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新しく登場した避妊法、インプラノンについて教えてください。 |
< 回答者|ナースプラクティショナー・助産婦・看護学博士 押尾祥子先生>
インプラノンというのは、ホルモンを含ませた小さな筒状のプラスチックを皮下に挿し込む避妊法です。ヨーロッパなどでは1998年から広く使用されてきましたが、アメリカでは今年7月に米国食品医薬品局(FDA)の許可が下りたばかりです。皮下への挿入、そして必要がなくなった時の除去には技術が必要なため、インプラノンの発売元、オルガノン社が、これから臨床家のトレーニングを始めます。一般に広く使えるようになるのは、来年の2007年になると思われます。
インプラノンはマッチ棒ぐらいの大きさで、エトノゲストレルというホルモンを含ませてあります。このホルモンが少しずつ体内に吸収され、3年の間、避妊効果があります。ピルと比べて飲み忘れによる失敗がないため避妊効果はとても高く、100人の女性が1年間使用したとして、妊娠する人は1人以下です。
インプラノンは腕の皮下に埋め込まれるので、外から見ただけでは使っていることがわかりません。挿入は簡単で、数分で済みます。局所麻酔をして痛くないのを確認し、注射器のような挿入器を使って皮下にインプラノンを送り込みます。妊娠していないことを確認するために、生理中に挿入するのが一番良く、挿入後1週間はコンドームなどで避妊をします。
この避妊法が使えない人達もいます。妊娠している人、原因不明の出血がある人、乳がんや血栓症がある人、肝臓の悪い人は使えません。
一番多い副作用は、不整出血です。生理の回数が増えたり、生理の合間に少量の出血があったりすることがあります。最初の6カ月ぐらいは、気分のむらがあったり、体重が増えたりする人も。にきびが増えた、という人もまれにいます。
インプラノンを除去すれば、その日から妊娠することが可能です。除去は挿入と比べて、少し時間が掛かります。局所麻酔下で3、4ミリ切開をして、細い器具でつまんで取り出します。
(2006年10月)
ナースプラクティショナー・助産婦・看護学博士 押尾祥子先生
なでしこクリニック主宰。「家族がハッピーになるクリニック」をモットーに、女性の健康一般の診断と治療、妊婦検診、生理不順や不妊の相談を行う。エバーグリーン病院の入院治療権を持ち、ひと味違う、助産師としての出産を扱っている。
Sachiko Oshio, CNM., PhD., ARNP Nadeshiko Clinic
TEL:206-354-7045
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