■生活にもっと緑を! 庭やベランダが綺麗で気持ちよくなるコツを、ノースウエスト園芸部長こと小杉晶子さんに教えてもらいます。小杉さんについて »
ノースウエストの植物を知ろう オレゴングレープ
(2022年3月)
まだまだ寒いながらも、早咲きの庭木も咲き出したりして春を感じる季節になってきましたね。冷たい空気が漂う森を歩いていると、大きな針葉樹ダグラスファーの足元で黄色い花が咲いてるのを見かけませんか? これは、ノースウエストに自生する「オレゴングレープ」という灌木です。ヒイラギのようなトゲトゲの葉っぱで、初夏には紫の小さな実をたくさん付けます。
ランドスケープなどでは、公園の植え込みによく使われます。最近、治安が悪くなって空き巣なども多くなってきたノースウエストで、防犯用の生垣を作るのにも最適です。葉っぱがトゲトゲなので、お隣との境目に植え込みとして使うのもいいかと思います。日陰でも悪い土でも育つ強い灌木です。北米全土に自生していますが、ここノースウエストのものは、Mahonia aquifoliumとMahonia nervosaの2種です。
これを剪定する時に目を引くのが、幹内部の鮮やかな黄色い色。昔はこれを染料にしてバスケットなどを染めるのに使っていたそうですよ。
初夏にはたくさんの小さいぶどうのような実を付けるのですが、そのままだとおいしくないのでお砂糖で煮てジャムにします。気が付くと鳥や野生動物にすっかり食べられてしまうので気を付けてください。花の少ない今の時期にはハミングバードが一生懸命蜜を吸っている姿を見ることもできますよ。
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▲ オレゴングレープ「Tall Oregon Grape(Mahonia aquifolium)」の花。
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▲Mahonia aquifoliumは150〜160センチくらいの高さまで成長します。
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▲ 夏になると、かわいらしい実をたくさん付けます。
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▲オレゴングレープ「Dwarf Oregon Grage(Mahonia nervosa)」の葉。こちらは30~40センチくらいの高さまで成長します。
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▲茎や根の黄色はベルベリンという生薬の主成分です。
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オレゴングレープの実と幹の皮や根は、昔から薬用ハーブ、サプリメントとして利用されています。特にオレゴングレープの根に含まれるアルカロイドという成分は、毒性を持ちますが肝臓や胆のうの薬、目薬の原料としても使われています。
サウスシアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学の学位を取得。現在は、剪定家として庭園や個人の庭の手入れを行う。趣味はバードウォッチング。