメルトに引っ掛かっている針を持ち、バケツの上で逆さに持って揺すると簡単にはずすことができる。返しがないこの針は、魚にあまりダメージを与えないので、スメルトは家に帰って料理をするまでバケツの中で泳いでいる。
スメルトはサーモンを釣るための餌にもなるそうだが、ここはぜひ食していただきたい。スメルトはさばいてお刺身にしてもよいし、同量の醤油、みりん、砂糖でコトコトと煮る甘露煮など、様々な料理の仕方がある。一番のオススメは生きたままのスメルトに小麦粉をまぶして揚げるスメルト・フライ。ホクホクの新鮮なスメルトを手軽に堪能できる調理法だ。ノースウエストの春の風物詩であるスメルト釣り、例年は4月いっぱいは釣れるとのことなので、それまでにぜひチャレンジしてもらいたい。
(2004年3月 取材/文・石橋知典)
■エベレット港の詳細 | |
■ Port of Everett Marina Facilities and Services ウェブサイト: エベレット・マリーナ内でのスメルト・フィッシングに関するルール The Jetty Landing Fishing Dock(エベレット港湾局所有の釣り桟橋情報) (以上の情報は2004年執筆当時のもの) | |
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