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Pacific Software Publishing, Inc.創業者・内倉憲一のIT批評ノート

ソフト開発会社会長のIT批評ノート第1回:iPadは買いか、待ちか?

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。文/ 内倉憲一

iPadは9.7型インチのタッチパネル・ディスプレイを搭載した、これまでにないタブレット型コンピューターで、今年4月にアップル社が発売して以来、IT業界では注目の的です。私も早速、その64GBバージョンを買ってみました。理由は、元々マック・ユーザーということもありますが、職業柄よく知っておくべきだと思ったのと、持っていると注目されるしカッコ良かったので(笑)。出張先に持って行くにも、場所を取らず便利です。同じように買った仲間も「ノートパソコンを開く回数が減った」と喜んでいます。でも、「回数が減った」という意味が本当にわかったのは、ごく最近の話。残念ながら、現時点のiPadでは、ノートパソコンを完全に不要とするのは難しいのです。では、具体的にどのような問題があるのでしょうか?

【メール・ソフトが貧弱】 標準のメール・ソフトは、Eメールを開こうとすると頻繁にクラッシュします。その度に、すべてのEメールを再ダウンロードするので面倒です。【キーボードが不親切】 タッチ・スクリーンのキーボードには、カーソル・キー(矢印)がありません。例えば、3行上に誤字があっても、拡大表示して指でタッチすることでカーソルを動かすか、バックスペース・キーで文章を削除して戻らないと編集できないのです。このため、読む分には問題ありませんが、文字の入力は億劫に感じます。

【日本語入力も要改善】 日本語が簡単に設定でき、Eメールやウェブサイトを日本語で読めるのは、さすがアップル製品です。しかし、 iPadに搭載されている日本語入力システムは、iPodやiPhoneと同じモバイル用にできているため、小さい画面で使うには良いかもしれませんが、iPadの大きな画面では非常に使いにくくなっています。

【ウェブサイト閲覧が制限される】iPadでウェブサイトを開くと、コンピューターではなく、モバイル・ツールとしてウェブサイトに認識され、自動的にモバイル・バージョンの画面が表示されます。これでは、せっかくの大きな画面も宝の持ち腐れ。しかも、節電のためにFlashプレーヤーをサポートしておらず、Flashによる動画を使ったウェブサイトが全く見られないのは、はっきり言って不便です。これらの問題はすべてソフトの問題なので、ハード的に解決できないというわけではありません。今後のバージョンアップで修復されるかもしれないので、iPadを買うなら、もう少し待ったほうが良いと個人的には思います。ちなみにこの原稿はノートパソコンで書きました。さすがにiPadでは書く気にはなれません……。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート第2回:私の選んだスマートフォン

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。文/ 内倉憲一

スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電

話ですが、基本的に4 種類あります。人気の順で挙げると1 iPhone 2 Android3 BlackBerry 4 Windows Mobileではないかと(もちろん、私が勝手に思い込んでいるだけですが……)。私はマック・ユーザーなので、多くの方は私がiPhone を使っていると思っておられることでしょう。しかし、この中から選んだのは、Android OS の携帯電話( HTC EVO)です。以下、その理由を挙げてみます。

【日本語設定】 私の場合は日本語でEメールを送受信したいという希望がありました。読者の皆さまも同じだと思います。日本語は、やり方さえわかれば、前述した4 種のどれでも使えるという話なのですが、実際に日本語設定が簡単にできるのは、iPhone、Androidのふたつです。私は今の携帯電話を持つ前、BlackBerryを利用していました。これは、日本語のEメールは読めても日本語入力ができません。また、Windows Mobileに関しては、私の周りで日本語設定がうまくいったという人はいませんでした。

【コスト】 以前、BlackBerryを使っていた時は、ベライゾンがプロバイダーでした。iPhoneを使うためにはAT&Tに乗り換えなければいけません( 2010年9月現在)が、いちばんの問題は月間5GBと、データ・プランに上限(少なくとも企業向けに)があることです。今使っているAndroidの携帯電話はスプリントのもので、使い放題のデータ・プランがあります。これがスプリントを選んだ大きな理由です。

【速度】 エリア・カバー率では、ベライゾンが良いようで、AT&T、スプリント、T-モバイルは同じようなものでした。ただ、AT&Tとベライゾンが3Gのネットワークなのに対して、スプリントはエリアが限定されるものの、高速な4Gのネットワークも提供しています。

こうして、コスト、エリア・カバー率、データ転送速度を考えるとスプリントが最有力。さらに、日本語を使える携帯電話となると、Androidという論理なわけです。Androidは言うまでもなく、グーグル社が携帯電話用に提供するOS。インターネット閲覧、Eメール、スケジュールなど、グーグル社によるアプリケーションとの連動が、簡単にできるようになっています。もちろん、それらのアプリケーションを通じて、パソコンとの連動も可能です。iPhoneの場合はアップル社のMobileMeというサービス(別売)が必要になります。Windows Mobileでは、Windows Liveと連動できるのでしょう。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート第3回:Eメールの使い方を間違っていませんか?

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。文/ 内倉憲一

今回は誰もが使うEメールのお話。「誰もが使う」というのは、ティーンから高齢者まで誰でも使えるという意味です。若い人は電話や顔を見ての会話が苦手だと言われています。逆に年を取ると、今度はテキストによるチャットは苦手。どの年齢層でも使えるコミュニケーション手段がEメールなのです。でも、Eメールにもマナーや有効な使い方があります。特に注意したいのは、この4つです。

【内容は1 項目に】 伝えたいことが3つあった場合、3つの項目を1 通にまとめるのではなく、3 通に分けるのがオススメです。例えば、3つの項目を1 通にして出した場合、ふたつが終わっても、ひとつに時間が掛かれば返事が帰って来るのが遅くなることが。3 通に分ければ、ひとつひとつ終わった時に返事がもらえます。特に何かを頼む時のメールは1 通1 項目にすることで効率が良くなるでしょう。

【主題で中身を伝える】 多くの方は毎日何通、何十通、何百通というEメールを受け取ります。その中に皆さんが送る1 通も埋もれてしまうのです。そんな状況で明確に自分の意思を伝えるには、Eメールの中身を要約した内容を主題(サブジェクト)に書くのが良いでしょう。主題を「提案書」と書くのではなく、「XXX Inc. への提案書、確認のお願い」とすれば、注目されやすくなります。

【署名に画像は禁物】 Eメールの署名部分に、自分のサインや会社のロゴの画像などを入れる方が少なくないと思います。ただ、Eメールを送受信するアプリケーションには、どんな画像なのか、ほかの画像との差がわかりません。画像添付扱いとなり、「迷惑メール」と認識されてしまう場合があります。いったん迷惑メールと認識されると、当然Eメールは届かなくなるので、必要がない限り、画像は貼り付けないようにしましょう。

【フリー・メールでビジネスはNG】 Gmail、Yahoo! Mail、Hotmailといったフリー・メール、あるいはインターネット・サービス・プロバイダーが提供するアドレスをビジネスに使うのは良くありません。まず、迷惑メールと認識される確率が高いですし、また、自社のウェブサイトを持たないと判断されてしまいます。Eメールのアドレスに自社ドメイン名があれば、ウェブサイトのアドレスもわかるわけですから、宣伝のためにも自社ドメインのEメールを使いましょう。相手の年齢層に関係なく誰にでも使えて便利なEメール。ここに書いた4つを実践すれば、今まで以上に効率良く、コミュニケーションを取ることができるはずです。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート第4回:ソーシャル・ネットワーク・サービスは
    本当に必要?

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。文/ 内倉憲一

ここ数年、話題になっているソーシャル・ネットワーク・サービス(通称SNS)とは、どういうものなのか。疑問がいっぱいあるSNSについて今回はお話をさせていただきます。

SNSとは、インターネットを通じて人と人がつながる、コミュニケーションをする場所のことです。ブログも、ブロガーとそれを読む人とのコミュニケーションが発生するので、SNSであると考えても変ではありませんが、多くの場合はブロガーによる一方通行。また、各ユーザーが同じレベルに立ち、好きなことを書けるという意味では掲示板もあるものの、匿名(ニックネーム)で運営され、実際に相手が誰なのか判断ができません。流行中のSNSとは、ユーザーが多くの場合、自分が誰であるかということを明確にしたうえで、コミュニケーションを取るシステムです。信用のある人には多くの人が集まり、また、話題の面白い人、有名人などのSNSもにぎわっています。そして、インターネットの中にコニュニティーが完成するのです。

コミュニティーの中には、実社会のようにオピニオン・リーダーもいれば傍観者もいます。SNSでは、今まで多くの人と話す機会がなかった、話す勇気がなかったという人でもネットワークを構築でき、インターネットの中で勇猛果敢な言論が可能です。オピニオン・リーダーになると、宗教のように自分についてくる人達に情報を与えるだけでなく、行動をさせることもできます。この部分に多くのビジネスは目を付け、SNSの中で顧客へ購買を促すことを考えているのです。
私の場合、SNSと呼ばれるものはmixi、Facebook、LinkedIn、Twitterにそれぞれアカウントを持ち、情報交換をしています。ビジネスに直接役立つかというと、私だけでなく多くのビジネス・パーソンが悩むところではないでしょうか。「SNSをやらないと時代に遅れる」という考えがありますが、実際、SNSをしなければビジネスをやっていけないかと言えば、そうではないのです。別にSNSなどに時間を掛けることが無駄だと思えば、使う必要はないでしょう。

SNSは、企業が多くのユーザーを囲い、彼らの情報を集め、彼らに的を絞った広告を掲載するための媒体。そう、どのTV番組が好きか、TVを見るか見ないか、といった類と同じことなのです。

SNSは、人と人とのネットワークを作る場所であると同時に、SNSを運営する会社がユーザーに広告を見せるための場所だということを、忘れてはいけないと私は考えます。こ数年、話題になっているソーシャル・ネットワーク・サービス(通称SNS)とは、どういうものなのか。疑問がいっぱいあるSNSについて今回はお話をさせていただきます。
SNSとは、インターネットを通じて人と人がつながる、コミュニケーションをする場所のことです。ブログも、ブロガーとそれを読む人とのコミュニケーションが発生するので、SNSであると考えても変ではありませんが、多くの場合はブロガーによる一方通行。また、各ユーザーが同じレベルに立ち、好きなことを書けるという意味では掲示板もあるものの、匿名(ニックネーム)で運営され、実際に相手が誰なのか判断ができません。流行中のSNSとは、ユーザーが多くの場合、自分が誰であるかということを明確にしたうえで、コミュニケーションを取るシステムです。信用のある人には多くの人が集まり、また、話題の面白い人、有名人などのSNSもにぎわっています。そして、インターネットの中にコニュニティーが完成するのです。

コミュニティーの中には、実社会のようにオピニオン・リーダーもいれば傍観者もいます。SNSでは、今まで多くの人と話す機会がなかった、話す勇気がなかったという人でもネットワークを構築でき、インターネットの中で勇猛果敢な言論が可能です。オピニオン・リーダーになると、宗教のように自分についてくる人達に情報を与えるだけでなく、行動をさせることもできます。この部分に多くのビジネスは目を付け、SNSの中で顧客へ購買を促すことを考えているのです。
私の場合、SNSと呼ばれるものはmixi、Facebook、LinkedIn、Twitterにそれぞれアカウントを持ち、情報交換をしています。ビジネスに直接役立つかというと、私だけでなく多くのビジネス・パーソンが悩むところではないでしょうか。「SNSをやらないと時代に遅れる」という考えがありますが、実際、SNSをしなければビジネスをやっていけないかと言えば、そうではないのです。別にSNSなどに時間を掛けることが無駄だと思えば、使う必要はないでしょう。
SNSは、企業が多くのユーザーを囲い、彼らの情報を集め、彼らに的を絞った広告を掲載するための媒体。そう、どのTV番組が好きか、TVを見るか見ないか、といった類と同じことなのです。

SNSは、人と人とのネットワークを作る場所であると同時に、SNSを運営する会社がユーザーに広告を見せるための場所だということを、忘れてはいけないと私は考えます。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート第5回:インターネットでショッピングをもっとお得に

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。文/ 内倉憲一

サンクスギビング翌日のブラック・フライデーで幕開けとなったホリデー・ショッピングのシーズンはもう終わりましたが、お買い得なセールがなくなったわけではありません。特にインターネットの世界では、いつでもどこでも誰かが安く商品を販売しているものです。しかし、それを見つけるのは、なかなか簡単ではありません。今回は、そうした掘り出し物を見つけるための、私なりのやり方についてお話ししたいと思います。

まず、何か欲しいものがある時は、買う前にGoogle、Bing、Yahoo!といった検索サイトで探して、商品に関する情報を集めておくのが常識です。私の場合、さらにeBayで同じ商品を探してみます。このオークション・サイトは、個人による中古品の売買が主なため、私が買い物に利用することは少ないのですが、一般的にどの店より安いので、最安値を把握するのに役立つのです。

あとは、その商品をどこで買うか決めるだけ。価格比較サイトとしては、日本だと価格.comが有名ですが、米国ではPriceGrabber、NexTag、bizrateの3つがよく使われます。欲しい商品を入力して検索すると、どこで誰がいくらで売っているかという情報が表示される仕組みです。必ずしも安ければ良いというわけではありませんが、同じ商品でもこれだけの価格差があるのかと驚かされることがあります。

次に調べておきたいのが、オンライン・ショップの信頼性です。安心して商品を買える店なのか調べたい場合は、ResellerRatings.comのようなサイトを利用すると良いでしょう。レビューがない、または悪いレビューがある店は避けたほうが無難です。そうした店のほうが安い場合も少なくはないのですが、あまりにも虫の良い話には要注意。eBayで買う場合は、売り主のレビューが画面に出ていますので、注目しておきましょう。

オンラインではなく、店舗に行って買いたいという時でも、インターネットが活躍。店名+Couponsで検索すると、クーポンが見つかる場合があります。最近ではGrouponなどのクーポン共同購入サイトが人気。登録しておけば、地域のクーポン情報が毎日のようにEメールで送られてきます。半額以下でサービスを受けられる場合も少なくないので利用しない手はないでしょう。

インターネットを利用してのショッピングは今や常識。でも、もっと安くお得に買うことを追求するのも楽しいと思います。皆さんもお得な買い物の体験があれば、ぜひ聞かせてください

ソフト開発会社会長のIT批評ノート第6回:モバイル端末市場に変化

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。文/ 内倉憲一

スマートフォン(多機能携帯電話)などモバイル端末の業界で、ここ数カ月の間にいろいろ変化がありました。まず、iPhone。今までAT&T独占でしたが、この号が出るころには全米最大のネットワークであるベライゾンからも販売されています。私がiPhoneを嫌った原因のひとつが、プロバイダーであるAT&Tのエリア・カバー率と料金体制でしたから、ベライゾンでの販売は大歓迎。日本語サポート、使いやすさに、最大ネットワークが加わり、申し分ないスマートフォンとなりました。

そのアップル社の製品と言えばタブレット端末のiPadもそうですが、こちらはすでにベライゾンが販売中。ただ、iPadには現在、大きな競合相手が現れています。例えば、Android OSを搭載したタブレット端末、サムスン社によるGalaxy Tab。次期発売のひと回り小さいiPadを思わせる仕様で、すでに販売されています。Android OS搭載端末は、値引きがないアップル社製品と異なり、プロバイダーによって安く買うことができるのが特徴。また、iPhone、iPad同様に多くのアプリケーションがAndroid用に開発されています。日本語サポートも、Simejiというアプリケーションを無料でダウンロードしてインストールするだけなので簡単です。

Android OSがこれだけ伸びている理由のひとつが、LinuxというオープンソースのOSをベースにできていることがあります。そして、IT大国となった中国が支援しているのが、このLinux。iPadと比較されているさまざまなタブレット端末は$200以下で売り出されており、高速な3Gのネットワークなどが不要ならプロバイダーで買わずに、オンラインや地元の量販店などを利用することもできます。

ところで、すっかり話を聞かなくなったBlackBerryですが、ついに日本語入力をサポートし始めたようです。やっと、という感じですね。でも、私はまだ使ったことがないので、使い勝手などは不明です。そして、Windows 7。最近まで使ったことがなかったのですが、マイクロソフト勤務の友人が持っていたので触ることができました。iPhoneやAndroidと比較しても、決して劣るものではありません。これははっきり言って驚きです。でも、iPhoneやAndroidに置いていかれないようにリリースを焦ったのでしょうか、日本語やその他の言語サポートが完成していません。一部の日本語サイトを見ることはできるのですが、日本語入力に必要なIMEの提供は今年の後半になりそうです。その時には、米国に住む日本人にとって便利な機種が、もう1種類現れることになります。期待したいですね。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート

〉〉〉第7回:デジタル・カメラと画像の管理

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた 筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。
文/ 内倉憲一

最近は皆さん、デジタル・カメラをお持ちですよね。あるいは、携帯電話でデジタル写真やビデオの撮影をしているかもしれません。私もカメラが好きで、3台のデジタル・カメラと1台のHDビデオ・カメラを持っています。

デジタル・カメラを買うと、最初に何をしなければいけなかったか覚えていますか。日付と時間の設定です。この日付と時間は、撮影した画像の中に自動的に埋め込まれます。ですから、正しく設定しておくことは、あとで画像の整理をする時に役に立つのです。日付と時間以外に、デジタル・カメラは画像ファイルの中に、メタデータと言われる情報として、カメラの機種、レンズの種類、ISO値などを書き込みます。それらは昔のフィルムではほとんど記録されなかったものです。

私はMacを使っていますので、Apertureというソフトで画像を整理しています。一般的にMacユーザーの皆さんの多くは、iPhotoというソフトをお使いではないでしょうか。でも、私の場合は画像の数が多いこともあって、違うソフトを使っています。Windowsの場合は、デジタル・カメラを買ってきた時に同梱されているソフト(メーカーによって異なる)を使っても良いし、PicasaというGoogleが提供する無料ソフトや、Adobe Photoshop Albumといった市販のソフトなどで、iPhotoのような画像管理をすることも可能です。

画像ファイルは、文書や表計算ファイルなどと比べて大きいので、十分なディスク・スペースを確保することを忘れてはいけません。また、画像ファイルを編集・加工する場合は、それなりのCPUパワーとメモリーが必要になります。また、画像ファイルは1度壊れると復旧のしようがないので、できる限り2カ所、場合によってはそれ以上のコピーを保存しておくことを忘れないでください。

Aperture、iPhoto、Picasaのソフトには顔認識機能が付いています。この機能を利用すれば、写真に誰が映っているかを自動認識して、古い写真からでも簡単に探している画像を見つけることが可能です。また、これらのソフトからFacebookやFlickrなどに画像をアップロードして、ソーシャル・ネットワークのツールとしても使うことができます。もちろん、気に入った画像を集めてスライドショーを作ることも簡単です。

ソフトを上手に利用して画像を管理することで、ただフォルダに入れておく以上に、画像を探しやすくし、活用範囲も広がります。あちこちに散らばった画像をアルバム管理ソフトで整理してみると、すっかり忘れていた懐かしい画像に出くわす楽しみも。ぜひお試しください。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート

〉〉〉第8回:ビデオ配信とビデオ・ストリーミングの違い

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。
文/ 内倉憲一

3月11日に、日本の東北地方で発生した巨大地震とそれによって発生した津波による災害、今までにない状態を、世界中で多くの人がさまざまなメディアを通じて目の当たりにしました。しかし、海外にいる我々にはなかなか最新の情報が入ってきません。「日本国内のTV放送を見たい」。切実にそう思う中で、アメリカ発のUstreamなどのビデオ・ストリーミング・サービスを通じ、NHK、TBSといった各局のニュース番組をライブで見ることができました(今は残念ながら見ることはできなくなっています)。ビデオ配信といえば、YouTubeというイメージがあります。でもYouTubeでは、ライブで映像を見ることはできないのです。今回はビデオ配信とライブ・ビデオ・ストリーミングの違いについて説明をしたいと思います。

インターネットとTVのいちばん大きな違いは何かご存知ですか? TVは放送、その漢字の通り「送り放す」技術。要するに送信者側は番組を電波に乗せて送り出し、その電波をアンテナで受け、TVで再生する仕組みで、配信側(TV局)は基本的に誰が視聴しているかわかりません。

次にインターネットを使ったビデオ配信。この手のサービスとしては、YouTubeが世界最大です。この場合のビデオとは、放送ではありません。あくまで配信なので、サーバーがクライアントのPCひとつひとつとコネクションを行い、ビデオ・ファイルを送るのです。つまり、同じファイルを1,000人が同時に見る場合は、1,000のコネクションがサーバーとPCの間で確立されます。もちろん、1,000人はみんな違った時間にアクセスすることが可能。オンデマンドでビデオ・ファイルを閲覧しています。

それでは、新しい技術であるライブ・ビデオ・ストリーミングの場合はどうでしょう。1,000人が同じチャンネルを見た時、1,000人があたかもTVのように進行する番組を同時に視聴することになります。このようにライブでのストリーミングをインターネット上で行うというのは、非常にユニークなサービスで、進行している番組に各ユーザーが割り込みをして視聴するのです。ファイル単位にビデオを見るのではなく、進行しているビデオにビューワーが割り込んで、同じ番組を多くの人でシェアする形になります。

当然、今後はビデオのオンデマンド配信に加えて、このようなライブでのビデオ・ストリーミングも当たり前の技術になってきます。YouTubeでも同じようなサービスを提供することが考えられますね。楽しみな分野として、これから注目していきたいと思います。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート

〉〉〉第9回:低予算のデザイン・コンペを
オンラインで

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。
文/ 内倉憲一

最近、私の会社が関係する協会のプロジェクトでウェブサイトを構築することになりました。

全体のデザインやコンテンツも大切なのですが、まず新しく始めるサービスのロゴを作らなくてはなりません。これはそう単純なことではなく、コンセプトを考え、図柄の案を練っていく作業は長期に渡ります。外部のデザイナーにお願いをすれば、数千ドルは覚悟しなければならないでしょう。以前にも別の仕事で経験済みです。もちろん、その価値があることは当たり前ですが、スタートアップの会社やサービスでロゴに数千ドルを支払うことは、現実にはなかなか難しいものがあります。

それで悩んでいた時、オンラインでデザイン案をたくさんのデザイナーから募集し、その中で気に入ったものを選ぶサービスがあると聞きました。いくつかの会社の中から、99designsというサービスを使ってみることに。いちばん安いプランでは30点、高いプランでは90点くらいのデザイン案の応募があると説明ページに書かれています。初めての利用ということもあって、約$300のいちばん安いプランを選んでデザイン・コンペをスタート。開始24時間くらいでふたつのデザイン案が送られてきました。

コンペ期間は7日。早速の応募に喜んで、各々のデザイン案にコメントを書き込みました。さらに24時間、最初に送られてきたデザイン案のひとつが、コメントに合わせて少しですが変更を加えて送られてきました。これはなかなか良い調子だと思っていたのですが、そこから週末になって、週が開けても、この3つ以外に応募がありません……。残り3日になってもそのままです。

「$300出して応募が3点では話が違う」と、99designsに電話をしてみたところ、相手側も確かに少ないとして、金額はそのままでコンペをもっと見やすい場所に太字で掲示してくれることになりました。

そこから数日で、あとふたつの応募がありましたが、ウェブサイトの説明で書かれているような30点の応募にはとうてい及びません。どうしようかと思っていたのですが、最後の48時間になって多くのデザイン案が送られてくるように。また、残り16時間の時点で募集期間を延長しないことを決めると、さらに応募が増えました。

結局、終わってみれば、15人のデザイナーから計65点の応募が。この中から2週間以内に1点を選んで連絡することになります。中には首をかしげるものもあるのですが、$300でこれだけのデザイン案。なかなか面白いサービスです。

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〉〉〉第10回:パソコンとモバイル端末の
垣根がなくなる!?

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。
文/ 内倉憲一

モバイル・ユーザーの間で最近の話題と言えば、iPad 2ですね。でも数年前は、Netbookと呼ばれる、モニターが10インチ前後の軽量コンピューターが人気だったのを覚えていますか。過去形で書きましたが今でもNetbookは健在で、いろいろなメーカーから$300ほどで売られています。どこか非力なように見える原因は、OSがWindows 7であるということ。Windows 7が悪いのではないのですが、普段使っているパソコンのWindows 7と比較すると、NetbookはCPUの消費電力を抑えるよう設計されているため、ずいぶん遅く感じるのです。私はNetbookを数年前から何台か買って使ってみましたが、とにかく小さいことと、遅いことが気になって、使うのをやめてしまいました。

では、iPad 2はどうなのでしょう。Windows 7パソコンのユーザーにとって、Netbookは小さいだけで使い方が同じなので、新しいことを勉強する必要がなく、敷居が低いと言う人も少なくありません。iPad 2もまた、画面が大きくなっただけで、使い方がiPhoneと同じです。そこに魅力を感じるiPhoneユーザーも多いのではないでしょうか。

私はiPad(オリジナル)のWiFiバージョンを買いましたが、最初からパソコンの代わりだとは思っていないこともあって期待が薄かったのか、不満を感じることも少なく、今でも家でEメールをチェックする時などに使っています。また、これまでパソコンを使ったことがない人も、iPadなら使えるようです。やはり、パソコンではなく携帯電話から進化したという違いが出ています。ただ、アップル社の戦略なのか「ひらがな」ソフトキーボードがありませんので、だから買わないと言う人もいます。

さて、最後に新しいNetbookの話をしましょう。Google Chrome OSを搭載したChromebookと呼ばれるもので、6月15日に発売されました。価格はNetbookより少し高く、「Samsung Series 5 WiFi」が$429で「Acer WiFi Chromebook」が$349です。もちろん、iPad 2のように3Gサービスを受けることができますが、従量制の間は使わなくても良いでしょう。いずれのChromebookも、画面がNetbookより少し大きい12インチ前後です。OSが小さく軽いことから、Netbookよりも使いやすいのではないかと想像しますが、まだ実際に使ったことがないので、何とも言えません。これは携帯電話からの進化なのか、Netbookからの進化なのか、面白い位置付けです。

最近の安いノート・パソコンが$400前後で買えることを考えると、もはや通常のパソコンより安いからという理由でChromebookやNetbookを買う気にはなれません。それでも、Chromebookは参考までに買ってみようと思っています。とにかく、何でもバージョン1というのは、あまり買いたくないものです。

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〉〉〉第11回:気になるクラウドの動向

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。
文/ 内倉憲一

私のようなアップル・ユーザーは、どうしても次の製品が気になるものです。先日、アップルは次期戦略発表でiCloudというクラウド・コンピューティングについての構想を打ち出しました。クラウドと言えば、アマゾン、グーグル、そしてマイクロソフトの各社がサービスを売り出しており、その多くはウェブ・インターフェースで使用します。しかし、iCloudは、アップルの各アプリケーションがインターフェースになります。

実を言うと、私はクラウドに懐疑的でした。その理由は、クラウドの意味が明確でないことにあります。クラウドとは、言い方を変えれば、自分のデータがインターネット上にあるということを意味する以外の何物でもありません。それなのに、クラウドが何か特別なもののようにマーケティングされているのが気に入らないのです。特に多くのクラウドは、ストレージ(ディスク・スペース)であって、それをどのように使うかという明確な説明はありません。それを拡張したのがクラウド・コンピューティングと呼ばれるサービスで、これは保管だけでなくデータの処理をインターネット上で行うことを意味していますが、やはり明確な使い方が決まっていない場合が多いのです。

そのような中で、もっと消費者にわかりやすいサービスをクラウドと呼ぶアップルは面白いと思いました。例えば、写真をiCloudにアップロードしてインターネット上のディスクに保存すれば、自分でバックアップを取る必要もないし、友達とシェアすることも簡単にできます。音楽も同じ。アドレスブックもスケジュールやカレンダーも、iCloudを使えばインターネットを通して誰とでもシェアできるのです。ブラウザがインターフェースではないので、今まで通りに各アプリケーションを操作する中で、クラウド・サービスの利点を享受できます。いかにもアップルらしいですね。

それにしても、マイクロソフトではこのようなサービスは出せなかったのだろうかと不思議に思います。iCloudが、アップルではなくマイクロソフト(Windows)のサービスだったら、どうなっていたでしょう。もしかしたら、すでに独禁法で告訴されていたのでは、と考えるのは私だけではないでしょう。

アップルは今、コンピューター業界のリーダーではない。だから好きなことができるという面もあるのかもしれません。とにかく、クラウド・コンピューティングについては、アップルのやり方が正しいような気がします。

ソフト開発会社会長のIT批評ノート

〉〉〉最終回:新型コンピューター、Chromebookの使い心地

IT企業経営23年、マイクロコンピューターの時代から業界を見つめてきた筆者が、愛をもって世の中のITビジネスを分析。
文/ 内倉憲一

新OSを搭載し、インターネットに常時つながっていることを前提に造られたコンピューターが発売されました。その名はChromebook。OSはGoogle Chrome OSと呼ばれるものです。私も早速購入したのでリポートさせていただきます。
まず、大きさは一般的なNetbookと同じくらい。でもバッテリーがしっかりしているのか、少し重く感じます。私は「Acer WiFi Chromebook」を買ったのですが、デザインは至って普通。Macのようなおしゃれ感はありません。バッテリーパックを入れてコンピューターを開くと突然ログイン画面が現れます。セットアップもしていないのに……と思ったのですが、Googleアカウント、つまりGmailのアカウントを持っている人はセットアップが不要なのです。そして、コンピューターが立ち上がるとブラウザー画面に今使えるアプリケーションへのリンクが表示されます。例えば、ワープロや表計算ならGoogle Documents、EメールはGmail。動画のYouTubeへのリンクも用意されています。

気になる日本語ですが、Chromebookの設定で日本語表示を標準にすることが可能なほか、画面は英語のままで日本語の表示と入力ができるようにすることも簡単。切り替え方法についても、インターネットで調べてすぐにわかりました。日本語入力はGoogle Inputを用い、なかなか効率も良いように思います。ただ、「デスクトップ」がないというか、ブラウザー以外にインターフェースがないのは驚き。いや驚きを超えて戸惑います。

また、インターネットに接続していないと本当に何もできません。例えば、日本に向かう飛行機の中で書類に目を通したり、Eメールを書いておいたりというようなこともできないわけです。日本出張のことを考えた時、日本でどうやって使うかということも悩みのたね。日本は米国と比較してWiFiのあるホットスポットが少ないので、ホテル以外でオンラインになることが難しいのは皆さんご存知でしょう。しかも、ビジネス・ホテルではWiFiによるインターネット・アクセスが用意されていても、シティー・ホテルの多くはまだイーサネット・ケーブルを使った有線接続です。Chromebookには標準でイーサネット・ケーブルを接続できる仕組みはありません。オプションで買う必要があるのですが、どこで買えるのか……。

しかし、コンピューター内に何も置かないのですから、安全であることは確かです。すべての情報、ドキュメントはインターネットに置かれているので、誰かがChromebookを盗んでも情報は漏洩しないことになります。Chromebookは個人向けというよりも、企業ユーザーに大変便利なツールかもしれません。

〉〉Kenichi Uchikura / 内倉憲一

ベルビューに本社を置き、日米3万5,000以上の企業にインターネット関連サービスを提供するPacific Software Publishing, Inc.( PSP)創業者。現在は同社会長を務める。
ken.uchikura@pspinc.com