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子供がかんしゃく持ちです。心に問題があるのでしょうか。 |
< 回答者|ワシントン州認定メンタルヘルスカウンセラー 高田ディル峰子さん>
人には、誰もが持って生まれた気質、気性(Temperament)があります。赤ちゃんの時からおとなしく、あまり泣かない子供から、いつも泣いてばかりで本当に手が掛かる子供までさまざまです。
子供に自我が芽生え、自分の思い通りにならないことがあると、駄々をこねたりかんしゃくを起こしたりします。赤ちゃんの時は、泣けばお母さん、お父さん(または、ほかに世話をしてくれる人)が飛んで来て、ミルクを飲ませたり、おしめを変えていたのですから、子供にしてみれば、お店で玩具が欲しい時に、駄々をこねて泣けば買ってもらえるだろうと思うのは当然です。しかし、そこで親が泣かれては恥ずかしいからと玩具を買い与えると、その子供は泣けば自分の思い通りになると思うようになります。ですから気性の激しい子供の場合、この時点でしっかりしつけをしておかないと、いつもかんしゃくを起こして自分の思い通りにしたい子供に育ってしまいます。
もちろん、気質、気性のほかに子供の心の健康に及ぼす要素はさまざまです。まず、言語や学校についての悩み、友人関係などのストレスが高いと、すぐにかっとなったりするものです。次に家庭環境。親自身のストレス度が高い場合も、子供は敏感に反応します。両親が不仲で、いつもけんかをしているのに、子供にかんしゃくを起こすなと言うのは、無理な話です。自分自身がかんしゃく(怒って怒鳴る、人のせいにする、暴力を振るうなど)を起こしていないか、自己診断が大切です。
もし子供のかんしゃくがひどくて、どうして良いかわからない場合は、まず、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。子供の時に発病するメンタル・ヘルスの問題は、とにかく早いうちに診断してもらい、子供の脳が柔軟な時にいろいろな治療を受けることが重要です。また、本当は自閉症やアスバーガー症なのに、小児科医に知識がなく「大きくなれば大丈夫」などと言われたりすることも多々あります。もし親の勘で子供のかんしゃく度合いが異常だと思う場合も、専門家(小児の精神科医、子供のカウンセラー)に相談しましょう。
親としては、子供に障害があるとは思いたくないかもしれませんが、早期発見、治療が子供のためになるので、勇気を出してください。
(2008年12月)
ワシントン州認定メンタルヘルスカウンセラー 高田ディル峰子さん
武蔵野美術大学油絵科卒業後、テキスタイル・デザイナー、青年海外協力隊員、養護学校の教師を経てアート・セラピーの世界へ。ニューヨーク大学の大学院で知識を学び、現在に至る。アメリカン・アート・セラピー・アソシエーション公認アート・セラピスト。キング郡認定のChildren’s Mental Health Specialistも所持する。
Mineko Takada-Dill, MA, LMHC, ATR
TEL: 206-276-4915 ウェブサイト:www.studiomene.com
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