■生活にもっと緑を! 庭やベランダが綺麗で気持ちよくなるコツを、ノースウエスト園芸部長こと小杉晶子さんに教えてもらいます。小杉さんについて »
(2022年10月)
ノースウエストの森に入ると、ひと際大きな葉っぱの大木を目にすることがありますね。これは、西海岸北部に自生するビッグリーフメープルと呼ばれる木で、曇りがちで、湿った空気を好みます。学名はAcer macrophyllum(Acer=紅葉属/属とは植物の苗字のようなもの、macro=大きい、phyllum=葉)。名前は知らなくても「あぁ、お隣から毎年たくさんこちらに葉っぱを落とされる木だ」とご存知の人もいるかもしれません。
メープルシロップの取れるシュガーメープルとは違う種類ですが、ビッグリーフメープルからもシロップが取れるんですよ。メープルシロップと同じように40ガロンの樹液から1ガロンのシロップしか取れません。商品化もされていますが、味はシュガーメープルには及ばないようです。古くはネイティブアメリカンが葉を薬として使っていました。
オリンピック国立公園、ホー・レインフォレストの苔に覆われたお化けのような大木。あれがビッグリーフメープルです。苔や地衣類などの着生植物に覆われているのを見ると、他の植物と一緒に生活できる器の大きな木と感じます。
秋には、黄色く紅葉し、たくさんの種をまき散らします。私は、葉っぱを集めて花壇や畑の上に敷き詰め、冬のマルチング替わりにします。4月頃までにはうまい具合に分解されてきますよ。今年の秋は、ぜひノースウエストで紅葉狩りをしてみてください。
▲10月のビックリーフメープル。
▲ ビックリーフメープルはこのように黄色に色付きます。ノースウエストの秋らしい色。
▲ビックリーフメープルは、紅葉属の中で1番大きな葉が生えます。
▲こちらがホー・レインフォレストで有名な苔むしたビッグリーフメープル。
▲園芸部長宅のバインメープル。ビックリーフメープルは、落ちた種から芽を出して大きくなってしまうので、庭にはこちらがオススメ。
ビッグリーフメープルは、かなり大きくなるので、お庭に植えるのはお勧めできません。もし、ノースウエストのメープルを植えたければ、「バインメープル」(Acer circinatum)がお勧めです。色は黄色からオレンジに紅葉し、あまり大きくなりません。
サウスシアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学の学位を取得。現在は、剪定家として庭園や個人の庭の手入れを行う。趣味はバードウォッチング。