■生活にもっと緑を! 庭やベランダが綺麗で気持ちよくなるコツを、ノースウエスト園芸部長こと小杉晶子さんに教えてもらいます。小杉さんについて »
(2025年4月)
4月、まだ寒い日々の中に暖かい日が多くなってきて、桜がちらほら咲く季節になりました。時折、サァッと春の嵐が通り抜けるノースウエストの街に桜やプラムの花びらが舞う瞬間を見て、なんとも言えない気持ちになりますね。これが「わび、さび」という感情なのでしょうか。無常、季節は巡っているのですね。
アメリカに住んでいると、時折日本語の表現の美しさに「はっ」とさせられることがあります。花々の咲き終わりを美しく表現した、桜は散る、梅はこぼれる、椿は落ちる、朝顔はしぼむ、芍薬は崩れる、菊は舞う…、昔の日本人は、花ごとに散るさまをこう表現しています。
この時期、春の気温の変化も花に例えて表現します。曇りが続いたなら「花曇り」、暖かくなった次の日に気温が下がると「花冷え」、サァーと時雨が降るのを「花時雨」、どれもノースウエストの少し寒い春にピッタリの言葉ですね。
アメリカでの生活で、日本文化がより美しく浮かび上がる経験を皆さんもされていることでしょう。私はその中でも「季節と密接した日本の文化」を心と体で感じ、日本で育ってよかったと思うようになりました。日本人のお友達と話す時もなるべく日本語の単語を使い、(英単語は混ぜない)メールや手紙で季節の動きや庭に来た鳥、咲いた花を話題にするようにしています。日本で得た自然に対する情緒的感覚は、この上ない宝だなぁとつくづく思うようになりました。

▲紫陽花は「しがみつく」。枯れて茶色になった花もずっと落ちず、茎にしがみついてますね。

▲梅は「こぼれる」。ぽろぽろと小さい花びらが涙のようにこぼれる様子からきています。

▲椿は「落ちる」。花は丸ごと頭からぼたーっと落ちてますね。

▲菊は「舞う」。花が枯れても、そのまま茎に残って、風でゆらゆら舞っているように見えるからです。

▲朝顔は「しぼむ」。

▲雪柳は「吹雪く」。風で散る様子はまさに吹雪です。

花の終わりを表現する言葉は他にもあります。萩は「こぼれる」、牡丹は「崩れる」、雪柳は「吹雪く」、紫陽花は「しがみつく」など。花にまつわる自然の表現も他にもあります。「花嵐」「花風」「花あかり」「花筏」「花霞」 など。
サウスシアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学の学位を取得。現在は、剪定家として庭園や個人の庭の手入れを行う。趣味はバードウォッチング。