シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

親知らずの抜歯とインプラント治療について教えてください。

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

親知らずの抜歯とインプラント治療について教えてください。

< 回答者|歯科医師 阿部恭子さん>

親知らずは、第3大臼歯と言い、最後に生えてくる歯です。ほとんどの場合、 生えてくる隙間がなく埋伏している場合が多いので、特別な状態は別として、歯科医は、早い時期の親知らずの抜歯を勧めます。と言うのは通常、親知らずはさまざまなトラブルを引き起こすことが多いからです。それに早い時期に抜歯すると、リスクも少なくて済みます。親知らずが引き起こすトラブルは、次のようなものです。①虫歯に関する痛み ②親知らず周囲の歯ぐきの痛みや腫れ ③歯並びへの悪影響 ④隣の歯や、組織への悪影響…… 抜歯方法はさまざまですが、一般的には、中高生や大学生の時期に4本の親知らず(右上、左上、右下、左下)を、笑気ガス、精神安定剤、全身麻酔などの方法を使って、手術を楽な形で受けながら、一度に抜く方法が多く見られます。手術は、周囲の組織を極力保護する形で行われ、術後は、痛みや炎症を抑えるために処方箋が出されます。個人差もありますが、1週間もすると ほとんど楽な状態になります。

インプラント(人工歯根)は、失われた歯の箇所に埋設して、噛む機能を回復させる治療法です。隣の歯などを削らなくて済み、骨の吸収も妨げ、失われた歯を回復するのにとても良い治療法となっています。抜歯が必要な場合、症例によっては、抜歯の後すぐに抜歯窩(抜歯をした後にできるくぼみ)にインプラントを入れ込む場合もあります。治療法は、骨の状態や失われた歯の数によっていろいろと異なりますので、個々の症例によっては、慎重な診査が必要な場合もあります。入れ歯と違う点は、入れ歯は歯ぐきの上に載せて使うため、口の中で動きやすく不安定な場合もあり、取り外しの形になります。インプラントなら安定感が得られ、種類によっては取り外すこともなく、ほとんど自分の歯と同じような状態を得ることができます。

食べ物を丈夫な歯でよく噛んで食べることは、健康面から言っても大事なことです。親知らずの抜歯も、インプラント治療も、口腔状態を健康に保つために、必要な治療法と言えます。歯のことについて心配のある人は、気軽に歯科医に相談してください。ケースによって治療方法はさまざまですが、必ず良い処置が見つかるはずです。

(2009年2月)

歯科医師 阿部恭子さん


札幌医科大学口腔外科の研修を経て、東京国立病院にて歯科口腔外科医を務める。その後ペンシルバニア州ペンシルバニア大学の歯学部を終え、アメリカでの免許も取得。また、クリーブランドで、麻酔科の研修も終え、ポートランドへ移り、現在に至る。最新技術を用い、患者にわかりやすく説明しながら治療に当たる。

Kyoko Abe, DMD Abe Dental
TEL: 503-297-4102 
ウェブサイト:www.abedental.net