庭は家族でリラックスできるアウトドア・リビング。しかし、水や化学薬品を使い過ぎると環境にも健康にも悪い影響を与えかねない。誰でもすぐに始められる、クリーン&グリーンな庭の手入れ方法をわかりやすく紹介!
- 1 第1回 雑草コントロールは健康な土作りから
- 2 第2回 あなたの庭に適した植物の選び方は?
- 3 第3回 植物を健康に育てる、上手な水の使い方
- 4 第4回 殺虫剤、除草剤を使う前にまず考えることは?
- 5 第5回 環境を保護する自然な芝生の手入れ
- 6 第6回 コンドミニアムでも手軽にベランダ・ガーデン!
- 7 第7回 来年のガーデニング・プランを練ろう
- 8 第8回 四季を通じての自然な庭の手入れ
- 9 第9回 自然な庭の手入れで苔のコントロール
- 10 第10回 ペットの排泄物の処理による環境汚染の防止法り
- 11 第11回 豊かな土壌で野菜作り
- 12 第12回 家庭菜園の新鮮な野菜を食卓に
- 13 第13回 有機質肥料を使った自然な手入れ
- 14 第14回 ネイティブ・プラントで自然保護
- 15 第15回 更に手間ひまいらずのガーデニングで余暇も楽しむ
- 16 第16回 日陰でも強く美しく咲く植物
- 17 第17回 初秋に植えて晩秋には花が咲くさまざまな球根
- 18 第18回 庭木・植木の剪定(せんてい)の仕方
- 19 最終回 寒さに強く、屋外でも元気に育つさまざまな植物
第1回 雑草コントロールは健康な土作りから
今年の春は寒くて雨ばかり。やっと暖かくなったら、緑の芝生が黄色いタンポポでいっぱいに! 何とかしようと化学薬品を使いまくる前に、よく考えてみてください。その過程で良い虫までも巻き添えにし、さらに、雨によって化学薬品が地下水へ流れ出し、川、湖、そして魚を汚染、飲み水にも影響します。
家族、子供、ペットの健康維持、環境保護を考え、エコな方法で雑草をコントロールするにはどうすれば良いでしょう。手に負えない庭になってしまった場合は、古い芝をすべてはがし、新しい芝に張り替えるか、種を蒔くかする。または、代わりに砂利を敷いて石庭風にしたり、あるいは苔庭にしたり、ローメンテナンス、自然な庭にするのが、静かなトレンドです。そこまでの予算がない場合は、雑草が花を咲かせ、種になる前に根を引き抜くことを繰り返し、健康な土にすることで、雑草が生えにくくなります。それには、コンポストとマルチを使うのがいちばんです。
落ち葉、剪定した小枝、刈り取った草や花などを、庭の隅に積み重ねるか、あるいは蓋付き容器に入れ、水を加えて湿り気を保つようにすると、半年くらいで肥料になります。これがコンポスト。また、野菜の切れ端、果物の皮、茶殻、コーヒー殻、使用済みペーパータオルなどキッチンからのゴミをコンポストに使うこともでき、その場合は、ミミズと一緒に蓋付き容器に入れ、空気穴をたくさん作ります。その際、肉や骨、乳製品、油などは入れないでください。さもないと、ネズミの巣になってしまいます。卵の殻やバナナの皮などは細く砕きましょう。
次にマルチですが、これは落ち葉やウッド・チップ、細かな木片、コンポスト、刈り取った草などを、春と秋に庭の植物の周り(茎、幹から1インチ離れたところ)に敷くというものです。移植した植物の根、果実を保護するだけでなく、土の水分を保つと共に雑草の防止にもなり、土に栄養を与え、健康な植物を育てるのに役立ちます。野菜畑の場合は、1~3インチの厚さにすると良いでしょう。低木、潅木、樹木の多い多年生植物の場合は2~4インチの厚さにし、バーク・チップも使用できます。
本来、雑草コントロールは早春、雑草の花が咲いて種になる前がベスト。芝生のタンポポは根から抜き取り、その穴にノースウエストの気候に合った芝生の種をパラパラ蒔いて、コンポストと土を浅くかけて水をたっぷりやっておくと、雨も手伝って美しい芝生になっていきます。抜き取った雑草は芽が出てくることもあるので、ゴミ箱に捨てましょう。雑草の取り除かれた土の上に、新聞紙なら厚く、ダンボールならそのまま置き、マルチを厚くかけると、雑草はほとんど出てきません。また、年月と共に良い土になります。マルチの代わりに、グランドカバーの植物で雑草を追い出す方法もあります。ノースウエストの気候に適したものを、日照時間を考慮のうえ、適切な場所に適切な時期(春か秋)に植えてください。ゴゼンタチバナ(Bunchberry)、サラル(Salal)など、ノースウエスト・ネイティブの植物がオススメです。
以上、私が述べてきたことは、昨年にマスター・ガーデナー・プログラムで学んだことを、実際に自分の庭に実行したものばかり。圧倒的に雑草が少なくなってきて、うれしい限りです! でも、油断禁物。雑草を見つけるたびに抜いて回っている日々です。美しい健康な庭は忍耐と体力から。
Happy Healthy Gardening!!
(2011年6月)
第2回 あなたの庭に適した植物の選び方は?
今頃のナーサリーには色とりどりの植物がたくさんで心躍りますね! でも、どういう性質なのか、庭に適しているのか、ラベルの説明書きも読まずにあれこれ買って、適当に庭に植えて満足していませんか? ダメにしてしまっては、高いお金を出して買ったのに寂しいし、植物にも申し訳ないですよね。植物が元気に育つにはいくつかのポイントがあります。
(1)自分の庭を知る 日当たりが良い場所、日陰になる場所はどこか。土は砂っぽいのか、粘土っぽいのか。1年を通して乾燥しているのか、湿地なのか。弱々しく元気のない植物はないか。芝生を維持したいか。庭の隅から隅までよーく観察してください。
(2)適した場所に適した植物を ネイティブの植物などノースウエストの気候に合い、庭の条件にも適った植物を選択。例えば、一年草(Annual)のゼラニウム(Geranium)は寒さに弱く、冬は室内に移す手間がありますが、多年草(Perennial)のハーディ・ゼラニウム(Hardy Geranium)なら外で冬を越し、春になると芽が出て、初夏に花を咲かせます。Hardyと付く植物なら同様に越冬するので、面倒くさがり屋にはぴったり。また植木の場合、庭の広さを考え、成長した際の大きさ、高さを考慮に入れること。
(3)参考になる手本を探す 散歩がてら近所の庭々や公園のデモンストレーション・ガーデンを見て回ってはいかがですか? ベルビュー植物園(Bellevue Botanical Garden)、エベレットにあるマッコラム公園(McCollum Park)やリジョン公園(Legion Park)、フェデラルウェイにあるシャクナゲ植物園(Rhododendron Species Botanical Garden)には見応えのある庭があります。園芸の質問があれば、公園のマスター・ガーデナー・クリニックで尋ねることができます。また、ナーサリーで買い物ついでに質問してみましょう。園芸の本、ウェブサイトも利用価値大!
(4)ローメンテナンスの植物が楽 水少なめ(Low Water Use)、干ばつに強い(Drought Tolerant)、鹿への抵抗力(Deer Resistant)などのラベルが付いたローメンテナンスの植物を選ぶことで、手間は格段に少なくなります。ちなみに、わが家の近所には鹿が頻繁に来て、野菜、バラの花などを食べますが、犬を飼っているので滅多に害はありません。
(5)同じ性質の植物をグループで植える 手間の掛かるバラはバラ・ガーデンに、ホスタ(Hosta)など日陰を好むものはシェイド・ガーデンにまとめるなど、グループ別にすると、あっちに行ったりこっちに行ったりの無駄がなく、庭のフォーカル・ポイントにもなります。
(6)芝生と野菜は条件にウルサイ! 芝生と野菜は日照時間が長いほうがよく育ち、水遣りも頻繁に必要。庭が日陰、湿地、傾斜面であれば諦め、ほかの適した植物に植え替えることで手間が省け、楽になります。
庭に適した植物、植える場所が決まったら、移植する前に、フラワーベッドの土の20~25%をコンポスト(堆肥)にして、よく混ぜ込みましょう。そして植物は、その約2倍の大きさとなる穴の中へ。あまり深く植えず、地面の高さか、やや上に植えて、しっかりと土をかけて足で踏み、空気を抜いてください。次にたっぷりの水遣りとマルチング※。雨の多い春か秋なら、水を1回たっぷりあげれば、あとは雨にお任せ。雨があまり降らない年など、乾燥するようであれば、水遣りで根付けを助けてあげましょう。
庭が健康になると、いろいろな鳥、蝶などが遊びに来ます。バード・フィーダーやバード・バスを置いてやると、常連になってくれるので楽しいです。
※土の表面を紙や落ち葉、バーク・チップなどで覆うこと。
Happy Healthy Gardening!
(2011年7月)
第3回 植物を健康に育てる、上手な水の使い方
ここノースウエストは、カタツムリ(Snail)よりナメクジ(Slug)が圧倒的に多いようですが、低温多雨の今年は異常な数となっていますね。植物の葉に黄色い変色やちぎれが見られたり、茎が地面に倒れていたり。元気がないと思ったら、案の定、ナメクジが隠れています。特にバナナ・ナメクジ(Banana Slug)は、本当にバナナのように大きくて気持ち悪い! 素手で掴むとそのヌルヌルが指に付いてなかなか取れません。必ずゴム手袋をはめてください。薬品を使うのは、ペットや野生生物への悪影響、自然環境の汚染につながるので避けましょう。捕まえたナメクジはふた付きのゴミ箱へ。ビールの残りを浅い容器に入れ、鉢の下や縁などナメクジの隠れていそうな場所に置いておくと、そのにおいに引かれ、寄って来て溺れます。さて、本題に入りましょう。今回は根腐れや枯れるのを防ぐ水遣りの仕方についてお話ししたいと思います。
植物にとっては、たまに土が部分的に乾いていたほうがベスト。芝生は、芝の艶がなくなった時が水遣りの必要な頃合いです。野菜と一年草は、弱々しく見えるなどしおれるサインがあったら水遣りを。タフな多年草(植えてから2、3年経ったもの)は、涼しい夜半でもしおれたままなら水遣りします。樹木と潅木(特にネイティブのもの)は根付いて2~5年経てば、ほとんど水遣りは不要(乾燥する年を除く)。水遣りする時には、たっぷりあげてください。植物に十分な水を与え、なおかつ水道料金を抑える簡単な方法があります。
(1)コンポスト(堆肥)の使用やマルチング(土を紙や落ち葉などで覆うこと)で、庭の土の水分を保ち蒸発を防ぐ
(2)少しの水で育てられる植物(Low Water Use/Drought Tolerant Plants)を選ぶと、完全に根付けば雨水だけでよく育つ
(3)浸透ホース(Soaker Hoses)やドリップ灌漑(Drip Irrigation)を使うと、スプリンクラーより50%の節水に
(4)水道の蛇口の上にタイマーを付け、水の使い過ぎをコントロールする(ハードウェア・ストアなどで購入可)
(5)乾燥した固い土壌で水がすぐに浸透せず水たまりができたら、しばらく待ってから水遣りを。土に浸透する時間を与える
(6)水遣りは朝早くか夕方が効果的。日中だと水がすぐに蒸発してしまい、植物も傷みがち
雨水は地面へ吸収させることが大事です。大雨で屋根、舗装面、地面へと激しく流れ込むと、下流の洪水、川岸の侵食、泥水化を引き起こし、鮭などの野生生物をおびやかします。この状態を改善するのに私達ひとりひとりができることがあります。
①雨水が芝生や花壇、野菜畑へ流れ込むようにする。もしくは大きなドラム缶や溝などへ流れるようにし、溜めた水は水遣りに使う
②コンポストとマルチングを使うことによって侵食を防ぎ、雨水を地面へ吸収しやすくする
③コンクリートを取り除き、オープン舗装の芝生や砂利などにする
④小川、池、湖など水のそばにある家なら、ネイティブの樹、潅木、グランド・カバーなどを植え、排水溝(灌漑用水路)を作ることで地面を安定させ、地中に吸収されずに流れる雨水をスローダウンさせる。これはレイン・ガーデン(Rain Garden)と呼ばれ、スノホミッシュ郡とワシントン州立大学エクステンションが公教育に力を入れている
大雨になると地下階に水が入って来るなどの問題を抱えているホーム・オーナーは、その雨水をレイン・ガーデンにシフトさせてみては。無料クラスも用意されており、詳細はwww.raingarden.wsu.edu/Everett.htmlにあります。
Happy Healthy Gardening!!
(2011年8月)
第4回 殺虫剤、除草剤を使う前にまず考えることは?
遅まきながら、ダリア、グラジオラス、ブラックアイスーザン、ヒマワリ、オリエンタルリリーなどが、わが家の庭をにぎわしています。家庭菜園も甘くジューシーなイチゴが大豊作。ジャムもたくさん作り、バニラアイスにそのジャムをかけて、周りに新鮮なイチゴをたっぷりと……。おいしくて至福のひと時! 昨秋に古株を新しい土ベッドに移したのと、大木を切って日照時間が長くなったこと、また自家製のコンポスト(堆肥)をたっぷり土に混ぜたのが功を奏したようです。ストリングビーン、ジャガイモ、トマトも花が咲き、スクワッシュ、キュウリ、コーン、初めて種まきしたリークも着々と育ち、10月頃までに収穫できそう。皆さんの庭はいかがですか? 今回は、殺虫剤や除草剤などの化学薬品を使う前に考えたいことをお話しします。
私達の地元の川から、鮭や野生動物に害を与える23種類にも及ぶ有毒物質が見つかりました。これらは、土や植物の健康にも影響。また、頻繁に芝生と庭に殺虫剤や除草剤を使っている家では、家族の健康、特に子供とペットにリスク大。こうした化学薬品は、ほとんど使う必要がないものです。まず、庭に害のないよう予防から始めましょう。
【環境を整える】
(1)コンポストとマルチング(土を紙や落ち葉などで覆う)で健康になった土は、植物を病気や害虫から守ってくれる
(2)害虫に強い植物(Pest-resistant Plants)を選び、日照時間など適切な条件を与える
(3)害虫の隠れ場所にならないように病気のものや枯れてしまった植物を一掃し、コンポスト容器へ
(4)雑草は花を咲かせ種になる前に根から抜き取る
(5)バラエティーに富む植物をそろえ、1種類が害虫の犠牲になっても美しい庭を維持できるようにする
【化学薬品を使用する前に】
害の原因を調べ、知ることが先決。芝の刈り方、剪定の仕方、水の加減など簡単な手入れの間違いからの害だったり、害虫だと思っていた虫が実は害虫を食べてくれる良い虫だったり。ハチ、クモ、テントウムシ、オサムシ(Ground Beetle)、ミドリクサカゲロウ(Green Lacewing)などは良い虫で、害虫はたった5%です。
【少しの害は受け入れ、様子を見る】
自然が時と共に健康に戻してくれることもあるので、化学薬品を即スプレーすることのないように。ヘナヘナと横倒れになっていたり、葉が黄色く変色していたりしても、根元にいるナメクジを取り除き、害が大きい場合は少し葉を残して切り詰めると元気になります。また、植物が密集して白カビが発生した場合、その植物を取り除いて空気の流れを良くするだけで健康に。
【予防が間に合わないほど手に負えない時】
(1)リス、ウサギ、モグラなどの害獣は罠を仕掛けたり柵を作ったりして防ぐ
(2)タンポポは根が簡単に取れる道具(Long Handled Weed Puller)を使って抜く
(3)1年に1回は花壇や家庭菜園をマルチング
(4)葉が変に曲がっていて、葉の裏一面に白い粉のようなものが、という時はアブラムシの仕業。薬用アルコールと水を混ぜ脱脂綿に浸したもので葉をふき取るか、石けんと水を混ぜたものをスプレーすれば予防に。そのままにしておいても、良い虫の餌になる!
最後に、問題の植物を取り除き、抵抗力の強い植物に替えること。もし、同じ植物や木に毎年、害虫や病気の問題が出てくるようであればトライする価値あり。ノースウエストのネイティブ植物がオススメです。健康でイージー・ケアの庭になると楽しくなりますよ!
Happy Healthy Gardening!!
(2011年9月)
第5回 環境を保護する自然な芝生の手入れ
この時期は多年草(Perennials、宿根草とも言う)花壇の手入れに最適の時期。春でも問題ないのですが、秋のほうが地下部の生育を促しながら越冬させることで気温の上昇と同時にすぐ成長し、花付きがさらに良くなります。多年草は植え付け後3年経過すると、芽や根が込み合って生育が衰えたり、増え過ぎてほかの植物の成長を抑え、死なせてしまったりすることも。まず、株を掘り起こして分け、それぞれの株が十分成長できるよう新しい場所に穴を掘り、腐葉土を混ぜて植え込みましょう。1度水をたっぷり遣れば、来春には健康な姿で蘇ります。また、今年花を咲かせてくれたお礼として、自然な腐葉土や骨粉(Bone Meal)などを植物の周りに入れ込んであげてください。化学肥料と違って“肥料負け”ということがなく安心。翌年には美しい花々を咲かせてくれるはず! さて、今号では環境保護に適した自然な芝生の手入れ方法をお話しします。芝生の維持って、手間も掛かるし、出費もばかになりませんよね。大抵は化学殺虫剤や除草剤を惜しみなく使い、知らず知らずのうちに環境を汚染しているのが現状かと思います。また、水の浪費も多いのでは。以下のことに気を付けて、手入れを始めてみましょう。
【草のリサイクル(Grasscycling)】
芝生は1~2インチの長さに刈って維持します。今までの常識では刈り取った草を芝生からすっかり取り除くのが正しいとされ、クリーンナップの手間がありましたが、実はそのままにしておいて大丈夫。土のメカニズムにより自然なオーガニック肥料となって、健康な芝生にしていくことが実証されています。
【肥料】
さらに肥料を施したい時は、自然なオーガニックのものか、ゆっくり働く肥料(Slow Release Fertilizers)を使いましょう。肥料を与えるのに適した時期は9~10月です。
【水遣り】
節水と芝生の病気の予防に、土が乾いてから水遣りを。たまに、たっぷりと行ってください。
【通気】
すり減っている芝生があれば、その場所の通気を良くし、種蒔きしてコンポスト(堆肥)を施します。秋または春に芝生の根の発育と水の浸透のため、固くなった土の通気を良くすることも必要。電動通気装置をレンタルして自分でやるか、専門の庭師に頼みましょう。その後、土地の気候に合った芝生の種を蒔き、コンポストと土を1/4~1/2インチくらいかけてから水遣りをたっぷりと。このプロセスを毎年行うことで、美しい芝生の維持につながります。
【雑草】
店でよく見掛けるのが “ Weed and Feed ” などと、除草してくれたうえに肥料にもなるというネーミングの化学薬品。得したような気になりがちですが、買う前にちょっと考えて! 環境汚染、健康への悪影響にもつながりかねず、使わないに越したことはないですね。雑草の花が咲き始める前や雨上がりには根から抜き取りやすくなります。ガーデン・ストアで売っている専用道具(Pincer-type Long Handled Weed Pullers)も便利です。
【適さない場所】
険しい傾斜地、1日中日陰の場所、小川、池、湖、湿地など水近くの地域に芝生は不適当。水近くには、手間の掛からないタフなネイティブの木々、グラウンドカバーなどを植えることで汚染物質がろ過され、私達の健康や野生生物を守ります。険しい傾斜地や水際の土手の侵食緩和にも有効です。
次の週末は、来年の庭の青写真を描きながらのガーデン・パーティーなどはいかが? いろいろアイデアが出て、株分けも楽しくなります。みんなでシェアして花をいっぱい咲かせましょう!
Happy Healthy Gardening!!
(2011年10月)
第6回 コンドミニアムでも手軽にベランダ・ガーデン!
ワシントン州ベルビューでコンド住まいというシニア女性の読者から「手が掛からないベランダ・ガーデンの造り方を教えて欲しい」とのリクエストをいただきましたので、今号はベランダ・ガーデンをテーマにしたいと思います。
まず、コンドのベランダ・ガーデンは庭植えガーデンと異なり、地面がないので鉢植えによるコンテナ・ガーデンとなります。乾きやすい環境のため、水遣りが頻繁に必要。特に、ベランダのコンクリート床や壁面からの照り返しは、乾燥や葉焼けを引き起こします。使っていない鉢を台代わりにしたり、棚を使ったりして植物を床面から離すのが効果的。特に小さい鉢はすぐに水が蒸発してしまいます。屋根のあるベランダでは、雨の日でも鉢の中までは水が入らないので、水遣りは毎日、乾き具合を観察して行うこと。夏場は特にこまめに! とにかく、鉢植えは手間が掛かりますが、以下の解決策を実行してみてはいかがでしょうか。
【大きい植木鉢にする】
鉢は大きいものを選び、乾燥を防ぎます。陶製だとベランダに重量の負担が掛かるので、プラスチック製の軽いものが適切。鉢の裏に空気穴があるものを選ぶこと。ない場合は2、3個の空気穴を開けて使ってください。
【ベランダに理想的な土を選ぶ】
鉢を動かしやすい軽めの土、風で飛びにくい土、水遣りで流れにくく排水溝を詰まらせない土、水はけ、水もちの良い土が望まれます。鉢植え用の土(Potting Soil)は肥料入りのものを避け、オーガニックのものを選ぶようにしましょう。
【手の掛からない植物を植える】
バラ類、ハーブ、球根植物、宿根草、一年草、花木、低木類は水遣り、肥料など煩雑な世話が必要なので避けること。ただし、水遣りが少なくて済むもの(Low Water Use)や干ばつに強い植物(Drought Tolerant Plants)は可。最近、エコ植物として人気の多肉植物(Succulents)は、セダム(Sedum)とサボテン(Cactus)がありますが、サボテンはアリゾナなどの砂漠地帯で生育し、ここノースウエストの風土に合うのはセダムです。数種類を寄せ植えにすると造形的な面白さが際立ちます。土は、サボテンや多肉植物用の市販品を使うのがベストで、なければ鉢植え用の土でも。水遣りはできるだけ控え、葉の様子を見て判断を。葉にシワが寄るのは水を欲しがっているサインなので、少しだけあげてください。夏場(7~9月)でも月に1度の水遣りで十分。肥料はほとんど必要なし。古葉や傷んだ葉は腐る原因になるので、こまめに取り除いてください。水を与え過ぎると葉がポロポロと落ちてくるので注意。
ちなみにセダムを庭植えする場合も、日向の乾いた場所が良く、石、岩、砂利を使ってロック・ガーデンを造り、その中に植えるのがトレンド。私も試してみましたが、手入れ要らず! この雨の多いノースウエストでは腐ってしまうのではと心配になりますが、耐寒性のある(Hardy)種類なら問題ありません。ブルー・スプルース・セダム(Blue Spruce Sedum)、コーラル・カーペット・ストーンクロップ(Coral Carpet Stonecrop)、ジョン・クリーチ・セダム(John Creech Sedum)が丈夫で長もち。日向がベストですが、多少日陰があっても根付き、花壇の手前にグラウンド・カバーとして植えると効果的な雑草除けに。株分けもしやすく、茎ざし、葉ざしで子株が簡単に増やせます。
そのほか、食虫性植物(Carnivorous Plants)や蓮(Water Lily)を使った湿地ガーデン(Bog Garden)も手間が掛かりません。たらいや桶に水を張って、鉢に入ったまま中に入れておくだけでOK。ぜひお試しを。
Happy Healthy Gardening!!
(2011年11月)
第7回 来年のガーデニング・プランを練ろう
今年も残りわずか。庭の越冬準備は整いましたか? 花木や花が咲く宿年草、球根は、その周りを掘って、花のお礼にナチュラルな肥やしを少々入れてあげましょう。冬の間に栄養が行き届き、春には大輪の花を咲かせてくれます。また、新聞紙やバーク・チップなどで覆うマルチングは、根を乾燥と寒さから守ってくれるので欠かせません! 12月は落葉樹の移植、植え付け、剪定、腐葉土や堆肥作りなど、意外とやることは多いもの。暖炉のそばで来年のガーデニング・プランを練るにも楽しい時。読者から「庭のジャングルを、ローメンテナンス、かつナチュラルなガーデンに変身させるには?」との質問がありましたので、今号ではガーデニング・プラン法について具体的にお答えします。
【庭の見取り図を作成】
巻き尺、シャベル、グラフペーパー、カラーペンシルを用意。敷地全体を注意深く測定した後、すべての建物、舗装面、木々、花壇、地形の特色などを示した縮尺図を描きます。次に庭中のいろいろな場所に小さな穴を掘り、どういう土か知ること。そして、カラーペンシルを使い、以下をアウトラインします。
①日照時間が長い場所(Full Sun)、日陰(Shady)、少し日光が当たるところ(Partial Shade)
②南の暖かい場所、西側の壁やフェンス、ドライブウェイなどの舗装路
③風雨にさらされた土地
④石ころ混じり、固い土など改善が必要な土地
⑤排水に不安のある湿地
⑥侵食するかもしれない傾斜面や芝生が刈りにくい土地
⑦アクセスが不便で手入れが難しい場所
⑧屋根や木の下など乾燥しているスポット
【庭を夢想する】
どういう庭にしたいか、どう使いたいか、手入れにどれだけの時間を費やせるか考えましょう。以下はアイデアの例です。
①野菜やハーブのガーデン
②花々やカラフルな葉の植物
③フルーツの木
④鳥や蝶、ワイルドライフをサポートする
⑤プライバシーを保つ
⑥デッキや舗装された場所をアウトドア・リビングにする
⑦ローメンテナンス
⑧芝生やウッドチップを使った遊び場
⑨庭や家へのアクセスに必要な小道
⑩物置やコンポストの設置場所
⑪鉢植えする作業場
⑫アートを飾るアトリエ
【敷地条件に合うようプラン】
庭の状態がわかり、希望がはっきりしたら、各所の条件に合った植物を選び、効率の良いようにプランします。例えば芝生、野菜畑、フルーツの木は日が当たる水はけの良い場所で、水遣りしやすい土地に。日陰は鳥やワイルドライフをサポートする庭や、コンポストの設置場所に。傾斜地、塀のそばなどアクセスしづらい場所には芝生を避け、成長が早く水遣りがほとんど必要ないグラウンドカバーで雑草も抑制。
手入れが簡単で成功率大な植物の例は以下の通り。
①灌漑なしによく育つ
②虫や病気に強い
③ノースウエストの気候に合ったネイティブ・プラント(www.wnps.org、www.greatplantpicks.orgなどを参考に)
【良い土壌を作る】
シャベルや鍬を使って、土を少なくとも地上から10~12インチほど掘り起こし、コンポストや腐葉土を混ぜましょう。植物は、根がゆったりと張れるよう大きな穴を堀ったら、根をほぐして植え、しっかりと土を固めて水をたっぷり与え、マルチングで乾燥と寒さから守ってやること。根付けば水遣りがほとんど必要ない植物(Low Water)でも、植えて1、2年の夏は水遣りが必要なので要注意。
さあ、あなたの庭ではどんなプランができるのでしょう。楽しみですね!
来年もHappy Healthy Gardening!!
(2011年12月)
第8回 四季を通じての自然な庭の手入れ
今年も自然な庭の手入れで、家族、ペット、ワイルドライフを環境汚染から守りましょう! その過程が手間と経費の削減につながり、より自然で健康な庭作りができるようになります。年の初めは、四季を通じての自然な庭の手入れについて、実践的な1年のプランを立てましょう。
【冬:12~2月】
①庭の落ち葉をかき集め、フラワーベッドや野菜畑にマルチングで雑草除け、土壌の栄養に
②雑草が種になる前に抜く
③休眠中の落葉樹の剪定をするのに良い時期
④庭バサミをよく切れるように研ぐなど、道具の整備
⑤病気や虫害の植物を取り除き、強い植物(Disease & Pest-resistant Plants) に替えるなど今年の庭作りのプランを練る
【春:3~5月】
①新たなフラワーベッドや野菜畑に1~3インチのコンポストを混ぜて準備しておく
②雑草が成長し種になる前に抜いて防止
③病気に強い植物(Disease Resistant Plants)、水遣りが少ない植物(Drought Tolerant Plants)を選び手間の削減
④芝生は2インチ刈った後、そのまま芝生に残すリサイクリング(Grasscycling)で、無料の自然な肥料が働いて健康な芝生にしていく
⑤芝生の状態が良くない場合は土壌に空気穴を入れ通気を良くし、芝生の種を蒔いて、1/2インチほどのコンポストを施し水をたっぷりやる
⑥さらに肥料が必要であれば、春か秋に自然なオーガニックのものやゆっくり働く肥料(Slow Release)を使っても良いが、グラスサイクリングで十分
⑦水が漏れていないかなど、スプリンクラー・システムやガーデン・ホースの点検
【夏:6~8月】
①フラワーベッドや野菜畑にコンポストや刈った後の芝でマルチングし、雑草コントロールと湿度を保つ
②繊細な野菜には、害虫除けのファブリックでカバーする。庭には良い虫がいっぱいおり害虫を食べてくれるので、むやみやたらに殺虫剤をスプレーしないよう注意。よく観察すれば、害虫を手で取り除くだけで解決することもある
③潅木と樹木には、ウッドチップ、落ち葉、バークのマルチングで湿度を保てば節水に。また、雑草の減少と土壌の栄養となる
④芝生は頻繁に刈り、刈った後の芝生は自然な肥料となるのでそのままに
⑤節水のため、芝生の水遣りは週1回1インチか、水遣りはせずに休眠期に。茶色になるが、雨が頻繁に降ってくると緑に戻る
⑥水遣りは早朝の低温時が病気になりにくくいちばん良い⑦庭の植物ゴミを涼しい木陰の庭の隅のコンポストパイルへ、湿りを維持すること
【秋:9~11月】
①雑草が深く根を張る前に抜く
②ガーデンベッドに落ち葉、コンポストでマルチすることで雑草の減少、土壌の栄養に
③新しい植物ベッドに、コンポストを混ぜ準備しておく
④潅木と樹木の周りに、ウッドチップ、落ち葉、バークでマルチング。潅木、樹木、多年草、春に花開く球根を早秋に植え、良いスタートを与えてやる
⑤新しい芝生を始めるのに最適。擦り減っている芝生は9、10月に、地面の通気を良くし、芝生の種を蒔き、コンポストを施す
⑥9月に、自然なオーガニックのものかゆっくり働く肥料を施してやることで根を強くし、雑草の増加防止。低温になってきたら、水遣りは減らす
⑦11月は最後の芝刈り。芝が長過ぎると病気が発生しやすくなるので短く刈って冬越し
⑧雨が降り始めたら、ガーデン・ホースの水を流し切って、納屋にしまうか、外に置いたままにするならマルチなどでカバーしておく
⑨終わってしまった1年草は、きれいに取り除いて、来春のためにコンポストビンへ。たまに混ぜて、湿度を保つことで、早く良いコンポストになる
2012年も自然な庭の手入れで
Happy Healthy Gardening!!
(2012年1月)
第9回 自然な庭の手入れで苔のコントロール
2月はまだ寒いですが、うちの庭では毎年今頃、クリスマス・ローズ(Hellebor / Christmas Rose)が可憐な美しい花々を咲かせ、もうすぐ春だと元気付けてくれます! 今月号では、このノースウエスト・ライフには欠かせない苔(Moss)のコントロールについてお話したいと思います。雨が多いこの地の冬は、苔が成長するのにぴったりの気候です。このネイティブ・プラントはローメンテナンスでワイルドライフを維持し、日本庭園では古くから苔をグランド・カバーとして使った美しいわび・さびの世界が繰り広げられていますが、生活上、苔は小道などを滑り易くし危険なうえ、屋根やほかの家屋を損ねるという理由で、雑草と見なし取り除いています。自然な庭の手入れで苔をコントロールをする場合、いちばん大切なのは、日陰を取り除き、日光を入れて苔を防ぐことです。
【防止】
①芝生は水を少なく、もっと日光を与える。苔は酸性の土を好み、湿った日陰で繁殖しやすい。芝生はアルカリ性の土を好み、乾燥した日当たりの良い場所で成長する。健康でほとんど苔のない芝生にするには、日陰と湿り気をなくして日光を取り入れ、雨水の排水が芝に流れ込まないようにして常時湿った状態を防止する。石灰(Lime)を加え、できるだけ土が酸性よりも、アルカリ性を維持するようにする
②日陰の芝生は、ほかの植物に替える。家の北側や、大きな緑葉樹の下の芝生を維持しようと奮闘するより、日陰を好むネイティブ・プラントなどに替えて手間を省き、庭を見栄え良くする
③屋根の苔をできるだけ少なくするために、陰になっている木の枝々を剪定。苔は陰になって湿った場所に繁殖するので、その元凶となる木の枝々を剪定し、日当りを良くして繁殖をスロー・ダウンさせる
④小道や家屋に発生し始めた苔は、頻繁にきれいにする。屋根、小道、塀などを掃く、洗うなどして、苔の発生や成長を防止する。雨どいのごみ、泥、落ち葉なども苔を繁殖させる要因になるので、きれいにしておく
【管理】
①芝生の苔を熊手でかき払う。金属製より、竹製の熊手のほうがうまくいく。苔を取り去った後に、芝生の種を植え、オーガニックかゆっくり働く肥料(Slow-Release Fertilizer)をやる。太く健康な芝生に苔は発生しにくい
②サイド・ウォーク、デッキ、舗装道路から苔を取り除く。苔は夏に枯れ、乾いて取り除きやすいので、シャベルやくわなどを使うか、パワー・ウォッシングで除去する
③屋根のパワー・ウォッシングは屋根板を傷め、水が残るのでお薦めしない。リーフ・ブロワー(Leaf Blower)やほうきで優しく掃くのが良い。屋根によじ登っての苔落としは素人には危険なため、苔が厚くなる前に、専門の人を雇ってやってもらったほうが良い
④苔コントロールの化学薬品を使うのであれば、有毒性の物は避ける。せっけん(Soap)、脂肪質状酸性(Fatty Acid)、鉄を含む硫酸塩(Ferrous Sulfate)を選ぶ。化学薬品により汚染されたゆすぎ水などは、通りや排水溝へ流さないようにする。
日頃のメンテナンスを心掛けていると、後が楽ですね! 私もこの夏は、屋根の掃除をしてもらいます!
Happy Healthy Gardening!!
(2012年2月)
第10回 ペットの排泄物の処理による環境汚染の防止法り
今年の冬は大雪が降ったにもかかわらず、色とりどりのプリム・ローズが咲き誇り、その強さに感激したものです。もう春もそこまで。いろいろとガーデニングが始められますね! 植える前の土作りは次回で紹介するので、今回は、犬好きでずっと犬と一緒(ドーベルマンの花ちゃん)に暮らしているのに、あまり深く考えたことがなかった、環境汚染から家族やペット、ワイルド・ライフ保護に繋がる「正しいペットの排泄物の処理方法」についてお話します。
一般的に最もポピュラーなペットである犬や猫のフンが未処理の場合、子供達に害を与える有害な有機体になり兼ねないし、土や水を汚染します。また、フンを靴で踏んだのも気付かず、そのまま家に入る不快なサプライズは、不衛生極まりないです。犬を裏庭に出したり、外へ散歩に出てトイレをさせたら、必ずプラスチック・バッグにフンを入れ、しっかり閉じて、お宅のゴミ箱へ捨ててください。これがペット・オーナーとしての基本的マナーですね。
さて、ゴミ箱へ捨てるにあたっての注意ですが、犬の排泄物と猫のトイレの砂は庭のゴミと混ぜないように。ゴミ処理ステーションで圧縮されるので、10パウンドかそれ以下の丈夫なプラスチック・バッグ、でなければ、二重にして固く閉じてゴミ箱へ捨ててください。もうひとつの方法として、ペットの排泄物をトイレに流す際は、市のトイレ・システムであれば、自宅のトイレへ流しても問題はありません。ただし、猫のトイレに使っている砂はトイレを詰まらせる可能性があるので、流さないように。自宅のトイレがセプテック・システムの場合は、タンクと排水溝を詰まらせるので絶対に流さないでください。
なぜ、ペットの排泄物を土に埋めたり、コンポストにすることができないのか? ペットの排泄物は未処理の下水になります。例えば、スノホミッシュ郡には、12万6,000匹以上の犬が飼われており、これは3万2,000人分の排泄物量にあたります。毎日20トン以上の排泄物が落とされ、大腸菌(E.coli)、寄生虫のジアルジア(Giardia)ほかの有害な微生物(Microorganisms)を媒介させているということです。もし、人里離れていて土に埋めるしか選択がない場合は、少なくとも8インチ以上深く埋めること。ただし、汚染の原因になるので、水の近くや、野菜畑、ハーブ畑、1年草畑には絶対に埋めないこと。草食動物である羊、鳥、ウサギ、馬、牛、ヤギなどの排泄物はコンポストに使えます。
いつも心掛けることとして、ペットの排泄物を取り扱う時は必ずゴム手袋を使用し、その作業が終わったら必ず手を洗ってください。ペットの排泄物に、子供たちを近づけない、触らせない、土を食べさせないということを徹底させましょう。
ペットの排泄物を、正しい方法でゴミ箱に捨てるかトイレに流すことで、水と土をきれいに保ち、環境保護ができます。
さあ、お宅のペットのフンの後始末を見直し、正しく行いましょう! もちろん、私も正しくやります!
Happy Healthy Gardening!!
(2012年3月)
第11回 豊かな土壌で野菜作り
背中に暖かいお日様を受け、ポカポカ陽気の中でする庭仕事は、幸せなひと時。春のガーデニングは楽しくてはかどりますね! さて、今回は「去年の野菜畑はほとんどが不作でした。土に問題があるのでしょうか」という読者からの質問にお答えします。
まず、野菜畑は土の準備がいちばん大切です。理想的な野菜畑の土というのは、深くまで容易に耕せ、通水性が良く、少なくとも5%の有機体(Organic Matter)が含まれた土です。有機体というのは、ピート・モス(Peat Moss)、コンポスト(Compost)、バーク(Ground Bark)、草食動物の糞(Manure)などで、種植え前に必ず土に混ぜてください。
好ましい土というのはより多くの種を発芽させ、作物の成長促進にもつながります。野菜畑の土を改善する事で、作物にとってベストなスタートを促しましょう。もし、お宅の植物や野菜が健康に育っているなら、豊かな土壌ということなのでご安心ください。
野菜畑を始める前に、去年は不作だったなどの問題があれば、お宅の土の肥え具合とpH(ペーハー)を、3~5年ごとにチェックすることです。pHとは酸性・アルカリ性の程度を表す言葉で、1~14の数値で表します。pH7が中性。pH7より低ければ酸性、高ければアルカリ性となり、土壌診断のpHテストでは、成分がアルカリ性か、酸性なのかを調べます。雨の多いこのノースウエストでは、アルカリ性より酸性が強い傾向がありますが、どちらが高過ぎても低過ぎても、作物の成長は悪くなります。
ほとんどの作物は、pHの度合いが6.2~6.8で、中性の7より、若干酸性寄りが理想的ですが、5~8であればほとんどの植物が繁殖できる範囲です。ブルーベリーやシャクナゲの場合はより酸性の土壌を好むことを覚えておいてください。
一般的に、土のpHを上げる場合は石灰(Lime)を加えますが、オーガニックな石灰なら、石灰石粉(Ground Limestone)、農業用石灰(Agricultural Lime)、牡蠣殻石灰(Oyster Shell Lime)などを使えば、安心してカルシウムを土に与えることができます。念のため、石灰を与える前に、ぜひ土壌診断を受けてみてください。この土のpHテスト及び、豊かな土壌に欠かせない13の栄養素のレベルを調べるテストなどを行う実験室は、WSUマスター・ガーデナー・ホットライン※でわかるので、土のサンプルを持参して直接訪ねてみるか、電話で問い合わせを。
今年は豊かな土壌で健康な野菜を育て、収穫を楽しみ、自作の野菜で食卓を飾りましょう! ちなみに、夏野菜の種蒔きに最適な時期は、完全に霜が終わる5月中旬以降と言われています。Happy Healthy Gardening!!
※WSU Master Gardeners Hotline
スノホミッシュ郡の自家菜園ブームに応じて、ワシントン州立大学が1973年に発足した、ボランティアによる地域教育プログラム。ワシントン州の主要な郡や全米各地にも拡大。
McCollum Park, 600 128th St., SE, Everett, WA 98209
TEL : 425-357-6010
http://snohomish.wsu.edu/garden.htm
(2012年4月)
第12回 家庭菜園の新鮮な野菜を食卓に
5月の中旬になると霜も降りなくなり、ようやく安心して夏野菜の種蒔きや植え付けができます。前回は、野菜がよく育つ肥えた土壌について説明しましたが、今回は、良い収穫につなげる環境対策や気候に合った野菜選びについて触れたいと思います。
野菜はレイズ・ベッド(庭の地面より高く作った花壇)にすることで、さらに効果的に育ちます。根付いた苗が風のせいで倒れる被害を防ぐため、風除けとして小枝を集めて低い塀を作るのも良いでしょう。夏の暑い時期は朝早くか夕方に水遣りが必要なので、畑の近くに水があることも大事です。
ここワシントン州西部は、春と夏が短くあまり暑くなりません。エベレット地域の平均気温は8月の高い時でも華氏77度と比較的低いため、高温を好むトマト、ピーマン、スイカ、サツマイモなどは育ちにくいです。また、トウモロコシは場所を取り、旬になると5個$1程度で買えるので徒労はやめましょう。この地であまり手間を掛けず比較的簡単に作れるのは、アスパラガス、ブロッコリー、レタス、エンドウ、ジャガイモ、豆、青ネギ、カリフラワー、ニンジン、ガーリック、キャベツ、ホウレン草、ケール 、チャード、ビーツ、パセリなど低温でもよく育つ野菜です。
今年は、お店で買うと高いアスパラガス、チャード、青ネギ、エンドウ、サマー・スクウォッシュなどを作ってみたらいかがでしょう? 3月末の晴れた週末、うちもトウモロコシをやめて確保した場所に、初めてアスパラガスの苗を植えました。これは多年生植物で、1回根付くと毎年収穫できるのでこれからが楽しみです! ちなみに、アスパラガスの苗やジャガイモの種芋などはファーマーズ・カントリー・ストアで手に入り、霜に強いエンドウの種蒔き同様、2月末頃から畑に植えて問題ありません。
ところで、春が旬のエンドウは実もさることながら茎も甘くておいしく、上から4インチ位までをサラダにしたり、台湾では炒め物の料理にするそうです。つまんだ所から、また芽が出てくるのでご心配なく。ケールも旬は春ですが、寒さに強くカバー無しでもしっかり育ち、移植もOK。レタスも耐寒性で寒さに強くて育てやすいおいしい野菜です。
豆類は植物性のたんぱく質として、日本では古くから食生活には欠かせないものですが、アメリカでは近年、癌、心臓疾患、糖尿病に掛かりにくくなると言われており、ビーン・ダイエット(Dry Beans Diet)が静かに広がっています。ちなみに、白い豆より黒い豆のほうがより効果があるそうです。
安全で新鮮な野菜を作り、家族皆の健康に役立つ野菜作りを始めましょう!
Happy Healthy Gardening!!
【野菜作りと農業の大切さを学ぶプログラム】
新鮮な野菜を増やして健康になろうと、近年さまざまなプログラムが地域に広がっています。多くの食料が必要なスノホミッシュ郡のフードバンクでは、節約も兼ねて無農薬の野菜を作ろうという人々の要望で、ワシントン州立大学スノホミッシュ郡エクステンションによりグローイング・グローサリー・プロジェクトが発足。今や11のコミュニティー・ガーデンの野菜畑で、マスター・ガーデナーが中心となり、一般の方々や子供達に安全で効果的な野菜作りの基礎を指導しています。ガーデニングの楽しさ、健康な食生活や農業の大切さを学び、ボランティアと一緒に作ったコミュニティー・ガーデンの収穫はフードバンクへ寄付されます。
http://growinggroceries.wsu.edu
(2012年5月)
第13回 有機質肥料を使った自然な手入れ
土、野菜の話に続き、今回は肥料についての話です。健康な植物が育つかぎは健康な土(肥えた土壌)。日ごろから、コンポスト、ピート・モス、バークなどのマルチや、有機質肥料を使って健康な土にしておけば、植物も元気で害虫も寄り付かず、殺虫剤や肥料などの出費、労力の節減にもなるので、できる限りお宅の土を有機的な方法で健康にして下さい。しかし、園芸植物の多くは花や実などが大きくなるように品種改良されているため、養分の吸収量も多く、不足する養分を肥料として補ってやらねばなりません。特に鉢植えは、自然界と違い栄養を広い範囲から集めることもできないので、肥料や水は人が補う必要があります。
さて、肥料の三大要素(N-P-K)とは、
1. N(Nitrogen)-チッ素:元気な葉を作る
2. P(Phosphorus)-リン酸:花や実を付ける
3. K(Potassium)-カリウム:根や茎を丈夫にする
を意味します。
肥料の袋や箱に表示されている5-5-5などの数字は、N-P-K成分の重量バランスを表し、肥料100グラム中にチッ素が5%、リン酸が5%、カリウムが5%含まれていることを示しています。各成分が均等の数値なら、植物の種類や時期に関係なく株を充実させたい時に使います。草花や果樹などの花付きや実付きを良くするには、Pが高くNとKは低めの山型のバランスが良く、球根植物や根菜類の栽培、冬越しに効果的なのは、Nが低くPとKが右上がりのバランスです。花壇や露地野菜の追肥にはNとKが同じでPが低い谷型のバランスが良く、観葉植物、葉菜類にはNがいちばん高く、P、Kと低くなる右下がり型のバランスが適しています。植物のニーズに応じて使い分けて下さい。
肥料には、速効性肥料(液体肥料)、暖効性肥料(追肥の手間が省ける)、遅効性肥料(有機質肥料)がありますが、自然な庭の手入れでは、安全でオーガニックな有機質肥料をお勧めします。骨粉、血粉、アルファルファ、魚粉、海藻粉、 鶏ふん、牛ふん、馬ふんなどの市販の有機質肥料や、落ち葉を腐らせて作った腐葉土、台所から出た野菜くずなどで作ったコンポストは、効き始めるのは遅いですが効果が長く持続し、自然界からできているので肥料負けせず安心です。肥料は大量に与えれば効果があるというわけではなく、与え過ぎはかえって肥料負けなどの害で根が枯れたりします。基本的に植物が順調に生育している時に、適切な肥料を適度な量与えることが大切です。
私は骨粉肥料(Bone Meal)のファンで、球根を植え付ける時や移動させる時など、必ず穴の底に少々蒔いてから植えていますが、毎年どの花も大振りで美しく咲き誇っています。リンゴの木々も10月末ごろにおいしいリンゴをたくさん収穫した直後に、お礼肥えとして、木の周りを深く掘って骨粉肥料を施します。忘れた時は冬の休眠期にこの骨粉肥料を与えておき、春の活動期に肥料が不足しないように寒肥をすると、春には皆元気に芽を出します。
Happy Healthy Gardening!!
(2012年6月)
第14回 ネイティブ・プラントで自然保護
この連載を始めてから、地元の気候に合い育てやすいネイティブ・プラントは、害虫や病気にも強いので、手入れが楽な自然な庭にはぴったりと勧めてきました。植えてから初めの2、3年は水遣りに注意し、夏は朝か夕方の涼しい時にたっぷり水をやる必要はありますが、根付いてしまえば水遣りの手間もほとんどありません。今回はそのネイティブ・プラントに焦点を当てお話ししたいと思います。
大手のナーサリー専門店には、いろいろな種類のネイティブ・プラントがそろっていますが、ホームセンターのような一角で園芸を扱っている所にはあまり置いていません。いちばん確かで手頃な値段で買えるのは、自然保護プラント・セール(Conservation Plant Sale)です。ワシントン州、オレゴン州共に、どの郡にも必ず自然保護課があり、ネイティブ・プラントの効用を伝えると共に、毎年2月末か3月頭にセールが開催され、さまざまなネイティブ・プラントを誰でも購入することができます。※
ネイティブ・プラントといっても多種多様。失敗しないためにも買う前にその特性を知っておくことが大事。オススメの植物は次の通りです。
Snowberry, Salal, Madrone, Big Leaf Maple, Pearly Everlasting, Willow, Red Osier Dogwood
*日陰を好む植物:
Western Hemlock, Western Red Cedar, Sitka Spruce, Salal, Bleeding Heart, Ferns, Yew, Cascara, Bunchberry, Vine Maple
*湿った場所を好む植物:
Sitka Spruce, Western Red Cedar, Western Hemlock, Red Osier Dogwood, Willow & Cottonwood, Oregon Ash
*日光が必要な植物:
Douglas Fir, Noble Fir, Oceanspray, Red Flowering Currant, Garry Oak, Pearly Everlasting, Yarrow, Nootka Rose
*ハミングバードが集まりやすい植物:
Honeysuckle, Columbine, Pacific Madrone, Bleeding Heart, Crabapple, Red-Flowering Currant
*火事に強い植物:
Kinnikinnick, Purple Coneflower, Oregon Boxwood, Pacific Rhododendron, Vine Maple, Serviceberry, Red Osier Dogwood, Mock Orange, Oceanspray
これらをインターネットで検索すれば、その植物の写真を見ることができます。私も自然保護プラント・セールでいろいろ買って庭植えしました。赤花スグリ(Red Flowering Curran)は赤くかわいい花が4月ごろから1カ月ほどたくさん咲き、クマコケモモ(Kinnikinnick)はグランド・カバーとして重宝しているし、秋に紅葉が美しいモミジ類(Vain Maple)は5、6本が日陰で心地良さそうにしています。後はケンマソウ(Bleeding Heart)、シャクナゲ(Pacific Rhododendron)、シダ類(Ferns)など。手入れが楽で、自然を保護した我が家の庭に満足しています。ぜひネイティブ・プラントを購入し、この秋(雨期に入ったころ)か来年早春に庭植えし、あなたの庭も徐々に自然保護の庭にしていって下さい。
Happy Healthy Gardening!
※ ワシントン州:Washington Native Plant Society www.wnps.org
オレゴン州:Native Plant Society of Oregon www.npsoregon.org
(2012年7月)
第15回 更に手間ひまいらずのガーデニングで余暇も楽しむ
このコラムの主なテーマは、環境を保護した自然な庭にしていくことです。その過程で、コンポストや腐葉土、ピートモスなどの有機体を混ぜて肥えた土壌にすれば、植物は健康になり、虫害や病気にも強くなります。また、庭のさまざまな条件に適した植物やノースウエストのネイティブ・プラントを選ぶことで、ガーデニング・ケアの手間が省け楽になってくるということをこれまで伝えてきましたが、今回は、更に手間ひま掛けずにいかに自然で美しい庭を維持するか、そのコツをお教えしたいと思います。
まず、庭を3つのゾーンに分けます。
ゾーン1は、表玄関周りなど、家の中と外、両方からいちばん目に付く場所です。ここは家の顔なので時間を掛け、四季を通して目を楽しませるものにしましょう。まずはグランド・カバーで地面を埋め尽くし、雑草がはびこらないようにします。日なたか半日陰なら、多肉植物のセダム(Sedum)、日陰ならキボウシ(Hosta)などがオススメ。成長が早く大木になる木は、日陰を作り雨樋や屋根の掃除が頻繁に必要なうえ、剪定も困難になるので避けましょう。成長が遅くコンパクトな樹形を長く楽しめる低木のほうが、剪定も容易で維持しやすいです。日なたか半日陰の場所に良い低木は、以下を参考にして下さい。
*オオベニウツギ(Weigela Florida・落葉低木):5、6月に淡桃色の花を咲かせ、黄白色の輪が入った美しい葉を持つ
グミ(Gilt Edge・常緑低木):1年中黄金色の葉が見事な、葉を楽しむ品種
*シモツケ(Gold Mound・落葉低木):春に赤みを帯びたオレンジ色の新芽、夏は黄金葉に変わり、秋は紅葉を楽しめる
*メギ(Berberis Thunbergii・落葉低木):赤や黄色の葉があり、鮮やかな色合いの組み合わせはグランド・カバーなどに最適
*アオキ(Aucuba Japonica・常緑低木):鮮やかな黄色い葉が日陰の暗さを明るくする、日陰に植える庭木の代表格
ゾーン2は暖かい季節にはよく利用するけれど、雨期や寒い季節にはほとんど使わない場所で、夏から秋に掛けてよく使うデッキやパテオ、また、そこから見えるエリアになります。暖かい季節の間だけ維持が必要ですが、ゾーン1よりは、手を抜いても良いですね。ここも低木とグランド・カバーがオススメ。
ゾーン3は、外の物置きなど、めったに立ち寄らない場所で、ここは完全に手を抜いて問題ありません。場所があれば将来的に高く大きくなる樹種、春に美しい花を咲かせるシャクナゲや椿(常緑高木)などの花木を植えて、手入れが行き届いていないのを隠すスクリーン代わりに良いですね。
庭の条件に適した植物の選択はwww.greatplantpicks.orgを参考にして下さい。今まで、庭全体すべての手入れに全力を尽くしお疲れの方、この辺で優先順位を決めて、手を抜けるところは抜いて、今までやろうと思っていてやれていなかったことへの行動を起こして、余暇も楽しみましょう。
Happy Healthy Gardening!
(2012年8月)
第16回 日陰でも強く美しく咲く植物
パシフィック・ノースウエストは四季を通して、晴れた日より曇りや雨のグレーな日が多いですね。うちの庭は花が全然咲きませんが、どうしたものでしょう?という質問をよくいただきますが、咲かない要因はさまざまです。そのひとつに日当たりがありますが、日陰でもよく咲く花はたくさんあります。今回は、7 月号で紹介した、地元の気候に合うネイティブ・プラント以外で、半日陰から日陰の通路や花壇に植えると良い植物を紹介します。
*【花と葉を楽しむ草花】:多年草のクリスマスローズ(Helleborus)は、真冬の寒さの中、うつむき加減に花が咲き始め、寂しげな冬の庭に色を添えます。寒さに強く日陰でも元気に育ち、水はけと風通しが良い落葉樹の下などに植えれば、後はほとんど手間要らず。ギボウシ(Hosta)も耐寒性があります。班入り種の物は葉の観賞価値が高いです。ハート型の葉全体に銀の粉をまぶしたようなジャック・フロスト( Jack Frost)は常緑性、春に青く小さな花を咲かせます。サンスポット(Heucherella)は、春先に薄黄色の葉に赤い筋が入り、初夏に桃色の花穂を付けます。光沢のある葉に褐色の葉脈模様が入るツボサンゴ(Heuchera)も、初夏に桃淡色の花穂を付け、耐寒性あり。ジキタリス( Digitalis)は筒状の花をびっしり付けて1 メートルを超える長い花穂になります。ユリ・オリエンタルハイブリッド(Lilium)は、日本で自生するユリを交配して作られた品種で、日陰でも丈夫に育ちます。秋植え球根で、初夏に咲く大きな花が魅力的。
球根や、宿根草、多年草の植え付けや移植にいちばん良い季節は、雨が頻繁に降り始める9月末から10 月末ごろでしょうか。雨によって、しっかり根付き、高い確率で春に芽が出てきます。夏は植えるには適しません。
*【地面を彩るグラウンド・カバー:アジュガ( Ajuga Reptans)は、春には紫の花が咲き、
次々とつるを伸ばし地面を這うように広がっていくので、花壇は避け、踏み石の間や通路脇に植えると素敵なグランド・カバーに。暗くて湿った所でもよく育つシダ類( Ferns)や苔類(Moss)、ヤブラン(Liriope Muscari)も耐寒性あり。マンネングサ( Sedum)は、明るい日陰の乾燥地に向いています。ササ(Bamboo Grass)は、日なたでも日陰でも楽しめます。庭植えの場合、1 度根付くと四方に地下茎を伸ばし広がっていくので、ガーデン・シートを二重にして根止めをしたり、浅鉢植えでタケと一緒に寄せ植えをして玄関に置いたりして楽しんでみては。
*【高さを演出する花木】:ツバキ( Camellia)は常緑高木で、冬から春を彩ります。春に豪華な花を付けるシャクナゲ(Rhododendron)も日陰の彩りに良いでしょう。常緑低木では、ヒイラギナンテン( Mahonia)を。春に鮮黄色の小花が咲き、6 月には黒青色の実が熟します。しだれ咲く花が美しいアセビ( Pieris Japonica)、黄色斑点の葉のアオキ( Acuba Japonica)、アジサイ(Hydrangea)、ミヤマシキミ( SkimmiaJaponica)、また春から夏に白い極小の実がなり、秋に紅葉するものの葉が散らない南天(Nandian)もオススメです。
日陰の度合いに適した植物の選択はwww.greatplantpicks.org を参考に。あなたの庭のリフォーム、お楽しみください。
Happy Healthy Gardening!
(2012年9月)
第17回 初秋に植えて晩秋には花が咲くさまざまな球根
今月から11月の半ばぐらいまでは、春に花が咲き始めるクロッカス、水仙、チューリップ、ユリ類などの球根を、庭植えやポット植えするのに良い時期ですが、今回は夏から初秋に植えて、同じ年の晩秋には花開く球根をいろいろと紹介します。これらの球根を使って秋の庭を華やかにしましょう。また、ポットでも手軽に楽しめます。
去年の秋、友人から、「葉がなく、クロッカスの花よりは大きいラベンダー色の花が付いた茎がニョキニョキ出てきて気持ち悪いけど何かしら?」と聞かれました。そこで1株いただき、半日陰の庭に植えたらこの春に葉が出て、夏には枯れ、今頃、花が咲き始めました。これは、ユリ科イヌサフラン属のコルチカム(Colchicum)です。花形がクロッカスに似ていて秋に咲くので「秋クロッカス」、また、葉がなくのっぺりとした感じのため、「裸の貴婦人」とも呼ばれています。球根には有毒物質が含まれているので間違えて口に入れないように注意してください。ピンクの花びらが八重咲きのコルチカム・ウォーターリリー(Colchicum Waterlily)は、派手できれい。ちょっと紛らわしいのですが、秋に花咲くクロッカス(Fall-blooming Crocus)もあり、これはコルチカムと違ってアヤメ科。秋に花が咲く時には葉が付いていて、クロッカスと似ています。また、サフラン・クロッカス(Saffron Crocus)も、初秋に植えて晩秋には花開く球根で、ラーベンダー色の花の中心から赤い長い髭のようなものが出ており、これが高級スパイスとして名高いサフランになるそうです。秋水仙(Autumn Daffodil)は鮮明な黄色の花を付け、秋スズラン水仙(Autumn Snowflake)は、春に花咲くスノー・ドロップのように白い鈴なりの花を咲かせます。ほかに、日本人には馴染み深い、秋の彼岸の頃に咲き出す赤い彼岸花(Spider Lily)があります。水仙によく似た球根で、花の時期に葉がないヒガンバナ科リコリス属で、葉が枯れる夏が球根の植え時です。日なたを好みますが、半日陰でも育ち、水やりも比較的少なくてすみます。年々自然に増えていくので、動かさなくて良い所に植えるのがオススメです。この球根にも毒性物質が含まれており、作業後は手を洗いましょう。以上はすべて耐寒性で、半日陰で育ちます。
これらの球根は、夏~初秋に大手の園芸専門店、カタログ、インターネットで購入できます。球根をどれくらいの深さや間隔に植えるかなど、説明書をよく読んでから行えば、失敗はほとんどないでしょう。私は、必ず肥料(Bone Meal)を少々入れて植え込みます。すると花が大きく元気にしっかりと毎年咲きます。
また今の時期は、近年花が小さくなったり、咲かなかったりしている球根、多年草、宿根草を掘り起こして株分けし、その植物の条件に合った新しい場所に植え付けるのに最適です。その際、健康に育つために欠かせない堆肥、コンポスト、腐葉土で土作りをしてから行ないましょう。そして、ウッドチップ、わらなどで根元をマルチングして、冬の寒さ除けと雑草除けをし、水を1回たっぷりあげておくと、後は雨で根付き、春には元気いっぱいに新芽が出て、美しい花が咲き始めます。色とりどりの花に囲まれてハッピー、日々の暮らしが俄然と楽しくなります!
Happy Healthy Gardening!
(2012年10月)
第18回 庭木・植木の剪定(せんてい)の仕方
庭という限られたスペースに植わっている木を伸びたままにしておくと、ジャングルに変貌。思い余って焦り、どう切るのか何の考えもなく、自己流でじゃんじゃん剪定すると、さらに醜くなり、取り返しがつかなくなって致命的です。こうなると、プロの剪定師に依頼するしかないのですが、無計画に切り過ぎないことがポイント。今回は、初心者でもできる剪定のコツをお話しします。
木の大きさや高さを、周囲の環境に調和するように、枝を間引いたり、切り詰めたりする剪定は、庭木が伸び放題になるのを制限します。それを維持することで初めて身近な小自然としての美しさを保つことになるのです。また、枝枯れや病害虫の発生を防ぐという効果もありますので、剪定は欠かせません。正しい時期に行えば、あまりダメージを与えずに済むので、樹種に合った時期に行うことが大切です。
落葉樹は、一般的に、落葉して休眠期に入っている晩秋から初冬にかけてが適している時期です。葉がないので、小枝の状態がよく見え、花木の場合は花芽も見えることが多いので、翌年の開花数の調節ができるという利点があります。ただし、多くの花木は、花芽が作られる時期が7月から9月にかけてなので、翌年の花つきを優先したいのであれば、それぞれ花の咲き終わった直後に剪定するのが無難です。
常緑樹の剪定は、十分に暖かくなる4月から5月にかけて行なうのが好期で、冬にすると、葉が少なくなることで蒸散量が減って吸水力を失い、葉や小枝がしおれたり、枯れたりします。太い枝まで枯れてしまうことがあるので注意しましょう。失敗がないように剪定するためには、まず事前によく考え、どうするのか決めることが重要です。造りたい樹形をイメージし、切ると決めた木、庭全体をじっくり観察してバランスを見届け、そのイメージがはっきりしたら、①樹形を整える:枯れ枝、根元から出る枝(ひこばえ)※1を切り落とし、日当たりの問題や、隣に植えてある木の影響で不自然に生える不要枝(忌枝)を切ります。そして、立ち枝※2、下がり枝※3を切った後、太い枝から順に平行枝※4、込み枝※5を切り、これらを除いた本来の枝ぶりが見えるよう、少ない枝数でシンプルに表現できれば理想的です。②樹高を低くする:庭で大きくなり過ぎた木を小さくしたい場合、長く伸びた枝を、樹高の半分程度の高さにある短い枝の上で切ります(Heading Cuts)。ただし、木を極端に切り戻す※6と、元の大きさに戻ろうとする力が働き、翌年は強い枝(Water Sprouts)が垂直にたくさん出てみっともないので、その力を和らげるため、必ず短い枝を残して、その分かれ目のすぐ上で切るのがポイントです。
剪定には、よく切れる剪定ばさみと小さいノコギリがあればやりやすいでしょう。私は今までいろいろな剪定ばさみを使ってきましたが、いちばん使いやすく気に入っているのが、マスター・ガーデナーが皆使っているスイスでデザインされたフェルコの剪定ばさみ(Felco 2)。園芸専用店やオンラインで購入できます。
美しく調和ある庭作りを楽しみましょう!
くれぐれも、切り過ぎないで下さいね!
Happy Healthy Gardening!!
※5 込み枝:特定の場所に枝が集中して、込み合っている枝のこと。
※6 切り戻し:伸びた樹木の枝を短く切り詰めること。
(2012年11月)
最終回 寒さに強く、屋外でも元気に育つさまざまな植物
今年も早いもので、師走に入り、庭の冬越しの支度(寒さのため、痛んだり枯死したりしないよう、株元に藁や腐葉土、バークチップなどを敷き詰める防寒作業)も終わってやれやれ。ホリデー・シーズンでいろいろと忙しくなってきましたね。このシリーズを始めて1年半ほどになりますが、今回が最終回。枯れて色のない寂しい冬の庭を、寒さに強く屋外でも元気に咲く植物で、明るく華やかにして楽しもうという話しで最後を飾りたいと思います。
この時期になると、あちこちの店には室内用植物の定番、シクラメンをよく見かけますが、耐寒性のある種類(Hardy Cyclamen)であれば、庭植えで問題なく、ピンクや白のかわいい小さな花を咲かせてくれます。近年、人気が高まっているのが、クリスマス・ローズ(Helleborus)です。花の色は、白やピンクからアプリコットやブルーがかった黒に近い色まで、ほかの植物にはないぐらいバラエティーに富んでいます。花の形もシングル(一重咲き)で整った丸弁、少しフリルの入ったものや、豪華なダブル(八重咲き)、セミダブル(半八重咲き)などがあり、種類が豊かです。クリスマス・ローズは、花が少ない真冬の庭で、雪が降っても平気で咲き、日陰にも耐えられるので庭植えに最適。和洋どちらの庭にも調和するので、冬の玄関先を華やかにするのにぴったりです。丈夫で寒さに強く、初めての人でも育てやすいので、ぜひお試しください!
グラウンド・カバーでは、ヘザー(Heather)、またの名をエリカ(Erica)と言いますが、花持ちが良く、寒さに耐えて休眠せず、薄ピンク色や、濃いピンク、白い小花を咲かせます。きれいで丈夫、年々広がって大きくなっていくので、雑草抑えにも効果的です。毎年咲く耐寒性のプリムラ(Hardy Primrose)も、いろいろな色や形があり、これもカラフルなグラウンド・カバーになって庭を明るくしてくれます。また、シルバーリーフ(Dusty Miller)は、耐寒性・常緑多年草で、1年中白い葉を楽しむ植物で、四季を通じて庭にアクセントを加えます。
庭木では、冬に開花する貴重な花木、サザンカとツバキの交雑起源とも言われている赤や白い花を咲かせるカンツバキや、コニファー(針緑樹)、特に銀青色の葉が美しい品種のウィチタ・ブルー・ジュニパー(Wichita Blue Juniper)や、ナンテン(Nandian)も赤い実と葉の紅葉で華やぎを添えてくれ、正月の切花として使えるので重宝します。鮮やかな黄色の常緑樹、エメラルド・ゴールド・ニシキギ(Emerald’s Gold Euonymus)と共に植えると、庭に色彩を加えてくれるでしょう。
今回紹介した植物は、来年の春になって、その冬の庭のための植え付けを始めていけば、徐々に華やかな庭に変身して、楽しめることでしょう!
今まで愛読してくださった多くの皆様、ありがとうございました!
Happy Healthy Gardening!!
(2012年12月)
サンフランシスコ近郊に買った家の庭が荒れ放題。それを美しく変貌させた喜びが情熱につながり、99年、ノースウエスト移住後も造園に打ち込む。10年からワシントン州立大学にて本格的に学び、11年にはマスター・ガーデナー・ベテランに。本職の不動産業で家と庭のステージングも提供すると共に、自然保護園芸指導のボランティアに力を注ぐ。 園芸についての質問は 425-501-6626または machikofa@msn.comまで。
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