■ ダウンタウン・シアトル、ワシントン州西部の観光地図(MAP1、MAP2) »
©Jim Maya
オルカス島でゆったりリゾート巡り
ピュージェット・サウンドは、シアトルからカナダのバンクーバーにかけて、700を超える大小さまざまの島が点在し、世界でも有数の自然美を作り出している。周囲をオリンピック山脈、カスケード山系に防波堤のように守られ、太平洋から奥深く入りこんだ内海は波が静かで、マリン・スポーツ、レジャーに最適。アメリカ国内は元より世界中からの観光客が後を絶たない。各島へのアクセスも、ワシントン州フェリーが充実している。
イースト・サウンド・ビレッジ ~ ロザリオ・リゾート
本土側のアナコーテスの町からフェリーで1時間15分ほど。夏のシーズン中はフェリーが非常に混み合い、待ち時間が2時間以上になることもあるので、朝早めにフェリーに乗ることを勧める。ちなみに、冬は総人口が5万そこそこなのに、8月には25万人に膨れ上がるとか(*①)。フェリーは最初にロペス島に立ち寄るので、間違って降りないこと。青々と澄み切った海は信じがたいほど静かで、運が良ければこの辺にたくさんいるオルカの家族に遭遇することもある。北東の遠方にはカナダ国境にある標高約3,200メートルのベーカー山、オリンピック山脈、そして島々の崖の上には美しい民家やサマー・ハウスがぽつんぽつんと建っていて、絵に描いたような景色が広がる。
フェリーはオルカス・ビレッジの桟橋に着く。ここより1本道Orcas Rd.を北上し、途中にある道路脇の農場、花畑、牧場、キツネやウサギも見受けられる静かな田舎の風景が楽しめる。13マイルほどで到着するイースト・サウンド・ビレッジは、遠浅で美しくカーブした湾に面しているリゾートの町である。ここはオルカス島では一番人口があり、ホテル、B&B、お洒落なショップが並んでいるので、1時間ほどブラブラするとよい。
この町よりOlga Rd.を7マイルほど南下するとY字道路になり、ここを右に入ると、有名なロザリオ・リゾートに行き着く。時間を調整してここで優雅にランチを食べるのも良い。予算に余裕のある人にはぜひここに1泊することを勧める。少しリッチな気分を味わった後、再びOlga Rd.を戻って右折すると、すぐ右に大きなカスケード湖があり、少し行くとまたY字路になる。左に行くとモラン州立公園とコンスティトゥーション山、右に行くと露天風呂のあるドー・ベイに行き着く。
*① 2004年執筆当時の数字
▲ベーカー山、オリンピック山脈の雄大な景色が目の前に
▲波間にオルカの群れを発見!
ロザリオ・リゾート & スパ |
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造船王と言われたロバート・モランが引退後の住みかとした、20世紀初期を代表する豪華建築が目玉。アメリカの重要歴史的建物として登録されている。アロマテラピーやマッサージが利用できるスパなど、施設も充実。ハイソな気分を味わおう。 ■Rosario Resort & Spa |
モーラン州立公園とドー・ベイの露天風呂
▲塔の上から、海に浮かぶ島々が見渡せる
モーラン州立公園に入り、くねくねとした1本道を上り詰めると、サンファン諸島では一番高い、標高800メートルのコンスティトゥーション山の頂上に着く。頂上には、1936年に築かれた、高さ20メートルほどの石積みの塔があるので登ってみよう。上からの眺めは、言葉では表現できないほど素晴らしい景色である。足下には森林が広がり、ぽつんとあるエメラルド色の湖、地平線の彼方まで広がる紺碧の海、点々と散在する島々、遠方のベーカー山、レニア山が空に浮かんでいるように見える。
再びOlga Rd.に戻り、Doe Bay Rd.に来たら、ここを左折。さほど大きくない道なので見逃さないように。目印としては左折する角の左側にギフト・ショップがある。ここより4マイル行くと、ドー・ベイ・ビレッジ・リゾート(*②)だ。リゾートと言ってもキャンプ場が中心なのでコテージしかないが、目当ての露天風呂でのんびりして欲しい。リゾート内のジェネラル・ストアで入浴料を払い、森の中を200メートルくらい歩くと、丸太小屋が見えてくる。ここが露天風呂だ!
浴槽は3つで、冷水、ぬるま湯、ほどよい加減の湯があり、それぞれ6~8人は入れる。隣り合わせに大きなサウナがあり、ここでもリラックスできる。森林の中ではあるが目の前には海が広がり、すぐ下には渓流が流れている。これこそ、大自然の中の露天風呂である。ちなみに水着着用は本人の自由。日本人の我々が水着を着て入っていると、スッポンポンの地元の人やアメリカの観光客が遠慮なく入ってくるので驚かないこと。当然、男女混浴なので、心と目の準備をして臨もう(行く前から張り切っているのは誰ですか?)。
*② 2017年現在、名称は「ドー・ベイ・リゾート & スパ」
(2004年8月 文・新井和雄 / 情報は執筆当時のもの。ウェブサイトへのリンクや料金などは2017年6月に更新)
ドー・ベイ・リゾート & スパ |
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ボートハウスから出発するシーカヤック・ツアーは、マリン・スポーツ初心者にオススメ。この機会にぜひ挑戦してみては? 露天風呂は(Soaking Tubs)毎日8:00am-10:00pmにオープン。3:00pm-4:00pmは清掃などのため一時閉鎖 。料金は$15。 ■Doe Bay Resort & Spa ▲塔の上から、海に浮かぶ島々が見渡せる |
ピュージェット・サウンドの自然と歴史を探訪
ワシントン州は、人口1人当たりの海岸線が世界一あると言われる(*③)。サンファン諸島を始め、大小の島々を見てもわかるように、ピュージェット・サウンドは複雑に入り組んだ海岸線を有し、ほかでは見られない大自然の美しさを楽しませてくれる。
サンファン島とフライデー・ハーバー
アメリカでも有数のリゾート島と言われているサンファン島は、ワシントン州フェリーでアナコーテスから2時間ほど(ワシントン州フェリーのスケジュール » )。州フェリーはフライデー・ハーバーに入港するが、港に近づくにつれ、丘の上に点々とおしゃれな家がたくさん目につく。普段は静かなこの街も、シーズン中はリゾートらしく、街の至るところにあるギフト・ショップ、ブティック、レストランが大勢の客で賑わう。フェリーを降りてすぐの通りに、スクーターや自転車のレンタル・ショップもあるので、利用しても良いだろう。このほか市内には、鯨博物館、サンファン歴史博物館などがあり、野外コンサートも行われる(シーズン中のみ)。車がある人は市内より、上り坂のSpring St.を2nd Ave.で右折して4ブロックほどで、Tucker Ave.を左折する。この通りはRoche Harbor Rd.につながっており、この1本道を10マイル行けば、やはり有名なローチ・ハーバーにたどり着く。注意しなければいけないのは、島内にガソリン・スタンドは、ここフライデー・ハーバーにしかないので、タンクを満タンにしてから出掛けたい(*④)。市内から3マイルほど行くと、右側にラマの牧場がある(*⑤)。ラマは首が長く、らくだを小さくした羊のような、南米が生息地のかわいらしい動物である。その毛はウールの中でも高級品とも言われる。この辺の景色は素晴らしいが、道路が細くてくねくねしているし、サイクリングの自転車も多いので、よそ見運転で事故を起こさないこと。
Roche Harbor Rd.がWest Valley Rd.に交差するT字路を、右に行くとローチ・ハーバー、左に行くとSan Juan Island National Historic Parkに行ける。ここは歴史的にも面白いところである。1791年にスペイン人の船長が発見して命名された土地だが(スペイン語の名前の島が多い)、1792年にはキャプテン・バンクーバーがこの島をイギリス領と宣言。後の1841年には、アメリカ人船長がアメリカ領と宣言し、以来にらみ合いが続いたと言われる。ついに1859年にはPig War(豚戦争)に発展。Pig Warとは、イギリス領の豚がアメリカ領のジャガイモ畑で撃ち殺されたことが原因と言われる馬鹿げた戦争だ。しかしこれが、1872年にドイツのウイルヘルム1世の仲介で落ち着くまで続いたのである。結果、アメリカ領と決められて現代に至る。そんな訳で、この公園内にはイギリス要塞とアメリカ要塞が残っている。そんな歴史を想像しながらここを見学すると、150年前のことが目に浮かぶはずです。
島の北西コーナーにあるローチ・ハーバーは、ピュージット・サウンドを訪れるヨットやボート愛好家の間で最もポピュラーな寄港地である。ヨット・ハーバーに面して感じのいいレストラン「Roach Harbor Inn(*⑥)」があるので、ランチでも取るとリッチな気持ちになれる。サンファン島には、小さなホテルやたくさんのB&Bがあるので、1泊はして欲しい。この島は通過するだけでなく、のんびりして楽しむところなのである。もし時間がなければ、シアトル市内のピア69から乗るビクトリア・クリッパー号、ユニオン湖から乗る水上飛行機を利用すれば、日帰りでも十分。特に水上飛行機は低い高度を飛ぶので、途中眼下に見える島や海岸線がきれいに見え、フェリーとはちょっと違った風景を楽しむことができる。
*③④⑤ 2004年執筆当時
*⑥ 2017年の時点でRoach Harbor Innの店舗名で営業していない。Roach Harbor Resortには、McMillin’s Dining Room、Madrona Bar and Grillなどのレストランがある。
■Roach Harbor Resort
248 Reuben Memorial Drive
Friday Harbor, WA 98250
TEL : 1-800-451-8910(宿泊)
ウェブサイト:http://www.rocheharbor.com/
▲2時間ほどのフェリーの旅 ©J. Poth
▲サンファン島の玄関口、フライデー・ハーバー ©J. Poth
▲アメリカ本土で一番多く生息するという、サンファン諸島の白頭鷲 ©Sunny Walter
▲ローチ・ハーバー周辺は、お洒落な雰囲気 ©Washington State Tourism
サンファン島の情報と宿泊 |
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サンファン島総合インフォメーション TEL:360-378-5240 サンファン島の宿泊施設■Friday Harbor Suite ■Earthbox Inn & Spa ■Tucker House Inn |
サンファン諸島の情報 |
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サンファン諸島観光局のウェブサイト ■サンファン島 ■オルカス島 ■ロペス島 |
ラコーナ
本土側のアナコーテスでフェリーを降り、州道20号線を南下して6マイルくらい行ったWhitneyRd.で、La Conner Rd.を右折。4マイルで“品の良い街”ラコーナに着く。1800年代から漁港として栄えた場所でもあり、歴史的建物も数多く残っている。最近は倉庫などを改築して、おしゃれなブティックやギフト・ショップが1st St.に沿ってあり、ウインドウ・ショッピングも楽しい。市内の北端にあるパブリック・ピアでは、秋になるとスメルトが簡単に釣れるので、ショッピングの苦手な人は釣り道具を持参して来るといい。慣れた人なら1時間もすればバケツいっぱいに釣れる。大きな駐車場も、道路の反対側にあるので便利だ。
ここからシアトルまでは2時間のドライブ。20号線に戻ってもいいが、La Conner Rd.で左折せず、Chilberg Rd.を直進し、スカジット川を渡って右折したIsland Rd.を通り、I-5までの農道を回りながら行くのもオススメだ。この辺一帯は3月下旬から4月いっぱいまで、スイセンやチューリップの花が咲くことで有名である。4月にはチューリップ・フェスティバルも毎年催され、各地から観光客がたくさん訪れる。本来は花より、本家のオランダを凌ぐとも言われる球根の産地で、庭のある人は球根をお土産に持って帰るのもいいだろう。
2004年9月 文・新井和雄 / 情報は執筆当時のもの。ウェブサイトへのリンクや料金は2017年6月に更新)
【アウトドア】
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