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アイリフトを考えています。 眼科でも手術できるのでしょうか? |
< 回答者|眼科医 ゴーント千明さん>
眼科でもアイリフトやそのほかのまぶたの手術は受けられます。術後の視機能に及ぼす影響もしっかり考慮されるので、ドライアイや閉瞼障害の危険も少なく安心です。このような質問をいただくのは、日本では眼科医の教育に眼瞼形成が含まれていないことに由来すると思われます。つまり、日本ではまぶたの手術は美容形成外科の範囲です。アイリフトは眼瞼挙筋短縮術を用いて目を大きくすることを指す場合がありますが、本欄ではより一般的な加齢による上まぶたのたるみの修正手術を指すこととします。
アイリフトの手術は、保険診療ができる場合とできない場合があります。当院での自費手術コストは、日本のそれと同じほどですが、保険が利けば、かなり低額で同じ手術を受けることができます。保険診療を受けるには、視機能に対する悪影響、つまりたるんでかぶさってきたまぶたや、それに押し下げられたまつ毛で影ができ、見えにくくなったことなどを証明する必要があるため、特殊な視野検査を行います。指でまぶたを上げると良く見えるという方は、上方の視野がさえぎられているかもしれないので、自費での美容形成を考える前に視野検査を受けることをお勧めします。
アイリフトは顔面形成術の中で、最も若返り効果が高い手術です。極細の注射針で麻酔薬を上まぶたに注入し、完全に感覚を麻痺させてから、計画したデザイン通りに、余分なまぶたの皮膚を切除します。その後、脂肪がたまっていれば取り除き、皮下組織を修整。髪の毛より細い糸で丁寧に皮膚を縫合して終了で、所要時間は40~90分です。術後すぐに帰宅でき、抜糸は5~7日後。東洋人の場合、傷跡の赤みが欧米人より長く残り、2~4カ月くらいで徐々に目立たなくなります。
保険は利きませんが、下まぶたのたるみも手術できれいになります。また若い方に人気のある二重まぶた手術の手技には、抜糸の要らない埋没法、アイリフトに準じる全切開法、その中間の小切開法があります。デザインは、今よく言われる目ヂカラがアップする平行型や、すっきりとした美人目の末広型、涼しい奥二重など。どのような形にするかは術前に相談して決めます。そのほか、目の周りの腫粒、下がり眉、逆まつげやまぶたの変形なども眼科で手術的に対応可能です。
(2011年3月)
眼科医 ゴーント千明さん
兵庫県赤穂市出身。京都大学医学部卒、京都大学大学院終了、医学博士。前ルイビル大学眼科学教室アシスタント・プロフェッサー、神経眼科主任を歴任。アメリカ眼科専門医の資格も保持する。ウッビー島で眼科を開業。趣味は手術、水彩画、鉛筆画、料理、フラメンコほか。
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