待望の妊娠、しかもアメリカで出産……ママになることに胸躍らせつつ、初めての体験続きでヒヨコの毎日はドッタバタ!
- 1 第1回「ドタバタ妊娠・出産英語」
- 2 第2回「妊婦の必需品!? デカパンツ&電磁波カット・エプロン」
- 3 第3回「知るべきか、知らざるべきか、子供の性別」
- 4 第4回「ハーフのお名前」
- 5 第5回「生まれちゃった!」
- 6 第6回「母乳育児の始まり」
- 7 第7回「おならをやっつける」
- 8 第8回「ねんねの儀式」
- 9 第9回「新年の抱負」
- 10 第10回「オーガニック・ブーム」
- 11 第11回「育児で学んだ大切なこと」
- 12 第12回「温泉大好きベイビー」
- 13 第13回「チキン・ポックス」
- 14 第14回「2人目問題」
- 15 第15回「スリング」
- 16 第16回「ハイチェア」
- 17 第17回「夜中の授乳にさよなら」
- 18 第18回「母、妻、そして……」
- 19 第19回「セルフ・コンシャス」
- 20 第20回「忘れんぼう」
- 21 第21回「母は強くなくっちゃ」
- 22 第22回「マイホームの夢」
- 23 第23回「赤ちゃんのことば」
- 24 第24回「産み分けは可能か?」
- 25 第25回「親子で楽しむ温泉1泊旅行」
- 26 第26回「ハロウィーンと夜驚症」
- 27 第27回「勝ち犬になるために」
- 28 第28回「トイレ・トレーニング」
- 29 第29回「年始の珍行事」
- 30 第30回「親子で楽しむスノー・スポーツ」
- 31 第31回「専業主婦 VS 働くママ」
- 32 第32回「パパと育児」
- 33 第33回「子供と一緒の育児」
第1回「ドタバタ妊娠・出産英語」
妊娠計画を立てている時に、お友達のママから「子供は親の勝手では出きないわよ!」と言われけれど、本当にその通り。「春生まれの子がいいから、7月ごろに妊娠しよう!」なんて、都合のいいことを考えていたら、いつの間にか月日が経ち、8月、9月、10月、11月……。なかなか妊娠できないので、私もハズビー(注:夫)も半ばあきらめかけていたところ、ある朝「つわり」に見舞われた、というわけです。
そんなこんなで、ようやく妊娠しましたが、何もかも初めて続きでドタバタ三昧。まず最初にぶつかった壁は『妊娠英語』。アメリカ生活6年目を迎え、会話もOK、と自信過剰になってしまったのが仇になり、ハズビーの付き添いがなかったこともあって、産婦人科で大恥をかいてしまいました。
まず「Morning Sickness(つわり)」。朝の空腹時になる人が多いので、この名称がついたそうですが、そんなことも知らず、「How is your MORNING sickness?(つわりはどう?)」というドクターの質問に、昼も夜もつわりなのが異常なのかと不安になり、「Not only morning. All day!!(朝だけじゃないんです、1日中なんです)」。
「Is there anything you’re CRAVING?(何か無性に食べたくなるものある?)」という問いにも「Crave(熱烈に○○を欲しがる)」という単語を「Grave(墓穴を掘る)」と勘違いし、スコップのジェスチャーをしてみたり……。まあ、この辺までは相手が私の理解力を察知し、分かりやすい英語に置きかえてくれましたが、これに専門医学用語が入ってくると、さっぱり分からない。
月経(Menstruation)、おりもの(Discharge)、子宮(Womb)、胎児(Fetus)、卵巣(Ovary)、子宮口 (Cervix)、多量出血(Hemorrhage)など、初診以来、何回が出てきた英語ですが、辞書持参の上でやっと理解できました。
私は妊娠してすぐ日本語の妊娠ヘルプ本をたくさん購入しましたが、これだと日本語に頼ってしまって、英語をあんまり覚えないんですよね。そこで、英語のヘルプ本もいっしょに購入し、両方を読み比べて、少しずつボキャブラリーを増やしています(写真は友達のママに勧められた2冊。愛読しています)。ほかのママはどうですか? 何かほかにいいアイディアがあったら教えてください!
第2回「妊婦の必需品!? デカパンツ&電磁波カット・エプロン」
妊娠英語の失敗談について書いた、私の前回のエッセイを読んでくださったママ達から、「そうなのよ~、私もよ~」という意見がいくつか届いているそうで、「どたばたママは私だけではなかったんだ!」と、密かに胸をなでおろしています。アリガトウゴザイマス。
さて、ニンピー・ママ(注:妊婦)にとって、妊婦の必需品とは何でしょうか? 腹帯? 抱き枕? それともプルーン? ママによっていろいろ意見は違うと思いますが、私の場合はデカパンツと電磁波カット・エプロンです。
妊娠3カ月にしてすでに持っていたパンツがきつくなり、無理して履いていたら、下腹部に醜い食い込みラインが入ってしまいました。日本だとサイズに合ったマタニティー用ショーツが簡単に購入できるようですが、こちらで見つけるのは一苦労! いくつかお店を見て回り、やっと購入した「One size fits all(全サイズ対応)」のマタニティー・ショーツも、パンツのゴムが胸のすぐ下にきて、チョウチン・ブルマー状態に。「妊婦にはGストリング(注:Tバックタイプのショーツ)が良いわよ~」と義理母に勧められて、それも試しましたが、Tバックは問題外。お腹が冷えるし、寒いし、パンツの線が余計に食い込むんです。
ニンピー特有の感情の不安定さも手伝って、快適パンツがないことに非常に苛立ちを覚える毎日。そんな時、見かねたハズビー(注:夫)が、自身も愛用しているブランド「JOKEY」のショーツを買ってきてくれたんです。今、愛用しているのが、そのデカパンツ(写真上)。マタニティー用ショーツではなくて、プラスサイズ、コットン100%、シームフリー(縫い目のない)のパンツ。サイドとウエストの部分がシームフリーなので、素肌にフィットするけど締め付けない! またゴムの部分にLYCRA©を使用しているので、伸縮性があり、妊娠後期まで使えそうです。ジョッキーは「FredMeyer」などでも手頃な価格で購入できるので、まだ快適パンツを探し中のママはぜひトライしてみてください。
パンツの話が長くなりましたが、忘れてはいけないもうひとつ私の必需品は電磁波カット・エプロン。コンピューターの前に座っている時間が1日の3分の1以上という私の仕事柄、電磁波の影響はやっぱり気になります。調べてみると、パソコンから出る電磁波よりも、ドライヤーや電子レンジから発せられる電磁波の方がず~と強いらしく、パソコンを使う時間が長いからといって、必ずしも電磁波カット・エプロンを付けないといけない、というわけではなさそうです。でも、日本では会社から支給されると言いますし、電磁波の身体への影響はまだ分からない部分もあるので、気休めでも付けてたほうがいいですよね。
電磁派カット・エプロンはアメリカでも購入できるという話を聞きましたが、まがいものも多いらしいので、日本から取り寄せた方がいいようです。ちなみに私は友達ママのを借りています(これが一番安上がり!?)。ほかのニンピー・ママの必需品は何ですか?
(写真)
JOKEY Simple Comfort French Cut($8.50)
http://www.jockey.com
第3回「知るべきか、知らざるべきか、子供の性別」
妊娠6ヵ月の時に、産婦人科医から精密な超音波検診を受けるように勧められました。胎児の発達に異常がないことを確認することが第一の理由だそうですが、この検診の時にベイビーの性別もわかるとのこと。昔は「おぎゃー」と泣いて出て来るまでわからなかった胎児の性別も、今では出産前にわかってしまうんですね。「へぇ~、すご~い」と関心していると、ドクターがつかさず、「性別を知りたくなければ、その旨を先に伝えることよ!」。
ほとんどのドクターは、前もって「知りたい、知りたくない?」を確認してくれるといいますが、ママの意志を聞かず、「ほら、これがオチンチンですよ」と説明してしまうオッチョコチョイのドクター(!?)もいるので、自分の意向をあらかじめ伝えることは大切なのだそうです。
思わぬ時に訪れた重大な決意に、「やっぱり知らない方が神聖でいいかなあ」、「でも早くわかった方がベイビーをもっと身近に感じられるかも」と、いろいろ迷ってしまう私。保守的な義母の「絶対に知るべきじゃないわよ」という強い勧めもあったのですが、結局、私もハズビーも「知りたい!」という欲求に負けてしまい、検診前日の晩に「知ること」に決めちゃいました(義母カンカン)。
検査当日、私のベイビーは非常に協力的で、何度もオマタをパカパカ開き、「オチンチンないよ~、女の子だよ~ん(ハシタナイ……)」。そんなこんなで、あっけなく“女の子”ということがわかってしまったのですが、実際に知ってみた後の感想は?というと、性別がわかったことによって、名前が決めやすく、出産後の準備がしやすくなりました。当然ながら「どっちだろう」というワクワク感は跡形もなく消えてしまいましたけど。
ワクワク感を大切にするママは「知らない」方がいいかもしれませんね。超音波検診ではっきりわからなくても、5円玉法(5円玉を糸でぶら下げて、「男の子? 女の子?」と質問し、縦揺れならば男の子、グルグル回れば女の子)や、中国カレンダー法(下記リンク参照)でも推測できますし。ちなみに私は両方トライしましたが、「女の子」と出ましたよ!
重男軽女の思想がいまだに残る強い中国や韓国では、中絶に繋がることを考慮し、出産前の性別鑑定が禁止されているそうです。もちろん、こういうケースを除いての話ですが、私は「知りたい、知りたくない?」の選択肢があることは、おもしろいことだなと思いましたよ。ほかのママはどう思います?
第4回「ハーフのお名前」
名前は親が子供に与える最初で最高のプレゼントと言われていますよね。子供の人生や性格まで左右しかねないので、名付けはホントーに重大な仕事です。私もベイビーの性別がわかってから、いろんな本を読んで、あれこれ我が子の名前を考えてみましたが、ハーフの名付けって、かなり難しいということに気付きました。
半分日本人なんだから、日本でも通用する名前を使いたい。それに、ベイビーが自分によく似て鼻の低いアジア系の顔をしていたら、「ブリットニー」なんて呼べません! しかし、だからとって、完全に日本名を付けることができないのが、我が家のジレンマなんです。アイルランド系の血を大切にするハズビーの実家では、知らない間に名前探しが始まっていて、「ケリー」、「ケイトリン」、「ローズマリー」とアイルランド由来の名前が次々と候補に挙がっていました。
「あなたたちの好きなようにすればいいのよ」と言いつつも、日本名を出すと猛烈に反対する義母。しかも「これはどうかしら~」と、私が会ったことのないハズビーの叔母の名前が飛び出すなど、てんやわんやです。
日本では画数とかを気にするんですけど、アメリカでは血統とか、移住してきた先の土地にこだわるんですよね。日米の違いにちょっと驚きです。どっちも満足いくように、日本の方式にならってカタカナを使った姓名判断もインターネットで試してみましたが、結局どれも違った結果が出て、あまり頼りになりませんでした。
考えすぎて頭がパニックになってしまい、名付けが面倒になってしまった私とハズビー。「アミダクジでもしようかなあ~」と思っていたこところ、妹から国際電話があり「そんなんじゃ、だめよ。私たちの名前だって、お父さんが畑仕事をしながら、一生懸命考えたんだから」と、厳しい一言。それにしては、あまりにも平凡な私の名前。しかも姓名判断で画数を調べると「早死にする」と出てくるのはなぜ? お父様。
でも、たとえ早死にする画数でも、自分のことも思いながら一生懸命考え出してくれた名前なんだ、と思うと、特別な名前に感じてきます。そう、きっと大事なのはハーフとか、画数とか、凝り具合とか、由来とかじゃなくて、私たち夫婦が気に入ったベイビーの名前を心を込めて探すこと。それに気付くと、すぐに名前が浮かび上がってきました。さて、そのお名前とは? それは生まれるまでのヒ・ミ・ツです。
第5回「生まれちゃった!」
予定日から2日後、ついにベイビーが生まれました! 名前はエミリー。いやぁ~、世の中のお母様たちは偉い! あんなにつらく大変な思いをしてまで子供を産むなんて。「出産は自動車免許取得のようなもの(多く人が経験しているので、実際はそれほど大したことない)」と思っていた大バカ者の私は、産後3週間ほど、出産のショックと痛み、そして母乳育児の大変さからトラウマに陥り、しばらくこのエッセイを書く気分になれませんでした(でも、なんとか原稿の締め切りに間に合ってよかった、ホッ)。
私の場合、予定日の次の日に微弱な陣痛が始まり、その30時間後に破水。入院してから約8時間後に出産しました。8時間といえば、初産にしてもそれほど長くないらしいのですが、局部麻酔投入に手間取ったために、子宮口がほぼ全開になるまで痛みを我慢しなければならず、しかも3時間もいきんだのにベイビーが出てこなかったので、私にとっての8時間はまさに地獄のようなものでした。
結局、あと一歩のところでベイビーの体温が上昇し、細菌感染の恐れがあるということで、急きょ「吸引分娩」に。ベイビーの頭に椀状の吸引カップをぴったりと密着させて、バキュームで外に吸い出すという、ちょっと荒っぽい方法です。最初、ベイビーの頭には赤く跡が残り、形も心なしか長めに見えましたが、すぐに元に戻りました。会陰切開(アソコを切る)も余儀なくされましたが、なんとか無事に健康な女の子を産むことができて、やっとひと安心。
でも、産後は痛みと育児のストレスから、「もう2度と子供は産まないわよ!」と、ハズビーに何度もつらく当たったもんです。かわいそうなハズビーは、「I am so sorry」と言いながらベイビーを抱き、「この子はひとりっ子になるんだな」と目に涙をためていました(ゴメンネ)。今、ようやく精神的なゆとりが出て、落ち着いた気持ちでベイビーを見つめられるようになったところです。
ベイビーの健やかな寝顔を見ていると、この子を産むためならもう一度同じ体験をしてもいい、と思うから不思議ですよね。私も、イッチョマエのママになったってことでしょうか? ブランニュー・ママ、お互いにがんばりましょう!
第6回「母乳育児の始まり」
月日が経つのは早いもので、私のベイビーももう2ヵ月。生まれた時はやせっぽっちのモンキーだったのに、今では体重が約4ポンド増え、立派な3重あごのお相撲さんに。呼吸するのも苦しそうなほど太っています。私のようなペチャパイでも、母乳だけでベイビーをここまで“チャビー”にさせることができたと、我ながら誇りに思う今日この頃です。
思いおこせば、本当にどたばた始まりだった私の母乳育児。実家の母は私を含め4人の子供を母乳で育てた“母乳育児のプロ”ですが、住んでいるのは遥か太平洋を隔てた日本。残念ながら、諸処の事情でシアトルに来ることができませんでした。一方、ハズビーの実家は3人の子供をフォーミュラ(市販のミルク)で育てた“断然フォーミュラ派”。初めてベイビーをハズビーの実家に連れていった時は、母乳育児をさポートしてくれるどころか、母乳は大変、自由がない、私だけしかミルクをあげられないと、いろいろ嫌みを言われたもんです(トホホ)。
というわけで、最初の1ヵ月はハズビーとふたりだけの試行錯誤の母乳育児。産後4日間は母乳が出ず、コロストラム(Colostrum)と言われる免疫ミルクだけを与えていたため、ベイビーはお腹が空いたのか、よく夜泣きをしていました。5日目になってようやくミルクが出たものの、今度は胸がパンパンに膨れ上がり(英語ではEngorgement)、痛くって、痛くって。胸が大きくなったと喜ぶ余裕もありませんでした(苦笑)。しかも、私は複乳で脇の下にも乳腺があり、そこがおっぱいのように腫れてミルクが出てくるという状態。パットが使えない微妙な位置だったので、今思えば、いつも上半身がベチョベチョになっていた気がします。
でも不思議なもので、1週間もすればベイビーの飲む量と、ミルクが出る量が釣り合いが取れて、痛みもなくなり快適に。脇の下からはその後1週間ほど続いてミルクが出ていましたが、そのうちに出なくなりました。今ではかなり楽しんでおっぱいをあげることができています。
今、新たにトライしているのはボトル。Medelaの「Pump In Style」という電気搾乳器を1ヵ月前に購入し、1日に4オンス(約100ml)ほど搾乳して、夕方にハズビーが授乳できるようにしています。ハズビーは自分でもミルクがあげられるのがうれしくてたまらないらしく、いつも仕事から帰って来たらニコニコして、「パンプキン、ダディーがミルクあげるからね~」とデレデレです。
産後仕事に戻る予定のママなど、ボトルでもミルクをあげる必要がある場合、母乳育児が確立した生後4週間頃から6週間までの間にボトルでの授乳にトライするといいそうです。私は家から少しでも仕事がしたいので、6週間目に初めてボトルにトライしました。ベイビーがあまりお腹が空いていない時に、私以外の人がミルクをあげるのがコツのようです。
初めの3週間はつらいですが、慣れたら便利で、しかも良いこと尽くしの母乳育児! ベイビーが1歳になるくらいまで、母乳をあげられるようにがんばります!
第7回「おならをやっつける」
生後3ヵ月目に入り、生活のリズムも整ってきて、夜も6~7時間まとめて寝てくれるようになったマイ・ベイビー。おかげで少しは育児の疲れを取ることができるようになりました。それに何よりうれしいのは、話しかけるとニコニコと微笑み返してくれること。ベイビーの笑顔を見てると今までの育児のつらさがふっ飛びますよね。
そんな中で唯一残された問題が「おなら」。どうやらマイ・ベイビーはガスを溜めやすく、おならが出ないとその痛みでよく泣きます。日本の祖母が「ぶりっ」とくさ~いおならをした後で、「おならは健康のシンボルよ~」と笑い飛ばしていましたが、小さな体の赤ちゃんにとっては、ちょっとしたガスも痛みの元。時には睡眠の妨げになるほどです。
そういったわけで、ここ1ヵ月は真剣におなら対策に挑みました。最初に手掛けたのは母乳改善。母乳にガスが出やすい成分が含まれないように、豆類、キャベツ、ブロッコリーなどを控え、できるだけバランスのよい食事を取るようにしました。でも、これだけでは解決せず、いろいろ調べて次に試したのが「おなら体操とバブル出し」。強攻策のようですが、ベイビーの体内に溜まったガスを出すのを手伝ってあげるという方法です。
まず「おなら体操」は寝起きに行います。これは「生活の木」というウェブサイトで、助産師の浅井貴子さんが赤ちゃんの便秘解消法として紹介しているもので、手順は以下の通り。
(1)腹部を「の」の字を書くようにマッサージ 20回
(2)自転車をごくように両足を回す 前後各10回
(3)両足でハートを描く 10回
(4)足をねじる 各足5回
(5)両足を軽く持ち上げてお腹の方にゆっくりと少し押す
こうすると、(5)の段階でおならが「ぶりぶりぶり~」と面白いくらいに出ます。おならの音が「ぶりぶり」から「ぷすぅ」と小さい音に変わるまで続けますが、マイ・ベイビーは多い時でなんと7回くらいおならが出るので、この体操には結構時間と根気が必要。そこで私は「ホイットニー・ヒューストン」の昔のポップ・ミュージックをかけながら、「ぶりぶり、ぶりぶり~」とリズムに合わせて楽しみながらやっています。慣れてくると、おならが出た時の達成感にひたることができますよ(笑)。
次に「バブル出し」で、食後、ゲップをした後に体内に存在する空気の泡(バブル)を出してあげます。これにはベイビーをバウンサーなどに座らせて、上半身に手のひらを置きます。バブルがあれば、「ツツツー」とエアーが出て行くのを手のひらで感じることができるはず。バブルがなくなるまで上半身を隈なく手で押さえ続けると、大抵ベイビーがぐずり始めるので、ダッコしてあげます。そうすると、おならとゲップが同時に「ブリ」、「ゲホッ」という感じで出るんです(ホントの話)。バブル出しはベイビーをリラックスさせるにも良いみたいで、バブルがあまりない時はたまに途中で寝てしまうほどの効果がありますヨ。
「おなら体操とバブル出し」を始めてから、昼寝も夜寝もぐっすりしてくれるようになりましたが、相変わらずベイビーの「ぶりぶりぶり」は続いています。しかし、ベイビーかと思ったら、ハズビーの力強い「ぶりっ!」だったりするので、これは遺伝かもしれません(苦笑)。というわけで、私は今日もベイビーの睡眠を妨げる「おなら」をやっつけるために、奮闘しています。
追伸:おならの音が「ぶじゅっ」だったらうんこが飛び出てくるかもしれないので要注意!
第8回「ねんねの儀式」
サンクスギビングを終え、ハズビーの実家があるアイダホから帰って来ました。「ベイビーがいるといろいろ大変だしねえ」などと勝手にズボラを正当化し、原稿がなかなか手につかない言い訳を考えつつ、私のマックちゃん(iMac)に向かっています。お待たせしてごめんね。
さて、今回のどたばたトピックは「ベッドタイム・リチュアル」。小児科の先生から聞いて初めて知ったのですが、赤ちゃんは「ねんねの時間だから、さあ寝よう!」というふうに、自分の意志で眠ることができないので、リチュアル、つまり就寝前の「ねんねの儀式(!?)」を通して、眠り方を教えてあげる必要があるんだそうです。
マイ・ベイビーは最初の1ヵ月間、あやしながら10分以上横抱きしないと寝てくれなかったので、私もハズビーもヘトヘトになっていました。でも今では、このリチュアルを徹底することで、夜の10時前にベットに寝かせ、プーさんの音楽をかけながら手を握ってあげると、自然に寝てくれるようになりました(たまに、おしゃぶりをねだることがありますが……)。
ハズビーとふたりで試行錯誤でようやく落ち着いたそのリチュアルとは、8時ごろにお風呂に入れ、9時ごろに授乳し、温かいタオルで歯ぐきをふいてあげて、ベッドに寝かせてマッサージ、というステップ。半信半疑で始めたリチュアルですが、続けて2週間くらいで効果てきめん。あんなに「眠い、眠い」って泣いていたのに、今では10時前になると、ちょっとぐずっただけで、コロリ。不思議ですよね~、赤ちゃんって。
本やネットから知ったんですが、ベイビーに眠り方を教えてあげる方法は本当にいろいろあるんですよね。なかでも「クライ・アウト(Cry out)」という方法はポピュラーなようで、これは赤ちゃんが眠くなったらベッドに置いて、眠るまで泣かせるという強行手段! ただ、ずっと泣かせるというわけではないらしく、最初はしばらく泣いたら抱っこしてあげて、1日ごとに抱きあげるタイミングを少しずつ遅らせるのだそうです。ハズビーの同僚も、カウンセリングに行ったらこの方法を勧められたそうで、初めは相当泣いて大変だったとのこと。
いずれにしても、ピースフルに眠りに入るベイビーを見るのは気持ちの良いもんです。ぜひ、ほかのママのリチュアル成功談も聞かせてください!
第9回「新年の抱負」
明けましておめでとうございます!
あ~、ついに今年も日本で正月を過ごすことなく年が明けました。この時期にじめじめしたシアトルにいると、さらに日本が恋しくなりますよね。大晦日には紅白を見て、年が明けたらお雑煮を食べ、こたつの中で年賀状が届くのを待つ……。こうして何年も年末年始を海外で過ごしていると、いつの間にか日本が遠くなっていくような気がして、ため息が出ます。
形だけでも楽しもうとお雑煮を作ってみたものの、喉に詰まるのを心配しながら恐るおそるお餅を食べるハズビーを見ていると、雰囲気が台なし。もっとも、日本のお正月を過ごしたことのない彼に、雰囲気作りを求めるのが無理なんですけどね(苦笑)。
そういえば妊娠してから家で過ごすことが多く、日本語を使う機会もぐんと減りました。ベイビーにはできるだけ日本語で話そうと努力していますが、気が付いたらいつの間にか英語が混じった「変な日本語」を使っています。「ハニー、プープ(うんこ)したでしょ」「ダイパー(おむつ)が濡れてるから、チェンジしようね」「ナップ(お昼寝)の時間だよ」とか。
このままでは、マイ・ベイビーは「京都」を「キヨウト」と発音する偽日本人と化してしまう……。日本の風情を伝える前に日本語を正しく伝えねば!と、新年を迎えて心を新たにしたのでした。
これまで、日本語があまり話せないハズビーの手前、3人でいる時は英語を中心に使っていたのですが、これもできるだけ日本語優先にすることに。ハズビーは「大きくなったら、日本語でダディーの悪口を言うようになるのかなあ」と、少し悲しそうでしたが、私の決意が固いのを知って理解してくれました。
珍しく3日坊主にならず、日本語トークは順調に続いていたのですが、年が明けて5日目の晩。寝ているはずのハズビーがリビングで何か熱心に読んでいるのを発見。怪しげな本でも読んでるのかと、影からこっそり様子をうかがうと、なんと昔買った「日本語会話」の本を読んでいるのです。
その場は見てみぬふりをして寝室に戻りましたが、よく考えてみると、言葉は家族の大切なコミュニケーションのひとつ。ベイビーだけじゃなくて、ハズビーにも日本を教える必要があったんですよね。ひとり寂しく日本語を勉強する彼を見て、大切なことを忘れていた自分に気が付きました。
ということで、今年の抱負は「ベイビーに日本語を」から「ベイビーとハズビーに日本語を」に変更。結構大変ですけど、頑張ってますよ!
第10回「オーガニック・ブーム」
先週からついに離乳食をスタートしました! そのせいか最近気になっているのが食品の安全性。消費者教育が発達している日本に比べると、アメリカは農薬の使用や遺伝子組み換え作物に関する情報が身近にない気がしませんか? 特にテレビ! 日本ではサイエンス番組の一環として、これらのトピックが頻繁に取り上げられていましたが、こちらのテレビでそんな番組は皆無に等しい。私の受信しているチャンネル数が少ないのか、それともアメリカのメディアがコントロールされているのか。とにかく、こちらのスーパーに並んでいる傷ひとつない大きなニンジンやりんごを見ていると、赤ちゃんが食べても大丈夫なのかと不安になります。
そういうわけで、近頃は無農薬でNO GMO(遺伝子組み換え技術が用いられていない食品)のオーガニック食品を購入するようにしているのですが、野菜や果物だけならまだしも、肉類や乳製品まで徹底するとなると、エンゲル係数が上がること、上がること(トホホ)。当分『主婦の友』の雑誌に出てくる節約名人のような「1ヵ月食費2万円」なんていう生活は無理でしょう(苦笑)。
しかし、脱スタバ宣言をしても(ラテ代を返上しても)、赤ちゃんにオーガニック食品を選ぶ価値は十分あるんだそうです。ウェブサイトや本などで共通して言われているその理由とは、
- (1)農薬の使用量は成人の許容量をベースにしているため、内臓が成熟していない赤ちゃんは農薬の毒素を過剰に摂取してしまう可能性がある
(2)赤ちゃんは大人よりも効率的な消化吸収能力を持っているため、栄養素をすばやく吸収する一方で、毒素もよく吸収してしまう
(3)赤ちゃんは肝臓が未熟なため、毒素を長時間体内に保持してしまう
(4)遺伝子組み換え作物が人体に与える影響は、まだはっきりとわかっていない
の4点。
「これもマイ・ベイビーのため」と頑張って(!?)始めたオーガニック作戦ですが、ハズビーも私も、だんだんとこれらの食品の良さがわかるようになってきました。無農薬のニンジンはやせっぽちだけど美味しいし、りんごもピーチも甘みが全然違う! それに何より環境に優しい!!
ちょっぴり高いけど、親として、そして地球人して、いいことしているって実感できるオーガニック運動。 きっと、マイ・ベイビーも誇りに思ってくれるはずです。オーガニック万歳!
第11回「育児で学んだ大切なこと」
出産後7ヵ月経ったとはいえ、未だに私のドタバタ・ママぶりは健在です(トホホ)。でもドタバタはドタバタなりに、これまで育児について多くのことを学んできました。それは先輩ママの助言であったり、同僚ママが格闘の末に得たものであったりするのですが、今回はそれをまとめるという意味で、私なりに解釈した「育児の心得」について書きたいと思います(うっ、何やら真剣だぞ)。
其の一:育児は前向きに
東京を舞台にした映画「Lost in Translation」で、ビル・マーレー演じるボブが、子供が生まれる瞬間を「The mostscary moment(最も恐ろしい瞬間)」と言うシーンがありました。彼はその理由を「それまでの人生がその瞬間に失われるから」と語るのですが、恐ろしいかどうかは別として、私も彼に全く同意します。ベイビーが誕生してから仕事も辞め、好きな時間に寝たり起きたりできなくなり、ゆっくりお風呂に浸かることも、映画館に足を運ぶこともなくなりました。病気したって、ろくに体を休めてなんていられないし、泣いてもわめいても育児は途中でギブアップできない仕事。だからこそ、「子供を産んだのは私、後ろを振り返らず、前向きに子育てをしよう!」と気持ちを入れ替えることが、私にはとても大切なことでした。
其の二:「世界に一つだけの花」を育てよう
子育てをしていると、自分の子供がいちばんと思う反面、同じ年頃の子供と発育を比較してしまうのはやむを得ないことなのかもしれません。私も「夜まとまって寝てくれない」「寝返りをしない」「離乳食を食べない」と、マイ・ベイビーをほかのベイビーと比較しては、がっくりしていた時がありました。そんな時、私の気持ちをすっきりさせてくれたのが、SMAPの「世界に一つだけの花」という曲。友達ママが「子育てにいいよ」と教えてくれたのですが、歌詞がとってもナイスなんです! 特に、曲の最後にある“ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン”というフレーズ。「ほかの子と比較して違うのは当たり前。だってマイ・ベイビーは、“世界にたった一つだけの花”なんだもん」と、呑気に子育てができるようになりました。
其の三:完璧を目指すことなかれ
実家の母が、「何でも完璧にしようとすると子供が育たない、ちょっとおちゃらけてた方がいいのよ」と、よく自分のテキトー主義を正当化していましたが、これに同意する先輩ママも多くて、「手を抜くところは手を抜くように」というアドバイスをたくさんもらいました。それにしても、手の抜き方がいまだによくわかっていない私……。『主婦の友』を愛読して、手抜きを勉強している今日この頃です。
其の四:ハズビーには「アイラブユー」を忘れずに
世紀のカップル、松田聖子と神田正輝が離婚した時に、神田正輝が記者会見で「子供ばっかりが中心になってしまって」といったような発言をしたのを覚えています。その「子供」が芸能界デビューしたので、これはかなり古い例になってしまうんですけど……。確かに子供ができると、子育てばかりにエネルギーを取られて、ハズビーの存在が霞んでしまうことが多々(!?)あります。友達ママは、健全な夫婦関係を維持するためにも、そんな霞んだハズビーに毎日必ず「アイラブユー」とひと言伝えるんだそうです。とうことで、私もマイ・ハズビーに実践中。でも時々、手のひらに書かないと忘れてしまいそうになる私は、ひょっとしてヤバいかも?
と、今回は偉そうに育児の心得について書いてみたんですけど、これ以外にも子育てに大切なことはいろいろありますよね。ほかのママ、どーぞ、まだまだ勉強中のドタバタ・ママに教えてくださいませ。
第12回「温泉大好きベイビー」
ベイビーを連れての初めての帰国。飛行機の長旅はそれは大変でしたけど(苦笑)、久々の日本は桜が満開で、食べ物もおいしくって、楽しかった~。今回の里帰りは、実家のある四国に戻る前に3泊4日で東京観光をしたのでさらに充実。上野公園、築地、お台場、六本木ヒルズ……と、朝から晩までベイビーを抱っこホルダーに入れていろんな所に出掛けました。「へえ~、ストローラーを使わなかったんだあ」とお気付きのママ。そうなんです。ストローラーは地下鉄の多い東京では不便だろうし、荷物になると思ったので、抱っこホルダーだけで乗り切ったんですが、これが間違っていた! 実家に戻る頃には、私もハズビーも足と腰の痛みで、へとへとになっていたのでした。
というわけで、今回の里帰りに急きょ新たな目的を追加した私達。それは「温泉でゆっくり体を癒すこと」。ラッキーなことに、私の故郷は近くに温泉がたくさん湧き出る温泉名所なので、実家に戻ったその翌日からほぼ毎日、温泉通いをしたのでした。
お湯の温度がベイビーにはちょっと熱めなうえに、ベイビー・バスの持ち込みが禁止されていたので、ベイビーを連れての温泉は最初とっても不安でした。特に体を洗う時に両手がふさがるので、その間ベイビーの「置き場所」を見付けるのに苦労しました。初めは母と交代でベイビーを抱っこしていたんですけど、濡れた床は滑りやすいので結構危なっかしいんですよね。そこで考えた末に、お湯の入った桶の中に座らせてみたところ、なんとマイ・ベイビーが「きゃっ、きゃっ」と大はしゃぎ。ちょうどおしりが桶にスッポリと入り、微妙にフィットして倒れにくい! 前にもうひとつお湯の入った桶を置くと、中のお湯を叩いて大喜び。もちろん倒れないように最善の注意を払わないといけませんが、これでゆっくり体を洗うことができるようになりました。
この「桶作戦」以降、温泉が大好きになってしまったマイ・ベイビー。裸の人達があちらこちらから話し掛けてくることも手伝って、心配していた人見知りも減り、ダブル効果! 今ではじじばば大好きに。何より、アメリカのシャワー&ベイビー・バス社会ではめったに味わえない「誰かと一緒にお風呂に入る」ことに楽しさを発見し、いい経験になったようです。
シアトルに戻った今でも、つるつるお肌のベイビーを抱っこしながらお湯に浸かる、なんとも言えない心地よさを何度も思い出す私。ベイビーはそれを知ってか否か、バス・タイムには今日もお湯をちゃぷちゃぷして遊んでいます。
第13回「チキン・ポックス」
5月のある朝、マイ・ベイビーのおでことお腹に合計10個の湿疹を発見。蚊に刺されたような小さな赤いぶつぶつでしたが、なんとなく不吉な予感がして、すぐに小児科に電話。その日のうちに診てもらうことになりました。嫌な予感はどんぴしゃり。ドクターにあっさり「子供さん、おそらくチキン・ポックスにかかっています」と言われたのでした。
チキン・ポックス、いわゆる水ぼうそう。9歳までにほとんどすべての子供がかかる非常に感染力の高い伝染病です。体中に水ぶくれができて、かゆくてかゆくてたまらない病気。マイ・ベイビーは生まれてまだ9ヵ月! 新しい世界に慣れるために毎日がんばって生きているのに、神様、いきなり、そんなひどい仕打ちはないじゃないですか!
「いつ、どこで、誰から移されたんだろう」。ドクターから病状を伝えられた時、そんな疑問が頭をぐるぐる駆け回わりましたが、水ぼうそうのウイルスは感染してから10日~3週間ほど体内に潜むため、答えが見つかるはずもなし。それより今後1週間の外出禁止命令と、24時間以内に体中に現れるはずの水ぼうそうの症状に、私は顔が青ざめていました。
ドクターの診断は正しく、その翌日には頭皮、顔、首、お腹、背中に、翌々日には陰部、手足にも発疹。やがてそれらは水ぶくれになり、ベイビーを抱くと、服の上からでもぶつぶつを感じるまでになりました(うお~)。あまりに変わり果てたベイビーの姿を見て、「代われるものなら代わってあげたい」と何度も泣きそうになりましたが、ここで泣いてもしょうがない!と気持ちを新たにし、ハズビーとともに前向きに「水ぼうそう対策」に乗り出すことに。
ネットでよく調べてみると、水ぼうそうは水ぶくれになった時が一番かゆいのだそう。そこで水ぶくれがひどかった2~4日目は、かゆみをやわらげるために、ドクターから勧められたAveeno社の「BabyOatmeal Bath」に1日2回10分程度入れ、入浴後には冷却用ローション「Calamine Lotion」を塗ってさらにかゆみを防止しました。その他、引っ掻かないように爪は短く切り、後は熱を1時間ごとに測って、熱があれば薬で解熱(タイラノールを使用。アスピリンは使用してはダメだそうです)しました。
水ぶくれがかさぶたになって、それがすべて取れた今となって思えば、本当に大変だったのは、2日目から4日目の3日間。熱が下がらず、食欲もなく、寝付けず、朝から晩までぐずりっぱなしで、私はヘトヘトになりました。
義母によると、水ぼうそうは小さい時にかかったほうが症状が軽くて済むらしいですが、「かさぶたを取りたい」という欲求がなくて、あまり引っかかなかった点からすればこれは一理あるかもしれません。
育児が始まって初の峠を乗り越えた私とハズビー(もちろん、一番つらかったのはマイ・ベイビーですが)。かさぶたになってからは、毎朝起きる度に、おむつとシーツに、取れたかさぶたがポツポツと残っているのを見て、なんとなく達成感に浸っていました。ふ~、親って大変。
第14回「2人目問題」
ベイビーも間もなく1歳。育児がだんだん落ち着いてくるとよく聞かれるのが「2人目は?」という質問です。確かに考えないこともないのだけれど、「考えたくない!」というのが今の正直な気持ちかな。子供はかわいいけれど、どたばたママの私にとって育児は心も体もゲッソリ疲れる仕事。だって24時間フル稼働なんですもん。
そんな中、2人、3人と次々と子供を産み、エネルギッシュに育児を楽しんでいるママ達には本当に頭が下がるばかり。でも、よく考えたら私も姉妹が3人いて(しかもほとんど年子!)、ハズビーも兄弟が2人いるんですよね。2人目を産んだママ達にその理由を聞いてみると、「ひとりっ子だったらかわいそう」という意見が大多数。そっかぁ、もし私に血の繋がった姉妹がいないと寂しいよな……。でも、それは実際に姉妹がいるから思うことであって、生まれてからずっとひとりっ子だと、別に寂しいと思わないのでは!? しかし、私とハズビーの身に何かあったとしたら……。まあ、それも従兄弟とかいれば大丈夫かも。などと、自問自答する私。
私はなぜか「ひとりっ子だとかわいそうだから」という理由付けが苦手。育児の大変さの割に、あまりポジティブな響きがないからなんでしょうか。「最初の子供のために2人目を産む」みたいで……。2人目は、例えば「もうひとり産むと、どんな顔で生まれてくるんだろう、最初の子供とどう違うのかな?」とか、「今度は男の子が生まれるかな?」とか、そういうワクワクした気持ちが自然に出てくるのを待ってからにしたいです。
「そう言うけどね、2人目の育児は2倍じゃないんだよ。1.5倍。そう思えば、それほど悪くないんじゃない?」と、先輩ママ。あなたはすごーい、尊敬! 私はまだまだ足下にも及ばないヒヨコのままのようです。
第15回「スリング」
最近、友達ママから借りた韓国ドラマ「冬のソナタ」のせいで寝不足が続き、エッセイどころではありませんでした。スイマセン。ああいう超ストレートな恋愛ドラマって、結構ハマりやすいんですよね。今まであんまり知らなかった韓国の人達の生活を垣間見ることもできたし、よかったですよ~!
さて、今回はそんな「冬ソナ」同様、日本でブームとなりつつある(!?)「ベイビー・スリング」についての話題です。ベイビー・ラップとも言われていますが、スリングとは赤ちゃんを布でくるみ、腰や背中で抱っこするちょっと変わった抱っこ紐のこと。
赤ちゃんの重みが上半身全体に分散されるので腰や肩にかかる負担が少なく、両手も使える上にファッション性も高いので人気が出ているそうです。しかも、生後間もない赤ちゃんから3歳くらいまで長く使えるのでとっても便利!
私はマイ・ベイビーが1ヵ月に満たない時に、ハズビーの実家の近くにあるベイビー・ストアで「MAYA WRAP」というブランドのスリングを購入しました。マヤ族の人達が使っていた物をヒントにして作られたもので、使い方や抱き方が詳しく説明されたDVDが付いていて$45ほどでした。
このほかにも、オーガニック・コットンでできたスリングや、肩パットがついたスリングなどを使っているママもいましたし、自分で作ったホームメイドのスリングを愛用していたママもいましたよ!
自然な体の揺れと体が密着している安心感からなのか、マイ・ベイビーをスリングに入れると、よく寝てくれました。1歳になった今でも、ちょっとお散歩する時や、ぐずった時に使っています。ぜひお試しあれ。
第16回「ハイチェア」
マイベイビーは、14カ月になっても離乳食が進まず、もっぱら母乳が半分以上。食事のタイミングが悪いのか、メニューがよくないのか、離乳食に関しては苦労の耐えない日々が続いています。中でも最も困っているのがハイチェア嫌い。IKEAで白いプラスチック製のハイチェアを$17ぐらいで購入したんですが、これに座らせると5分は持たず、「出して出して」と涙で訴えるんです。というわけで結局、私かハズビーがベイビーを抱っこしながら、片手で食べつつ、食べさせつつ……。
離乳食をあまり食べなくてもいいから、食事時はやっぱり少しでも落ち着いてハイチェアに座ってほしい! そんな悩みを抱えつつ、どうしたらいいもんかと考えていた矢先、12カ月検診の時に訪れた小児科で、先生から「そのハイチェア、フットレストがついているのかしら?」と聞かれました。
先生によると、人間は座っている時でも足の裏が何かに付いている方が落ち着くのだそう。ふむふむ。確かに「Babies “R” Us」とか「TARGET」で売っているハイチェアはフットレストがついていますよね。でも、赤ちゃんの足が届いているかどうかは怪しい……。
「じゃあ、成長に伴って足が付くように、フットレストをアジャストできるハイチェアを買えばいいんだよ」とハズビー。そりゃあそうかもしれないけど、そんなハイチェアはどこに売っているの?
成長に伴ってフットレストの位置が変えられる、そんな夢のようなハイチェアを探していたある時、ふと目にした赤ちゃん向けの雑誌で、ノルウェーのメーカー「STOKKE」が作っているハイチェア「KinderZeat」を見付けたのです。よくよく調べてみると、このハイチェアはヨーロッパや日本で非常に人気のある製品のようで、日本では「トリップトラップ」と呼ばれているのだそうです。位置を調節できる座板が正しい姿勢を保ち、大人も座れるほどの安定性。しかも、子供の成長に合わせて長く使える!
さっそく私とハズビーはこのハイチェアを取り扱っている「KIDS CLUB(Crossroads Bellevue店)」に行ってみました。お店の人に聞くと、最近シアトルでもこのチェアはすごく人気らしく、$200と価格が高めの割に入荷してもすぐに売り切れてしまうそう。私たちが行った時も9色あるうちのひとつ、ナチュラル・カラーのチェアが1台残っていただけでした。
さてドキドキの「STOKKE」ハイチェア1日目の夕食時。ハズビーが恐る恐るベイビーを座らせてみたところ、なんと! あんなにハイチェアを嫌がっていたのに、これにはきちんと座って楽しそう。しかも、食事もちゃんと食べて、その日は結局20分くらい座り、始めて食卓を囲んで家族で落ちついた食事ができました。
その日以来、食べない時はあるものの、きちんと座ってちゃんと食事をするようになってきたマイ・ベイビー。なんとなく、食事時が楽しくなってきた今日このごろです。
ちなみに友達ママのベイビーは、フットレストがなくてもハイチェアに長時間座ってごはんを食べられる子もいます。「STOKKE」でも何も変化がなかったという声もありますし。これは本当に子供によりけり、ですね。
第17回「夜中の授乳にさよなら」
マイ・ベイビーが16ヵ月になったのを機に、夜中の授乳を止めることにしました。止めようと思ったのは、15ヵ月検診の時に小児科の先生から、トドラー(幼児)なら、夜10時間は続けて寝るべきであり、夜中に食べたり飲んだりする必要はない、と言われたからでした。これまで、夜中に最低3度は起きておっぱいを欲しがっていたマイ・ベイビー。添い寝をしていたので、それほど苦にならなかったのですが、ベイビーが虫歯になるのも気になるし、それに最近、授乳の度に私は目が覚めてしまって、寝不足が続いていました。
夜中の授乳を止めるために参考にしたのが、友達ママから勧められた『赤ちゃんがすやすやネンネする魔法の習慣』(PHP研究所)という本。就寝時だけでなく、1日を規則正しく生活し、「おっぱいとネンネ」を少しずつ切り離していくという方法が紹介されていました。
この本を参考にして、規則正しい生活をし、まずは「おっぱいとご飯」の切り離しに努めました。起床、昼寝、就寝時間を決めて、それにできるだけ従い、食前の1時間前におっぱいを欲しがったら、「ご飯を食べてからね」と伝えて、我慢することを覚えさせ、ご飯を食べたら、「よく頑張ったね、いっぱい食べたね」と言って授乳しました。最初のうちはぐずりましたが、1週間もすると結構平気になり、今では、大きな口を開けて、ご飯をよく食べるようになりました。
これで気をよくした私とハズビーが次に取り掛かったのが、問題の「おっぱいとネンネ」の切り離し。「夕食→遊び→おふろ→おっぱい→はみがき→絵本の読み聞かせ」の順で、ネンネの儀式を済ませると、子供部屋に移したクリブ(ベビー・ベッド)に入れ、「おやすみ、また明日ね」と言って部屋を出る……。当然、大泣きするので、定期的に部屋に戻り、1~2分間話し掛けて安心させ、また部屋を出る……。
前述した本によると、子供が自分で安心して寝付くことさえ覚えれば、夜中に起きてもおっぱいを欲しがることなく、自然にまた眠りにつくことができるというのです。
トレーニングを開始して最初の1日目は2時間半泣きましたが、泣きつかれてその日は朝9時半までぐっすり(というかぐったり)。2日目は2時間泣いて、夜中の4時にも1時間半泣きました。本には最初の2日を乗り切ると、問題が解決するか、大幅に状況が改善されると書いてあったので、期待していたのですが、3日目も寝る前に1時間半ほど泣き、やはり4時くらいに起きて泣きました。さすがにこうなると私もハズビーも悲壮感が募り、就寝前はともかく、夜中のトレーニングがつらく感じられ、4日目は泣かせるのを止め、すぐに授乳することにしました。
でも、授乳しても、クリブに入れたらまた目を覚まして大泣きするんですよね……。仕方なく、我が子を抱きつつ途方にくれていると「フム!!!」とひらめきました。おっぱいでも寝ない、でも添い寝なら寝る……ということは、添い寝をすればおっぱいなしでも寝られるのでは!?
「これなら夜中の授乳を止められる!」と確信したのは、夜中に起きた時におっぱいなしで寝た5日目。6日目からは以前と変わらず、ベッドの上で家族3人川の字になって寝ていますが、「ネンネの時間よ」と言って、ベットに横にさせるとすぐ眠りにつき、今では朝の8時までぐっすり!! どうやら、おっぱいよりも、私達がそばにいることが安眠の秘けつだったようです。
マイ・ベイビーが生まれて16ヵ月経った今、やっと私は断片的な睡眠から開放されました。あ~シアワセ。
第18回「母、妻、そして……」
私には姉が1人、妹が2人いるが、子持ちは私だけ。先日、末っ子で独身を謳歌(?)している妹と電話で話していると、「最近、友達と会っても、夫と子供の話しかしないのよね。結婚して子供ができても私はそうなりたくないな」とポツリ。そう言われて、独身のあんたに何がわかるのさ!と、ムッときたけれど、確かに一理あるなと思いました。
専業主婦で育児や家事に追われていると、ちょっと鏡を見た時に、「あっ、まだ髪もとかしてない、顔も洗っていない、お化粧もしてない」そんな自分に気付くことが多々。フィットネス・クラブに入会していても、子連れでは行けないので、結局運動不足で肥満気味。日々の会話も子育てに関することがほとんど。
育児はつらいけど、楽しい。赤ちゃんの世界って奥が深くて、毎日の発見が面白い。そんな発見をひとつでも見届けたいから、専業主婦をすることに決めた私。仕事を辞めたこと、後悔はしていない。家事もそんなに嫌いじゃない。でも、自分のための贅沢な時間は、ベイビーが寝静まった後の数時間。それも、夫婦共々疲れて、有意義には過ごせているとは言い難く、時間は瞬く間に過ぎていく……。
「子供は子供の人生を生きる。あなたはあなたの人生を生きなければね。育児に追われていても、きっと自分の夢のために費やす時間はあるはずよ」と、尊敬する料理の先生が出産直後に教えてくれたことがあります。
私の夢。それは、子供が大きくなった時、何かに熱中している私を見て欲しいこと。子供にも、ハズビーにも、ひとりの人間として、素敵に、エネルギッシュに生きている私もずっと見ていて欲しい。
今は育児に追われているかもしれないけれど、ちょっとずつできることからやっていこうかな! 独身族には負けないぞ。子供がいたって、ううん、子供がいるから、素敵な自分に巡り会えた! そう言えるように、今から頑張ろう!
というわけで、これが2005年の私の抱負です。
頑張るママ達、よいお年を。
第19回「セルフ・コンシャス」
独身の時はそれほど気にならなかった風邪。「ちょっと風邪をひいちゃったんです」なんて鼻をかみながら出勤したりしていましたが、子供ができてからは風邪は大敵。病気の体で育児をするのも大変ですが、病気の子供(+ハズビー)を介抱するのも大変! 大抵、家族の誰かが風邪を引いたら順番にみんなにうつっていくので、3人家族だと3倍の負荷がかかると、私は思っています。
だから言いたい!
「鼻じゅるじゅるの子供を共同の遊び場に連れてこないでー」
「スタバのお兄さん、風邪を引いたら出勤しないでいいからー」
「マイ・ベイビーを触る時は手を洗ってー」
と不満を述べている私とマイ・ベイビーは現在、風邪菌に体を支配されています(苦笑)。そしてこんな私を義母は「SelfConscious(セルフ・コンシャス)ね、子供は風邪を引く度に免疫力が付くんだから」と言って笑います。でもね、お義母さん、結局、面倒見るのは私なんだから……。
子供は「風邪の子」じゃなくて、「風の子」なんです。風邪の誘因になりやすい「寒さ」を打ち負かす強い体を作るために、冬でも外に出て元気よく遊ぼうという意味で使われているんです、と日本人ではない義母に言ったところで、意味はなし。
確かに免疫力がないのよ、と言われればそれまでの話。でも、ちょっとした気遣いが、風邪とバトルしなければならないママ達の助けにはなるはずです。友達ママは、マイ・ベイビーがまだ生まれたばかりの時、ダッコする前に必ず「ちょっと待って、手を洗ってくるから」と言ってくれました。日本人みたいにマスクをしてとは言いませんが、「風邪を引いた」と思ったらできるだけ人ゴミを避けてほしい……。
そう言えば、最近スーパーの入り口に殺菌ワイプを置いてある所が増えてきました。本当かどうかはわかりませんが、テレビのニュースによると、風邪の約6割がショッピング・カートからうつるとのこと。そんな訳で最近は持参のワイプでカートを拭いてから使うようにしていますが、こんな私はやはりセルフ・コンシャス? 潔癖性?
第20回「忘れんぼう」
ある土曜の朝、家族でブランチをしよう!というハズビーの粋なアイデアで、親子ともどもお洒落をして車に乗り込んだ時のこと。
「あっ、お財布がない……」
私はよく忘れ物をします。でも今までの経験からすると、必ず家のどこからか出てくるんですよね。その日も別に心配することなく、「昨日持っていたから、きっと家の中にあるはずよ。帰ったら探すね」とハズビーに出発をせかす私。せっかくやっとの思いで準備して、いやがるベイビーをカー・シートに乗せたところ。さっさと出掛けておいしい食事を楽しみたい……。ところがハズビーは、「何を言っているの? 財布をなくしたら大変なことになるだろう。見つかるまで探すべきだよ」との思わぬひと言。「えっ!(泣)」。
A型蟹座のハズビーは忘れ物をしません。財布や鍵をちょくちょくなくしては家の中を這いずり回る私は、彼にとって信じられない生き物のように映るらしいです。血液型が関係しているかどうかわかりませんが、そんな私は「超」がつくO型。世の中に忘れ物をしない人なんていないと信じています。
「まあ、しょうがないか、確かに近頃は個人情報が盗まれる犯罪が多発しているし」と慌てて家の中を見て回ったのですが、どこをどれだけ探してもない!ない!ない! たかが2BRのアパートで探すべきところも限られているし、すでに1時間以上も時間が経っている……。
「本当に家の中にあるの? 昨日はどこに行って何をしたの? 最後にお財布を使ったのはどこ?」と、苛立ちを隠しながらも冷静にたずねるハズビー。昨日は確かベルビューの図書館に絵本を返しに行ったっけ。マイ・ベイビーを片手で抱っこして、お財布をもう一方の手で持って図書館を出て……、とここまで来たところで「あ!!」とあることを思い出した私。そうだ、確かベイビーをカー・シートに入れる時、お財布が邪魔で車のボンネットに置いたよな! とすると、お財布がボンネットに載っかったまま運転してしまったってこと???
悲壮な気持ちをぬぐい捨て、すがる思いで図書館に電話を掛け、「あの~○○と申しますが、昨日そちらで赤い財布を落としたと思うんですけど……」。その後の展開はあまりはっきり覚えていませんが、確か書類をめくる音の後に、「ありますよ」という無感情な女の人の声が聞こえました。
「あった、あったじゃない! やっぱり私の記憶は正しかったのね」と、得意げに朗報を伝える私。ところがこの後のハズビーの反応は予想外のものでした。「あのね、今回はラッキーだったけど、いつもこうはいかないんだよ。前から気になってはいたけど、君は忘れ物が多過ぎる。ベイビーと財布と鍵。この大事な3点はいつも所在を確認すること。簡単なことだろう? どうしてできないの?」。
財布のありかを見つけただけでも大したものだと思っていた私は、ハズビーのこの反撃にやり場のない怒りを覚え、「そんなこと言ってもね、私は赤ちゃんのことでいつもMindful(頭の中がいっぱい)なのよ。朝起きてはふらりとコーヒー・ショップにひとり出掛けて、ゆったりくつろぐあなたにはわからないわよ!」とぴしゃり。
実際、本当にそうなのです。もともと忘れんぼうの私ですが、子供ができてからは、さらに気配りすることが増え、それでも忘れ物がないようにと、毎日、自分に言い聞かせて努力してきたつもりです。それなのにハズビーは「Don’tExcuse yourself(言い訳をしない)、赤ちゃんのことで頭がいっぱいなのはわかるけど、財布も鍵も大事だろう?」。私達の険悪なムードが伝わったのか背後で泣き叫ぶベイビー。心身ともに疲れたのとお腹がすいたのが重なって、私も涙がひと粒、ふた粒……。ブランチ、もう終わったよね……。
「何も難しいことは言ってないんだよ」とハズビー。「いつも決まったところに財布と鍵を入れて、出掛ける時と帰る時に財布、鍵、そしてもちろんベイビーは?と自分に問う。そして、この3点はどこかに置かない。いつも身に付けるようにするんだよ」。確かに私は日によってバッグを変えます。そのため財布と鍵の置き場所はいつも違います。そして、ちょっと邪魔になったらとりあえずどこかに置いてしまいます。目からうろこ。それをどうして今まで教えてくれなかったの~。というより、こんな常識どうして実行できなかったんだろう。考えればわかるじゃない。悔しい! はずかしい! 私はなんてバカなんだ!
こうして、うなだれる私を見兼ねたハズビーが最後に励ましてくれた言葉。この先きっと忘れないと思います。
「どたばたママも、ドタパタを卒業できるんだよ。さあ、ブランチはもうだめだけど、代わりに財布と鍵をいつも入れて身に付けておけるポシェットみたいなバッグを買いに行こう!」
ドタバタ、本当に卒業できるかもしれません。
第21回「母は強くなくっちゃ」
アメリカは犯罪の多いところ。それをいつも心に留め、どこへ行っても子供から目を話さないように気を付けている私ですが、ある本屋さんで、子供の絵本を探している時、こんなことがありました。
大抵、本屋の子供セクションには小さい椅子と机があり、マイ・ベイビーはそれに座って、机の上に置かれた本を読むのがお気に入り。その日も「マミー、座る、ここ」と言ってきたので、「やれやれ」と思い、椅子に座らせ、当の私はそこから2メートル離れた、ベイビーが見えるところで絵本探しに熱中していたのでした。
10分ほど経ったでしょうか、突然、奥のほうからすごい勢いでマイ・ベイビーに近づいてくる中年男性が……。何か不吉な予感がしたので、私はすぐベイビーのそばに行き、「Areyou done?(もう読み終わった?)」と母の存在をアピール。その男性はちょっとひるんで、苦笑いしながら「Hi Baby!You like reading books, Ha?(ハイ、ベイビー! 本を読むのが好きなのかい?)」と声を掛けてきました。
ひょっとしたら、この男性は単なる普通の人なのかもしれませんが、ハズビーがいつも私に「インプレッション&インスピレーション(最初に抱いた印象と自分の直感)を大事にすること」と言っているように、自分の不吉な感覚を信じて、すぐその場を後にしたのでした。
あの時、男性が誘拐犯で、私が彼の目から見えないところで、どっぷり絵本探しに熱中していたら……と思うと、ぞっとする出来事でした。同時に「何もなくって幸い、何かあった時のために、いつも用心していてよかった」と思いました。
義母にもこんなエピソードがあります。まだ2歳半だったハズビーを連れてショッピング・モールに出掛けた時のこと。コートの端をつかんでいると思っていたハズビーが、はっと気が付くといません。慌てて周りを見回し、名前を呼んだけれど出てこない……。ほんの3分の出来事でしたが、この後彼女の取った行動がすごい! たまたまその場にいたセキュリティー担当者をつかみ(本当につかんだそう)、息子がいなくなったと伝えて、すぐにモール全体をシャットダウンするように言ったのです。モールの全扉は瞬く間に閉まり、館内が異様な状態になった矢先、ゴミ箱の後ろからハズビーがちょろちょろっと……。
この話は今でも笑い話ですが、義母は最後にこう私に言いました。「他人に迷惑を掛けるような大げさな行動でも、子供を守る時には必要な時もあるのよ。Mothermust be strong!」と。
状況を読む力と迅速な対応……。そして何より、母は強くなくっちゃと思ったのでした。
第22回「マイホームの夢」
田舎で育ったせいもあって、24歳で渡米するまで比較的大きなおうちに住んでいた私。庭もジャングルみたいに荒れていた(!?)けれど広々としていて、父のお手製ブランコや滑り台、鉄棒などが置いてありました。近所の子供達も遊びに来て、一緒に鬼ごっこや隠れんぼ、缶蹴り、高鬼、ままごとをよくしていたもんです。今となって考えれば、車を運転することがなく、4人も子供を抱えた母にとっては、こうした「庭」の存在は、なくてはならないものだったのかもしれません。
アメリカに来て、留学、結婚、出産を経て現在に至るまでは、もっぱらアパート暮らし。慣れてきたとはいえ子供が動きまわる最近は、庭のある「おうち」の存在がうらやましく思う今日このごろです。遊び回っても階下に住む人のことを気にしなくて済むし、何より、天気のいい日は庭に連れ出せばいい! アパート暮らしの私は毎日の公園通いにわざわざ車を出し、ちょいと外の空気を吸いたいと思う時は、駐車場のアスファルトの上をマイ・ベイビーとぶらぶら歩く日々。
そんな私達を見てか、ある日ハズビーが「そろそろローンを組んで家を購入しよう!」とついに決断。ハズビーとふたりで物件を探し始めましたが、シアトルは家が異様に高い(特にキング群)!!! 不動産に詳しい知人にも、エージェントの人にも、「初めからドリーム・ホームを探さないこと」と言われはしましたが、予算内で買えるお家は、夢のお家とは程遠い……。
来る日も来る日も物件を見てはがっくりと肩を落とし、果ては「ハウス・ブルー」にかかってしまった私達。学区やコミュニティーもいい場所を選んでいくと、さらにさらに夢は遠ざかっていく……。「FixerUp(つまり自分達で改善していくおうち)」にしようかとも考えたけれど、日曜大工が嫌いなハズビーは「Ready To Move In(すぐに入居できる状態のおうち)」じゃないとダメと言い張るし……。「アパートの契約が切れるまでに家を購入できないよ」と、焦る私達。
そんな時にふと目にしたドナルド・トランプ氏の本『TRUMP』(ハズビーがトランプ氏のファンで、いつもトイレに置いてあったのです)。ニューヨーク不動産王の彼が不動産購入に関するアドバイスを綴った本ですが、その中にハッとする文がありました。
You have to go with your gut, and if you love a house and you canafford it and your broker assures you that you are paying a fairmarket price, you ‘re paying the best price. Its as simple as that.
エージェントもフェアな価格だと認め、その家を購入できるのなら、後はその家が好きかどうかということ。その家が好きなら迷うことはない!
そう、私達はまだ「好きな家」に出合っていない! 大きくなくてもいい、小さくてもいいから、庭があって、なんかこう、「ピピッ」とくるおうち……。「焦らなくてもいいよね。自分達が好きなおうちが見つかるまで、のんびり探そうよ。トランプさんもそう言っているしね」と私。
「焦らずゆっくりと……」
という訳で、相変わらずアパート暮らしの私達ですが、マイホームの夢は日々、ふくらんでいます。
第23回「赤ちゃんのことば」
話し相手に欠き、仕方なく小さなころから私が一方的に子供にしゃべり続けていたせいか、マイ・ベイビーは言葉を話し始めるのが割と早かったです。2歳を間近に控えた今となっては、「ブランコするよー」「プール、行こう」「これ、熱いかも」などと、イッチョマエに自分の主張をするほどになったのですが、時々、変な言葉が出てきます。バイリンガルに育てたいと、私が日本語で、ハズビーが英語で話し掛けてはいるのですが、自分で言葉を作ったり、日本語英語、どちらともつかずの言葉がちらほらと出てきて、最近困っている状態です。
ついこの間も、おふろに入るのを嫌がるので、「なんで?」と聞いたら、涙を流しながら「いたくない」。痛くないなら何も問題はないのにと思うのに、必死で抵抗するんです。「いたくない、いたくない」と肘にできた小さな切り傷を見せながら訴える我が子……。つまり、「いたく」というのが名詞になってしまって、「痛い」は「いらない」と言っていたのでした。まさに英語の使い方じゃあ、ありませんか、ガーン!!!
話すのは日本語ですが、発音やイントネーションが英語というのも、よくあるパターン。例えば、「ゴファーン」はご飯、「コーフィー」はコーヒーで、「フ」はいわゆる「F」の発音に。
そのほかには、長くてきちんと言えない言葉。「ごちそうさま」はどうしても「ごちそう皆様」となってしまって笑えます。また、「じむる→自分でする(略すのは日本の若者だけじゃない!)」など、勝手に言葉を作ってしまって、いい方を変えない言葉もあります。
というわけで、私は最近まるでベイビーのお抱え解読者のよう。それを知ってか知らずか、マイ・ベイビーは次々と解読不能な言葉を増やしていっています。それなのに、「おなら」だけは発音もクリアで、しかも必ず聞き逃さないんですよね。自分も含め、家族の誰かがおならをすると、「おならした!」と言って、にやっとしています。末恐ろし~。
第24回「産み分けは可能か?」
ベイビーがトドラーになってしまった最近では、知り合いママの間でも次々と第2子妊娠・出産ラッシュ。「2人目かあ~」。考えないこともないけれど、やっぱりまだ余裕がない私(生めるか生めないかは別にして)。ただそんなトレンドを目にしながら不思議に思うのが、男女うまく産み分けされているパターンが結構多いことです。偶然か、それともある程度産み分けを試みているのか、他人事ですが気になるところです。
まったくの偶然よー、という人もいれば、9割当たると言われる中国カレンダーに従って、妊娠するタイミングを計る人も。また「これは秘密の方法だよ」とある人から教えてもらったのが、「だんな朝食手作り&赤いバラ&赤いワイン&牛肉ステーキ→子づくり」のコンビ。本当かどうかはわかりませんが、その方がこの方法を伝授したカップルは、今のところ100パーセントの確率で男の子が生まれたのだとか(秘密をばらしてしまってスイマセン)。
ひょんな好奇心からネットでいろいろ調べてみると、インターネットだけでも産み分け関係の情報がわんさか存在しています。それは有料の本格的なものから、占いや宗教めいたものまで種類はさまざま。
ただ医学的に男精子(Y精子)は酸性に弱くて寿命が短い、という点ではどの情報も一致していました。つまり、精子の通り道をアルカリ性に保ち、排卵日当日か翌日に子づくりをすると、Y精子が卵子にたどりつく可能性(男の子が生まれる率)が高く、反対に酸性の状態で排卵日の3日前に子づくりをすると女の子がうまれる率が高いのだとか。
これだけ情報が存在するということは、興味がある人がかなり多いということですよね。ネットで見ると深刻に相談をしている人もいるようです。中国などでひとりっ子政策が行われている現実や、家庭の事情といった理由もあるのでしょうか。
でもやっぱり、どの親も元気なベイビーが生まれるのが一番ということは同じなのではないでしょうか?
第25回「親子で楽しむ温泉1泊旅行」
四国の温泉町で育った私は大の温泉フリーク。この間もシアトルから車で3時間弱の所にある、カナダのハリソン・ホット・スプリングスに行ってきました。日本のような裸で入る温泉ではなく、みんな水着を来ていて、どちらかと言えば温水プールに入っているような感じ。でも、親子で楽しめるし、何より温泉水に浸かると肌のツヤも良くなって、心も体も癒される気がします。
▲オランダ気分が味わえるリンデン |
この温泉町までの行き方はいろいろありますが、その中でもワシントン州のリンデン(Lyndenn)を通り、サマス(Sumas)で国境を越えるルートがおすすめ。オランダからの移民が作った人口1万人ほどの小さな町リンデンでは、高さ72フィートの動く風車や屋内水路があり、“ちょっとだけオランダ”気分を味うこともできます。私とハズビーはいつもこの町に着くと、車内で「外に出してくれー」とぎゃーぎゃー叫ぶマイ・ベイビーを出し、「リンデン・ティー・ショップ」でアフタヌーン・ティーを楽しんだり、ダウンタウンの通りに並ぶ可愛いショップを見て歩いたりして、ついつい2時間ほど寄り道をしてしまいます。
▲創立1926年の歴史あるホテル |
さて、本命のハリソン・ホット・スプリングス、無理をすれば日帰りもできますが、寄り道をしたり、ゆっくりしたいのなら、1泊したいところ。宿泊先は「ハリソン・ホット・スプリングス・リゾート&スパ」をおすすめします。このホテルには宿泊客専用の温泉プールが室内に2つ、屋外に3つあり、荷物を持たずに温泉の出入りができて、とっても気軽に利用できます。
ハリソン・ホット・スプリングスは深い山々とハリソン湖に囲まれた、ひっそりとした町。前回出掛けた時には、「全米霊能者の年次会議(!?)」などという奇妙なイベントが開かれていましたが、そんな人達がここを選ぶのもうなづけるような、何か神秘的な場所です。言っておきますが、温泉のほかにはなーんにもありません! 訪れる客層も家族連れか年配層がほとんど。だからこそ、お腹の出た水着姿でも堂々としていられるし(苦笑)、また、夕暮れには静かな湖のほとりを子供と一緒に歩きながらボーッとしたりと、忙しい子育ての合間のリラックスしたひとときを過ごせます。
■Harrison Hot Springs Resort & Spa
ウェブサイト:www.harrisonresort.com
第26回「ハロウィーンと夜驚症」
ハロウィーンが近付き、パンプキン・パッチに出かけたり、デコレーションや仮装用のコスチューム作りに励んだりと、すっかりお祭り気分の私ですが、困ったことに、2歳になるマイ・ベイビーがどうやら急に夜泣きをするようになりました。
うちでは、キング・サイズのベットに家族3人が文字どおり「川の字」になって寝ていますが、ここ数日、娘が眠りに落ちてから1時間ほどたつと、起きて泣くのです。いそいで抱っこしてあげると嫌がり、火がついたように泣きはじめ、「怖い、怖い」とパニクル娘。何が何だかさっぱり検討がつかず、「何が怖いの? ママとダディーがいるから大丈夫だよ」と優しく声をかけるのですが、ただ泣いて、体も震えています。私たちがいるのも、全く気がついていない様子なのです。
結局、電気をつけて、抱きながら何度か慰めてやると落ち着いて、10分ほどすると、また何事もなかったかのように眠っていきました。これがこのところ数回続き、わたしもハズビーも心配になっているのでした。
「大きなクモや骸骨みたいな、お店にあるハロウィーンの怖いディスプレイを思い出し、悪夢を見ているんじゃないかなあ」とハズビー。
確かにマイ・ベイビーはクモは大嫌いで、お店のハロウィーン・コーナーも「こわ~い、ママー」と言っています。でも悪夢なら、普通は完全に目が覚めて、その内容を覚えているはずだし、そんなに簡単にまた眠りにつくことはできないはず……。
そこで次の日、娘の担当医に電話で相談することにしました。すると、どうやらマイ・ベイビー「Night Terror:夜驚症」のような症状にかかっているというのです。子供が眠りに落ちたすぐあとに極度の不安感とともに覚醒状態になり、またすぐ数分後に再び眠りに落ちる症状。子供自身はその時のことを全く覚えていないし、原因も不明なのだとか。
ここ数日、私が風邪を引いていたこともあり、いつもと生活のリズムが違うのも影響しているかもしれないし、普通、夜驚症は自然に治るので、「しばらく様子をみてみましょう」とドクター。それを聞きホッとした私たちですが、「原因不明」ということに納得できず、「やっぱり、ハロウィーンかなあ」、「トイレ・トレーニング、ちょっと遅らそうか」とかと、あーだ、こーだ言っています。
同じ体験をしているママがいたら、ぜひ意見を聞いてみたいところです。
あー、今日はちゃんと寝てくれるかなあ、不安……。
第27回「勝ち犬になるために」
もめごとはできるだけ避けるようにしていた私ですが、アメリカで子供を育て守っていくためにも、母は何事にもスマートに、そして勇敢に立ち向かっていかねばならぬと、最近は少々のことでも食い下がり、簡単にはあきらめないように努めています。
Costcoの駐車場でのハプニングでもそうでした。その日は腰が痛くて体調も良くなかったので、入り口にできるだけ近いところに駐車しようと、ほかの車が出るまでブリンカーをつけて15分くらい待っていました。ところが、ようやく待っていた車が出たと思ったら、スーッと反対側から別の車がやって来て、マイ・スポットに駐車するではありませんか? 「えっ、えっ、えっ、どういうこと!?」
普段なら泣く泣くその場を後にしていますが、やはり母はここで引いてはならぬ!と思い立った私。映画「Fried Green Tomatoes」に出てくるキャシー・ベイツ役の中年主婦のように、後ろからごつんと車を当てたい衝動をグッと抑え、冷静に憤慨している気持ちを伝えようと、車から降り、相手に向かって歩いていきました。
何事もなかったかのように振舞っていたその女性は、私が歩いてくるのを見ると、ちょっとひるんだ様子。でも、「そこは私が15分も待っていたスポットよ。ブリンカーもつけていたし、失礼じゃない?」と伝えると、その女性は「何分待ったって関係ないわよ。早く車を駐車した人の勝ちじゃない」と食ってかかってきました。予定していたシナリオでは「あら、気が付かなかったわ、ごめんなさい」とくるはずだったので、不意打ちをくらってしどろもどろする私。そうしているうちにその女性はスタスタお店の方に去っていってしまいました。
というわけで、なんとかがんばったものの結局「負け犬」となってしまった私。あまりに悔しくて、家に帰ってからハズビーにこの出来事を話し、「勝ち犬」になるにはどうしたらいいか聞いてみました。
ハズビー曰く、もし自分だったら相手が先に駐車する隙を与えない、とのこと。「それじゃあ、まるで私が鈍臭いってことじゃない」と言い返すと、「でもね、乗っている相手がどんな人物か分からないのに、食ってかかるのは危ないよ。まあ、人通りが多くて、女性だったことだし、憤慨する気持ちを伝えたんだから、いいってことにすれば」とハズビー。
納得できたような、できないような。そこで今度は自称「負け知らず」の義母に電話をして聞いてみることにしました。すると義母は笑って「まあ、自分が正しいと思ったことを伝えたんだから、立派、立派」とやんわり返してくるではありませんか! 義母らしくないその答えに驚いて「えっ、お義母さんでも、それでよしとするんですか!?」「……」
そう聞いたが最後、「あら、私? 私はそんなことでは引かないわよ」と始まり、その後は義母の勝ち犬ヒストリー・オンパレードが延々1時間続いたのでした。
えっ、義母ならどうしたかですって!? 彼女の戦いのポリシーは「make a scene」。つまり自分の言い分が通らないと困るような状況を作るということ。最終的にはFワード、Bワードはもちろん、大声で「この女は嘘つきで、常識知らず」と騒ぎ立て、「車を動かすまで、ここを動かないわよ」とまでするのだそう。「言葉だけじゃないわよ、必要ならファイトだって自信があるわよ」と誇り高く語る義母……。
義母に電話をかける前に、ハズビーが「母のやり方は真似しない方がいいよ」と言った意味がようやくわかりました。さすがにそこまではデキマセン。参りました!
夜驚症に関するエッセイにお便りをくださったJuriさん、ありがとうございました。4歳になる娘さんが夜驚症になり、3日で治ってそれっきりということを聞いて安心しました。うちの娘もそれっきりで、大丈夫なようです。
第28回「トイレ・トレーニング」
うちの娘は2歳と4カ月。最近ようやく「ママ、おしっこ~」と言ってトイレで用を足すことができるようになりました。大きい方はまだおむつでするのが好きなようですが、ここまでには結構、長い道のりでした。
「個人差があれ、2歳までには子供のおむつを外すことができる(夜を除く)」というのが持論の義母。その彼女から「まだおむつが取れていないのは親の働きかけが足りないから!」と説教され、励まされ、私は娘が1歳半の頃から、子供用の便座カバーを購入し、トイレに関する本を読ませたり、誘ってみたりと、いろいろ試みていました。
けれども、トイレでおしっこやうんちをすることは理解できているみたいなのに、なかなか実行に移そうとしない娘。朝起きた時や、おむつが濡れていない時に誘ってみても、嫌がるばかり。時には無理に便座に座らせたり、あまりしつこく誘ったせいか逆効果で、どんどんトイレ嫌いになってしまいました。
最近のこちら(アメリカ)のママのトレンドは、子供のペースに合わせてゆっくりトレーニングすること。3歳過ぎておむつをしている子供もたくさんいます。まあ、おむつが取れて良いことと言えば、おむつ代が節約でき、出かける時に身軽ですむことくらい。つまり、子供のために、と言うより親にとって都合が良いわけですよね。トイレ・トレーニングがうまくいかなくてストレスを感じていた私は、「小学生でおむつはいている子はいないんだから、そんなにあせらなくてもいいんじゃない?」という友人の慰めもあり、2歳を過ぎてからは一切無理にトイレに誘うのをやめました。
ただ、ポジティブな働きかけは続けるべきだと思い、いろいろ考えた末に、あるアイデアを思い付きました。それはリワード(報酬)。紙に表をつくり、トイレの壁に張って、トイレを上手に使えた時に、ご褒美でステッカー(シール)を貼るようにしました。最初は「ほら、ママ、トイレでおしっこできたでしょ? だからここにステッカー貼るの」という具合に、見本を見せました。
これは思っていた以上に効果てきめんで、その翌日には「ママー、おしっこする」と言って、自らすすんでトイレに座り、用を足すことができるようになりました。もちろん、まだまだ失敗もありますが、最近では外出先でもトイレを使えるようになり、綿パンツへの道も近いかな、とひそかに喜んでいます。
第29回「年始の珍行事」
やっと終わってくれました、クリスマス。11月から始まった嵐のようなノン・ストップ・ショッピングも、ハズビーの実家であるアイダホへの雪路長旅も、全部終了。ばんざ~い!
買い物と旅行でとっぶり疲れた我が家では、大晦日&お正月はゆっくり過ごすのが常。年末の大掃除だけテキトーに済ませて、おせちは買い、おそばやお雑煮など、簡単なものだけを手作りし、フットボールの試合をテレビで観たり、本を読んだりと、のらりくらりします。ただ、そんな中でも毎年、年始に必ずしなければいけないことがひとつだけあります。
それはクリスマス・プレゼントの「リターン」。
「プレゼントは数が命」のハズビーの実家から、文字どおり「山のごとく」もらうクリスマス・プレゼント。今回はマイ・ベイビーが2歳になったので、さらに数が増え、おもちゃやお人形、子供服などから、私やハズビーに向けたものまで、毎年、セダンに到底積み込めないほどもらいます。どのプレゼントも買ってくれた人の思いが込められていて、とってもありがたいのですが、我が家の狭いアパートでは置くこともしまうこともできないのが現実。それに赤ちゃん人形は4体(!)もいらないし、自分のセンスでは着こなせない服とかバッグとか、もうすでに持ち合わせているキッチン道具とか、正直、あっても使わないものが多いのです。
そこで考えたのがリターン。リターン王国アメリカでは、たとえレシートがなくても、箱を一度開けてしまっても、新しくてタグが付いてさえいたら、そのお店のギフト・カードやストア・クレジットに交換してくれますよね。クリスマスにドサッともらったプレゼントは、年始に我が家で整理され、本当に必要でないものだけが、ほかのものやギフト・カードに「生まれ変わる」のです(と、こんな風に簡単に変わってくれるといいんですけど、実際は各お店に出掛けなきゃいけなかったり、カスタマー・サポートに長時間並んだりと、結構大変なんです……)。
「あっても使わないんだから気を悪くする必要ないよ」と言ってくれるハズビーですが、やっぱり、リターンする度に、どこか心の隅が申し訳なくなる私。そして、「あら~、あの金のバッグ、3年前にあげたじゃない。なぜ使わないの? その服には金のバッグが似合うじゃない」という、非常に記憶力の良い義母の質問にも、いつも、しどろもどろしてしまうんですよね。
やっぱり、ガレージ(倉庫)、いりますか!?
第30回「親子で楽しむスノー・スポーツ」
この季節、雨ばかりのシアトル(今年は例年より雨が多過ぎます!)では外に出掛けられないので、せっかくの週末ですらうっとうしく感じますよね。スキーやスノーボードをしたくても、子連れだといろいろ大変だし……。結局、ショッピング・モールに行って、外食して……というパターン。「あ~、思いきり体を動かしたい! このままだとおデブ道をまっしぐらだわあ」と、たるんだお腹のお肉をつまみながら、ぶつぶつ不満を言っていたところ、翌朝、どこから調べてきたのか、「子供連れでもできるスノー・スポーツがあるよ」とハズビー。
「チュービングって言うんだけど、3歳近くの子供なら、親同伴でできるんだ」
「チューブラリン???」
「違うよ、チュービング(tubing)だよ! チューブ(タイヤ)に乗って雪の坂を滑走するの」
ネットでちらっと調べてみると、日本でも人気のスポーツのよう。そこで早速、朝8時に起きて、近くにあるスノコルミーのスキー場に行ってみました。シアトルからはI-90 East、53番出口。チュービング・エリアは「Summit Central Main Parking Lot」の南東の端です(「Summit Tubing Area」のサインがあります)。チケットを買って、娘を抱っこして、チューブに乗って、ぐるぐる回りながら斜面を滑走……。
ただ滑るだけと思っていたけれど、いざやってみるとこれが結構楽しい! 普段の生活では味わえないスピードが快感! 子供心に戻って大人もシューシュー。滑走コースは9コースあって、コースごとに少しずつ傾斜が違っていたり、でこぼこがあったりするので、違った滑りを楽しめます。滑った後は専用のリフトに乗って坂の上に戻るのもよし、私みたいに少しでも体重を減らしたい場合は、チューブを引いて自力で坂を上ることもできます(結構、大変ですけれど)。
娘はチュービングよりも、雪だるまを作るほうに夢中になっていましたが、確かに「親子でできるスノー・スポーツ」ですよね! 金~日曜、祝日の9:00 a.m.、11:15 a.m.、1:30 p.m. 、3:45p.m.(金・土曜のみ6:00 p.m.も)の5つのセッションがあり、人数に限りがあるので早めに到着してチケットを購入するか、あらかじめインターネットで購入することをオススメします。朝早くのセッションが一番人が少なくて並ばないのだそうですよ。料金は、曜日やセッションによって異なりますが、大体ひとり$15程度(タイヤ使用料込み)。5歳以下の子供は無料です。ぜひ、お試しあれ。
参照ウェブサイト:www.summit-at-snoqualmie.com/info/winter/tubing.asp
第31回「専業主婦 VS 働くママ」
この間たまたま、インド、中国、イギリス出身の国際色豊かなママ友達とディナーに行く機会がありました。久しぶりに会ったので、お互いの近況を語り合って盛り上がりましたが、話が出産、育児へと進むにつれ、段々とギクシャクし始めてきたのでした。
集まった4人のママ達は、私ともうひとりが主婦業に専念するいわゆるステイホーム・マム(Stay-at-Home Mom)。そして、ほかのふたりが子供を預けながらキャリアを続けるワーキング・マザー(Working Mother)。話がこじれ始めたのは、専業主婦のママが切り出したある質問でした。
「夫が稼いでいるから仕事をしなくてもいいはずなのに、どうしてわざわざ子供を預けてまで仕事場に戻る必要があるの?」
この無防備な質問が投げ掛けられた時、ママ達の間に一瞬にして緊張が広がりました。「やばい……」とひるむ私をしり目に、夫よりも稼いでいるスーパー・キャリア・ウーマンのインド人ママが反撃。
「私にとって仕事は生き甲斐。子育てだけで終わる人生には興味ないの。子供は親の背中を見て育つでしょ。子供には私が何かに情熱を燃やしている姿を見て欲しいわ。それに限られた時間で仕事、家事をこなしながらも、子供と一緒に過ごせる時間は有意義に、とっても大切にしているわ」
するとまたステイホーム・ママ。
「子育てだけで終わる人生ってどういうこと? そんなことはないわ。私だって夢はあるわよ。ただ、私は子供が小さい時は親の元で育つのが最善だと信じているの。だから必要がないのに、わざわざ他人に子供を預けて働くのが理解できないだけよ。仕事は子供が学校に行き始めてからでも、いつでも復帰できるじゃない」
これを皮切りに不毛な対立が始まったのでした。言い争いの得意でない私は、できるだけ知らんぷり。そこに、「あなた、あなたはどう思っているの」と、黙って食べてばかりいる私をママ友のひとりが直撃(ゲッ!)。
後に引けなくなった私は、
「子供を生んだころ、私は仕事をそれほど生き甲斐に感じていなかったし、やっぱり子供は他人に任せずに自分で育てたいと思ったの。幸い、ダブル・インカムじゃなくてもなんとかやっていけたし。やっぱりその時の状況によるんじゃない? 専業主婦と働くママ、どっちがいいか悪いかなんてないんじゃないかしら。確かに育児については、みんなそれぞれの哲学があると思うけれど、私はお互いの選択を尊重し合うべきだと思うのよねー」
デザートをパクッとほおばりながら答えると、一同だんまり。「あら、いいこと言っちゃったのかしら、私?」と有頂天になったのも束の間、「そんな無難な意見はあなたらしいわね。なんかバカらしくなっちゃった」と、みんなして私を笑いの種に。でも、場は元の賑やかな雰囲気に戻ったのでした。
それにしても、働くママと専業主婦。もっと交流できたら、お互いに学ぶことも多いと思いません?
第32回「パパと育児」
仕事に残業や出張はつきもの。うちのパパも、頻度が少ないとはいえ、たまにあるんですよね、出張。この間は、5日間のビジネス・トレーニングで家を留守にしていました。そんな時に「パパの存在のありがたさ」を改めて感じます。
昼間は公園に行ったり、ママ友に会ったりと、忙しくいつもの日課をこなしますが、結局は1日中、娘とふたりきり。育児の息抜きができなくて、いつもよりドーっと疲れてしまいます(+ストレス増)。仕事から帰って来て、娘が寝る間のほんの短い時間だけでも、子供と遊んでもらったり、お風呂に入れてもらったりすると、その間に家事もできるし、ふっと「自分」に戻れる気がするんですよね。
知り合いママの中には、夫の仕事が忙しく、平日、家に帰って来るのが夜中で、ほとんど「精神的母子家庭」という人も多々。そんなママ達には、全く頭が上がりません。私はたった5日間で「ヒエ~」でしたから。
実家の母も義母も、平日に「パパの協力」はあまり得られなかったみたいですが、祖父母や親戚が近くに住んでいたり、近所のつながりが密だったり。核家族化している現代の、特にアメリカで頑張っているママ達の状況と比べると、ずいぶんマシだったのでは!?
うちのパパは決して子供と遊ぶのが上手なわけではなく、娘は父親の言うことをあまり聞かない「ママっ子」ですが、さすがにこの5日間、父親が不在だと、すこし様子が違いました。いつものようにパパがお風呂に入れてくれない……、寝る前に絵本を読んでくれない……、そしてママはヒステリック気味……。泣く時も「ママ~」ではなく「ダディ~」に。
この5日間を振り返って思ったのは、パパの「ちょっとだけの時間」は娘にとって、とっても大切だったということ。1日たった30分でも、子供と遊んでくれる。たった30分でも、ママの話を聞いてくれる。毎日でなくても平日1日だけでも、それだけでも、普段の育児はずいぶん違ってくるような気がします。皆さんも同じでしょうか?
と、こんなことを書くと、家族のために仕事を頑張っているパパ達に怒られそうですけれど(苦笑)。
第33回「子供と一緒の育児」
娘が3歳近くになると、おしゃべりはもとより、手足を使ったいろんなことができるようになるので、育児に楽しさが増してきました。周りのお友達キッズがちらほらと幼稚園に通い始める中、「のんびりと自由に育てよう」という私とハズビーの意見で、娘は未だプリスクールに行かず、毎日私と一緒。それが娘にとっていいのか悪いのか、私自身、戸惑うこともありますが、実際、そんなことに悩んでいる暇はなく、丸1日を有意義に過ごすための努力が大変!
私は同じ環境にいる友達ママの意見を参考に、毎日、外に出て何かをすることにしています。たとえば、月曜はジムで水泳、火曜と木曜はプレイ・グループ、水曜は図書館+ファーマーズ・マーケット……という風に、その日のメイン・イベントを決めておきます。それから家では、パン作り、お絵書き、粘土、お菓子作りなど、必ず何かひとつ、アクティビティーをするようにしています。そうすると、特にこの日何をしようかと迷うこともないので楽ですよね。
娘と私が最近ハマっているのは、ファーマーズ・マーケットでの買い物。娘にコイン(クオーターのみ)をたっぷり持たせて、野菜や好きな果物を買わせます。サマー・スクアッシュやレニア・チェリーなど、農家直売はどれも本当に美味! 「マミー、今度はりんごを買ってあげるね!」と、とても楽しそうに言うので、イーストサイドにある自宅から、土曜はユニバーシティー・ディストリクト、日曜はバラードのファーマーズ・マーケットまで出掛けることも。水曜に開いているカークランドのファーマーズ・マーケットは、規模が小さいけれど近所だし、図書館や公園も隣接。少し足を延ばせば、ホーソーン・ビーチ・パークで水遊びも。よく子供連れのママ達を見掛けます。
そのほか、日常的にやっているアクティビティーは、夜寝る前、ハズビーを交えてのひらがなカード遊び。単にひらがなカードを並べてカルタまがいのことをしているだけですが、ひらがなを知らない娘とハズビーは激しく競争して、学んでいっています。
と、私のようなドタバタがこんなにいろんなことを娘とできるようになったのは、ひとえにママ友のおかげ。子供と遊ぶ方法だでけなく、買い物の仕方から家事のヒントまで、ママ友がいなければ、今ほどの余裕がなかったはず! プレママの皆さん、ママ友は必須!ですヨ。
【余談】よく行くファーマーズ・マーケットのおすすめアイテム
カークランド:ポップコーン(サクサクで日が経っても美味。シナモン味もグー!)、サマー・スクワッシュ
バラード:にんにくの芽(Garlic Stem)
ユニバーシティー・ディストリクト:日本と同じ種類の無農薬きゅうり、エアルーム・トマト
パイクプレイス・マーケット:ワイルド・マッシュルーム、いちじく、花
コメントを書く