■生活にもっと緑を! 庭やベランダが綺麗で気持ちよくなるコツを、ノースウエスト園芸部長こと小杉晶子さんに教えてもらいます。小杉さんについて »
(2022年11月)
そろそろノースウエストは暗黒の季節になってきましたね。街路樹は葉を落とし、日はどんどん短くなり、どんより灰色の空。街から色がどんどんなくなっていくこの季節にひと際輝く灌木があります。その名もビューティーベリー(Callicarpa bodinieri)。
陰気な庭と化したノースウエストの秋にまるで宝石のように美しい実を付けるこの灌木。見たことありますか?そうです、日本では「ムラサキシキブ」と言い、品種は少し違いますが、まさに紫の実をたくさん付けます。樹形はあんまり美しくないし、花も地味でいまいち。葉の紅葉もまぁ、と言ったところですが、この時期に、庭の隅でこの美しい実を見ると「ドキッ」としてしまうほどです。
アメリカでは南部から南東部に自生するもので、昔からネイティブアメリカンが虫よけに使用していたそうです。実をすりおろして手足に付けると蚊などが寄ってこないとか。
日本では、鳥に食べられる被害もあるようですが、シアトルの庭には誰も食べに来ないし、雨の中、きれいな姿を見せてくれています。
非常に丈夫で、土も選ばず、虫も付かず、お手入れが簡単です。背丈も大きくならないですし、夏の乾燥にも結構強いです。フラワーポットでも、盆栽でも育てられますよ。今の時期、お庭に何か違う色を加えたいなら、ぜひ、ビューティーベリーを植えてみてください。
▲日本のムラサキシキブ。
▲ アメリカのビューティーベリー。日本のムラサキシキブとほぼ見分けがつきません。
▲ムラサキシキブの仲間「シロシキブ」。
▲ビューティーベリーの花は小さくて地味。いつ咲いているのか気が付かないぐらいです。
▲庭で楽しむだけはもったいない。葉を落として実だけにして、リースやフラワーアレンジメントなどに使うと、とてもきれいです。
フロリダの方では、ビューティーベリーの実をジャムにして食べるそうです。そして、日本のムラサキシキブも一応は食べられますが、さほどおいしくはありません。
サウスシアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学の学位を取得。現在は、剪定家として庭園や個人の庭の手入れを行う。趣味はバードウォッチング。