さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。
姿勢の悪さが気になります。改善方法を教えてください。 |
< 回答者|理学療法士 アーンスタインのり子さん>
「くしゃみをしただけなのにぎっくり腰になり、何日も寝込んだ」という話をよく聞きます。腰痛などの障害は、ちょっとしたきっかけで起こるように思われがちですが、実は日ごろの姿勢など、長年の負担が原因になっています。
友人や家族の方に、両肩を地面に向かって軽く押してもらい、立った姿勢をチェックしてみましょう。腰の辺りが、体の前や後ろにしなっていませんか? 肩が前に出て猫背になり、あごが前に突き出ていませんか? この時に両肩を押された力=重力と考えてください。この体のしなった部分に、ストレスが積み重なっていることが多いのです。
では、関節、じん帯、筋肉になるべく負担の少ない姿勢を取るにはどうしたら良いでしょう。一般に、耳の穴、肩、腰、ひざ、そして、かかとの少し前方が一列に並ぶのが、良い姿勢とされています。全身が映る鏡の前に横向きに立って、一列に並ぶように姿勢を直してみてください。猫背が気になる方は、頭のてっぺんから糸が真っすぐ上に伸びていて、それを軽く引っ張られている、と想像してみてください。ちょっと背が高くなり、軽くなった感じがすると思います。よく、兵士のごとく両肩を引くように、というアドバイスを聞きますが、これは背中の筋肉を緊張させなければできないので、3分もしないうちに疲れてしまいます。ちょっと胸を持ち上げ、軽くあごを引くだけで、頭と肩の位置が改善され、肩凝りや頭痛が和らぎます。腰の位置がずれている場合は、ゆっくり腰を前後に動かし、中心を見つけてください。腰ついが反り過ぎても丸まり過ぎても、背骨に負担が掛かります。体重は右足と左足に同じように掛けてください。
良い姿勢が取れたと思ったら、また両肩を押してもらいましょう。余分な力を入れなくとも、体がしっかり支えられている感覚がつかめれば成功です。姿勢は毎日の積み重ねが大事ですから、時折、姿勢のチェックを繰り返してください。
(2007年7月)
理学療法士 アーンスタインのり子さん
94年、ピッツバーグ大学でアスレチック・トレーナーの資格を取得。日本で、富士通アメリカン・フットボールのヘッド・トレーナー、ストレングス&コンディショニング・コーチを経験後、01年にワシントン大学で修士課程を修了し、理学療法士の資格を得る。オリンピック・フィジカル・セラピーで就業中。
コメントを書く