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ワシントン州のワイナリー

ノースウエストでアウトドア

ヤキマ地方へ、週末のワイナリー探索

ヤキマ・バレー周辺は28ヵ所のワイナリーが点在し、ちょっとした観光もできる場所。シアトルからの日帰り旅行として、家族や友達と出掛けてみてはいかが? ワシントン州のワインは、日本を含め、アメリカ国外ではあまり知られていないので、これを機会に自分好みのワインを発見して欲しい。

セージランド・ビンヤード

ワイナリー
ワインの仕込み風景
ワイナリー
テラスでのランチ

I-90を2時間ほど東に向けて走り、I-82で南下すると、急に辺りは荒涼とした準砂漠地帯に一変する。長い坂を上り終わったところにある見晴台からは、エレンズバークの町やノース・カスケードの山々の雄大な景色を楽しめる。ここからヤキマ市内に入るまでは、ほとんどが米陸軍の演習地となり、荒涼とした丘が連なっている。ワイナリー群は、ヤキマより20マイルほど南、ジラー周辺から始まる。

I-82を40番出口で降りると、左側の丘の一角にブドウ畑に囲まれた建物が見える。ここは最近Sagelands Vineyardsと名前は変わったが、以前はStaton Hillsとしてよく知られていた。ワインの生産工程は見学できないが、広々とした試飲ルームでリラックスしながら各ワインを味わえる。個人的に、ここのMerlotが気に入っているので、いつも箱で買い込んでしまう。テラスでランチを取ることも可能で、見渡す限り広がるブドウ畑や標高約3,700メートルのアダムス山の雄大な風景を酒の肴に、ワインと食事を堪能できる。

ボンエア・ワイナリー

再度I-82に戻って52番出口で降り、ジラーの町に入る前にCheney Rd.を左折し、Highland Dr.でまた左折して、しばらく行くとBonair Rd.に行き着くので、ここを左折した突き当たりが私のいちばんお気に入りのワイナリー、Bonair Wineryである。

趣味が高じてワイン造りの道にはまり込んだパーイヤーさん夫妻が経営する、こぢんまりとしたワイナリーだが、行くたびに施設が大きくなっているので人気のほどが伺える。ここでは、ブドウ畑も自由に見学でき、生産工程も奥さんのシャーリーさんがユーモアを交えて説明してくれるので、ワインを知らない人でもワインがわかった気分にさせてくれる。私はここの白ワインが好きなのだが、彼女が独自の発想で造り出した「Sunset」と呼ばれるブレンド・ワインや、ハチミツが原料の「Mead」というワインは、さっぱりとした味でおいしい。ちなみに、古代のエジプトやギリシャでは、ハチミツから造り出されたワインが主流だったと言われる。Bonair Wineryの限定品なので、ぜひ手に入れたい。芝生の庭にはガゼーボやピクニック・テーブルも用意されているので、ランチを持参しても良い。

ハイアット・ビンヤード

ワイナリー

庭は花が咲き乱れ、展望も抜群
ワイナリー
広大な畑でたわわに実ったぶどう

Bonair Rd.を北に進み、Gilbert Rd.で右折、しばらくして右側の丘に見えてくるのがHyatt Vineyardsである。道の両側には、よく手入れの行き届いたブドウ畑が広がっている。庭には風車や花畑があり、まるで公園のよう。ここでは、ワイン造りに独自栽培のブドウのみを使っており、MerlotやCabernet Sauvignonは、全米にその名が知られている。私のお気に入りは、厳選されたブドウのみを原料としたChardonnayや、晩秋の霜が降りる頃まで熟成させ、糖分をたっぷり含んだブドウを使ったアイス・ワインと呼ばれる食後用のワインである。ワインの生産工程も、気軽に案内してもらえる。美しい庭から眺めるカスケードの山々や、ヤキマ・バレー一帯のブドウ畑の風景は、目を見張るものがある。

1日ではとても回りきれないので、何度も訪問し、隠れた高級ワインを発掘したい。ヤキマ地方を含め、ワシントン州のワイナリーは規模こそ小さいが非常に上質のワインを造っており、ワイン・コンテストでも数々の好成績を納めている。生産量に限度があるため、Ste. Michelle以外ではほとんど輸出していない。ワインについてあれこれと講釈を言わず、有名だとか高額だからおいしいんだろうという先入観は捨て、自分がおいしいと思えるワインを見つけることが大切。ワインは頭で飲むのではなく、舌で味わうものだということを忘れずに。ちなみに、ワシントン州はフランスのように年によって天候が不安定ということはなく、常に良質のブドウが収穫できるため、ワインの生産年にはあまり左右されない。

(2004年4月 文・新井和雄/情報は執筆時点のもの)

■ワイナリーの詳細

■Sagelands Vineyards
セージランド・ビニヤード

71 Gangl Rd., Wapato, WA 98951
TEL:1-800-967-8115
ウェブサイト:www.preceptwine.com/our-wines/sagelands/

■Bonair Winery
ボンエア・ワイナリー

500 S. Bonair Rd., Zillah, WA 98953
TEL:1-800-882-8939
ウェブサイト:www.bonairwine.com

■Hyatt Vineyards
ハイアット・ビニヤード

2020 Gilbert Rd., Zillah, WA 98953
TEL:509-829-6333
ウェブサイト:www.hyattvineyards.net

(以上の情報は2004年執筆当時のもの)

知っておきたい! ワイナリーTips
1 どこのワイナリーを訪問したらいいのかわからない時は
最初に紹介したワイナリー、Sagelands WineryはI-82沿線にあるので、すぐに見つかる。まずは、ここでワイナリー・マップを手に入れること。特に目的とするワイナリーがない場合は、この地図を頼りに無差別に行き先を決めてみよう。あまり知られていないワイナリーでも、自分に合ったワインに出くわすかも。また、たまたま行ったワイナリーで、自分が今まで飲んでいたワインに出合った時などは、何となくうれしくなってしまう。

2 試飲の仕方
ワイン・グラスはグラスの下の方をつまむように持ち、ワインが入っている部分には触れない。くるくるとグラスを回し、グラスの内側に付いたワインのたれ方で、ワインのコクの良さを確認。そして、グラスに鼻を近づけ、ワインの香りを味わう。そうして、いよいよ飲む訳だが、味噌汁を飲む要領で空気も一緒に吸い込み、ズル~ズル~と音を立てながら口に入れる。この時、しばらく飲み込まないで、口の内側のいろいろな所に触れさせて、ワインの味を感じるのである。終わったら、飲み込む代わりにパッと吐き捨てる。これは、試飲する度に飲んでいると酔っ払ってしまうため。パンのかけらやクラッカーを食べ、口の中を中和させてから、次のワインへ進む。

3 箱買いで割安に
1ダースまとめて購入すると、どのワイナリーもディスカウントしてくれるので、仲間と行った時などは、みんなで12本を共同で購入し、後で分ければ良い。

4 知ったかぶりは、ほどほどに
文中でも書いたが、頭で飲むと楽しさは半減。くれぐれも生半可のワインの知識をべらべらしゃべって、周りの人達の迷惑にならないように。ワイン通気取りの講釈は、まずいワインよりも嫌なものだ。