■生活にもっと緑を! 庭やベランダが綺麗で気持ちよくなるコツを、ノースウエスト園芸部長こと小杉晶子さんに教えてもらいます。小杉さんについて »
(2023年1月)
暗い暗い、重い重い灰色の空がのしかかるノースウエストの冬。まるで水墨画のような色のない街の中で、まだまだ続くこの季節をぐっと堪えて時を過ごされているかと思います。しかし、1月中旬頃になると我が家の裏庭にある桜がポツポツと咲き始めます。
Whitcomb Cherry(Prunus x subhirtella ‘ Whitcomb’)は早咲きの桜で、彼岸桜からの交配種になり、ノースウエストでは1月頃から咲き始め、3月頃まで長く咲いています。花は小柄でソメイヨシノほどの華やかさはありませんが、薄暗い冬に明るい桃色の花が際立って美しく見えます。花の少ない時期なので、ハミングバードもここに自分のテリトリーを決めて、毎日ブンブン飛ぶ姿が見られます。
彼岸桜は桜の中でも寿命が長いことで有名で、ポートランドの日本庭園にある立派な枝垂れ桜(彼岸桜)は、75〜80歳だそうですね。日本の岐阜県にある淡墨桜(彼岸桜)も長寿で有名で、約1500年だそうですよ。こぶがたくさんあってでこぼこした幹からも、かわいい花をポツポツ付けて頑張って咲いている姿を見ると、なんとなく「こういう歳の取り方をしたいなぁ」と思います。
まだまだたくさんの樹木は眠っていて、時々、雪やみぞれが降るこの時期に見られる桜は、また格別です。灰色の空の下、冷たい雨の中でも桃色の花を一生懸命咲かせている冬の桜が私は好きです。
▲園芸部長宅のWhitcomb Cherry。枝に吊るした巣箱には、チッカディーが毎年やってきます。
▲桜にとても似てますが、こちらは3月から咲いてくるFlowering Plum。梅の仲間です。
▲時々のぞく青空の下で、桜はひと際輝いています。
▲ポートランド日本庭園の平庭の枝垂れ桜。見頃は例年3月後半から4月です。(写真:Tyler Quinn)
ノースウエストの雨が多い時期の桜は、枝がカビで枯れる現象(ブラウンロット)が必ずと言っていいほど起こります。多少、枯れても桜の木自体が枯れることはまれですが、予防のためにも、できるだけ日当たりの良い場所に植えたいものです。
サウスシアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学の学位を取得。現在は、剪定家として庭園や個人の庭の手入れを行う。趣味はバードウォッチング。