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J-1ビザのウェイバーを申し込み後、H1-Bビザ申請中での出入国は可能?

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J-1ビザのウェイバーを申し込み後、H1-Bビザ申請中での出入国は可能?

< 回答者|弁護士 五十畑諭さん>

J-1ビザとは、交換交流・研修参加のためのビザで、主に教育、ビジネス、研究、医療関係、などの分野が対象となります。滞在期限は、分野により4カ月から3年以上までとさまざまです。

J-1ビザの目的のひとつに、外国人が交換交流・研修後に、母国においてその得た知識・技術を生かすというものがあります。それゆえ、交換交流・研修終了後、母国に帰って2年間滞在しなければならないという、ほかのビザにはないような制限が付けられる場合があります。そのような制限は通常、(1)アメリカ政府機関かその他の国の政府機関によって金銭的にサポートされている、(2)アメリカ政府のスキル・リスト(基本的に援助のためにその他の国を発展させるうえで必要と見なされているスキル)に相当する、(3)医療の教育または研修に参加する、といった場合に付けられます。日本人の場合、J-1ビザを持つ大多数はビジネス研修での参加なので、この2年間の帰国義務が条件になる人は少ないでしょうが、この義務がある場合は、交換交流・研修終了後、その他のビザへの変更や永住権の申請ができなくなります。

J-1ビザのウェイバーとは、この2年間の帰国義務を“免除”する申請のことです。ある一定の条件に合えば、移民局はこの2年間の帰国義務を免除することがあります。免除されれば、その後の在留資格の変更等が可能になります。ウェイバーの申請中であろうと許可が下りた後であろうと、日本への一時帰国は、複数回の出入国ができるJ-1ビザを所持していて、それがまだ有効であれば可能でしょう。ただし交換交流・研修がすでに終了している場合には、J-1ビザを使用しての入国申請はできません。

ウェイバーの許可が下りた後での、H-1Bビザ(専門職用就労ビザ)申請中の出国ですが、もしH-1Bビザの申請を、アメリカ内での在留資格変更という形で行っているのであれば、出国することは基本的にすべきではありません。これは出国することができない、ということとは異なります。しかし、一度出国すると、在留資格変更の手続きではなくなり、H-1Bビザの申請許可を海外のアメリカ領事部で受け取ることになるため、H-1Bビザの審査が移民局において完了して発行の許可が下りるまで、アメリカ国外での待機を強いられることになります。

(2006年6月)

弁護士 五十畑諭さん


神戸市出身。明治大学卒。カンザス州ウォッシュバーン大学ロー・スクール卒(ジュリス・ドクター)。ワシントン州弁護士会、カンザス州弁護士会、米国移民法弁護士会会員。レントンにあるモグレン・グレスナー&ロータイ法律事務所で執務中。

Mogren Glessner & Roti, P.S.
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