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プロソドンティストと通常の歯科医の違いは? |
< 回答者|歯科医 ティモティ・バトソンさん>
アメリカでは歯科医が専門的に分かれていることに、とまどわれる方も多いと思います。特にプロソドンティスト(Prothodontist)となると、一般的なアメリカ人もほとんどわかっていません。
プロソドンティストになるには、歯科大を卒業後、3年の厳格なトレーニングを積む必要がありますが、ここでは、競争率の高い中で選ばれた人だけが学べます。トレーニングを受けた人の多くはその後、歯科大の教授になることからも、プロソドンティストは、歯科医の先生と言えます。また、豊富な知識を兼ね備えることから、一般歯科では治療が困難な症例なども診断。必要があれば専門医へ振り分け、連携を取りながら治療にあたるなど、トータル的に患者をケアします。
家を新築することを考えてみてください。まず最初に場所を決めたら、建築家との相談になります。それに伴う作業は、個人の予算や希望、デザインなどによって変わってきますが、歯についても同じことが言えます。その役割を果たすのがプロソドンティストです。正しい噛み合わせにし歯並びを良くする矯正や、あごの骨に人工歯根を埋め込み人口の歯を取り付けるインプラントのほか、抜歯や入れ歯、クラウン(虫歯の治療で削った部分を覆う歯のかぶせ物)、ブリッジ(何本かの歯を土台にして連結して抜けた歯を補う装置)などの必要性を考慮し、治療計画を立てます。とは言え、患者にもそれぞれの事情があるので、その治療法は、希望や予算、治療に費やせる期間などによっていくつかのオプションが立てられます。
プロソドンティストは歯の建築家であり、的確なアドバイザーと言えるでしょう。歯の治療にはさまざまな不安が付き物ですが、最初にプロソドンティストに会うことで、その人にいちばん合った治療法を見つけることが可能です。金額的な部分はもちろん、機能的にも審美的にも、迷うことなく最高の治療に臨めるでしょう。
(2010年3月)
歯科医 ティモティ・バトソンさん
ペンシルバニア大学歯学部を卒業後、米国海軍に入隊。大佐として退役するまでの22年間の勤務中に、ワシントン大学でプロソドンティストのトレーニングを積み、開業する。シアトル・ダウンタウンのオフィスで日本語が話せるスタッフと共に治療に当たるほか、ワシントン大学歯科学部にて準教授としても活躍。4年間の日本滞在経験があり、日本文化にも精通・堪能している。
Dr.Timothy J. Butson DMD MSD PLLC
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