マウント・レーニア国立公園のアウトドア

四季折々の大自然を満喫

マウント・レーニア国立公園

Mt. Rainier National Park （ワシントン州西部MAP1・E3）

場所：39000 State Route 706 E., Ashford
TEL：360-569-2211
URL: www.nps.gov/mora/
交通：I-5を南下し、512号線、7号線、706号線を経由して東へ。シアトルからは車で約3時。
料金：車1台$30

マウント・レーニアでのハイキング体験

シアトルのシンボルとも言える、標高4,392メートルのマウント・レーニア。常に万年雪におおわれた山頂部分と、富士山にもよく似た姿形から、日系人の間ではシアトル（タコマ）富士とも呼ばれている。毎年何万人もの観光客、登山客が訪れるこの山は、春、夏、秋はキャンプにハイキング、冬はクロスカントリー、スキー（一部、雪のため道路が閉鎖されるところあり）と1年を通して楽しめる場所となっている。マウント・レーニアのハイキング・トレイルは50とも100とも言われ、初心者用から上級者用までコースが多彩で飽きることがない。1ヵ月に必ず1、2回は訪れる私と夫の家族にとって、マウント・レーニアは非常に関わりの深い場所であり、愛しい存在だ。今回は、私達が今までに利用したハイキング・トレイルのうちの2ルートを紹介しようと思う。

「グランド・パーク・トレイル」のコースでハイキングをした日は、シアトルは雨。天気を心配していたが、マウント・レーニアに近づくにしたがって雲が切れ、到着した頃には素晴らしい快晴となっていた。トレイルの道幅は人ひとりが通れるくらいの幅になっており、自然に倒れた木が何本も行く手を塞いでいる。少し面倒だが、木に引っかかって転ばないように注意しながら先へ進む。岩がごつごつしているところもあるので、ハイキング・シューズを履くことが望ましい。ハイキング・コースには小さい湖があり、そこで釣りやキャンプをしている人達もいた。

そして事件発生！　途中でミツバチの巣があり、同行した友人はなんと4ヵ所、義理の父は2ヵ所刺されてしまった。私達が訪れた秋口はイエロージャケットと呼ばれるミツバチが攻撃的になる時期なので長袖、長ズボンは必須である。3時間ほど登ると、大草原とマウント・レーニアの荘厳な姿が目の前に突如出現する。そこで見るマウント・レーニアは、手を伸ばせば届きそうなくらい近くに感じることができ、まさに圧巻。朝に出発したため、時間もちょうど昼時となっており、澄んだ空気と共に食べたランチは格別であった。下を見れば、赤、黄、緑と色とりどりの紅葉、最高の贅沢である。その後は来た道を戻り、約1時間ほどで下山できた。

そして、「ベア・ギャップ～パシフィック・クレスト・トレイル」。1972年にワールドカップ・チャンピオンシップが行われたことで有名なスキー場、クリスタル・マウンテンのロッジ正面左手をリフトに沿って登っていくと、中腹付近からトレイルが始まる。昔、そこが鉱山だった頃の入り口が残るほか、住んでいた7人ともがジムさんだったために「ジム・タウン」と呼ばれた住居跡（今は草むらとなっている）などを見ることができる。このトレイルは、カナダの国境からメキシコまで続く歴史的なトレイル「パシフィック・クレスト・トレイル」に途中から合流。この大陸縦断トレイルを3、４ヶ月かけて制覇するバックパッカーもいるらしい。

このトレイルは素晴らしいコースを誇るクリスタル・マウンテンスキー場を眺めながら、ハイキングを楽しむことができる。時々、トレイルを乗馬をしている人達にも遭遇する。夏から初秋にかけては、アバランチ・リリー（別名シューティング・スター）と呼ばれる星に似た花や、紫や赤の高山植物がトレイル脇に咲き乱れ、とても美しい。樹齢500年を超える巨大なダグラスファーや、ヒノキの木々の香りを吸い込むと気分もリフレッシュし、先へ進む元気が湧いてくる。また、折り返し地点からはパノラマに広がる壮大な山脈を望むことができ、なんとも言えないすがすがしい気持ちになる。私達が訪れた日は曇りだったのだが、途中から晴れ間が見え、シアトル方面一面をおおう灰色の雲や、山間を走る稲妻、雨が降っている所や、晴れている所、まるで自分が天上界から下界を見ているような気分にさせてくれる。富士山登頂をした時に見た景色もそうだったが、これこそ、山のハイキングの醍醐味ではないかと思う。

戻りのルートはパシフィック・クレスト・トレイルからサワードウ・ギャップ、ベア・ギャップを通り過ぎて一周し、クリスタル・マウンテンのロッジへ戻るようになっている。ちなみに、国立公園内をハイキングしていると、パーク・レンジャーと呼ばれる森林警備隊員・公園管理人の人達に出会うことが多いが、彼らの多くは、山、動物、植物に関してのエキスパートなので、質問があれば、どんどん聞くことをお勧めする。準備していくものはバックパック、タオル、ハイキング・シューズ、水、ゴミ袋、パワーバー（チョコレートなどちょっと口にできるもの）が好ましい。

つい最近、ハロウィーン後の週末に行った際は大雪だったが、「クリスタル・マウンテン・ロッジング・スイーツ（Crystal Mountain Lodging Suites）＊①」というコンドミニアム・タイプのホテルに1泊したので、窓から見える夜の雪景色を楽しんだり、翌日、子供達はクリスタル・マウンテン・スキー場でそりに乗って遊んだりと、シアトルでの初雪を満喫した。これから始まるスキー・シーズンには、今年も毎週末泊まり掛けでマウント・レーニアに行く予定だ。

＊①2017年時点では名称が「シルバー・スキーズ・シャレー」となっている。
ウェブサイト：www.silverskischalet.com

Christine Fallsなど、美しい滝が多数。冬場は滝の水が凍り、幻想的な景観が楽しめる

Reflection Lakesの水面に映る紅葉

（2003年11月　文・石渕裕子 / 情報は執筆当時のもの。ウェブサイトへのリンクや料金は2017年6月に更新）

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